「ふーん………………うん?」
何度目かになる私たちの来訪を迎え入れた、ひょろりと背の高い雑居ビル。
――とは言えこのビルそのものに用事があるのではなく、ここは一種のバイパスだ。
エレベーターのボタンを押して少し待つと、長方形の密室が口を開く。
中には人影一つない事に、内心でガッツポーズ。
私たち以外の誰かを裏世界に連れていくわけにはいかないし、連れていきたくもない。
エレベーターの中に入り込み、いつものように
めちゃくちゃな順番でボタンを押す白魚のような指。
子供の悪戯のような、本来の用途からは逸脱した行為。
こんな光景も、今となっては見慣れてしまったので特に突っ込むことはない。
5階で“乗せてはいけない女”が乗り込んでこようとする時だけは、何度経験してもドキリとするが。
『エレベーターの階数ボタンを特定の順番で押すと、異世界に行ける』
ネットを覗けば、さほど苦労することもなく見つけることのできる有名なネットロア。
もしここに第三者が居れば、女子大学生二人が大真面目にそんな都市伝説を実行していることを奇異に感じるだろう。
決められた階層にのみ止まるエレベーター。
しかし開いた扉から見える光景に、同じものは一つとしてない。
徐々に開閉のスピードを増す扉。
気が付けば異形の文字に変化している、エレベーターの操作盤。
起きているはずなのに夢を見ているような、不思議な非現実感。
それの乗り越えた辿り着いた先の光景は、ひび割れたコンクリートタイルで覆われた屋上。
錆びた鉄柵――そしてどこまでも広がるかのような青空。
この世ならざる、世界の《裏側》――裏世界。
私と彼女の、冒険の舞台だ。
「よし! 無事についたね」
一足早く鳥子がエレベーターから出て、慌てて彼女を追いかける。
同時にフッと気が抜ける。
危険の多い裏世界で気を抜くというのはあんまりよろしくないが、仕方がない。
なんせ目の前にいる鳥子は、とんでもない美人さんなのだ。
既に何度も顔を合わせて共に危機を乗り越えた間柄とはいえ、狭い密室に二人きりだと未だに緊張することがある。
「今回は何もなくてよかった」
初めて鳥子と共にこのエレベーターに乗った日――
あの時は予期せぬ“何処か”に繋がってしまったのを思い出す。
エレベーターの扉から僅かに覗いた異形の爪先。
もしもアレがエレベーター内に入り込んでいれば、今頃こうして立っていることはなかったかもしれない。
「じゃ、行こっか」
綺麗な金のロングヘアーを翻し微笑んでくる鳥子。
……今からこの10階建てのビルから梯子をつたって下りるという、現代日本ではなかなか遭遇しないであろう運動をしなければならないわけだが。
その苦労を考えるよりは、彼女の笑顔に誤魔化された方がいいだろうと考えてしまった。
裏世界は危険に満ちている。
目の前に広がる一見のどかに見える草原にだって、不可視の罠が幾らでも存在する。
かつてその存在を教えてくれて、そして死んでしまった(多分)男性に倣いグリッチと呼んでいる異常な空間にして超自然の罠。
強力な装備と優秀な人材を揃えた米軍の特殊部隊ですら、この脅威の前には多くの犠牲を出し、身動きが取れなくなる代物だ。
彼らは今も、この裏世界のどこかにあるきさらぎ駅で立ち往生しているのか。
私たちと別れた後、うまく抜け出せたのか。
もしくはもう、全滅してしまったのか――なんて薄情なことを考える。
グリッチの中でも詳細が判明しているものは少ないが、大抵は踏み込んだ時点で命を落とすか、“死んだ方がマシ”な状態になるような存在だ。
……そんな世界に積極的に入り込む私たちは、もしかしたらちょっと変わっているのかもしれない。
「
「ちょっと待って」
名前を読んでくる相方に答え、右目を凝らす。
私の右目は以前とある怪異に接触した影響で、裏世界の存在を見通す視界を得ていた。
不可視のグリッチを視認することができ、裏世界を探索する上ではとても有用な代物だ。
