日本外人部隊   作:揚物

5 / 99
動乱と技術の入手

  中央暦1639年3月22日午前―――

 日本が転移してから、2ヶ月が経とうとしていた。

 パーパルディア皇国と国交交渉が進んでいる最中、他国への国交開設も順調に進んでおり、第一に友好的国交が成功したのはクワ・トイネ公国であった。

 彼らとは平和的に国交を結んでから2ヶ月、クワ・トイネ公国は、今までの歴史上最も変化した2ヶ月であった。

 2ヶ月前、日本は、クワ・トイネ公国と、クイラ王国両方に同時に接触し、双方と国交を結んだ。

 日本からの、食料の買い付け量は、それなりの規模の受注であったが、元々家畜にさえ旨い食料を提供することが出来るクワ・トイネ公国は、受注に応える事が出来た。

 元より2016年には第三次大戦による大規模な飢餓で2000万人ほどすでになくなっており、自給の底上げによってそれほど多くの食料を求めていなかった。

 クイラ王国にあっても、元々作物が育たない不毛の土地であったが、日本によれば、資源の宝庫であるらしく、クイラ王国は、大量の燃える水と鉱石類を輸出開始していた。

 一方、これらの対価として、道路と機関車というインフラを輸出してきた。

 大都市間を結ぶ、石畳の進化したような継ぎ目の無い道路、そして機関車と呼ばれる大規模流通システムの構築が進んでいる。これが完成すると、国家間及び領地の流通が活発になり、いままでとは比較にならない発展を遂げるだろうとの、試算が、経済部から上がってきている。

 各種技術の提供も求めたが、日本側は、「技術流出防止法」と「技術移転法」呼ばれる法律が出来たため、中核的技術及び中等技術以上は売って貰えなかった。扱いきれるものではないと書籍なども余り許可されていない。しかし初等技術の本でさえ、未知であるクワ・トイネやクイラにとっては重要な書籍であった。

 また、武器の輸出も求めたが、同じく扱いきれないとして、応じてもらえなかった。

 

「すごいものだな、日本という国は明らかに3大文明圏を超えている」

 

 クワ・トイネ公国首相カナタは、秘書に語りかける。

 

「はっ。しかし、彼らが平和主義で助かりました。 彼らの技術で覇を唱えられたらと思うと、ぞっとします」

 

「そうだな、しかし、武器を輸出してくれないのは、いささか残念だな。 彼らの武器があれば、少しはロウリア王国の脅威も低減するのだが・・・。」

 

 首相カナタは、夕日を見ながら、そう嘆いた。

 

 

 

 

 パーパルディア皇国としては日本を準列強として扱う方針としていた。ムーは関与を否定しても、鋼鉄の船を見た関係者は関与のある国と疑っている。

 前最高司令官ソラテスやエルトは日本の武器を欲したが、国家としてそのような事をするわけにもいかず、内々に輸入を試みるも皇国のプライドが邪魔をしてしまい、技術や物資の購入などが出来なかった。

 通常の国家が相手なら奪ってしまえば良いのだが、その様な事を出来るわけもなく、クワ・トイネを間に挟むことで時計や大陸語に翻訳された一部の書籍、外務局員や軍事研究者を頻繁に日本に行かせることで情報を調べさせていた。

 一方で日本も情報や技術を盗まれるわけにはいかず、クワ・トイネから領地を借り受け、外交に関する窓口と交流を統一し、日本に直接赴く事がないよう手を打ち始めた。

 

第一外務局 会議室

 

「では、各部門より経過報告をお願いします」

 

 エルト進行の下、日本を訪れた軍関係者は技術を調べ、中間報告を行うため会議を開催した。

 

「陸軍としては我らが銃では全てが劣る」

 

「海軍としてもだ。 彼らの民間船でも我々の船より足が早くて丈夫だ」

 

「竜騎士団。 彼らの飛行機械相手に、ワイバーンオーバーロードでは相手にならない。 残念だが」

 

「先進兵器開発研究所としましては、ここに描かれている武器の一部でも入手していただきたいと考えております」

 

 購入できないため、態々日本の図書館で手書きで写し取った自衛隊の武器一式が書かれている紙取り出していた。

 軍関係者は誰も表情が芳しくなく、エルトはため息を付いた。

 

「日本は輸出関連に厳しく、軍事関係になると厳重で入手は難しい。 その写しでさえかなり無理をして手に入れているのです」

 

「そうですか……」

 

 メモ書きのようなものを持ち出すのが精々であった。ムーなどに送り込んでいる諜報組織と異なり、国交が開けたばかりであるため、諜報についても手探り状態であった。

 

「外務局として一部朗報もあります。 蒸気機関と言うものの輸入が決定しています」

 

「おぉ、それはムーが運用しているものか!」

 

 パーパルディアとの取引において、日本側が戦争を回避するために技術差を理解させる目的で、クワ・トイネ及びクイラより先んじて許可を出していた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。