日本外人部隊   作:揚物

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神聖ミリシアル帝国 西の群島

 神聖ミリシアル帝国、第零式魔導艦隊は、群島で訓練を行っていた。

 島が所々にあり、視界は悪い。

 魔導戦艦3、重巡洋装甲艦2、魔砲船3、随伴艦8、計16隻のこの世界に敵なしと言われた大艦隊は実戦さながらの訓練を繰り返し、練度の維持に努める。

 

 その艦隊に向け、日本外人部隊 海洋第一艦隊は向かっていた。目的は共闘しグラ・バルカス艦隊を沈め、可能ならば鹵獲することにある。

 

「どうやら先にたどり着けたようだ」

 

 臨時旗艦長門の艦長である五代は、一息つく。

 哨戒機からの情報ではまだ一時間ほどの余裕があり、こちらにもまだ気付いてはいない。

 

「魔信の準備は?」

 

 態々魔法文明との通信を円滑にするため、追加されているものだ。

 

「出来ています」

 

「こちら日本国外人部隊海洋第一艦隊 臨時旗艦長門。 神聖ミリシアル帝国 第零式魔導艦隊 応答を求む」

 

「こちら第零式魔導艦隊 旗艦 エクス。 何用だ」

 

「グラ・バルカス帝国は先日世界中に対して宣戦布告しており、その艦隊が接近している事がわかりましたので支援に来ました」

 

「我らは神聖ミリシアル帝国の栄えある第零式魔導艦隊である。 情報だけで結構だ」

 

「そちらの言い分はもっともです。 ですが我々も上からの命令に従わなければ成りません。 形だけでも支援と言う形で艦隊の隅に加わる事をお許し願いたい」

 

 一旦切れた通信の先で何かが話し合われ、2分ほどで再び通信に声が響いた。

 

「仕方あるまい。 艦隊最後尾に着くように。 だが我々の邪魔してもらっては困る。 勝手な行動はしないように」

 

「ご理解に感謝いたします」

 

 10分程して艦隊司令アルテマは、見えてきたミスリル級に匹敵する大きな艦に驚きながらも、戦闘態勢に移行した。

 

 

イージス搭載型戦艦長門

排水量:39000t

全長:225m

最大幅:36m

速力:28kt

兵装

45口径41cm連装砲2基

45口径41cm3連装砲2基

CIWS 2B 2基

シーRAM 7基

艦対艦誘導弾 6連装 2基

Mk.41 mod.20 VLS (64+32セル)

324mm3連装短魚雷発射管 1基

 

 戦後から行われた度重なる近代化大改修によって細部まで手を加えられ、長門と榛名は艦橋及び砲塔以外大戦時の面影は残っていない。砲塔でさえ最新技術によって改修され命中精度と射程の向上、自動装填装置の追加、砲身の延長等細部に至るまで手が加えられている。

 その他2隻の新鋭イージス艦が艦隊として随伴していた。

 

 

 

 

 

 臨時旗艦長門は艦隊最後尾に付きながら、レーダーによって状況を静観している。

 

「まずは航空攻撃を行うようです」

 

 遠めにみていると、勇敢に接近しているようだが、近接信管を知らないのか次々と撃墜されていく。

 なんとか辿りついた一機の降下爆弾が当たったようだが、その爆発も小さく効果があるように見えない。半数近くが撃墜されたところでそのまま航空機は撤退していく。

 どうやらあれで航空攻撃は終わりのようだ。

 

「敵艦 砲撃確認。 標的はミリシアル戦艦」

 

「ミリシアル艦から攻撃開始命令がきています。 砲撃戦を開始するようです」

 

「攻撃対象及び陣形は?」

 

「いえ、そこまで指示はありません」

 

 艦隊戦だというのに連携を取るための指示がない。これでは砲撃をするにも無駄が生じてしまう。

 

「敵の陣形は?」

 

「単縦陣です」

 

