日本外人部隊   作:揚物

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二日後……王立新兵器実験場

 約1万人は収容できようかという客席は満員となり、各種貴族の眺める中、王が登場する。

 王は住民たちの息抜き、そして強力な成果を出した場合、異国の兵に対して協力する正当性を示す意味も込め、同実験場を一般に開放していた。

 

『お集まりの皆様、選手を紹介いたします。

 我が国の誇る最高の銃と呼ばれる新兵器、その最強の使い手、神の才を持つと言われた男!!銃士ザビル!!!』

 

 会場に大きな拍手と歓声が沸き上がる。

 いわゆるさわやかな美形であるザビルに対し、貴族の娘たちの黄色い声が多数こだました。

 ザビルは中央部まで進み、王に一礼する。

 歓声が最高潮に達した時、アナウンスが流れる。

 

『次に登場の者は異国の兵、その類稀なる力で、あの「漆黒の騎士」を単騎で倒した女傑 イーネ・コルネス!!』

 

 会場に歓声が沸き起こる。しかし姿を現したイーネの姿によって、声は沈静化していく。勲章こそつけているが、自衛官と同じ迷彩服に身を包む姿に嫌悪の目が向けられる。

 

「な……何?あれが異国の兵!?」

 

「これは……ザビル様の圧勝ね!」

 

「何よあのブサイクな女! ザビル様に近付かないで欲しいわ!!」

 

 否定的な声が響く中配置につく。

 ザビルがイーネに挨拶する。

 

「私はね……ライバルという者がいなくなってしまってね……強すぎるというのも孤独なものさ。」

 

「そうですか……。 私はいまだ扱いに苦労しています」

 

 訓練を続けていてもまだ一年未満、弓を使っていたため狙いを定める事こそ経験は豊富であったが、異なる銃器の整備についてはいまだなれていなかった。

 

「ハハハ、凡人は大変だね。」

 

『それでは、競技を開始します!!』

 

 約50mほど先に直径1mほどの皿が現れる。あまりの的の近さと大きさに、イーネは唖然とする。

 訓練ではもっと小さい的かつ離れた場所でおこなっていたからだ。

 

「あれですか?」

 

「ハハハ……驚いたかい?殺傷距離220m、必中距離は50mと言われる名工ランザルの銃……しかし、的はたったの1mだ。

 なに、君が凡人であっても、鍛錬をして達人の域に達していれば、当たる距離だよ。」

 

「近過ぎます。 最短でも100mから始めてください」

 

「なに!?」

 

 イーネの言葉に話し合われ、開始位置が75mに変更される。

 

『それでは、競技はじめ!!』

 

 的に1分以内に当てればクリアとなる。射撃は1分ごとに当たり、はずれを判別され、交互に行われる。

 エスペラント王国最高と言われた銃士ザビルが射撃線に付き、準備を開始する。

 球形の弾を込め、火薬を注ぎしっかりと構え、引き金を引く。

 発射された弾は空気でブレながら高速で飛翔し、75m先に設置された皿を1撃でたたき割った。

 

「うむ!見事だ!!」

 

 まだエスペラント王国に多く普及していない銃、そのあまりの威力に人々は驚きの声を発する。

 

『皆さま、これが名工ランザルの作りし銃と、天才ザビルでございます。

 この兵器は、今回の的までの距離で射撃した場合、鎧を貫通いたします。

 現在量産に向けて取り組んでおり、これが正式に実用化された場合、オークキング等の鎧を着た魔物に対し、有効な武器となるでしょう。』

 

 会場がどよめく。

 

『続いて、異国の兵士、イーネ・コルメスです。彼女らが所属する、第三外人部隊にも銃があり、彼女は総隊長との事ですが、天才銃士ザビルにどこまで抗する事が出来るのか、皆様ご期待ください。』

 

 イーネは射撃線に付く。

 

『では……はじめぃ!!』

 

 イーネは支給されているレバーアクション式ライフル MODEL 94 Carbineのスコープを調整し、的に向かって構える。

 ザビルはイーネが火薬を入れていない事に気付く。

 

「これは……相手にならないな。」

 

