日本外人部隊 作:揚物
ダイダル平原基地
グラ・カバルも日本の迎賓館において、丁重にもてなされていたが、自国の下した宣言に目眩を覚えていた。敵国とはいえ、皇族として外交都市として建設されたダイダル平原基地を案内され、技術力の差や兵の練度の違いに圧倒され、そしてグレードアトラスターを越える巨大な戦艦を目の当たりにした。
地球の歴史、植民地支配の失敗、食糧危機、三度に渡る世界戦争、ユグドの方が遥かに平和な世界であり、日本が過酷な世界を生き残ってきた事を理解し、とんでもない国に対して戦争を挑んでしまったと悩む。
なんとかしなければならぬと考えても、自分が現在捕虜の身であり、何一つ対処する事が出来ない苦悩によって眉間に深い皺が刻まれていった。
「外交交渉ですか」
「それを行いたい。 我が国を思い、何かしたいのだ」
カバルは自らの担当官に話を通し、外人部隊から外交官が直接話を行うこととなった。
「そのお気持ちは察し致しますが、こちらをお聞きください」
外交記録されていた音声を流すと、カバルは額に手を当て目を強く瞑った。ここまで愚かだとはさすがに考えても居なかったようだ。
「カバル殿下に残されている可能性は、戦後処理のみとなります。 そして」
ついで流された声は、丁寧に処理が施され、イシュタムやグラ・バルカス兵が吐いた戦時犯罪の証言であった。
「内部の汚濁を排除する事です。 これでは軍人ではなく犯罪組織とかわりません」
カバルは椅子にもたれかかり、自らが誇りを持っていた兵士の蛮行に疲れ果ててしまった。
栄誉と誇り、その上に成り立っていた自信が、信頼していた軍によって腐れ落ちていたのだ。衝撃を受けないほうが難しい。
「恐らく、軍事産業や政治にも同じような腐敗、そして癒着が広がっていることでしょう。 講和をしたところで、貴国は我が国の降伏以外認めません。 何よりも連合はグラ・バルカス帝国を許さないでしょう」
現在もムー国やミリシアル帝国の商業船に攻撃をしているグラ・バルカス帝国に対して、憎しみが広がっている。連合に属する日本としても一存で講和を認めることなどできるはずもない。
神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス アルビオン城
中央世界、神聖ミリシアル帝国の帝城とも言えるアルビオン城において、帝前会議が行われていた。
皇帝ミリシアル8世を頂点として、楕円形の席がもうけられ、外務大臣ペクラス、帝国情報局長アルネウス、そして対魔帝対策省長官ハルコン、軍務大臣シュミールパオ、国防長長官アグラ他、蒼々たる軍幹部が並ぶ。
同会議室において、グラ・バルカス帝国と第二文明圏連合軍の戦果、そしてグラ・バルカス帝国の動きが報告されていた。
概要資料に目を通し、各人は沈黙する。
・ 第2文明圏+日本国の連合軍により、グラ・バルカス帝国の侵攻作戦の失敗
・ 敵の機械化師団を壊滅
・ 帝国の最前線基地バルクルスの壊滅と制圧に成功
・ 敵皇太子グラ・カバルを捕縛
とんでもない大戦果だ。
第2文明圏が総力を結集した作戦であり、さらに神聖ミリシアル帝国にとっても喜ばしい事であるはずだが、自分たち以外の者が為し得た大戦果に、なんとも言えない悔しさがある。
「情報局は、さらなる情報をつかんでいます」
右上に赤い印が着けられた紙がこの場で配られる。
事前の根回しを行えないほどの極秘中の極秘情報を記載する場合のみに使われる紙。
魔法による複写は出来ず、魔写にも写らない。時間経過と共に消えるインクが使われていた。
「グラ・バルカス帝国は日本国に皇太子の引き渡しを要求しましたが、日本国政府はこれを拒否いたしました。
帝国は懲罰を行うと称し、大規模艦隊で日本国のいずれかの都市を狙うとの情報を、レイフォルに潜入中の調査員が入手いたしました。
なお、皇太子が捕らわれるという異例の事態のため、本件派遣艦隊の規模は世界連合時に衝突したときの敵艦隊総量を陵駕するとの事です」
衝撃に沈黙が流れる。
敵はあれ以上の戦力を本国に隠し持っているのだ。
「一方で、日本国もまた主力艦隊を投入し敵艦隊を殲滅、本土爆撃を行うそうです。 その為我が国にも第零式魔導艦隊の派遣を求めています」
場がざわつく。
ミリシアル8世が手をあげると、すぐに静まりかえった。
「日本国の反抗作戦、我が国としても何もしない訳にはいかぬ。 第零式魔導艦隊を派遣する」
皇帝陛下の言は重く、皆平伏する。
コミケに軍事情報仕入れにいきますので、年末年始連話投稿いけるよね♪
ってのりは勘弁してね。
ではまた
(*゚∀゚)ノシ