 ミリシアルの艦艇とグラ・バルカスの艦艇が砲撃戦を始めたようだが、グラ・バルカス帝国は小型艦を艦隊の先頭にしている。

 ミリシアルの艦隊は小型艦に構う事無く戦艦や重巡洋艦を集中して狙い、散発的な攻撃しか行われていない。

 

「5隻の小型艦艇を前に出してきています。 もしやあれは?」

 

「旧日本海軍基準だとしたら……水雷戦隊だ! 駆逐艦に砲照準を合わせ!! 魚雷を撃たせるとミリシアルの艦隊が危険だ!!!」

 

 臨時旗艦長門の45口径41cm連装砲と45口径41cm3連装砲が旋回を始める。

 

「駆逐艦5隻への各砲照準よし!」

 

「交互撃ち方始め!」

 

 合計10門の砲から轟音と共に砲弾が撃ち出される。

 こちらに砲撃に気付いたのか、敵駆逐艦は回避行動を開始。

 一分近く時間が経ったあと3個の大きな水柱が上がり、赤い炎と爆発音が鳴り響く。

 

「駆逐艦3隻の轟沈を確認。 2隻は外れました」

 

 FCSによる完全制御された砲撃、それでもやはり距離が離れれば命中率60~80%が関の山だ。しかし数%が限界の手動照準、それに比べれば神懸かった命中率だ。

 

「やはり砲撃戦では命中精度に限界がある。 艦対艦誘導弾を使いたい所だが、技術的アドバンテージを知られるわけにもな」

 

 グラ・バルカス帝国の潜水艦が隠れている可能性もある。一隻でも鹵獲できれば技術的にどの程度が分かり動きやすくなるのだが、今はまだ最大限の警戒をする必要がある。

 

「次弾装填が完了次第、敵駆逐艦への攻撃を継続」

 

 

 

 そのころ、大きく回りこみ、グラ・バルカス帝国の側面を突くようにイージス戦艦榛名と航空母艦かがを含む4隻が攻撃を開始しようとしていた。

 

 イージス戦艦榛名 CIC

 

「そろそろグラ・バルカス帝国のレーダー範囲に近い。 攻撃準備を」

 

イージス搭載型戦艦榛名

排水量:27000t

全長:225m

最大幅:32m

速力:32kt

兵装

45口径35.6 cm連装砲4基

CIWS 2B 12基

シーRAM 4基

艦対艦誘導弾 6連装 2基

Mk.41 mod.20 VLS (64+32セル)

324mm3連装短魚雷発射管 1基

 

「艦対艦誘導弾 一隻は空母甲板に設定。 残りは全て撃沈して構わない」

 

「哨戒中の敵機に対して設定よし!」

 

 振り分けが行われ、榛名を含む3隻から艦対艦誘導弾が撃ちだされた。

 

 レーダーに映らぬよう低空を飛翔し、一隻のみ高度を上げ飛行甲板に、残り二隻は喫水線に当たり、発艦前だったため甲板に駐機されていたアンタレスを巻き込みながら沈んでいく。

 哨戒に当たっていた1編隊のアンタレス以外無事なものは居ない。しかしアンタレスも逃れる事はできない。次いで発射された艦対空誘導弾により一機たりとも残ることはなかった。

 

「旗艦に連絡 対象を無力化した。 これより通信妨害と鹵獲に入る」

 

 

 

 オリオン級戦艦 ベテルギウス艦橋

 

 通信兵が慌てた様子で席から立ち上がる。

 

「空母打撃艦隊より緊急入電!」

 

「どうした?」

 

「正体不明の攻撃を受け一隻を残し轟沈! 残る一隻も飛行甲板を損傷し艦載機発着艦不可能!!」

 

「なっ、なんだと!?」

 

 艦隊司令アルカイドは想定外の事態に青ざめていた。

 元より前時代的な艦隊戦を行って敵の力を試し、それが済めば航空攻撃によって終わらせる予定であった。

 空母打撃群が壊滅したという事は、その策が完全に断たれた事を意味している。近くに潜水艦隊も居らず支援を求める事もできない。

 

