日本外人部隊   作:揚物

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対グラ・バルカス艦隊 弐

 

 夜の闇に紛れ、F-2及びF-35Aの編隊による航空隊がグラ・バルカス帝国艦隊に向っていく。

 

「航空隊、攻撃を開始します」

 

 日高見のCICで状況を確認し、航空編隊による攻撃が始まっている様子が映し出されていた。またひとつ、またひとつとグラ・バルカス帝国の光点が消えていく。

 高高度偵察機によって状況が確認され、動作不良と思われる一発を除いて全てが予定通り着弾し、全ての空母が甲板から爆発をあげているか海中に没していった。

 

「敵空母群撃沈、残存は駆逐艦への攻撃が開始されます」

 

 予定通りに航空戦力の排除に成功した。これで雷撃及び爆撃の可能性はなくなり、艦隊戦となる。

 

「第零式魔導艦隊から魔信入電、砲撃開始時間の再確認を求めています」

 

「夜明けと共に攻撃を行うと連絡を」

 

 第零式魔導艦隊はレーダーもないため有視界戦闘しか出来ず、夜間戦はほぼ何もできない。敵に発見される事を避けるために明かりも最小限にしているため、航行速度も最低限となっている。

 

「艦対艦誘導弾、標的を残存駆逐艦に合わせ」

 

 例えレーダーとソナーで捉えていたとしても、無差別に魚雷発射されれば危険であることに違いはない。現状でもっとも危険な存在は駆逐艦なのだ。

 総数48発の艦対艦誘導弾が夜の闇の中に消えていった。

 そして順調に航行し距離170kmを割り、日高見 主砲の射程に入る。

 

「電磁加速砲。 機構への充電開始いたします」

 

 発電機がフル回転し、大型バッテリーから超伝導フライホイールへと充電されていく。

 

「照準よし」

 

「充電完了」

 

「撃て」

 

 第二砲塔である電磁加速砲から、M6.0の速度によって弾体が5秒に一発、6連射し攻撃が終る。

 

「電磁加速砲、冷却に入ります」

 

 2分間の再充電と冷却時間、これが戦闘中では高い緊張感を強いる時間であった。

 

 

 

 無敵であるはずのグラ・バルカス帝国の艦隊が突如爆発炎上している。

 状況が理解できず、第二艦隊司令官であるミレケネスは艦橋でレーダー兵や通信兵に確認を急がせるが、レーダーは砂嵐、通信はまったく通じず何が起きているかまったく把握する事が出来なかった。

 突如轟音が響き渡り、爆発し艦が沈んでいく。その後甲高い音が鳴り響いた。

 音速を超える砲弾による攻撃、目に映る事もなく暗闇を切り裂き軍艦を沈めて行く。

 

「何が起きている! 監視員何か報告はないか!!」

 

「何も、何も報告が上がっておりません! 一体どこから攻撃を受けているのかわかりません!!」

 

 すでに100隻以上が沈んでしまった。

 

「何が、我々は何と戦っているのだ!!」

 

 日本の攻撃と言う事は理解できるが、何をされたのか理解が出来ない。この夜の闇が広がる中で、砲撃の発砲炎もなくどこから攻撃されているのか理解できなかった。

 

 

 

「電磁加速砲、弾体切れました」

 

 完成しているとはいえ、負担は大きく本隊を相手にするまで消耗しきるわけにはいかない。弾体の搭載数を限定していた。

 

「全艦前進、最大射程による砲撃戦用意」

 

 グラ・バルカス帝国のレーダーはいまだ索敵不可能であり、こちらの位置を把握できていないだろう。

 

「照準よし」

 

「全艦 交互撃ち方始め」

 

 闇を引き裂く咆哮炎によって長門・榛名の位置が監視員に気付かれてしまっただろう。だが、射程はこちらが上回り、レーダーも効かず夜の闇の中でグラ・バルカス帝国はどれだけ正確な砲撃ができるのか。これは戦ってみなければわからない。

 

「敵戦艦から観測機の発艦を確認」

 

 夜間に偵察兼観測機を飛ばすのはかなりの賭けなのだろうが、それを許すはずもない。

 

「艦対空誘導弾で撃墜せよ」

 

 長門及び榛名から艦対空誘導弾が射出され、飛行を始めたばかりの偵察兼観測機を撃墜してしまう。

 

「攻撃続行せよ 旗艦のみ鹵獲を試みる」

 

