日本外人部隊   作:揚物

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クーデター、そして終戦へ

  防衛庁 会議室

 

「作戦の進行状況は?」

 

「16式はアルタラス駐屯地に到着しております」

 

「800mm単装砲艦も、アルタラス駐屯地に到着しております」

 

「艦隊もアルタラス駐屯地に到着し、いつでも出撃可能です」

 

「では、最終段階として皇都エストシラント パラディス城に圧力をかける」

 

「クーデターが起きなかった場合はいかが致しましょう」

 

 疑問に思った若手の幹部が質問をなげる。

 

「政府の方針は講和だ。 占領できる兵力もなければ、国民の理解も得られない。 さらにどこかの軍施設を破壊し、再度圧力をかける」

 

「しかし、占領したほうが良いのではないでしょうか?」

 

「外人部隊は1個機甲師団 1個海洋艦隊 1航空旅団、それだけだ。 これで占領なんて出来ると思うかね?」

 

「……確かに、失礼致しました」

 

「元より我々は侵略軍ではなく、PKO つまり国際連合平和維持軍の一員、それを忘れてはならんよ。 それが例え異なる世界だったとしてもな」

 

 

 

  皇都エストシラント 皇城

 

「それでは、これより緊急御前会議を始めたいと思います。」

 

 国家の危機的状況となった時のみ開催され、根回しも何も無く、生の情報をぶつけ合う会議が始まろうとしていた。

 会議は国のトップ、皇帝ルディアスを筆頭として、国の重役が顔を連ねる。

 皆、顔は暗く、だれ1人として笑顔を見せる者はいない。

 会議の面々には、皇族レミール、第1外務局長エルト、第2外務局長ランス、第3外務局長カイオスも含まれている。

 今、皇国の未来を左右する、日本対策の会議が始まろうとしていた。

 

「まずは軍の現状からご説明いたします。」

 

 軍の最高指揮官アルデは説明を開始する。

 

「海軍の状況については、主力がほぼ壊滅し、残存戦力は竜母艦隊12隻を含む第1級艦 50隻と、監査軍の第2級艦である東洋艦隊22隻と、西洋艦隊13隻、計85隻であり、その戦力は日本軍との戦い前に比べ、10分の1以下となっており、規模は大幅に縮小しています。

 またデュロに展開していた海軍も攻撃を受け壊滅しております。」

 

 アルデの額には汗が滴る。

 残存艦のみであっても、第3文明圏周辺国の海軍よりも戦力は上であるが、主力をあっさりと葬り去ってしまった日本軍と対峙することを考えた場合、その戦力はあまりにも小さく見える。

 

「次に、陸軍の状況についてご説明いたします。

 皇軍3大基地の2つ、皇都防衛隊及びデュロ陸軍基地が全滅いたしました。

 空から行われる攻撃としては、その爆弾投射量はあまりにも規模が大きく、今まで全く想定しておりませんでした。

 幸いアルーニに演習に出ていた5万の軍勢が攻撃を受けておりません。

 今後基地を作る際には、戦力を集中しすぎないように配慮する必要が生じましたが、本戦いには間に合いそうにありません。」

 

「次に、大規模工業地帯デュロが、全滅いたしました。

 民家にはほとんど被害はありませんが、工場はすべて破壊されました。」

 

 そんな中、扉が開かれ若い軍人が汗を駆け込んできた。

 

「大変です! パラディス城 東に鋼鉄の兵が現れ、防衛網を破壊しながら城に向ってきています!! 銃も牽引式魔導砲も効果がありません!!!」

 

「なっ、なんだと!」

 

「こちらは日本外人部隊! パーパルディア皇国に告ぐ!! 武装解除せよ!!!」

 

 鼓膜に響くような大きな声が響き、顔を向けるとちょうど会議室の窓からも見える場所であり、8体の飛行する鋼鉄の兵士が居た。

 

「明後日、日が昇るまでに回答せよ! さもなければ継戦の意思があるとして、皇都への攻撃を開始する!!」

 

「まっ、まさかあれも日本国の兵器なのか!!??」

 

 もはや何が起きているのか理解できず、会議室は静まり返る。

 都は逃げ惑う人々で道は溢れ帰り大騒ぎになっていた。

 

 

 

 

 翌日

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇城

 

「……これはいったいどういうつもりだ?」

 

 皇帝ルディアスはカイオスをにらみつける。

 ルディアスの横には、屈強な軍人が5名、皇帝を囲むように立つ。

 

「皇帝陛下……皇国のために、動かないでいただきたい。」

 

 カイオスはルディアスの目を見つめる。

 

「フン……革命か、小癪な事を。

 こんな事をしても、国民はついて来ないぞ?すぐに軍により、おまえたちの首ははねられる。」

 

 あくまで威厳を保ちながら、皇帝ルディアスはカイオスに話す。

 

「軍はすでにソラテス様によって掌握されております。 そして私達が……日本との戦争を止めます。もうあなたには任せておけない。」

 

「我を、どうするつもりだ?」

 

「皇帝陛下は、今後政治に口を出す事は許されません。

 国の皇族として、儀礼的行事には参加していただき、政治に関しては未来永劫口を出さない。いや、出せないようにいたします。」

 

「フン! 文明国の一国を列強まで押し上げたのは皇族ぞ!!

 国の運営に皇族の介入無くしてパーパルディア皇国が成り立つはずもなかろう!!」

 

「理解しております。 すでにレミール様や皇族の方々からの協力を取り付けております」

 

 扉が開くとレミールと共に数名の皇族が入ってくる。皇族たちは日本に秘密裏に訪れ、その国力の差を痛感したルディアスの親族達であった。

 レミールは先頭に立つと涙を浮かべながらルディアスを見つめる。

 

「……このままでは、日本によって、皇国はこの世から消え去ります。

 必ず日本とも講和し、国を存続させる事を約束いたします。 ルディアス様、ご英断をお願いします。」

 

「「「ルディアス陛下 ご英断を」」」

 

 沈黙。

 

「……そうか。 余は、すでに一人になってしまっていたか」

 

 この日、パーパルディア皇国運営の実権は皇帝ルディアスから離れる事となった。

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