日本外人部隊 作:揚物
その日の夕刻、ブルーアイは目を疑っていた。
その船は、彼の常識からすれば、とてつもなく大きかった。日本との接触の際に、第一海軍が、200mクラスの船を臨検したという話を聞いていたが、自分たちの仕事の成果を誇張するために、嘘をついていると思っていた。
しかし、今彼が見ている船たちは、遠くの沖合いに停泊しているにも関わらず、とてつもなく大きく、そして帆が付いていない。
小さな船が向ってくる。恐ろしい速度に恐怖をさえ感じる。船に乗り込み、母船が見えてくるがその大きさに驚愕する。
彼はやがて艦長と出会う。
「戦艦榛名の艦長の山本です」
「クワトイネ公国第二海軍観戦武官のブルーアイです。このたびは、援軍感謝いたします」
「我々は、敵船の位置をすでに把握しており、ここより西側500kmの位置に彼らはおります。船足は、5ノット程度と非常に遅くはありますが、こちらに向かってきております。我々は明朝出航、敵船団に警告を発し、従わなければすべて排除する予定ですので、明日までは、ゆっくりとされてください。」
ブルーアイは驚く。彼らは、自分たちだけで、クワトイネ海軍の協力を得ずに、4400隻の大艦隊に挑むつもりなのだ。
確かに艦は大きく、多数の砲も積まれている。しかし、たったの8隻で、4400隻に挑んでいくのは、やはり自殺行為と思われた。
戦後、GHQは日本が隣国に攻撃を受け、北九州で大虐殺が行われた事から自衛をさせるため、長門と榛名を含め、空母を除いて一個艦隊艦艇の所有を許した。厳重な監視を受けてもなお、長門と榛名は日本の心のよりどころであり、今もなお大規模な改修を受けながら日本外人部隊によって運用され続けていた。
翌日早朝―――――――――――
艦隊は約20ノットで西へ向かう。やがて、水平線の向こう側に、ロウリア王国軍が、姿を現した。
ロウリア王国東方討伐海軍 海将 シャークン
「いい景色だ。美しい」
大海原を美しい帆船が風をいっぱいに受け、進む。その数4400隻、大量の水夫と、揚陸軍を乗せ、彼らはクワトイネ公国経済都市、マイハークに向かっていた。
見渡す限り船ばかりである。
海が見えない。そう表現したほうが正しいのかもしれない。
6年をかけた準備期間、パーパルディア皇国からの軍事援助を経て、ようやく完成した大艦隊。これだけの大艦隊を防ぐ手立ては、ロデニウス大陸には無い。
彼は東の海を見据えた・・・・ん?
何かがこちらに飛んでくる。
まさか、飛龍か?・・・いや、違う。何だ!あれは!?
虫のような形をした無機質な物体が、1つ、こちらに飛んでくる。
見たことの無い物体が、飛んでくる様は、異様な光景であり、わずかに恐怖の心が芽生える。
「こちらは日本外人部隊。直ちに引き返しなさい。さもなければ殲滅する。繰り返すーーー」
飛行物体の中には、人が乗って話している。
やがて、「それ」に向かって、弓矢が射られる。「それ」は、しばらく上空で旋回し、東の空へ立ち去っていった。
しばらくすると、海の向こうに1つ小島が見えてきた。
それが艦だと分かった次の瞬間、轟音と共に破壊が吐き出された。
最前方を走る帆船数隻が爆発に巻き込まれ沈んでいく。爆散した木や、船の部品、人間だった物があたりに撒き散らされ、密集隊形にあった味方の船上に、人間のパーツと共に降り注ぐ。
「なんだ! 何が起こった!?」
経験したことの無い威力に、それを見ていた船団全員が驚愕する。
「まずい!!・・・しかし、まだここが、ワイバーンの届く距離でよかった。通信士!!ワイバーン部隊に上空支援を要請しろ!!敵主力船団と交戦中とな」