日本外人部隊 作:揚物
急ぎ南門がみえてきたとき、イーネの目には巨大なハンマーによって、打ち飛ばされたサフィーネの姿が映った。
バギーを急停止させ、その車上からレバーアクション式ライフルの狙いを、黒騎士の胴体に合わせトリガーを引いた。
.30-30 ウィンチェスター弾は空気を切り裂き、鎧を貫き黒騎士の動きは鈍くなる。
仕留めるにはまだ足りないと判断し、装填されていた7発全て撃ちきり、ようやく倒れた黒騎士に近づくと、SIG SAUER P320を抜いて9mmのホローポイント弾を頭部に撃ち込み、頭部が砕け黒騎士の命を完全に奪った。
「何を驚いているのです! 魔物は目の前!」
騎士たちはあまりの出来事に理解できず、唖然として動きが止まっていた。
イーネは銃を収め、代わりに剣を抜いて空に掲げる。
「勇気ある守護の士達よ! 民を守るために勇猛さを剣に宿し、敵を倒せ!!」
イーネの掛け声に、騎士達は各々武器を持ち魔物に向かっていく。
押し返し始めたのを確認し、イーネは倒れているサフィーネのもとに駆け寄る。
「サフィーネさん! 大丈夫ですか!!」
地面に倒れている者の呼吸はしており、肋骨や大腿骨が折れているようだけれど、命に別状はなさそう。
「いま、なんとかするから頑張って」
簡単ではあるが、イーネも回復魔法を使う事は出来る。
少しすると治癒術師の人も駆けつけ、共同で治療を施すと乱れていた呼吸も落ち着き顔色も良くなっていった。
一息つき、ライフルと拳銃に銃弾を込め直していると、騎士ジャスティードがこちらに恐怖と怒りの視線を向けながら歩いてきた。
「貴様、何をした」
腰の剣に手をかけていることから、何かしら考えている様子であり油断はできない。
イーネは救助された恩もあるので穏便に済ませたくはあっても、どうも目の前の騎士はイーネを魔族として疑い確信に変えようとしていた。
「いやぁ、驚いたよ! その銃凄いね!!」
一色触発という状況を読まず、技監であるセイが二人の間に割って入った。
「君が倒した魔獣は一匹だが、いままで誰も倒すことができなかったんだよ! 制する事さえ大変な困難が伴う一匹。 君は王国の希望になるかもしれない、ぜひ王とも会ってくれ!」
「はっ? えぇ? 突然どうしてそういう事態に変わるのですか!?」
突然の言葉にイーネも混乱しているのだが、技監セイは話を続ける。
「君の所属する力は窮地である国の助けになる! ぜひとも会ってってほしいんだ!!」
何か理由がある事を察する事は出来るものの、あくまでイーネ自身、自分は軍人であって外交の専門家でないことはよく理解していた。
「それでしたら、通信機も無事なようですので、数日待っていただき、本隊に対応してもらったほうがいいかと」
「そうか! それなら会える準備ができたら言ってくれたまえ!」
技監セイは他の騎士たちに引っ張られるように安全な城門に向かっていった。
イーネはコンテナがあった場所に戻り、引っ張り出されていた通信機を説明書を読みながら組み立る。
「こちら第三外人部隊総隊長 イーネ・コルメス きこえますか」
少し待ったあと、通信機から返答が入った。
「こちら対戦車機動中隊 第601、無事だったか!」
通信が繋がり、現状を報告すると二日後に外交官を含め一部隊が到着するとのことだ。
現在魔王軍残党と思われる魔物の集団を殲滅中であり、本隊到着はもう少しかかるそうだが。
二日後、オスプレイによって一部隊が訪れた。危険地域である可能性を考慮され、外人部隊の外交官であり、護衛しているのも数こそ少ないが、空中強襲歩兵連隊から抽出した護衛である。