「転進だ! 撤退せよ!!」

 

 

 

 イージス戦艦長門 CIC

 

「榛名より入電。 攻撃成功とのことです」

 

「よし、艦を前に出す」

 

 情報を送られないようこれから迅速な行動が必要となる。

 むろん誘導弾を使うことはできないが、ミリシアル帝国を立てるのはここまで。

 

「重巡洋艦及び巡洋艦に照準合わせ。 戦艦さえ残せばいい」

 

 転進し撤退しようとしているグラ・バルカス帝国の艦隊に追撃を行う。

 いままでミリシアル帝国の顔を立てるために最低限の砲撃しかしていなかったが、炸薬と砲身の改良と延長により、最大射程40kmとなったFCS制御の砲撃から逃れるのは難しい。

 

 小破とはいえ損傷を負い、追撃できる余力のないミリシアルの艦艇を追い抜き、艦隊の最前列にでる。

 

「交互撃ち方 はじめ!」

 

 45口径41cm連装砲と45口径41cm3連装砲、合計10門の砲撃が開始される。

 

 

 

 ほぼ必中とも言える砲撃によって、次々と上がる沈没報告に艦隊司令アルカイドは青ざめていく。

 

「今まで手を抜いていたのか!?」

 

「残るは旗艦ベテルギウスと重巡洋艦だけです!」

 

「日本軍から通信が入っています <無条件降伏を勧告する。 さもなければこのまま攻撃を続行する> 以上です……」

 

 もはや残っているのは旗艦と重巡洋艦二隻のみ、空母は飛行甲板が破壊され発艦は出来ず、潜水艦隊も近くには居ない。

 逃げ切る前にあの戦艦の砲撃によって沈んでしまうだろう。

 

「……わかった。 無条件降伏を受け入れる と返信しろ」

 

 艦隊司令アルカイドは、急ぎ機密資料を廃棄していくが、その様なものは日本外人部隊は求めていなかった。

 艦の情報そして、兵士から得られる情報それだけで充分であった。

 

 

 

「魔信で神聖ミリシアル帝国の艦艇に連絡。 敵は降伏した」

 

 損害なしに戦いを終えたことに大きく息を吐く。

 

「沖田大佐に連絡を。 任務完了、 大魚を3匹釣上げた と」

 

 艦内もいまだ緊張感を持って任務に当たっているが、それでも砲撃戦中ほどではない、適度な緊張を持っていた。

 

「艦長、ミリシアルの艦艇の損傷が酷い状況です。 人命救助をすべきではないでしょうか」

 

 外人部隊所属の者は、元は皆自衛官であり、外国で命を奪う戦いをしたとしていても、人命を大切にする考えは根付いていた。

 

「鹵獲作業は長門と天竜で行う。 浜風は救助活動の準備を。 ミリシアルの許可を取る。 魔信を繋げてくれ」

 

 呼吸を整え意識を落ち着かせる。

 

「こちら日本外人部隊 海洋艦隊 旗艦長門。 ミリシアル艦艇 救助活動を行う許可を頂きたい」

 

「不要だ」

 

 通信の背後からは、微かながら救助に関わる会話が行われている声が聞こえている。

 

「命を惜しめ」

 

「なんだと?」

 

「兵士も軍艦も国家の重要な財産。 誇りのせいで失うような愚行を犯すことはない。 再度尋ねるが怪我人の救助に関する協力は必要か?」

 

「……わかった。 協力を求む」

 

 損害は甚大なれど、第零式魔導艦隊は日本外人部隊海洋艦隊と共に、戦艦・重巡洋艦・空母の鹵獲に成功した。




あっさり塩味で終わりますが、グレードアトラスター戦はもうちょっとお待ちを。
更新ペースあげるのきついきつい。

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
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