日本外人部隊 作:揚物
ムー国海軍旗艦 ラ・カサミ級戦艦 ラ・エルド
「報告します。偵察に向かっていた第2空が我が方へ向かってくる敵1機を発見!距離108km、まっすぐこちらに向かって来ます!!」
艦橋に緊張が走る。
空母のうちの1隻から、マリン型艦上戦闘機が発艦していく……透き通るような青い空に向かい、彼らは離陸を開始した。
ムー機動部隊第2艦隊所属 メルティマ マリン航空隊
機動部隊から飛び立って十数分、敵との相対速度を考慮すると、そろそろ敵が見えて来るはずだった。
メルティマ航空隊10機は編隊を組んで飛行する。
「それにしても未だに信じられないな……。」
魔法文明がほとんどのこの世界において、唯一と言って良いほどの高度機械文明国ムー。
初めて「マリン」型艦上戦闘機を操った時は、何と恐ろしい兵器を祖国は作り出してしまったのかと驚いたものだった。
しかし、日本国の技術支援を受けて改修を受けたマリンプラスは、すべてにおいてマリンを上回り、機種転換訓練を受けた時衝撃を受けた。
ムーを上回る技術を持つ国があり、そしてこの機体を遥かに上回る新鋭機が生産中であるという。
そして敵国の航空機は最高速度550km、マリンプラス以上であり、新鋭機には劣るそうだ。
『機影確認! 12時の方向、低空!』目の良い隊員が報告をしてくる。
離陸後の数分は、上昇し続けてきたため、どうやら上を取れたようだ。敵機との距離は徐々に近づく。
「敵はこちらに気付いていないのか?」
等速直線運動を続ける敵、こちらの機体性能はカルトアルパルスで知られている。
敵航空機との距離はさらに近づいた。
メルティマ航空隊10機は反転、急降下を開始した。
マリンプラスは急降下を行う。
最高速度は時速453kmであるが、重力加速度という高度を味方につけ、さらに速度を上げる。早すぎる速度に機体はガタガタと震え、風切り音は室内に轟音となって鳴り響いた。
「え!?」
微かな気付き、想定と現実の差……。
こちらは重力をも味方につけ、速度を上げているというのに、敵はすでに真下を通過し、ドンドンと遠ざかる。
「し……しまった!!!」
速度差を感知した時は、時すでに遅く、彼の小隊は敵機に突き放されていく。
「くっ!!」
にじみ出る悔しさ、明らかな自分のミス……。
信じられないが信じざるを得ない機体性能の差……彼は怒りをもって無線で艦隊に報告した。
◆◆◆
世界連合艦隊上空に、グラ・バルカス帝国の航空機が現れた。
迎撃に出たメルティマ小隊は引き離されたようだ。
数分後には艦隊直掩部隊に追い回された挙句、敵機は火達磨となって海上に落下していった。
上空を見上げていても分かるほどマリンプラスの異常な旋回性能、速度こそ劣っているようだが捻りこむような急激な旋回によって背後を取っていた。
極端な軽量化による弊害ももちろんあるが、マリンプラスは極めて軽量な為に加速性も旋回性も良好であり、“曲る”と表現したほうが正しいような航空機動が可能であった。
「全てのマリンプラスを直掩に上げろ。 敵航空隊が来るぞ」
数さえあれば優勢は取れるようだが、それもどこまで通用するのか。
今から訪れるであろう敵機の大軍を想像し、レイダーは気を引き締めるのだった。
世界連合西方海域 上空~
グラ・バルカス帝国航空隊の本格侵攻部隊と遭遇し、メルティママリン航空隊は交戦。
敵機を3機を撃墜したが、気付けば部下はすべて撃墜され、自分だけとなっていた。
「くそ! 旋回性能以外では勝てんか!!」
ムー機動部隊第2艦隊所属、メルティママリン航空隊10機は、世界連合艦隊西方約130km付近空域において、グラ・バルカス帝国東方艦隊空母機動部隊より飛び立った第一次攻撃隊約108機と会敵、空戦に至り全滅した。