 強い光が周囲を照らし始め、残った駆逐艦が探照灯によって探しているようだ。しかし30km以上はなれている先を照らせるわけも無く、再び砲撃炎が上がったこちらの方向を照らしているようだが正確に合う事がない。

 

「空母かがより通信、敵本隊側面から空対艦誘導弾での攻撃を開始」

 

 かがより発艦したF-35C編隊は左右に別れ、暗闇に紛れて空対艦誘導弾を発射、残されていた駆逐艦が次々と爆発し沈んでいく。

 

「かがより通信、 空対艦誘導弾の再搭載を行うため航空攻撃を停止する 以上です」

 

 残るは大和級と長門級と思われる合計6隻、艦対艦および空対艦誘導弾では少々手に余る。2~3発撃ち込めばいいのだが、正直費用対効果が悪い。

 だからこそ、日高見が長門が榛名がいる。

 

「全艦 敵戦艦群に向け砲照準合わせ」

 

 日高見の分厚く鈍重な50口径56cm三連装砲二基がゆっくりとその照準を残った戦艦に合わせる。

 今度は2トンの模擬弾ではない。対艦用徹甲榴弾が敵艦を破壊するために装填される。

 

「一斉打方、始めぇ!」

 

 夜の闇を引き裂く轟音と巨大な砲撃炎を上げ、24の対艦用徹甲榴弾が夜空を飛翔しグラ・バルカス帝国戦艦に向っていく。

 日高見の巨大な対艦用徹甲榴弾は長門と同型と思われるベ・テルギス型戦艦二隻に直撃、大質量の暴力が装甲を破砕しバイタルパートで炸裂、船体を真っ二つに打ち砕き沈んでいく。

 一方で長門や榛名の砲弾は同型相手に有効であり、射程及び命中精度で勝るため、砲撃するたびにグラ・バルカス帝国の戦艦に10発以上着弾し沈んでいく。

 

「攻撃停止。 敵艦射程に注意せよ」

 

 旗艦パルサーを除いて全ての戦艦が沈み、残りは旗艦一隻のみとなった。

 

「フレシェット砲弾装填、12射し構造物を徹底的に破砕せよ。 次弾、演習模擬弾を装填」

 

 

 

 残る一隻となったとき、雨のように降り注ぐ1インチのフレシェット砲弾は高射砲を、機銃を、クレーンや偵察兼観測機を破壊し、観測要員や甲板要員を全てなぎ払ってしまう。

 絶望的に上がってくる報告の中、偶発的に艦橋に飛び込んだ1インチの杭が操舵員を貫き血を噴出して倒れた。

 ミレケネスの握る拳からは血が流れ、なんとか策はないかと考えるが、それでも勝つ方法はない。艦を叩く激しい音が途切れ、数分後激しく艦が揺れ倒れないようイスに掴まる。

 

「第一砲塔被弾! 砲塔が歪み使用不可能!」

 

「第二艦橋被弾! 生存者の救助中!」

 

「煙突に被弾! 機関まで損傷が及び出力をあげられません!!」

 

 3発の演習模擬弾が艦に食い込み、各部から絶望的報告が上がってくる。

 

「敵艦より通信……。 《次は演習模擬弾ではなく、対艦用徹甲榴弾を撃ち込む。 最終勧告だ。 降伏せよ》 以上です」

 

 通信士から伝えられる屈辱的な内容。しかしこのまま戦っても無駄死にするだけなのは確実な事、グラ・バルカス帝国軍人としてのプライドを、圧し折るほど強大な暴力、艦橋に居る兵士達は戦いにならない事を理解していた。

 

「……こっ、降伏すると……、伝えよ」

 

 搾り出すような声でそう伝えると、ミレケネスはイスに背を預け俯いた。

 この時点で第一第二先遣隊は壊滅した。

 唯一グレードアトラスター級弐番艦パルサー及び先遣隊の補給艦が鹵獲されるに至る。

 正式な降伏処理のため、パルサーに接舷した日高見との船体のサイズ差に多くの兵士は絶望し、とんでもない物を相手にしていたと項垂れた。

 ムー国艦隊の護送船にほとんどの人員が移され、パルサーは曳航される。

 

「全艦これよりクイラ臨設停泊地に移動する。 補給を済ませ、本隊に備える」

 

 残るは5日程度離れて航行している本隊990隻。グレードアトラスターを含んでいるとはいえ、大部分が駆逐艦であり、順に片付ける必要があった。

 




艦隊戦を書くのは凄く大変です。
それではまたいずれ

(,,゚Д゚)ノシ
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