日本外人部隊 作:揚物
侵攻当日・・・
パーパルディア皇国 皇都エストシラント 南方海域
日本外人部隊海洋艦隊は、夜の闇に紛れ波を裂きながら北進していた。ワイバーンは夜間飛行が不可能である事は判明しているため、夜間攻撃を仕掛ける。
すでに敵の大船団は、レーダー上に捉えられ、おそらくは敵の空母と思われる艦隊の位置も把握し、事前の人工衛星からの偵察により、敵海軍本部の位置も判明している。
敵空母艦隊は、護衛艦隊から北東方向約120kmに展開し、すでに対艦ミサイルの射程距離に入っている。
「対艦誘導弾により、敵空母艦隊を撃滅を行う。 その後砲撃による敵船の攻撃をする」
各艦に設置された斜め上方に向けられた筒の中で、固体燃料に火が灯り、煙が上がる。
轟音と共にそれは発射される。
合計25発にも及ぶ90式艦対艦誘導弾(SSM1B)は、ロケットブースターにより初期加速を行う。
十分に加速されたミサイルは、ロケットブースターを切り離し、ターボジェット推進に移行する。
ミサイルは、低空を時速1150km以上の速度で敵空母艦隊撃滅のため、飛翔していった。
パーパルディア皇国 海軍主力 第3艦隊
海上スレスレを飛翔してきた1発目の対艦ミサイルは、大きく上昇し、斜め上空から竜母艦隊司令の隣を航行中の竜母アビスに突入した。
猛烈な閃光を放つと、竜母アビスは船よりも遥かに大きな爆炎に包まれる。
少し遅れて、海上に轟音が木霊する。
次々と着弾する艦対艦誘導弾、そして夜間ゆえに発艦できないワイバーンロードは船ごと海に沈んでいく。
パーパルディア皇国主力海軍第3艦隊 旗艦ディオス
旗艦ディオスの艦橋で、第3艦隊提督アルカオンは、前方の海を睨んでいた。
間もなく日本海軍と戦う事になろう。
「報告します。」
通信士が声をあげる。
「何だ?」
「我が第3艦隊所属の竜母艦隊が、正体不明の攻撃を受け、全滅しました!!」
「そんなバカな!竜母艦隊は主力戦列艦よりもはるかに後方ぞ!!攻撃が届くはずが無い。」
場がざわつく。
艦橋にいた幹部はそれぞれ驚愕の声をあげる。
提督アルカオンが手をあげると、場が静まる。彼はゆっくりと話し始める。
「敵には、長射程かつ正確に攻撃できる兵器があるのだろう。
しかし、一気に全ての戦列艦を叩かず、海戦において最も重要なコアである竜母艦隊のみを狙った……敵の長射程攻撃の数に余裕が無い証拠だ。うろたえるな。」
悲壮感に溢れていた艦橋は、提督アルカオンの冷静な分析により、我を取り戻す。
「戦列艦アディスから報告!!」
通信士は続ける。
「アディス前方約30km地点に艦影を確認!艦数不明!!」
「見つけたか! 全艦隊、第1種戦闘配備!艦隊の隊列を乱すな。最大船速で敵に向かえ!!」
「はっ!!」
命令は正確に伝達され、各艦に伝わる。
提督アルカオンは前方を睨みつける。
日本外人部隊海洋艦隊
最前方の護衛艦と、敵艦との距離が20kmになった時、旗艦から一斉指令が繰り返し、はっきりと大きな声で流される。
「攻撃開始。 各艦は砲の射程に入り次第、順次攻撃を開始せよ。」
最前列を行くイージス艦天龍、艦前方に設置された2門の127mm単装速射砲が動き始める。
「主砲撃ち方はじめ!」
次の瞬間、轟音と共に、その砲弾はパーパルディア皇国海軍主力第3艦隊の戦列艦アディスに向け、発射された。
パーパルディア皇国海軍主力第3艦隊 戦列艦アディス
「敵艦発砲!!!」
我が方の艦と、敵艦はまだ20km以上離れているにも関わらず、日本の軍艦は発砲した。
艦長は副長に話しかける。
「奴らはこれほど距離が離れているのに砲を放ち、いったい何のつもりだ?威嚇か?」
「全く理解できませぬ。敵の砲が我が方の射程距離よりも長かったとしても、あまりにも離れすぎています。」
微かにいやな予感がする。
今まで戦場で感じる事の無かった死の予感。
「面舵いっぱい!念のため回避行動をとるぞ!!」
艦長の命により、戦列艦アディスはゆっくりと向きをかえる。
突然艦が激しく揺れる。
爆発音。
様々な破片が艦長と副長に降り注ぐ。その中には、人のパーツも混じっている。
「船体後部に被弾!!喫水線に破口発生!!」
船体左側に被弾したアディスは、喫水線付近に大きな破口を開け、船内に水が流れ込んでくる。
アディスは急な浸水により、傾き始める。
「もう持たない!!総員退か……」
艦長の言葉は猛烈な光と音に遮られる。
傾いた船内で、大量の爆発物が転倒、その誘爆により、皇国の戦列艦アディスはこの世から消えた。
パーパルディア皇国第3艦隊 旗艦ディオス
「戦列艦アディス轟沈!!て……敵の攻撃は砲撃によるものと判明!!射程は20km以上!!
たった1発の発砲で命中させています!!!」
「な……なななな……なんだと!?20km!?砲の射程距離が20km以上もあるというのか!!!
我が方の10倍も……。
しかも、たったの1発で命中!?
動目標に対する命中率は、距離2kmで発射した我が方の100倍もあるのか!!」
「20kmで命中率は我が方が2kmで撃った時の100倍以上か。
距離2kmで比較したらどうなる?まあ、1発では計れないが。」
「敵の砲はたったの1発で戦列艦を沈めるほどの威力がある。純粋な火力については、認識以上の開きがあるのかもしれない!」
幹部たちは、敵の強大さに対する純粋な驚きと、戦列艦で戦うには難易度があまりにも高すぎる艦の性能差に絶望する。
議論をかわしている間にも、すでに6隻の戦列艦がそれぞれたったの1発で轟沈している。