「何もしたくねぇ…」
カズマがウィズの店から、実用性の高い魔道具を買って帰って来た日の翌日。
私は今日こそカズマに爆裂散歩に付き合って貰うべく、広間でだらしなく座っているカズマを誘いに来たのだが…。
「…うん?あぁ、めぐみんか。悪いけど散歩なら行かないぞー。今日は何もしたくない気分なんだ。だから俺の代わりにアクアかダクネスを連れていけ。あいつら暇してるだろうし」
この様である。
「今日"は"じゃなくて今日"も"でしょう!?昨日も同じ様な台詞を聞きましたよ!それにダクネスは用事で今日は屋敷に居ませんし、アクアも朝から何処かに出掛けて居ませんよ!」
「そうだっけ?忘れた」
ソファにだらしなく座り込み、顔をだけをこちらに向け、そう答える。
駄目だ、この男…。
本当に私はどうしてこんな駄目男の事を好きになったのだろう…。
自分でも時折不思議に思う。
「…はぁ、もう良いです。ところで昨日ウィズの店から買ってきたボタンはどうしたのですか?アクアの部屋の前で使ってくるって言ってから、何の音沙汰もありませんでしたけど」
「あぁ、あれか。あれなら昨日アクアの部屋にある高い酒を安酒に変えた後、俺の部屋で保管してあるよ。何せ、あれは回数制限付きだからな。本当に必要になる時が来るまで、大事に置いとく事にしたんだよ」
回数制限があるとは言え、あれはかなり有用性の高い魔道具である事に間違いはない。
カズマの言う通り、必要な時が来るまで置いとくのが一番だと思う。
「ところで、めぐみん。俺から一つ質問しても良いか?」
カズマからの質問?
何だろう。
「昨日俺がゆんゆんから魔法薬を貰って飲んだのを覚えてるか?」
カズマがゆんゆんから貰った魔法薬。
確か、その薬は飲み物に混ぜると味や見た目が劇的に変化する代わりに、それを飲むだけで経験値が入ると言う謎の魔法薬だったはず。
それが一体どうかしたのだろうか?
「覚えてますけど、それが一体どうかしたのですか?」
「あれを飲んだその日の夜に、一体どの位の経験値が入ってるんだろうって気になって部屋に戻った時に冒険者カードを確認したんだよ。そしたらさ、経験値が全く入って無かったんだよ」
経験値が入っていない?
「一も入っていなかったと言う事ですか?」
「そうなんだ。起きた時に見直しても経験値は入って無かったし、一体何がどうなってんだか…。めぐみんはあの薬について何か分かる事って無いか?」
あの時、カズマの質問に対してゆんゆんは確かこう言ったはず。
"違う意味"での経験値が入る薬……だと。
その"違う意味"と言うのが、どういう意味でなのかは分からないが、ゆんゆんは間違いなく経験値が入ると言った。
しかし、カズマの話では、肝心の経験値は全く入っていなかったらしい。
どういう事だろう。
少し調べる必要性がありそうだ。
「すみません。私も初めて見る物なので、あの薬が一体どういった物なのかまでは詳しく分からないのですよ」
「そうか…」
そう言って残念そうに肩を落とす。
「あ、後さ。もう一つだけ変わった事があるんだけど」
「何ですか?」
「あの薬を飲んだ数時間後位からかな?突然、ゆんゆんの事が気になるようになったんだよ」
「本当に突然ですね」
ゆんゆんの事が気になるようになった?
薬を飲んだ後となると、薬による副作用か何かだろうか?
もしそうだとしても、ゆんゆんは関係ないはず。
一体どういう事だろう?
「因みに、どのような風に気になるのか具体的に教えて貰っても良いですか?」
「具体的にって言われてもなぁ……。例えば、今日は暇してるのか?とか、好きな物は何だろう?とか、後はそうだな……ゆんゆんに好きな人はいるんだろうか?…とかかな」
ゆんゆんに好きな人が居るかどうかが気にするなんて…それじゃまるで、カズマがゆんゆんの事を、異性として気にかけているみたいじゃないか。
「今も気になるんですか?」
「そうだな。めぐみんと話をしている今でも、ゆんゆんの事が凄く気になる」
私と話している最中であっても、ゆんゆんの事を…?
