日本外人部隊   作:揚物

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鉱山区・漆黒の騎士

 エスペラント王国側から再三技術協力を求められるも、技術移転法を理由に断っているのだが、技監のセイ・ザメンホフは頻繁に外人部隊員に質問し、どうしたものかと悩みの種となっていた。

 

「気をそらすために、何か作らせては如何でしょうか」

 

「上からも考えると話は来ているのだが、返答がまだな」

 

「パーカッション式リボルバーについて特にしつこい。 あれなら作れる可能性もあるのだが、見る目もあるのだろう」

 

 技監として能力は非常に高いのは誰しも認めているのだが、技術移転法もあるので下手にこたえるわけにもいかない。

 

 数日後、派遣要請をした第三外人部隊が到着し、トーパ王国からエスペラント王国までの道が確保された。

 あぜ道の整備と魔物討伐をしなければならないものの、トーパ王国との連絡は可能となり、戦力や物資の輸送が可能となった。

 

 そのため急ぎ神聖ミリシアル帝国と連絡を取り、ほんの一小隊と外交官、そして魔法技術士官がトーパ王国を経由して訪れることとなる。

 

 二つある鉱山区の一つを取り戻すため、鉱山区をを偵察している部隊から、区画分けをしている地点に魔物達が集っていると報告があった。

 

 

 

 漆黒の騎士も見えるため、おそらく前回と同じ編成によって他区域を攻める可能性が考えられたのだが、余りにも作戦としておかしい。

 失敗したのならば戦力を増強するはずだが、まるで何かを探っているかのようだ。

 

「これは、スパイがいて我々の戦力を探っているか?」

 

「その可能性を否定はできませんが、魔族がこの町に潜んでいるということになります」

 

「魔族には、変装魔法など都合が良い物があるのかもしれない」

 

「我々が手を打つのは控えましょう。 第三外人部隊も抑え、訓練を行った王国軍でいいでしょう」

 

「漆黒の騎士が現場指揮官だとするなら、強化スタンロッドでも使いましょう。 捕えなければ情報がありません」

 

「危険だが仕方あるまい」

 

 強力な軍用スタンロッドを一時的に貸し出すことになったのだが、漆黒の騎士に接近できるかどうかが問題となり、催涙スプレーを渡す事となった。

 騎士ならば投擲物を避けるなり切り落とすなりすると考えられるため、至近距離でガスが破裂・散布されるため効果が見込まれた。

 

 

 

 討伐の為に騎士や兵士たちが鉱山区に入ると、魔物達が集まりはじめる。

 

「全員恐れるな! 漆黒の騎士は重装騎士が抑え込み、遊撃隊が秘密兵器を使う!」

 

 漆黒の騎士は巨大な剣を振り回し、騎士や兵士に向かっていく。

 指示された通り重装騎士が前に出ると盾を斜めに構え、攻撃を受け流し時間を稼ぐ。

 その間にもオークキングやオーク、そしてゴブリンの群れを相手に、騎士や兵士が挑み、サフィーネは跳躍すると、漆黒の騎士頭部目掛け短刀とスプレー缶を投げた。

 投じられた催涙スプレーを漆黒の騎士がナイフと剣で切り落とし、その中身が噴き出す。

 ドラゴンズ・ブレス・ペッパー 催涙スプレー。地球で最も辛く、天然無公害ということで催涙弾にも使用されるのだが、それが詰められた催涙スプレーを眼前で切り落としてしまった。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 漆黒の騎士は近距離で全ての内容物を全身に浴びてしまい、武器と鎧を投げ捨て、恐ろしい声を上げながら地面をのたうち回っている。

 食すれば余りの辛さに嘔吐し、その凄まじい辛さによって少量でも皮膚が麻痺するため、薄めて皮膚の痛みの緩和薬として使われるほどである。

 それを濃縮還元したスプレーは、はっきりいって体の弱い人間ならショック死しかねない代物。漆黒の騎士は今、生きたまま全身が焼かれるような激痛を味わっていることだろう。

 素早くサフィーネは近づくと、スタンガンを押し付け気絶させた。

 

「……さすがに、ゲホッ きついわね」

 

 強烈な香りが漆黒の騎士から漂い、近づくだけで咳こんでしまう。

 魔物の群れは最も強いものに従い戦意を保つ、漆黒の騎士が倒されたことで戦意を失い散り散りに逃げ始め、9割がた仕留め終わると穴が開いていた区画防壁を工兵のドワーフ達が埋めてしまう。

 

「「「やった、やったぞぉぉ!!」」」

 

 騎士や兵士達は剣を掲げ、勝利を祝っている。

 

 

「おかしいですね。 やはり何かを探るような隊列でした」

 

 魔物の襲撃について維持部隊は監視をしていたが、どうも動きが計画的な面がみられ、何かを探っている様子がある。

 

「我々の戦力を計っているのか、スパイをどう探すべきかだが、構わず押しつぶすかそれとも丁寧に排除するか」

 

 エスペラント王国に訪れた戦力を探っていると思われるのだが、相手の手の内が見えない限り本格的に支援するわけにもいかない。

 エスペラント王国の兵団に対して根本的な軍事教練を行うことで、こちらの手の内を隠すのはよいのだが、手間と時間ばかりがかかってしまう。

 相手の手の内を確認しなければ、全てが手遅れになってしまう。

 何を理由としているのかはわからないものの、少なくとも人為的な策略である事に違いはない。

 スパイの探索と防衛戦力の拡充が急務だろう。

 




一度アメリカ製の奴を少量顔面体験しましたが、3時間は目が開けず動けませんでした。
直後は痛いを超えて焼けた感じがあるし、地獄の苦しみでした。
非致死性兵器ですが、冗談でもやるもんじゃないですよアレ。
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