 ザビルがつぶやいた時、会場に乾いた音が鳴り響く。

 Carbine 30-30弾は空気を裂き、安定して飛行し、標的の皿を叩き割り、遥か先の地面に落下、小さな煙を上げた。

 

「2人ともすごいな。」

 

「しかし、ザビル様の方が、発射炎が多く、威力も高そうだ。」

 

「お!?次は100m先だぞ!」

 

 100m先に皿が出る。ザビルは緊張の面持ちで銃を構える。

 一時的に呼吸を止め、銃のブレを極限まで少なくし、引き金を引く際のブレも起こらないよう細心の注意を払ってゆっくりと指を絞り、射撃を行った。

 

「ちっ!!」

 

 ザビルの銃弾は的を外れる。しかし、1分以内に撃破すれば点数は入るため、彼は迅速に銃身を掃除し、次弾を装填、落ち着きをもって構え、射撃する。

 弾は皿の右端に当たり、破壊する事に成功した。

 その光景を見て王はつぶやく。

 

「銃士ザビル……さすが天才だな。凡人であれば、あの大きさの皿、そして距離であれば10発に1発当てる程度がやっとだろう。

 たったの2発で命中させるとは……。さて、異国の兵はどうかな?」

 

 王の眺める前で、イーネと名乗る兵が構え、射撃する。

 軽快で大きく、そして乾いた音がした後、たったの1発で皿が破壊される。相変わらず発射炎は少なく、銃への給弾作業は無い。

 銃士ザビルは焦りの表情を浮かべる。

 

『次は200m先です!』

 

 司会は簡単に言うが、はっきり言って的は点にしか見えない。いくら正確に狙いをつけようが、球形弾の空気のブレだけで外してしまう可能性が高い。

 彼は射撃線に付く。

 

「ぐっ!やはり小さいな。」

 

 手振れで僅かに揺らめく銃口……1mmのズレで着弾地点は大きく外れる。

 銃のブレを抑制するため彼は息を止め、ゆっくりと引き金を引いていく。

 命中せず……ザビルはすぐさま次弾を装填して構え、そして撃つ。

 2発目も外し、射撃開始から1分が経過したため、時間切れ、命中無しの判定が出る。

 

『おおっと!さすがの天才も距離200mは難しかったようです』

 

「そんな……ザビル様が外すなんて……。」

 

「いくらザビル様でも無理よ、あの的点にしか見えないもの。」

 

 人々は様々な感想を述べる。

 イーネの出番となり、射撃線に付き、1撃で的に当て粉砕した。

 

『おおっと!!信じられません!!銃士ザビルが負けてしまいましたぁっ!!!』

 

 場がどよめく……。

 

『ではこれは当たるか!?』

 

 競技を続ける中、的は300m先となり、1つではなく7つもの的が同時に現れる。

 弾を込めなおし、スコープを調整しゆっくりと構える。

 軽快な発砲音が連続してこだまし、見事に7つすべてを叩き割った。

 

 常識を遥かに超える銃の性能に、銃士ザビルは固まる。

 場がざわつくが、王が手をあげたため、場が静まる。

 王は会場に向け、話始める。

 

「会場に集まった臣民の方々よ、知っての通り、我が国は創設以来、魔物に怯え続けた生活を余儀なくされている。しかし!!我々は1人では無かった。そう、もう気付いた者もいるだろう、今銃士ザビルと戦った兵は、異国の兵の総隊長なのだ、つまり外の世界にはこのエスペラント王国以外の国があるという事になる。」

 

 突然すぎる歴史を覆す王の発表に、場は静まり返る。王は続けた。

 

「クワ・トイネ公国! クイラ王国! アルタラス王国! パーパルディア皇国! その連合軍が少しの間、魔物退治に協力してもらえるとの約束を取り付けた。 そして彼らの隊章は日を象っている!」

 

 大騒ぎになっては困るとして、意図して日本の名は伏せてエスペラント王国には伝えられていた。

 

「まさか……まさか……。」

 

 場のざわつきは最高潮に達する。王は続ける。

 

「もうお気づきの方も多いだろう。これは……我が国に伝わる救いの預言に酷似している。私は民が平穏な暮らしを取り戻せるよう、全力で国を導く事をここに誓う。」

 

 王の演説は終了した。

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