……ゆんゆんの事をそこまで気にかける程、カズマとゆんゆんの仲は深く無かったはず。
そんな事を考えていると、突然カズマが周りをキョロキョロし始めた。
「どうしたのですか?」
「…なぁ。ゆんゆんって今何処に居るか分かるか?」
急にどうしたのだろう。
「ゆんゆんなら、今日も冒険者ギルドでパーティー仲間が来てくれるのを、今か今かと待っている頃だと思いますよ?」
「そうか」
「あの子に用があるのですか?」
「別に用は無いけど、何だか無性にゆんゆんに会いたくなった。だから今からちょっと会いに行ってくる」
そう言うとソファから立ち上がり、そのまま外へと出ていこうとする。
そんなカズマの前に立ち、慌ててそれを止める。
何故かは分からないが、私の直感がカズマをゆんゆんの元へと行かせてはならないと、告げている。
「ままま、待って下さい!」
「何だよ。爆裂散歩なら行かないぞ」
「爆裂散歩の誘いではありません!」
「じゃあ、そこを退いてくれないか?」
「そ、それだけは駄目です!」
様子があからさまにおかしい。
さっきまでのカズマとは、声のトーンも態度も大きく違う。
カズマの目を見てみると、驚く程光が灯っていない。
これじゃまるで人形みたいだ。
カズマの身に一体何が起きたと言うのだ?
さっきまで普通だったのに、まるで急に人が変わったみたいだ。
まさか昨日カズマが飲んだ薬のせいなのだろうか?
理由がはっきりとは分からないが、取り敢えず今はカズマを止めなければ。
「どうしてめぐみんは、俺がゆんゆんに会いに行くのを邪魔しようとするんだ?」
今まで聞いた事の無いような冷たい声。
その声を聞く度に、胸の奥がキツく締め付けられるような感覚に襲われる。
「それはカズマの様子がおかしいからですよ。自分では気付いていないと思いますが、今のカズマはあからさまに様子がおかしいです。まるで急に人が変わったかのように」
「頭のおかしいお前にだけは言われなくない」
その言葉に少しイラッとしたが、そんな事に噛みついている暇は無い。
「なぁ、めぐみん。大人しくそこを退いてくれよ。どうでも退かないと言うのなら、強行突破するまでだけど」
そう言って、カズマお得意のドレインタッチの体制に入る。
もしかしなくても、ドレインタッチを使って私を動けなくさせるつもりだろう。
「…どうして、そこまでゆんゆんに会いたがるんですか?」
「会いたいと思った。ただ、それだけだ」
「それだけの理由では納得がいきません。カズマがちゃんと私を納得させる理由を言ったら、ここを通してあげます」
「納得させる理由か…。めぐみんは俺が何故そこまでして、ゆんゆんに会いたがるのかを知りたいんだよな?」
そんなカズマの声に対して私は静かに頷く。
「それは、ゆんゆんの事が好きだからだ」
「……ゆんゆんの事が好き?」
カズマがゆんゆんの事を好き……?
……今、ゆんゆんの事が好きって言いましたか?
何かの聞き間違い…ですよね?
いや。何かの聞き間違いに決まっている。
……そうですよね?
