日本外人部隊 作:揚物
元パーパルディア皇国属領の九カ国が同盟を結成し、パーパルディア皇国に宣戦布告、多国籍平和維持軍の初任務と成った。
「今回、指揮下にある軍の行動は常に監視されていると考えてください。 追い返しただけでは、また力が着く度に攻めてくるでしょう。 そのため厳しい条件が加えられますが、降伏した場合多国籍軍の監視の下ですが属領化も許可されております」
1.他国民間人への略奪や攻撃の一切を禁じる。
2.属領の統治方法は多国籍軍に所属する4カ国の意見を聞き入れる。
3.属領統治組織への定期監察を受け入れる。
4.如何なる国家であろうと治外法権を一切認めない。
等厳しいものであった。
「繰り返させて頂きますが、我々は常に監視しております。 決して軍規を違わぬようお気をつけ下さい」
軍勢が派遣された後、案の定再三の警告やパーパルディア皇国への侵略を止めるよう、多国籍軍が問うも聞き入れる事はなく、九カ国連合はパーパルディア皇国へ侵攻してきた。
恐らくデュロや属領統治組織から回収したのだろうフリントロック式マスケット銃や、弓で武装する連合軍に時間を要していた。
「土嚢から顔出すな!」
「頭を下げろ!」
ほぼ同等の装備となると、後は練度と数に大体左右されるが、派遣が遅れたため優位な地形を捕り損ねていた。
空ではワイバーンロードとワイバーンによる空中戦が行われている。じきにワイバーンロードに制圧されるはずだが、それまでは導力火炎弾の支援は期待できない。
対マスケット銃装甲を付けたリントヴルムを前面に押し出し、徐々に前進。
恐らく属領撤退時に奪われただろう牽引式魔導砲も連合側が持っており、苦戦とまではいかないが時間がかかっていた。
「上空支援はまだか!」
シウスは隠れながらも前線近くに陣取り、命令を下していた。
「じきに敵ワイバーンの討伐が終わります! それまでお待ちを!!」
日本の兵器があればこれほど苦戦する事はないのだが、やはり信頼をしてもらえないのだろう。
後方でこちらを監視しているが、手を出す様子は見えない。シウスは慣れない陸上戦ではあるが、参謀の他国の将校と話し合い指揮をしていた。
日本外人部隊として非常時は手を貸すつもりではあったが、重要な事は戦術的な欠陥の発見や提供すべき最低限の武装を選定する目的であった。
「武装の射程・連射力不足、機甲戦力なし、航空力は充足」
「やはり苦戦していますが、リントヴルムは防具次第で装甲車代わりにはなるでしょう」
「鋼板で仕立てた装甲車の方がまだ良い。 これは技術部に相談してみよう」
「後は武装ですが、そこも考えなければなりませんね」
講和から5ヶ月……
結局1ヶ月近く国境線で戦争は続き、疲弊した九カ国連合は多国籍平和維持軍に降伏、パーパルディア皇国は多国籍平和維持軍の監視がある形とはいえ、再び九つの属領を手に入れるに至る。
参戦したクワ・トイネ クイラ アルタラスは多額の戦時賠償金を受け取った。
多国籍平和維持軍の力を知った事で、その他の国も侵略と言う考えを僅かながら改め、クーズ王国やパンドーラ大魔法皇国などは新たに多国籍平和維持軍に加わりたいと申し出たが、軍事力や兵器の技術を目当てにされても困るため、当面はどこも受け入れない方針をとった。
結局、フィルアデス大陸はパーパルディアという楔が無ければ、パンドーラ大魔法公国やクーズ王国など少数の例を除き、戦乱が途絶えない民族がほとんどであった。
多国籍軍という楔をこれからも穿ち、交流や外交的に少しずつながら時間をかけて平和を遵守する考えを浸透させなければならない。
戦争は長期的に見れば赤字の垂れ流し行為でしかない。出来る限り避けるに越した事は無いのだから。