日本外人部隊 作:揚物
「兵器の輸出ですか。 日本として輸出する理由が必要性を感じません」
未熟な国に力を与えても、暴走するだけで良いことはない。今はまだクワ・トイネ国及びクイラ国には100年計画で基礎学問や平和を遵守する交流を主に行っている段階に過ぎない。
クワ・トイネの大使は諦めず、国の為に出来うる限り説得を続ける。
「ロウリア王国と戦いになれば、食糧の輸出やクイラからの資源輸出にも影響が出る可能性があります。 旧式と呼ばれる武器でも構いませんので、輸出をして頂けるよう再び掛け合っていただけないでしょうか」
「上に話は通しておきます。 ですが、我々の技術をそちらが使えるとは思いません。 500年以上格差がありますので、教えるだけでも一苦労でしょう」
緊急会議が行われ、諜報部からロウリア王国の動きが慌しくなっているとし、一部のみ限定し技術の公開が行われる事となった。
日本 首相官邸
「では、技術移転に着きまして進行状況をお伝えいたします」
1.銃においてフリントロック式マスケット銃の鉄製部品をクイラにおいて生産。基礎的な鋳造技術を移転し、他の部品及び火薬の調合をクワ・トイネ国にて行う方針となる。
2.船についてクワ・トイネが一隻目のガレオン船の製造に取り掛かっている。
3.今後鉄や鋳造にかかわるものについてはクイラで、木造加工や精密調合が必要なものはクワ・トイネにおいて分担して製造していく。
「以上となります。 ですが今回のロウリア王国の侵攻には間に合わないと思われます。 よって外人部隊の派遣を求めます」
諜報部や外交部の面々が続いて発言を続ける。
「クワ・トイネ公国からの情報により、第一列強及び第二列強への国交樹立にも、軍事力を見せたほうが良いとの事です。 砲艦外交のようですが、この世界の慣わしなら武力を見せるべきかと。 またパーパルディア皇国内においてムー国及びミリシアル帝国の大使館があり、現在会談に向け話が進んでおります」
「各方面への派遣が増える可能性が高いが、12式及び16式の数が限られている。 陸自からいくらか回すか追加生産を考えるべきか」
「対標的に購入してあったフォルクスパンターの方がまだ安い。 ライセンス国家がない今、ドイツ大使館に許可要請しそちらを生産したほうがいいだろう」
「戦力増強についてはのちほど。 では次に議題にうつります」
「各地への諜報についてですが、ロウリア王国はすでに潜入しております。 列強についてはいまだ成功しておりません」
「諜報部に予算と人員を一時優先してください しかし敵対行動はとってはなりませんよ」
「承りました」
「では、次の議題と成ります。 防衛庁から提案があります」
「外人部隊としてはイージス戦艦の新造を打診する」
「あれだけの艦数を維持するだけでも膨大な予算が掛かるのにか!?」
財務省官僚がおどろきの声をあげる。日本外人部隊は諸外国で活動するために、規模が劣るものの自衛隊よりも多くの兵器や予算が回されている。
「次世代戦車の件もあり、陸上自衛隊としては承諾しかねる」
「航空自衛隊としてもF-2の近代化改修中であり予算配分に偏りがあっては困る」
「この星の科学力は分かっている限り、誘導弾を搭載した船など理解できない。 大和のような艦こそ抑止力となりえる」
「しかし 予算と言うものがですね」
「クイラから鋼材は大量にかつ格安で得られている。 輸送業界はともかく造船業界も現在不振に喘いでいる。 一度再編するだけの体力をつけてやらないと、のきなみ倒産してしまうだろう」
事実、転移してから外需に頼っていた産業はのきなみ体力を失い、このままでは倒産と同時に技術消失してしまう。ある程度は政策として合併や保護など対処しているが、一件が大口となる大型船舶は非常に厳しい状態。自衛艦艇のメンテナンスなどで繋いでいるが、それにも限度がある。
「一隻のみ許可いたします。 ただし業界には再編を条件とする事を伝えるように」
「承りました」
「以上で本日議題は終了いたします。 各省庁国家の為、国民の為に尽力するように」
首脳陣は、前世界とは異なる情勢に頭を悩ませ、各官僚達は様々な情報を統合し、今後の国の舵取りに奔走していく。
そんな中、ロウリア軍のギムへの出兵が伝えられ、外人部隊の派遣が決定された。目的は支援ではなく、敵の殲滅である。
米軍から外人部隊に10機供与され、改良され続けていたB52-J ストラトフォートレス爆撃機、ロウリア軍を地上から消滅させるため、100発以上の無誘導爆弾が運び込まれていた。