「そうだ。俺はゆんゆんの事が好き。異性として好きなんだ。だから会いに行く。それがゆんゆんに会いに行く理由だ。納得したか?」
そんな私の微かな希望もカズマの言葉によって打ち砕かれてしまった。
…納得出来る訳…無いじゃないですか。
カズマがゆんゆんの事を好きだなんて…そんな事納得出来る訳…。
何ですか急に、ゆんゆんの事が好きって…。
今までそんな素振り見せなかったじゃないですか…。
あれほどカズマに言って欲しいと思っていた"好き"という言葉。
カズマを好きになったあの日から、ずっと言って欲しかったその言葉。
だが…カズマが発したその言葉は私ではなく、ゆんゆんに向けられたものだなんて…。
「そこを…退いてくれないか?」
…駄目だ。
絶対カズマを行かせては…。
ここでカズマを行かせてしまったら、きっと私は絶対に後悔する。
これから先ずっと…。
「めぐみん」
カズマの声を聞く度に辛くなる。
だけど、ここで引く訳には…!
「"邪魔"だ」
………っ!
まるで止めの一撃かの様に、カズマが放ったその一言は、私の心に激しく刺さった。
"邪魔"。それはとてもあの優しいカズマの口から発せられたものとは思えない一言。
その言葉はカズマの本心から出た言葉では無いはず。
カズマがゆんゆんの事を好きだと言った事も。
きっと、それらは昨日カズマが飲んだ薬が原因で起きている事に違いない。
そう自分に言い聞かせる。
言い聞かせるのだが……
「……ないで下さい」
「?」
「行かないで下さい……」
気が付けば私は、カズマにすがり付くよう抱き付いていた。
…駄目だ。
薬の効果のせいだと自分に言い聞かせても結局それは、あくまで私の憶測であり、確信があるものではない。
だから、さっきカズマが私に言った事は本当の事なのかも知れない……。
カズマはゆんゆんの事が本当に……。
そんな考えが私の頭の中を駆け巡り、まともな判断が出来る様な状況では無かった。
ただ一つだけハッキリしているのは、カズマをゆんゆんの元へ行かせてはならないと言う事だけ。
「カズマお願いです。行かないで下さい…。もし、どうしてもゆんゆんの元へと行くと言うのなら、私と一緒にウィズの所へ行ってからにして下さい。カズマの様子がおかしいのは、昨日の薬が原因だと思います。だから一度、私と一緒にウィズの元へ行ってその原因を調べましょう?」
「何でウィズの所へ行く必要があるんだよ?」
「何でって…さっきも言った通り、カズマの様子がおかしいのは昨日ゆんゆんが持ってきた、ウィズの店で買ったという薬が原因…」
原因かも知れない。そう言いかけた時だった。
屋敷のドアが何者かによってノックされた。
アクアかダクネスは、まだ出掛けたばかりだから帰るとは考えにくい。
…となると、考えられるのは。
「カズマさーん。カズマさんは居ますかー?」
やはり、ゆんゆん。
何て最悪のタイミングだ。
カズマを行かせない為に、ここでひき止めていたのに、まさか向こうから来るなんて。
しかし、一つおかしな事がある。
それは、あのコミュ障で、人の名前すらまともに呼ぶ事が出来ないあのゆんゆんが、カズマの名前をはっきりと呼べている事だ。
しかも、此処へ来た理由は私では無くカズマ。
カズマはゆんゆんと会う約束なんかしていなかったはず。
一体どういう事だ?
……っ!まさか…。
確か昨日カズマが飲んだ例の薬。
あれは確かカズマが飲んだ後、中身を入れ替えるボタンを使って、ゆんゆんのお茶の中身と入れ替えたはず。
そして、ゆんゆんはそのお茶を飲み干していた。
…つまり薬を服用したのはカズマだけじゃなく、ゆんゆんも服用している事に。
もし、薬のせいでカズマの様子がおかしくなっているのなら、ゆんゆんにもカズマと同じような症状が出ているはず。
となると、やはりゆんゆんがここへ来た理由は今のカズマと同様。
カズマの事が好きだから会いに来た。
……あくまで私の予想だが。
もし私の予想通りであるなら尚更カズマをゆんゆんの元に行かせる訳には行かない。
そう思い、扉の前に居るゆんゆんにカズマは居ないと伝えようとした、その時だった。
突然体に力が入らなくなり、その場に倒れ込んでしまった。
ふと、カズマの方を見ると片手を私の方へ突き出していた。
恐らくドレインタッチを強行されたのだろう。
魔力が無くなると同時に激しい睡魔に襲われ意識が朦朧とする。
消え行く意識の中、僅かに残された力を振り絞ってカズマの足を掴むも、簡単に振り払われてしまった。
「…ま…待って…下さい…。カ…ズマ………」
魔力が底を尽きるまで吸われてしまった私はその場に静かに倒れ込み、そのまま眠りについた。
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「―さん!」
あれからどの位の時間が経ったのだろう?
