日本外人部隊   作:揚物

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一週間後~朝

 この場から動く事は許されなかったが、兵士達との話でこの王国については色々分かってきた。

 街はすべて城壁で覆われ、その外には魔物が歩き回っている。

 元々は神話の時代に魔王討伐軍として派遣された軍の末裔たちの国、世界からは忘れられた世界といっても差し支えない。

 この国の住民は、自分たちが人類最後の生き残りだと思い込んでいるようだ。

 人口がある程度増えると、街をつくるため、莫大な犠牲と労力をもって城壁を作り、居住区を広げる。

 国王の国の中心は、天然の要塞となっており、肥沃な土地と水源があるようだ。

 

「王宮科学庁の学者様が、貴様に聞きたい事があるとの事だ!!

 それにしても……文化レベルも我々よりも低いようだな。蛮族か……。」

 

 ジャスティードは吐き捨てる。

 どうやら理解する力もないようだと、第三外人部隊の面々は呆れ顔で見ていた。

 

「おおー! 君のその格好も、実にエキサイティングだ!!文化の違いを感じるよ。 私は王宮科学庁のセイという学者だ。よろしくな!!」

 

 細身で、少し変人かかった彼は、握手を求めながら、イーネに話し掛けてくる。

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

「ところで、これは君の国が作り出したのかね?」

 

 学者は、指差し尋ねる。

 

「いいえ、 これは第三文明圏 外人部隊 に支給されている特別なものです」

 

「ふぅ……すごいね!!何がどうなっているのか、全くもって理解が出来ないよ。

 全くもって意味不明の物だよ。」

 

「失礼ですが、機密ですので触れないようお願い致します」

 

 何かが爆発したかのような、重低音が轟き、皆が音の方向に振り返る。

 

「な……!!」

 

 約2km先の城門付近に煙があがり、外から何かが侵入してきているのが確認できる。

 

「ま…魔物だ!!!」

 

 誰かが叫び、付近は騒然となった。

 

 城門から、黒い煙が上がり、多数の黒い物体が、人類の居住地へ進入してきているように見える。

 

「ま……魔物の侵攻か!!!」

 

 城門付近にある兵舎からは、すでに多くの兵が侵入してきた魔物に対応し、戦闘が始まる。

 剣とこん棒がぶつかり合う音、時折聞こえる魔物の断末魔が、付近の者たちをさらに緊張させた。

 

「ジャスティード正騎士! 門見張り員より連絡あり!! 城街侵攻の敵兵、ゴブリン200、オーク10、オークキング2、漆黒の騎士1を確認との事です。」

 

「な……なにぃ!!」

 

 絶句……。

 

 騎士が絶句しているのを見て、イーネは急ぎ12式装甲歩行戦闘車に乗り込む。

 

 ここまで多くの魔物と戦い、その脅威度はよく理解している。

 ゴブリンもオークもなんということはない。どちらもショットガンで一撃の下で仕留める事ができた。オークキングもやや手間はかかったが、数も少なくとも分隊火力の敵ではない。

 しかし、オークキングはオークよりも2周りも大きく、漆黒の鎧を纏う騎士については情報がない。

 

「各員 射撃体勢に入れ!」

 

 目視範囲で、大きな魔物が大剣を振り、外壁を守っていた人間だったものがバラバラになる。

 

 エスペラント王国の正騎士ジャスティードは、漆黒の騎士の一撃により飛んで来た兵の破片が顔に当たり、吹き飛ばされた。

 

「ぬぉっ!!!」

 

 無様に地面を転がり、白銀色に磨き上げた自慢の鎧、そしてマントが土にまみれる。

 敵は彼をその辺の石ころのように無視し、巨大な馬を駆使し、王宮科学庁の学者へ1直線に向かう。

 

「ま……まずい!!」

 

 ジャスティードが叫ぶ。

 

 イーネは操縦かんを操作し、12式装甲歩行戦闘車の右腕に装備されている低反動型105mm砲の狙いを定めトリガーを引いた。

 一瞬の間をおいて体を貫通し、衝撃でばらばらに引き裂かれ地面に散らばった。どうやら105mm砲では威力過剰だったようだ。

 

 皆が唖然とし、一瞬の静粛が訪れる。

 

「………。」

 

「……なんて事だ……。」

 

「信じられない!!」

 

 決して抗する事が出来ず、数々の戦場で彼らを悩ませて来た強力な魔物があまりにもあっさりと崩れ落ちた。

 命が助かった安堵の気持ちと、それほどの魔物を一瞬で倒した異国の兵に対する恐怖……何とも言えない感情が入り混じる。

 本件侵攻で、一番強い者が倒れたため、魔物はオークキングを含めて悲鳴を上げて退散を始めた。

 

「逃がすな! 各員射撃を続行せよ!!」

 

 第三外人部隊は射撃を継続し、オークキングやオークなどを仕留めたものの、数が多いゴブリンには逃げ切られてしまった。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 命をかけて戦っていた王国兵が勝利の歓声をあげる。

 戦闘がひと段落し、イーネは12式装甲歩行戦闘車から降りる。

 

「……おい……。」

 

 騎士ジャスティードがイーネの前に立つ。その目には恐怖が宿っていた。

 

「今のは……何だ?どんな魔法を使いやがった?」

 

「……それが人に物を尋ねる態度ですか?」

 

 険悪な雰囲気。いくらイーネが出来た人間とはいえ、物には限度がある。

 

「いやいやいやいや……凄いね!君!」

 

 王宮科学庁の学者、セイが空気を読まずに会話に割り込む。

 

「君が倒した魔物は倒すのに非常に困難を伴う1匹、君達は王国の未来の希望となるかもしれない。王に会ってくれ!」

 

 イーネは、あまりの話の展開に驚く。

 

「私は第三外人部隊の総隊長員に過ぎません。 同行している日本外人部隊の隊長と話し合わなければ成りません」

 

 偵察中隊・機動対戦車中隊・第三外人部隊と責任者が集まり相談した結果、礼服を持ち込んでいたイーネと、偵察中隊の隊長のみが王宮へ向かう事となった。

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