日本外人部隊 作:揚物
ムー国陸軍 西部方面隊主力 キールセキ陸軍駐屯地 司令室
「ホクゴウ司令、まもなく第1陣が、駐屯地駅に到着いたします」
「うむ、ご苦労……さてと……客人を出迎えるとするか」
グラ・バルカス帝国がアルーの街西側に展開をはじめている。街の住民はまだ少数しか避難を完了しておらず、その大部分が街に残っていた。
一番の理由は車両不足であり、全人口の半分程度が残されていた。
キールセキ ムー国陸軍駐屯地駅
けたたましく列車の汽笛が鳴り、駅では到着を知らせるベルが鳴り響く。
「政府や海軍は、日本国の技術を高く買っているようですが、陸軍は数と戦略がものを言う事が多い。
今回の先遣隊400の派兵は、どう考えてもムーを救うには少なすぎます」
「……そうだな……援軍は助かるが。 まあ、ここに到着する者たちだけではなく、最新鋭機の航空支援も付くらしい」
ゆっくりと駅に入線してくる貨物列車、その荷台を見たホクゴウ司令は固まる
見たことの無い兵器、圧倒的な存在感がそこにあった。
野次馬に来ていた兵たちも、ざわつきはじめ、各々が話し始める。
12式装甲歩行戦闘車、そしてムー国の戦車よりも巨大な装甲ブルドーザーが輸送されてくる。
ゆっくりと貨物列車がホームに到着し、連結されている客車から、軍人が降りる。
存在感を放つ兵器に、圧倒されたホクゴウ司令だった、気を取り直し、最初に降りてきた軍人に近づき、声をかける。
「よくぞおいでくださった、私は基地司令のホクゴウといいます。我がムー国陸軍は、歓迎いたします」
彼は手を出す。
「お出迎えありがとうございます。私は、第三文明圏外人部隊総隊長のイーネと申します。よろしくお願いします」
しっかりと握手をかわす。
「我々は日本国より軍事教練及び兵器供給を受けており、日本外人部隊が到着するまでムー国民を守るよう命令されております。 微力ながら尽力いたします」
基地に案内され、現状の説明をホクゴウ司令官から受けたが、イーネは急ぎ反論を述べる。
「車両がないなら徒歩でも退避させるべきです!」
「しかし……ムー国として強制することなど出来ん。 何よりも国家の方針として先制はせず、防衛を行うとして」
「もちろん先制を取らない事が大事ですが今は人命が最優先でしょう! 時間を稼ぐ事はできても、完全に防ぎきる事はできません!!」
地図を見る限り平原の中に防壁も何もない都市アルー。このような所では幾ら防衛ラインを敷いた所でどうしようもない。
それなのに暢気に車両を待って避難するなど自殺行為。着のみ着のままでも急ぎ避難させるのが当然であった。
イーネは日本外人部隊とも連絡をとり、ホクゴウ司令官を説得、車両を待たずして徒歩での避難を始めさせた。
一部は第三外人部隊の輸送用トラックの荷台を開けさせ、空洞山脈までピストン輸送する。その後は徒歩とピストン輸送の完了した車両に便乗して避難させる方針となった。
しかし必死の説得にも避難を始めようとせず、ムーならば問題ないと言う住民などは手の施しようがなかった。
空洞山脈をムー国側に抜けた先には5kmの地点に30台の装甲ブルドーザー、そして200名の人員によって戦車陣地の設営が行われている。ここならばムーの航空支援も期待でき、戦線をある程度は支えられると考えられた。