「―みんさん!」
誰かが私の事を呼んでいる。
けど、今はそんな事どうでもいい。
今はそっとしておいてほしい。
「めぐみんさん!起きて下さい!私です!ウィズです!」
…ウィズか。
一体何をしにここへ……ってウィズ!?
その声を聞いた私は勢い良く跳ね起きる。
「良かった。無事に目が覚めたみたいですね」
「ウィズ…。どうして此処に居るのですか?」
「それが…」
ウィズの話を聞くところによると。
今日はカズマとの商談の日だったらしく、急用が入って来れなくなったバニルの代わりに商談をしに屋敷へ来た所、玄関のドアが開きっぱなしに気付いたウィズが私達の身に何かあったんじゃないかと心配になり、屋敷の中へ入って来た所、魔力切れで倒れている私を見つけ介抱していた。
「―と言う事ですか」
「はい。しかし、一体何があったんですか?屋敷のドアを開けっ放しにしていましたし、それに何故めぐみんさんは広間なんかに倒れていたんですか?」
「…それは話すと少し長くなりますが」
私は意識が無くなる前に起きた出来事をウィズに話した。
昨日ゆんゆんが持ってきた経験値が入ると言う薬を持ってきて、その魔法薬をカズマとゆんゆんの二人が飲んだ事。
そしてそれを飲んだ日の翌日、カズマの様子が急におかしくなった事。
様子のおかしいカズマを止めようとした所、ドレインタッチを強行され魔力切れをおこしてしまいそのまま眠りこけてしまった事。
あの時起きた出来事を全てをウィズに話した。
「恐らく屋敷のドアが開けっ放しなのもカズマの仕業だと思います…。あの時のカズマはゆんゆん以外の事が全くと言っていいほど見えていませんでしたから。多分ドアを閉め忘れてたんだと思います」
「…お二人は昨日ゆんゆんさんが私から買った魔法薬を飲んだんですよね?」
「はい。ウィズは知っているのでしょう?魔法薬の正体を。教えて下さい!あの魔法薬は一体何なのですか!カズマに一体何が起きたと言うのですか!!」
「め、めぐみんさん。一旦落ち着いて下さい!そ、そんなに揺さぶれると…!私消えちゃいます!」
少し消えかかりそうなウィズの姿を見てハッ!と我に帰った。
「す、すみません」
「いえ。それよりも魔法薬について知りたいんでしたよね?」
ウィズの質問に対してコクリと頷く。
「昨日ゆんゆんさんにお譲りした魔法薬は、確かに飲み物に混ぜて飲むと味や見た目が劇的に変化する変わりに、それを飲むだけで経験値が入るという素晴らしい魔法薬です。ですが、経験値を得るにあたって一つ条件があります」
条件?
「それは服用者が"一人"であることです。あれは本来、一人で一瓶丸々飲み干す事が前提として作られた魔法薬なんです。なので、その必要量に足りていない場合、服用者には経験値が入らない仕組みとなっています」
カズマがあれを飲んだのは、ほんの一口か二口。
ウィズの言う必要量には到底達していないだろう。
道理でカズマが何度冒険者カードを見直しても経験値が入っていない訳だ。
「それともう一つ。ここからが恐らくめぐみんさんが出会った現象の原因だと思います。あの薬をもし"一人"ではなく"男女二人"で服用した場合について起きる作用についてお話しますね。先程も言いましたがあれは本来、一人で飲み干す事が前提として作られています。ですが、もしそれを男女二人で使用してしまった場合、あの魔法薬は別の魔法薬へと変化してしまいます」
「その魔法薬と言うのは?」
「"惚れ薬"です。それもかなり強力な」
!!!
