日本外人部隊 作:揚物
「司令部から連絡が来ている。 衛星写真ではグラ・バルカス帝国の艦隊が、ミリシアル帝国の艦隊に向う可能性があるそうだ。 恐らく強襲が目的だと思われる。 今回長門を臨時旗艦として支援に向ってもらう」
「しかし、沖田大佐。 それでは外交官達の護衛に問題が。 何よりも旗艦はまだ万全な状態ではありません」
最新技術やブロック工法などを駆使して24時間体制かつ、産業界総出で建造し短い工期に完成こそ間に合ったが、慣熟航行をしている余裕はなかった。
基礎システムはイージス戦艦長門を発展させた物を搭載し安定しているが、各主砲も陸地テストこそ充分出来ているものの、海上におけるFCSの充分な調整が、成熟がなされていない。
今回が処女航海であり初任務であった。
「元より威圧効果が目的であり戦いの意図は無い。 上から技術分析の為に可能ならば空母の鹵獲を命じられている。 その為に最善を尽くさねばならん」
「……では、榛名とかが、そして2隻をグラ・バルカス帝国の側面を突く様に展開し、空母を1隻残し全て沈没させる形をとります」
「それでは長門が危なくはないかね?」
「空母は四隻で搭載数は旧帝国海軍基準としておよそ250機未満、全発艦を避ける事を考えれば長門と2隻もあれば事足ります」
「宜しい。 では無事を祈る」
日本外人部隊海洋第一艦隊は二手に別れ、カルトアルパスには旗艦のみ、臨時旗艦長門を含む7隻は、ミリシアル帝国の艦隊支援に向った。
神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス
広大な港湾施設を持つ港町カルトアルパス、先進11ヵ国会議には、各国の軍が大使を護衛し、やってくるため、すべてが収容できるよう、開催地には、この港町カルトアルパスが選ばれた。
港湾管理者の元には、続々と到着する各国の軍の情報が集約される。
「第1文明圏 トルキア王国軍、到着しました!戦列艦7、使節船1計8隻」
「了解、第1文明圏エリアへ誘導せよ。」
港に着いた船を、適切に誘導していく。
「第1文明圏 アガルタ法国、到着、魔法船団6、民間船2」
「了解」
港湾管理責任者、ブロンズは、この先進11ヵ国会議が好きだった。
各国が、使者を護衛するという名目で、最新式の軍艦を艦隊ごと送り込んでくるため、軍事の大好きな彼にとって、このイベントは仕事であると同時に、お祭りのような気分となる。
「ここに、第零式魔導艦隊があれば、各国の軍も貧相に見えるのだろうがな。」
日頃、港町カルトアルパスの近くに基地を有している第零式魔導艦隊は、軍艦がひしめく祭りの際には、様々な事情から西にある群島に訓練に行くのが、毎年恒例となっていた。
港湾管理者ブロンズは、ワクワクしながら待つ。
今回開催の国の中で、どんな軍隊を送り込んでくるのか楽しみな国が2つある。
1つは、西の列強国、レイフォルをあっさりと落とした新興軍事国家グラ・バルカス帝国。
そして、もう一つは、第3文明圏の列強国パーパルディア皇国を68ヵ国に分裂させた、日本国、いったいどんな艦隊が来るのか、彼のドキドキは止まらない。
その時だった。
監視員が急にざわつき始める。
あまりにも、大きく、城のような船が水平線に見える。
その姿は、船が近づくにつれ、さらに大きくなり、やがて神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦を見慣れた彼でさえ、絶句し、その雄々しさに見とれてしまうほど美しく、力強い艦が近づいてくる。
「グラ・バルカス帝国到着、戦艦1隻のみ」
「おお!!」
それを見た者すべてが感嘆する。
グラ・バルカス帝国の誇る、最大最強の戦艦。
全長263.4m
全幅38.9m
満載排水量72800t
出力 150000馬力
港町カルトアルパスの住人は、その雄々しい姿に圧倒される。
「なんてでかい砲を積んでやがるんだ!!!」
45口径46cm3連装砲を3基、前世界最大の砲は、誇らしげに水平線を向く。
グラ・バルカス帝国超弩級戦艦グレードアトラスターは、神聖ミリシアル帝国港町カルトアルパスに入港した。
グラ・バルカス帝国の戦艦は、あまりにも大きく、強烈であり、近くに見える第1文明圏、トルキア王国の戦列艦や、アガルタ法国の魔法船団がおもちゃに見える。
港湾管理者ブロンズは、唖然としてその威容を見つめていた。
「……長!!ブロンズ所長!!!」
第8帝国の戦艦に見とれていたブロンズは、部下からの問いかけで我に返る。
「ああ、何だ?」
「に・・・日本国が到着しました! せっ戦艦1! 民間船1計の2隻です!」
ブロンズは、双眼鏡を手に取ろうとしてその場に落としてしまった。
まだ地平線に見えているだけのはずなのに、双眼鏡など不要なほどはっきりみえる異様な巨体。
驚嘆や驚愕を超え、一種の畏怖を覚えるほどの姿、寄せる波から逃れるために港の人々は逃げ始めた。
日本外人部隊 海洋艦隊 旗艦 日高見(ひたかみ)
全長:約395m
最大幅:59m
満載排水量:125000t
出力 255000馬力
大和よりも古の名称であり大祓詞の言葉から取られた。
他国への威圧効果による戦争回避を意図し、超大和級を参考に現在の技術の粋を集め、限界まで大艦巨砲を極めた。
50口径56cm3連装砲 2基は見るものに恐怖を与える。
余りにも巨大な存在に先ほど入港してきたグラ・バルカス帝国の船が、人々の頭の中から消え去ってしまった。
その凄まじい巨体に低速でありながら周囲に大きな波を巻き起こし、先に到着していた各国の船が大きく揺れ、港にまで水が上がってきている。
「本当に……あれは船なのか……」
余りの巨体に港に入ることが出来ず、少し離れた沖合いに停泊することとなった。