日本外人部隊   作:揚物

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帝都ラグナ 防衛線

 外人部隊は積極的に進むことなく、一歩ずつグラ・バルカス帝国人の保護と設備の復興、軽作業で雇う事で賃金を支払い、出来うる限り穏便に、病人やけが人は無料で治療し、基本的な生活の保護をしている。

 先行しているミリシアル及びムー連合は、対戦車塹壕による防衛によって少なくない戦車や装甲車両を破損し、完全に一時停滞していた。

 

「ですから! 海上輸送していると言っても、これ以上の侵攻は制空権の問題も発生します!」

「それは精神面で後れを取っていると言う事だ!」

「ミリシアルは装甲車両だけでしょう! 戦車は製造も運用も大変なんですよ!!」

 

 合同軍ゆえに指揮系統の混乱、上手くいかない状況に焦りが出始めていた。

 日本外人部隊は武力を使った侵攻作戦だけでは、抵抗が激しく泥沼になる事を考え、グラ・カバル皇太子を連れてきていた。

 

 

 グラ・バルカス帝国の旗を背景に、壇上の上にグラ・カバルが立つ。これが国を救うためであり、その重責に眉間にしわが寄り険しい表情になってしまう。

 TVの通信回線とラジオに割り込み、グラ・カバルが映像に映し出された。

 

「私は、グラ・バルカス帝国第一皇子、グラ・カバルである」

 

 突如放送に割り込まれ、グラ・バルカス帝国内は慌ただしい状況になって居る事だろう。

 

「我が国は現在窮地に立たされている。 そのことを帝国民は理解している事だろう」

 

 言葉を選び慎重に、そして聞き取れるようゆっくりと語る。

 

「我が国はもはや、戦争を継続できる状態ではない。 それでもなお軍部は継戦を望み、軍事教練を受けていない学徒や国民にまで武器を持たせようとしている。

 それは国民を守る為ではない、一部の権力や金銭に群がる寄生虫の為だ。彼らは自らの財産と力を守る為に、国民を兵士として消耗しようとしている。 そのような事を父上は、陛下は考えてはいないことだろう」

 

 大きく呼吸を整え、はっきりとそして決意を込める。

 

「だが、一部の者達は陛下を惑わし、この戦争を継続させようとしている! 今はこの国の腐敗を正す為、そして国民はその身を守る為、抵抗せず軍部に協力しないで居て欲しい! 陛下には私から進言し、この国を保って見せよう!!」

 

 放送による降伏勧告、軍と国民の連携を奪い去り、軍部と軍事産業の癒着を暴露、そして

 

「以上だ。 国民よ。 どうか信じてほしい。 この国はいま危機に瀕しているのだ」

 

 TV及びラジオ回線をジャックしての放送は終わった。

 グラ・カバルは壇上の後ろにある椅子に腰かけ、疲れ果てた表情で上を見上げていた。

 これで国民が救われる。しかし国家は大打撃を受ける事だろう。父上もどれだけ怒る事だろうか。しかし知りえた国家の惨状、それを放っておけるわけもなく、このまま国が亡びるなど座して待てるわけもない。

 

 

 

 グラ・カバルの放送が行われてから、グラ・バルカス帝国の抵抗は減り、ほんの一部ではあるが部隊ごと投降してくるなど、予想以上にその効果は表れていた。

 やはり皇帝の威光は強く、そして軍や軍事企業の汚職の話は一部の離反を招くには十分であった。

 

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