二人ではなく、男女二人でって言った時点で嫌な予感はしたけどやっぱりか!!
しかし、惚れ薬と分かったのは良いが、一つ不可解な事がある。
「何故、服用するだけで経験値が入るという魔法薬が使用法を少し変えるだけで惚れ薬へと変化するのですか?経験値とは全く関係のないような気がしますけど」
「男女の付き合いも一つの経験って言うじゃないですか」
恋愛経験が少なそうなリッチーが目を光らせながらそんな事を。
「何が、男女の付き合いも一つ経験。ですか!!上手いこと言ったつもりですか!?全然上手くもないですよ!!」
だから、あの時ゆんゆんはああ言ったのか。
違う意味での経験値が入る薬。
そして、自分で入れて自分で飲む分には問題ないと思う…と。
あれは、そう言う意味だったのか!!
「もし、その惚れ薬を投与した場合どうなるのですか?」
「まず服用した男女は互いの事が好きになり、強く引かれ合うようになります。そして、必要以上に一緒に居ようとします。その為には手段を選ばなくなる程に」
手段を選ばなくなる程に…。
「更にあの魔法薬は経験値を得る目的で使う分には問題ありませんが、惚れ薬として使った場合のみ、あの魔法薬は以上な程までに強力な力を発揮します。……例えば、服用者の意識を一時的に奪い取る」
「服用者の意識を奪い取る!?それってつまり…!」
「はい。先程めぐみんさんが話してくれたカズマさんの様子そのものです。今のカズマさん、そしてゆんゆんさんは恐らく惚れ薬の効果によって意識が無い状態だと思います。あの二人を今動かしているのは」
「惚れ薬だとでも言うのですか?」
私の問い掛けに対して静かに頷く。
これで全て繋がった。
カズマの様子が急に激変したのも、そして突然ゆんゆんの事が好きだと言い出したのも全て惚れ薬のせいだと言う訳ですね。
「先程、一時的に魂を奪い取るって言いましたが。効果時間はどの位なのですか?」
「三日…と言ったところでしょうか」
「ようは三日経てばカズマとゆんゆんは元に戻ると言う訳ですね?」
「いえ…残念ながらそういう訳では。三日と言うのは薬の効果を打ち消す事が出来る時間を示しています。なので三日を過ぎてしまった場合、カズマさんとゆんゆんさんの魂は永遠に奪い取られたままに」
なっ……!
「ウィズ!何とかしてその惚れ薬を打ち消す事は出来ないんですか!?ウィズの店ならそういう魔道具の一つや二つあるんじゃないんですか!?」
「…すみません」
そんな……。
折角、原因が分かったと言うのに肝心のカズマとゆんゆんを元に戻す方法は無いと…?