……なのだが、外見ばかりは勘弁してほしい。
右目だけ鉱物じみた青色に変化し、地味な外見の私には似合わなすぎるオッドアイだ。
ちなみに鳥子の左手の指先も、怪異との接触で青く透明なものへと変化している。
裏世界の存在を掴み取る機能があるのだが、はっきり言って私の右目とは比べものにならないくらい言い訳のきかない外見的変化だ。
人と人との距離が遠いと言われるこの時代。
人に見られても案外見て見ぬふりをされるそうだが、中には不躾な輩もいる訳で。
それを嫌って、普段は手袋で隠している。
「ん、大丈夫そうかな」
異色の右目を通した視界の中に、グリッチの存在を示す銀の燐光は見えない。
そのことを告げると、鳥子は「うんっ」と周囲を見渡す。
「じゃあどんどん行こう!」
「ちょっと落ち着きなよ。私の“目”だって実際どこまで視ることができるか分からないんだから、何か見落としがあるかもしれない」
「うーん、それもそうね。気をつけながら急ぎましょう」
鳥子は目的故か裏世界の探索に対する意欲は非常に高いのだが、反面ちょっと考えなしな部分もある。
理屈の通った意見ならすごく素直に聞いてくれるので、その辺りは助かるのだが。
もっとも彼女の“お友達”が関わらない場合に限るが。
「とりあえず今日はあっちの方に――」
そう言いかけた時だった。
ドォン!! と草原に音が響き渡り、炎が――否、爆炎が上がったのが見える。
私と鳥子は顔を見合わせ、まずは私が口を開いた
「あの爆発、何かな。もしかして米軍の人たちがこっちまで来たの?」
「でもきさらぎ駅からここまでは結構距離もあるはずだし、グリッチと《怪異》を乗り越えてここまで来れたっていうのは、ちょっと考えにくい気もする」
鳥子の言葉には頷ける部分が大いにあった。
私個人としてはこの裏世界に非常に惹かれているが、事故的に取り込まれた米軍の人たちからすると悪夢のテーマパークと言っていいだろう。
実際に拠点として運用しているきさらぎ駅から、大きく動くことができていなかった。
限界を迎える前に最後の決死行に挑んだ可能性もあるが、推測ばかり続けても答えは出ない。
「――とにかく行ってみよう。米軍の人たちだとしても他のナニカだとしても、放ってはおけないよ。もしかしたら
「あ、ちょ――!?」
駆け足で爆炎の上がった方角に向かう鳥子に、慌てて追いすがる。
(まったく――またお友達かっ!)
離されないように鳥子の背を追いながらも、行き場のない苛立ちを噛みしめる。
『行方不明になった友達を探す』――なるほど、立派な目的だろう。
そのために危険極まりない裏世界を巡るのは蛮勇かもしれないが、鳥子は自分に出来ることを必死にやっているだけだ。
――だからこそそのことに昏い感情を覚える自分に、動揺や自己嫌悪を覚えるのだが……
鳥子と出会って初めて抱いたこの感情を、私は未だにうまく消化することができないでいた。
やがて爆炎が立ち昇った現場に辿り着く。
当然あの大きな炎は消えているが、焦げた香りが鼻に届き、青々しかったであろう草原は黒く変色し、ところどころにチリチリと小さな火が灯っている。
その光景を見ながら私たちに背を向けているのは、黒い異形の人型。
そいつはゆっくりと私たちの方に振り返り――顔が分かる頃には人間の姿になっていた。
「空魚」
鳥子が小声で話しかけてくる。
「今、人間じゃないように見えたんだけど、あなたはどう?」
彼女の藍色の瞳が訴えんとすることは理解できる。
物理法則の支配する世界ならまだしもここは裏世界。
僅かな時間とはいえ視認できたあの異形の姿を、“気のせい”の一言で片付けるのは危険すぎる。
「私も一瞬前は怪物に見えた。でも今は――」
裏世界には、多くの怪生物が存在している。
私たちの知っている植物や動物を歪めたようなものから、見ているだけで精神を冒涜されそうな異形まで。
