日本外人部隊 作:揚物
目が覚めた漆黒の騎士は何もわからず、記憶の混乱もあった。少し時間が経った事で落ち着き、頭につけられていた輪が装着されてから、意識がとてもあいまいらしい。
少しずつ聞き出した限りでは、彼らは鬼族であり魔物に襲われないよう結界を張った中で国家を形成していたそうだ。
そこに妙な連中が現れ、輪っかを付けられて操られていたそうだ。
神聖ミリシアル帝国の一団が到着したのに合わせ、魔道物として謎の輪について解析を依頼する。
「まさか、過去にあったという制御の輪でしょうか。 このような物を扱えるとなると、ミリシアルに近い技術力を持っていることになります」
ミリシアルの技術者は唸りながら輪を調べ、情報官はとんでもない事だと焦っていた。
「解析し、操っていた人物を特定する事は可能ですか?」
「それは……難しいかと。 ただし解除する方法は簡単です。 何かで縛られているわけではないので、壊すか外してしまえば害もなく取れます」
「そうですか。 ですが、これで一つはっきりしました。 今回のエスペラント王国攻撃は、漆黒の騎士が所属する鬼族の意思ではなく、何者かの策略であるということです。 そしてその者達は魔帝の技術を知りつつある程度は扱えるということです」
「由々しき問題ですが、一介の外交官である私には荷が重すぎます」
神聖ミリシアル帝国としては、今回はエスペラント王国を正式に国家として承認することを目的としていたのだが、思わぬ情報と事態に新たな一団の派遣を急いだ。
イーネは区画分けをしている城壁から状況を見つつ、漆黒の騎士を捕えたサフィーネを迎えた。
「サフィーネさんお疲れ様。 怪我がなくて何よりです」
「いえ、それにしても日本の道具はすごいですね。 あの恐ろしかった漆黒の騎士を簡単にとらえる事が出来たよ」
サフィーネはスタンガンを取り出してみている。
イーネは使ったことはないものの、近衛兵に配備されている一般流通品から、その危険性だけは知っていた。
導入前の試験では、屈強な騎士が一撃で倒れて動けなくなっていたからだ。
「日本の技術は凄いね。 こんなもの考えたことがなかったけれど」
「少数ならクワ・トイネ公国でも納品されているけれど、ここまで凄いものではなかったから、これが軍用なんだと思うよ」
イーネはサフィーネからスタンガンを受け取る、イーネが責任をもって外人部隊に返却することになっている。
「これが沢山買えればいいのだけれど、イーネさんこれって高いの?」
「日本製品は中々購入許可は下りないから……、でもそれもわかるでしょ? これが危険な連中に流れてしまえば、大変なことになるって」
「……そうね。 もし危険な事を考えている貴族に沢山出回ってしまったら、国が揺らいでしまうかもしれない」
少し理解すれば危険性を理解できる、サフィーネもスタンガンの危険性をすぐに理解できた。