日本外人部隊 作:揚物
当日となり、軍服に身を包んだイーネは身だしなみを整え迎えの馬車に乗り込んだ。
約1万人は収容できようかという客席は満員となり、各種貴族の眺める中、王が登場する。
王は住民たちの息抜き、そして強力な成果を出した場合、異国に対して協力する正当性を示す意味も込め、同実験場を一般に開放していた。
『お集まりの皆様、本日勝負を行う2名の精鋭をご紹介いたします。
我が国の誇る最高の銃と呼ばれる新兵器、その最強の使い手、神の才を持つと言われた男!!銃士ザビル!!!』
会場に大きな拍手と歓声が沸き上がる。
いわゆるさわやかな美形であるザビルに対し、貴族の娘たちの黄色い声が多数こだました。
ザビルは中央部まで進み、王に一礼する。
歓声が最高潮に達した時、アナウンスが流れる。
『次に登場の者は異国の兵、その類稀なる力で、あの「漆黒の騎士」を単騎で倒した女傑 イーネ・コルネス!!』
会場に歓声が沸き起こる。しかし姿を現したイーネの姿によって、声は沈静化していく。勲章こそつけているが、自衛官と同じ迷彩服に身を包む姿に嫌悪の目が向けられる。
「な……何?あれが異国の兵!?」
「これは……ザビル様の圧勝ね!」
「何よあのブサイクな女! ザビル様に近付かないで欲しいわ!!」
「イーネ頑張れ!!」
サフィーネの声だけが響きその方向にイーネは頭を下げる。
ザビルがイーネに挨拶する。
「私はね……ライバルという者がいなくなってしまってね……強すぎるというのも孤独なものさ。」
「そうですか……。 私はいまだ扱いに苦労しています」
「気にすることはないよ。 凡人でも鍛錬を積んで達人の域に達することは可能だからね」
訓練を続けていてもまだ一年未満、弓を使っていたため狙いを定める事こそ経験は豊富であったが、異なる銃器の整備についてはいまだなれていなかった。
イーネの基準は外人部隊の隊員であり、400m先をアサルトライフルで初弾で当てる人物、そもそも基準が高すぎて短期訓練しか受けていないイーネと比べるべき相手ではない。
「ハハハ、凡人は大変だね。」
『それでは、競技を開始します!!』
約50mほど先に直径1mほどの皿が現れる。あまりの的の近さと大きさに、イーネは唖然とする。
訓練で行ったのは400mさきのペットボトルなど、ごく小さいのが当然であったからだ。
「あれですか?」
「ハハハ……驚いたかい?殺傷距離220m、必中距離は50mと言われる名工ランザルの銃……しかし、的はたったの1mだ。
なに、君が凡人であっても、鍛錬をして達人の域に達していれば、当たる距離だよ。」
「近過ぎます。 最短でも100mから始めてください」
「なに!?」
イーネの言葉に話し合われ、開始位置が75mに変更される。
『それでは、競技はじめ!!』
的に1分以内に当てればクリアとなる。射撃は1分ごとに当たり、はずれを判別され、交互に行われる。
エスペラント王国最高と言われた銃士ザビルが射撃線に付き、準備を開始する。
球形の弾を込め、火薬を注ぎしっかりと構え、引き金を引く。
発射された弾は空気でブレながら高速で飛翔し、75m先に設置された皿を1撃でたたき割った。
「うむ!見事だ!!」
まだエスペラント王国に多く普及していない銃、そのあまりの威力に人々は驚きの声を発する。
『これぞ名工乱ざるの手掛けた最高の銃“殲滅者”シリーズのひと振り“星火”と、天才ザビル様の腕魔の威力でございます。 この兵器はフリントロックという火打石で火薬を発火させる仕組みを採用しており、火縄銃の弱点であった不発や暴発の危険性が大幅に軽減されています。 その威力は火縄銃と同様で、今回の的までの距離で射撃した場合、鎧をたやすく貫通いたします。 しかも射撃の手順を火縄銃より一部短縮できるので、連射性能も向上しております!』
会場が大きくどよめく。
『続いて、異国の兵士、イーネ・コルメスです。彼女らが所属する、第三外人部隊にも銃があり、彼女は総隊長との事ですが、天才銃士ザビルにどこまで抗する事が出来るのか、皆様ご期待ください。』
イーネは射撃線に付く。