中には“人の想像する都市伝説”を形にしたような存在も、少なからず存在する。
それらの生き物は、基本的に人の視覚情報として認識できる姿と実際の姿が全く別物である場合が多い。
そして私の青い右目は、その実態を暴くことができる。
左目では人型に見える相手が、右目では歪んだ鳥居に見えるといったように。
――しかし、だ。
その右目をもってしても、目の前の相手は人間にしか見えない。
少なくとも左右の目から得られる姿には、これといった差異は見つけられなかった。
とはいえそれだけで、目の前の男が人間だと判断するには足りない。
まず第一に服装がおかしい。
なんだあの妙なデザインの紫の服は。
あんな服装で東京の街中にでも繰り出そうものなら、悪目立ち間違いないだろう。
まるで別の世界の感性だ。
(うん? ひょっとしてその線なのかも)
未来人や平行世界人、もしくは異世界人。
もしかしたらあの男はその類のネットロアを模した怪異なのかもしれない。
勿論単に変な格好のオッサンという可能性もあるのだが。
「なんだ、人がいたのか」
男が私たちを見て呟いた。
「妙な空間異常と言い精神干渉を働く怪物と言い、人の住む世界ではないと考えていたが……」
「別に住んでいる訳じゃないよ。ゲートを使ってこの裏世界に入ってきたの」
独り言のような男の言葉に、鳥子が答える。
一応、会話ができる相手ではあるようだ。
――とはいえ簡単に近づくような真似はしない。
鳥子も愛用の自動小銃を構えこそしていないものの、何時でも扱えるようにしているのが分かる。
私だって扱いきれているとは言えないものの、遺憾ながら手に馴染んできた拳銃に手を添えている。
というか、だ。
私たちの銃器にまるで反応を見せないあたり、やはり普通の人とは思えない。
「裏世界、か」
私たちの警戒など考慮にも値しないというように、男が唸る。
「空気感でそうだと思っていたが、やはり異界や幽世の類か。ひょっとしたらポストアポカリプス系の世界かとも思ったが。まあ“彼女”が流れ着いている以上、さもありなんということか」
「………………」
ほらー、やっぱりなんか異世界人っぽい思わせぶりな言動。
やはり怪異の一種なのかとも疑うが、それにしては何というか、人間っぽい。
私の右目をどんなに凝らしても怪異としての実態は見えないし、こうして接触を続けていても気分が悪くなったり、妙な心の働きもない。
自覚症状が全くないタイプの干渉だったら厄介だが、その場合は私か鳥子のどちらかが異常に気付くことを祈るしかない。
「その目――」
「へ?」
男はいつの間にか私を――青く変じた右目を見ていた。
「魔眼の類か。先ほどからオレに干渉しているようだが、“攻撃”と捉えていいのか?」
「え、攻撃って……え?」
急に飛び出した物騒な言葉に、冷や汗が流れる。
言葉とは裏腹に敵対的な印象は受けないが、観察するような様子はある。
私としては心当たりがないので、内心あたふたしつつも何か言わなければいけないと思うが、こんな時に限って私の口はうまく言葉を紡いでくれない。
くそう、長年ボッチやってた弊害か。
「ごめんなさい、そんなつもりはないの」
そんな私に代わり、鳥子がAKから手を離し両手を上げる。
「空魚の目、こんなになったのは最近の話なの。だからあなたの言う“攻撃”っていうのもよく分からない」
「――そうか」
正直に答える鳥子に男は納得したのか、それでもどうでもいいと判断したのか。
「とにかく、その目で見過ぎるのは止めてくれ。対精神攻撃用の対策くらいは幾つかしているが、無駄に消耗するような真似は避けたい。特にこんな場所ではな」
「あ、はい。すみません」
とりあえず素直に言われたとおりにしておく。
「余計なお世話に聞こえるかもしれんが、その内機能の確認はしておいた方がいい。例え話だが、覗き込んだ相手が不幸になったり異形の怪物に変わったりとかは、嫌だろう?」