……いや、考えるんだ。
何かしらの手はあるはず。
何か手段は無いのかと頭を悩ませている時だった。
「おやおや、これは。自分の想い人を思わぬ形で奪われ心身ともに弱ってしまっているネタ娘よ。何かお困りかな?」
何処から入ってきたかも分からない鞄を持った仮面の悪魔が、私の前に立って声をかけてきた。
「…何処から入ってきたんですか。不法侵入でダクネスに突き出しますよ」
「今はそんな細かい事を気にしている余裕はあるまいて」
細かい事では無いのだが。
だが今はバニルの言う通り、そんな事を気にしている余裕は無い。
今はそんな事よりもカズマを元に戻す方法を考えなければ…。
「バニルさん。一体どうして此処へ?」
「それはそこにいるネタ娘にとある商品を売り付けに来たからだ」
「今はそんな物にかまけている余裕は無いのです。また今度にして下さい」
「まぁそう言わずに、見るだけ見てみるがいい」
そう言って、持っている鞄から謎の液体の入った瓶を二つ取り出す。
「何ですかそれは」
「これはとある魔法薬の効果を完全に打ち消す事が出来る薬である。そう!例えば、何処かのポンコツ店主が仕入れた、飲み物に混ぜて飲むだけで経験値が入るとか言う胡散臭い薬とかな!」
バニルが言う魔法薬と言うのは、もしかしなくてもあの薬の事だろう。
「ネタ娘よ。一つ良いことを教えてやろう。そこのポンコツ店主から聞いたと思うが、あの二人の意識は魔法薬の制御下にある。故に、あの小僧が貴様に言い放った言葉は全てまやかしだ」
「まやかし…と言う事は、あの時カズマが言った事は全て本心では無いと言うことで間違いないのですか?」
「そうだ。そして、我輩が持っているこの薬を奴らに飲ませる事が出来れば、魔法薬の効果は打ち消されあの二人は無事に解放される。因みに魂を乗っ取られていた間の記憶は残らぬ故、小僧が貴様に言った言葉やボッチ娘に抱いた偽りの想いは、全て無かった事となる」
「……」
「めぐみんさん!?大丈夫ですか!?」
バニルからその言葉を聞いた私は安心からか、全身から力が抜けてその場に座り込んでしまった。
…良かった。
本当に良かった。
「ありがとうございます。私の事なら大丈夫です。それよりも今はカズマ達を」
「そうですね。バニルさん、めぐみんさんにそのお薬を」
「おおっと!慌てるでない。我輩は初めに言ったはずだ。此処へは商品を売り付けに来たと」
あぁ。
前に確か、カズマがどうしてもこの悪魔の事を好きになれないって言ってましたね。
今ならその理由が分かるかも知れません。
「さて、交渉といこうではないか!」
目の前の悪魔はそう言って、不適に笑ってみせた。
初めましての方も、そうでない方もこんにちは!
めぐです。
この度はリレー小説第三話を読んで頂き誠にありがとうございます!!
並びに、この企画に参加させて下さった関係方々にも深くお礼を申し上げます。
そしてラストを飾る勾玉さんには、あまりにも書きにくい内容に仕上げてしまった事を深く謝罪します。
三話の内容に関してですが、皆さんが思っていたストーリー展開になっていれば嬉しいです。
……多分、いや絶対に違うと思いますが(笑)
何せ、自分でも大丈夫なのかな?って不安な気持ちになりなが書き上げた位ですからね。
さて、今回のリレー小説がどうしてカズアクを書こうかな?と言う話からカズめぐが題材になり、そして何故カズめぐが題材にも関わらず、こんなシリアスチックな展開になってしまったのか。
それを少しだけお話しましょう。
…え?シリアスチックでも無ければ、カズめぐ要素もほとんど無いじゃないかって?
………すみませんでした。
そこは自分の力量の無さです。
許して下さい!!!
さ、さて話を戻しましょう。
どうしてカズアクを書こうかな?って流れからカズめぐになり、そしてシリアスチックな展開にになってしまったかと言うと…!
全て、めむみんさんの手によるものだったのです!(ナ、ナンダッテー!)
実は今回のリレー小説の題材である
・カズめぐ
・シリアス
そして、時系列から誰視点で書き進めるかまでの設定ほぼ全てを、めむみんさんがくじ引きで決めちゃったのです!
因みに後一つだけ題材があるのですが、ラスト一個の題材は何でしょうか?
是非、現在投稿されているリレー小説の第一話から第三話。そして後に投稿される第四話をじっくり読んで考えてみて下さい!
少し長くなりましたが自分の後書きは以上で終わります。
最後に、ここまで読んで下さった皆様そして、自分と同じプロジェクト参加者である、めむみんさん、Ceroさん、挿し絵担当のMOSさん。そして、このプロジェクトを立ち上げてくれた勾玉さんには改めて感謝を申し上げます。
本当にありがとうございます!!!
これを機に是非他の方々の小説を読んで頂けると幸いです。
それではまた何処かでお会いしましょう!!