光には存在しない者達   作:ペペロンチーノ伯爵

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『音声データ・G-76』

≪回収されたホロテープを再生します≫

 

使用機器:60MM録音鑑識テープ

情報部-46部にて保管

 

 

 

 

≪記録日不明≫

≪記録者1:グレイブスフェニックス≫

≪記録者2:UMP45≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー≪ノイズキャンセリング中≫ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー≪再生中≫ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「記録者2」:………指揮官?

 

「記録者1」:準備出来たぞ………それで?話というのは?

 

「記録者2」:指揮官は……私達人形に自由に生きる価値があると思う?

 

「記録者1」:唐突だな………お前たち戦術人形は戦う為に作られた存在だ、ならばそれを全うするのがお前達の価値だと俺は考えてる、だが戦う為に生まれたお前達を解放し、人間と同じように危険のない人生を歩ませる未来、それも一つの考えだろう、それは正しい

 

「記録者2」:それってつまり、どういう事?

 

「記録者1」:つまり、定める人間によって価値は異なる、誰かに己の価値を問い、委ねるとはそう言う事だ

 

「記録者2」:………ある人がね、自分の価値は自分で決めろって私に言ったの、それは……どう思う?

 

「記録者1」:俺は、違うと思う………『価値』は他人、第三者が定める評価だ、自分で決められるのは『意思』だ、自分がどうしたいのか、何を決めて何を考えるかは己の権利、自由に生きようとする『意思』に『価値』は全く無関係だ、お前達人形の価値は第三者が決める、だがお前達の意思や希望、思想理念は自分で決めるんだ、価値を気にする必要はないさ

 

「記録者2」:なら指揮官は?指揮官は毎日をどう考えて生きてるの?私達は学んで貰い受けた感情のサイクルしかできない、指揮官みたいな人間の感情は?何を考えてるの?

 

「記録者1」:俺か………俺はただ『今日』を生き抜く事だけを考えて生きている、ただこの日を、全てを注いで今日を生きる、その為に必要な知識や力を極める

 

「記録者2」:明日の事は考えてないの?明日を生き抜く事は?今日に全てを捧げてしまったら明日はどうなるの?

 

「記録者1」:俺にとっては『明日という概念は今日と同じ意味』を持っているんだ、一日を生き抜く事は24時間を経過させるという意味だが、今日を生き抜くという事に時刻は干渉しない、今日と言うのは『自分が生きているこの時間を生き抜く事』俺はそう考えてる、だから明日と言う名の今日を生き抜こう、昨日と言う今日を生き残れた、そう考えて生きている

 

「記録者2」:今日を生き抜く………

 

「記録者1」:そうだ、俺はそれだけ考えてここまで生きてきた、それに他人の価値は関係ない、俺の意思で生き方を決めたんだ、人間も人形も一緒だ、意思決定権を持っているならそれは自分で決めるもの、人に決めてもらうのは価値であって生き方じゃない、自由に生きる価値なんてものは存在しない、自由に生きようとする『意思』があるだけ

 

「記録者2」:それじゃあ………指揮官は人を殺すことに罪悪感を覚えることはある?どんな理由であれ人を殺すことを正当化できると思える?

 

「記録者1」: まず、人を殺して罪悪感を覚えた事はハッキリ言って無い、なぜならそれは正しい事だからだ。

 

「記録者2」:人を殺すのが正しい?

 

「記録者1」:ああ、その正しい行動の結果が生まれる、それを繰り返す、正しさから出てきた結果に対する正しさ、そしてその結果が……と、その連鎖が続いているだけで、全て正しい、無茶苦茶な理論に聞こえるかもしれないが、この世には正しさしかないんだ、善も悪もない、この部隊、ゴーストだって悪を喰らうなどといってはいるが結局はゴーストの掲げる正しさの押し付けだ。

 

「記録者2」:なら、殺しの正当化は?

 

「記録者1」:殺し合いに正当化もくそも無い、自分が生き残る為に相手を殺す、本質は変わらない、正しいと思うから戦争が勃発し、正しいと信じて兵士は望んで地獄に落ちる、つまりは正当化なんて出来ない、あるのは生存本能のみだ。

 

「記録者2」:………確かに指揮官の言うとおりかもね、ねぇ指揮官?指揮官は私達は戦う為に作られたのだからそれを全うしろって言ってたよね?それってどういう事なの?

 

「記録者1」:………それはいずれ分かる……俺達ゴーストはどんな大義名分を掲げても行き着く先は地獄、一度武器を手に暴力を訴えれば天国に行くことは出来ない、ベッドの上で安らかに逝くことは無い……俺たちに残されているのは永遠と戦い続ける事だけだ、正しいと信じる事をやる、その結果に後悔してはならない、なせなら、俺たちは正しいのだから。

 

「記録者2」:指揮官は私の……いいえ、404小隊の過去を知っているの?指揮官に合うずっと前の私達を。

 

「記録者1」:知っている、だが俺にはどうでもいいことだ、前にも話したが、俺は他人の過去に興味はない、お前達が過去にどんな残酷な事をしていようとも関係ない、俺は今のお前達を信じている、それでいいんだ。

 

「記録者2」:………………………

 

「記録者1」:45、お前達は正しい事をしていたんだ、結果がどうであれ、それを後悔してはならない。

 

「記録者2」:………うん。

 

「記録者1」:だから、おれはお前達がゴーストを裏切ったとしても、憎むことは決してない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー≪録音終了≫ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー≪このテープには強いミーム汚染発生の疑いがあります、素早く破棄してください≫ー

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