日本外人部隊   作:揚物

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日本へ

  中央暦1639年2月14日―――

  

 使節団がエストラシラントの港に集まっていた。

 第一外務局から局長エルト シラン、軍部からは前最高司令官のソラテス、その他各専門とする者達を、日本の国力及び軍事力を計る為に集められた。

 

「久しぶりの海路じゃな。 あの辛さが懐かしいとおもってしまうわい」

 

「ソラテス様は5年前にご引退成されましたが、今回は自薦してこられたのですか?」

 

「うむ。 ミリシアルやムーに行った経験豊富なワシが適任じゃろう」

 

 定刻の正午が近くなると遠めに大きな船が見え始めた。帆もない白く極大に大きな船は、沖合で停船した。

 やがて、その船から小船が3隻現れ、これまた信じられない速度で港に向かって爆走してきた。

 その船にも帆は無かった。

 

「ふむ。 ムーの動力船のようだな」

 

 外交官が小船に乗っており、港に到着した。

 

「今回は、あの沖合に停船中の船に乗って、日本に向かいます。 本当はこの港に直接接岸したかったのですが、残念ながら港の水深が不足しているため、あそこに停船しました。皆様には、小船に乗って、移っていただきます。 なおあちら護衛艦隊群が航海中安全を守りますのでご安心ください」

 

 白い船から少し離れた場所には、先日現れた艦隊が控えていた。

 3席に便乗し白い巨船の中に入ると使節団面々は驚かされた。

 皇宮のように敷き詰められた柔らかい絨毯が足元全て覆い、船内はどこも明るく温度は快適な温度に保たれていた。その上揺れも殆どなく、船の中にいることを感じない。

 使節団の面々は理解が追いつかず、目を白黒させながら船の設備について説明を受けていた。

 

 

 

 五日後―――――

 

「皆様、福岡市が見えてまいりました。福岡市は、九州地方、中国四国地方の中で、最大の都市になります。あそこに見えるのが博多港であり、博多港からは、リムジンバスで、ホテル新日航まで移動していただき、日本についての基礎知識をご説明いたします」

 

 巨大な港に停泊し、下船するとき嫌と言うほどまでに日本の海軍の力を見てしまった。

 護衛してきた軍船と似た軍船が8隻係留され、パーパルディア皇国の戦列艦、全てをもってしても勝てるかどうか。

 

「粟村殿、あれが日本の主力艦隊であるか?」

 

 前最高司令官であるソラテスは軍事力を測るために派遣され、軍船にもしっかりと目も向ける。

 

「軍事機密ですので正確にお答えすることは出来ませんが、主力艦隊では御座いません」

 

「お答えに感謝する」

 

 ホテルに向う間、リムジンバスから見る景色に使節団の面々は驚愕し、また恐怖していった。

 

 

 翌日―――

 新幹線に搭乗するが、もはや比較を要いた理解の範疇を超えてしまい、ただ日本の説明を聞き入れ、何が起きているのか、これは一体なんなのか使節団の各員は必死に考え続けていた。

 

 東京に到着し、皇国ホテルに移動。その日は一旦休憩として翌日から各地を周る。

 

「皆様方のご希望に沿い、日本の各所をご案内いたします」

 

 エルトとソラテスの希望により、東京を中心とした文化と技術、そして軍事の視察を行う事となった。

 

 到着した空軍基地では訓練の真っ最中であり、広報担当官に案内され、屋上から訓練風景を眺める。

 ワイバーンロードさえも遥かに超える速度の飛行機械、ソラテスは唖然としながらその動きを見ていた。

 

「あれは旧式の訓練機ですので、新兵の見苦しい動きで申し訳なく思います」

 

 広報官は異常な速度で飛行する動きを見苦しいと言う。 

 ソラテスはこの時確信していた。

 どうあっても勝てぬ。ワインバーンロード、いや最新鋭のワイバーンオーバーロードでさえ、あの訓練飛行機械に勝つことは出来ぬ。話どおりの新兵であり、旧式の訓練機と言うならば、熟練した兵士が乗る最新鋭機はどのようなものだというのか。

 パーパルディア皇国の数の力で押したところで、余りにも違い過ぎて戦いにさえならぬだろう。

 一部の使節団員は腰を抜かしてしまい、他の使節団員に支えられリムジンバスへと移動した。

 次の視察場所である歴史館に向う間、移動中のリムジンバスの中の空気は重く、使節団の面々は誰もつかれきった表情をしていた。得た情報を報告した所で、理解を得られない現実に頭を抱えていた。

 

 五日間の滞在によって理解できた隔絶した国力・軍事力に使節団の面々は心を折られていた。日本を去る前夜、皇国に持ち帰る土産の品々を使節団は確認していた。

 

 

  パーパルディア皇国 エストシラント

 帰国した使節団は多くの情報と、加工された様々な食料と導具を持ち帰った。使節団の報告から日本の危険性が伝えられ、荒唐無稽な内容であると懐疑的ではあったが、ミリシアルとムーを良く知るソラテス前最高司令官の、戦争となれば甚大な被害を被るという意見が重く見られ、第二外務局 準列強国として日本を扱うことが決められた。

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