日本外人部隊   作:カキフライW

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一騎駆け

「はいやっっ!!」

 

 イーネは12式装甲歩行戦闘車に搭乗しても、馬として乗りこなす癖があり、気勢として声をあげる。

 防衛陣地を飛び出し、グラ・バルカス帝国と味方の双方の砲弾が飛び交う中に突入、アフターバーナーを使用し150kmの速度でグラ・バルカス帝国の車列に向っていく。

 

 

 

「なっ、なんだあれは!?」

 

 12式装甲歩行戦闘車を見たことも、そんな概念さえ考えた事もないグラ・バルカス帝国の兵にとって、異形の物体が迫ってくるようにしか見えなかった。

 

「なんだろうと構わん! 撃てぇ!」

 

 一中隊の戦車の砲塔が旋回し、12式装甲歩行戦闘車に向けられ主砲が咆哮をあげた。

 

 

 

 発砲煙を確認したイーネは反射的に操縦桿を倒し、強烈なGを感じながら機体の進行方向を70度捻じ曲げる。20発以上の砲弾が機体をかすめながら低反動105mm滑腔砲の照準を合わせトリガーを引いた。

 発砲の衝撃がGに加わり吐き戻しそうな感覚に耐え、トリガーを引き続けることでグラ・バルカス帝国の戦車は次々と被弾し爆発していく。

 コックピットに警報が鳴り響き、レーダーに意識を向けると新たに現れたグラ・バルカスの航空機が映し出されている。その数は10機。

 すでに疾風部隊は燃料補給の為に一時帰還し、マリンプラス部隊のみの爆撃が行われているため制空権を奪われかねない。

 降下してくるアンタレスは眼前の地面を撃ち抜きそのまま機銃弾が12式に襲い掛かる。

 しかし正面装甲は35mmクラス、その他の部分でも20mmクラスの機関砲に耐えられる防御力をもつ12式装甲歩行戦闘車である。アンタレスの7.7mm機銃および20mm機関砲程度では装甲を貫くことは出来ない。

 イーネは恐怖に耐えながら機体を横滑りさせ急停止、シートに固定されているベルトがイーネの体に食い込み痛みが走る。

 

「飛べ!」

 

 気合と共にペダルを踏み込み、背部のガスタービンエンジン2基と脚部アクチュエーターが咆哮を上げ、機体が空中に舞いあがる。

 12式の最高飛行速度はおよそ270km、アンタレスの最高速度550kmには劣るが、FCSは正確に追尾し照準を合わせる。

 3連射、一発目は空を切り、二発は僅差で外れ、三発目が直撃しアンタレスはばらばらになりながら地面に落下していく。

 機体後部のウィングを広げ、滑空状態に切り替わり左腕の12.7mm重機銃を連射、12式の正面に向いながら機銃を放つアンタレスに撃ち込み、機銃の餌食になったアンタレスは火達磨になりながら落下していった。そして照準を地面に向け、車両を撃ち抜きながら着地。

 着地の衝撃を殺すために一時的に動きが止まり、歩兵のもつ小銃の弾丸が装甲を叩く。

 左腕の機銃を銃撃してきた歩兵に向け広く掃射した直後、一発の砲弾が前面装甲に直撃し衝撃によって機体がよろける。

 

 

 

「やったぞ! 倒れろ化け物め!」

 

 グラ・バルカス帝国の戦車兵は喜びの声をあげるが、それはすぐに絶望に変わった。

 機体はすぐに体勢を整え直し、低反動105mm滑腔砲から撃ち出された砲弾によって戦車が吹き飛んだ。

 正面が30mmクラスの機関砲に耐えられる程度といっても、それだけではない。12式装甲歩行戦闘車がサイズの割りに軽量なのは、複合装甲かつ全面的にスペースドアーマーが施されているからだ。

 砲弾の直撃により僅かに歪みはしていたが、貫通せずに弾いていた。

 

 

 

「おぉぉぉぉぉ~~~っ!!!!!」

 

 襲い掛かってくる銃弾の恐怖を押し殺す気勢を上げ、己を鼓舞しながらイーネはグラ・バルカス帝国軍の中央に向かって操縦桿を向けペダルを踏み込んだ。

 防衛陣地に向けた攻撃が減るようかく乱するため、グラ・バルカス帝国の車列中央に突入、周囲から砲撃や銃撃を受けながら低反動105mm滑腔砲を連射、弾薬が切れると至近距離まで接近しながら12.7mm重機銃を掃射することで戦車の上面装甲を狙い、装甲車を破壊するなど必死に戦い、気が付いた時にはグラ・バルカス帝国の陸戦部隊の大部分をイーネ単独で撃破、2時間にもわたる攻防はムー国側の勝利で終結した。

 

 記録ログにはイーネ単機によって

航空機 2機

戦車 86両

車両 32両

敵歩兵 300名以上

の戦果が確認された。

 

 

損害はムー国

3式中戦車 2台大破

疾風M1 2機 撃墜

疾風M2 5機 撃墜

マリンプラス 13機 撃墜

死傷者少数

第三外人部隊

12式装甲歩行戦闘車 小破

装甲ブルドーザー3両 小破

        5両 中破

        1両 大破

死傷者少数

 

 厳重に建設された防衛陣地によって激しい戦闘ながら兵士の被害は軽微であった。

 後日、イーネはこの日の功績によって、ムー国から黄金突撃勲章と救国銀十字勲章の授与が行われた。

 






書き込み度 100%
精神消耗度 99%
執筆能力不足 120%

満足度 63%

燃え尽きました。。。
それではまたいずれ
(,,゚Д゚)ノシ

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