学園都市の第六位   作:さかき(ヒロタカリュウ)

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1月22日本日は二話投稿しています。
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行間 混合能力者創造実験

『混合能力者創造実験レポート1。

 外部の特殊な異能と混ぜ合わせるこの実験は、「神ならぬ身にて天上の意思に辿り着く者(SYSTEM)」への移行前倒しとなる確率が2%存在するため、これを受理する。

 超能力者(レベル5)の定義移行期に合わせ、第一位、第二位を投入。また、保険をかけて第六位も実験に参加させることとする』

 

 

 

 

 第六位である彼は不老不死であり、記憶喪失を患っていた。

 むしろ、不老不死で記憶喪失だからこそ(・・・・・・・・・・・・・・)、都合のいい実験体として使い古されていた。

 

 その原点が能力開発テストであり、彼は学園都市に与えられた種を余すことなく開花させ、後に『超能力者(レベル5)』と呼ばれるクラスの演算能力、そして異能の力を手に入れた。

 

 これを契機に学園都市は能力開発をカリキュラムに取り組んだ学業体系を取り込んで行くのだが、また別の思惑の実験に、彼は引っ張りだこな状態だった。

 

 そんな、数える程億劫なほど関わってきた実験のうちの一つ。

 内容はさておき、彼が何かを得られた、数少ない実験。

 

 『混合能力者創造実験』。

 

 内容はおろか、名前さえ歴史から抹消された実験は、今から20年ほど前に起きた。

 

 

 その内容は、イギリス清教と学園都市間でそれぞれの異能、即ち『魔術』と『超能力者』を組み合わせようというものだ。

 

 どこが発端で、どのように盛り上がったかはわからない。

 

 或いは、単なる政治的判断だったかもしれない。

 

 しかしその実験は、確かに幾人もの人生を犠牲にしたものだった。

 

 

 

 

「名前はない」

 

「エリス=ウォリアーです」

 

「藍花悦」

 

 簡素な自己紹介だった。

 

 当時の第一位と第二位、そして現在も序列の変わらない第六位は、学園都市側から派遣された被験者だ。

 

 名前は無いという元第一位は、しかしプライドの塊のような男だった。

 能力自体に対した『性能差』はなかった。現在の序列は『学園都市における工業的利用価値』に基づいているが、当時は単に『各々が持つ演算能力』だけが判断基準であったからだ。寧ろ、開発を受けた人間の絶対数は少なく、珍しい能力者が同じく高い演算能力を誇るとは限らず、『超能力者』として定義されることは少ない。

 

 そして、第六位はその『確率的に希少』なうちの一人だった。

 当時学園都市第一位だった彼が黙っているはずがない。

 

 第一位は何かにつけて「おい、藍花」とつっかかり、第六位はそれを億劫そうに無視し、第二位であるエリスはそれを健気になだめる、という流れが、少ない交流時間のうちに完成していたほどだ。

 

 第二位、エリスは若い少年だった。

 そんな年で「学園都市の中で君が二番目に賢いよ」などと囁かれれば、調子に乗るか、第一位に過剰な敵意を向けるなりしそうなものだが、彼はそんなことはなかった。

 

 その性格は魔術サイド、即ちイギリス清教側の被験者にも好印象だったのだろう。

 

 彼は科学と魔術のパイプとして、特に魔術サイドの少女と交流していた。

 若く中性的な顔立ちからか、彼がエリスちゃんと呼ばれて休憩時間に走り回る姿は今も覚えている。

 

 各々が各々の『異能』の理論を学び、

 始めに学園都市製の『超能力者(レベル5)』たちが『魔術』を体得して、初の結果が示されようとした時だった。

 

 どこかの組織から武力による妨害を受けた。

 

 扱う異能が魔術であったため、魔術サイドで何かあったであろうことは想像に難くない。

 

 第一位は自慢のありふれた能力で対応しきれずに死んだ。

 

 第二位は早速『魔術』で迎撃しようとしたが、派手に吐血し、その隙をついて襲撃者にやられた。

 

 清教側の被験者がどうなったか、第六位は知らない。

 彼は真っ先に自分への襲撃者を能力で無力化し雲隠れしたのだ。

 

 結果は散々だった。

 

 無駄なことに、才能を持った能力者が使い潰された。

 

 多くの悲劇が生まれ、彼も知らないところで更なる悲劇を呼び起こしたことだろう。

 

 だが、『彼』にとってそれは無駄ではなかった。

 

 得られたそれは、魔術という異能の概念。

 

 

 

『混合能力者創造実験レポート2。

 シェリー・クロムウェルを除く全ての被験者が死亡。

 能力者が魔術を行使することで、身体機能に異常が発生することを確認。

 生存したシェリー・クロムウェルについては、能力開発を施していないため危険性「低」と判断し放置。

 藍花悦は都合上、ここで社会的に死亡させておくこととする。「才人工房(クローンドリー)」で複製した予備については一時凍結、再審議の必要あり。

 確認後、当レポートは「書庫(バンク)」より削除後証拠隠滅されたし』




二章であんな引きをしておいて行間で申し訳ないですが、タイミングがここしかないのでこのような形になりました。三章は次話になります。

第六位関係以外では、できるだけオリジナルな単語などを取り入れたりしないように原作設定と折り合いをつけていきたいものですが……、
『20年前に起きたあの実験』などと表記するのも流石にダサいので、思い切ってそれっぽい名称を振ってみました。

第六位の能力が謎の引き伸ばしを受けてなかなか登場しませんが、しっかり登場するのでご安心を。
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