「それは、まあ……」
先ほどから男が語る多くの単語は、私の持つ一般常識からはかけ離れたものだ。
字面から何となく意味こそ想像できるが、通常の会話で使うようなものではない。
――少なくとも今まで裏世界で出会ってきた怪異の、どのタイプにも当てはまらない。
だったら人間なのかと問われれば、また疑問が残るところではある。
言動がちんぷんかんな割に意味自体は理解できなくもないあたりが、何とも奇妙な感覚だ。
「あなたは人間ということでいいの?」
気になっていたことを、鳥子があっさりと突っ込む。
この上なく分かりやすいが、もうちょっと遠回しに聞けないのかとは思う。
――彼女の微妙なコミュニケーション能力の欠如は、人との距離感を見定めることの下手さから来ているのだろう。
なんせ鳥子はスクールカーストの頂点に君臨していそうな容姿の割に、私と同じくボッチなのだから。
「哲学的な意味で?」
「生物的な意味でお願い」
「この異界――君達の言い方を借りれば裏世界か。少なくとも、裏世界に住む奇妙な生体の生き物たちと同種でないことは確かだ」
「はっきりしない言い方ね」
「あいにくと病院で検査すれば、人間と認めてもらえるか怪しい身でな」
何とも婉曲的かつ好奇心をくすぐるような言い回しだった。
このオッサン、絶対面倒くさい奴だろうと私の中で認定する。
「さて、一先ず自己紹介でも済ませておくとしようか。オレはスウォルツだ」
「私は
「……
よろしく、とは言わなかった。
現状、あんまりよろしくしたい相手でもなかったから。
というか明らかに日本人的な容姿なのに外人的な名前なのか。
もっともそれを言ってしまえば、鳥子も外人さんみたいな見た目なのにバリバリ日本名なので、口には出さないが
「――ああ、なるほど」
「なるほどって、何が?」
一人得心がいったというような声音に、私は聞き返していた。
「いや、色々と繋がってな。思い出したというべきか」
「私たちの名前で、いったい何が――」
「あっ、もしかして冴月の知り合いとか!?」
スウォルツを問い詰めようとした私に、目を爛々と輝かせた鳥子が割り込んでくる。
「
閏間冴月――鳥子の探す“お友達”。
私自身に面識はないが、個人的事情からちょっとおもしろくない人物。
裏世界の研究者であったらしく、目の前の男が彼女の知り合いというのなら、私はともかく鳥子の名前を彼女から聞いたことがあるというのはありうる話だろう。
――希望的観測ではあるが。
「いや、悪いが知り合いという訳ではない。諸事情から名前を“見た”ことくらいはあるが、赤の他人だ」
「そっかぁ……」
肩を落とす鳥子。
在って無いような希望はあっさりと打ち砕かれた。
いや、名前を知っているだけでも正直出来過ぎだとは思うのだが。
「スウォルツさんはどうして裏世界に?」
「人探しだ。知人が紛れ込んだようでな。高校生くらいに見える茶髪の女の子だが、どこかで見なかったか?」
高校生くらいに“見える”ということは、実際には高校生ではないのだろう。
鳥子経由で小学生にしか見えない大人に知り合ったので、彼女に比べれば見た目と年齢に差はないと思うが。
「そっか、スウォルツさんも……残念だけど見ていないわ」
人探しということで、鳥子は興味と共感を覚えたようだ。
動機が同一なのだから仕方ないだろうが。
こうしてみると、金稼ぎと興味本位から裏世界に来ている私が若干場違いにも感じる。
動機としては、私のが一番純粋だとは思うが。
それに結局先ほどの“なるほど”が何を指していたのか、聞きそびれてしまった。
今更蒸し返す空気でもなくなってきたし。
「一応私たちも気にかけておくから、良かったら名前教えてくれない?」
「む、それは助かるが……」
言い淀むスウォルツだったが、やがて観念したように口を開く。
「もし遭っても、あまり深くは関わらない方がいい。……色々と厄介な娘だからな」
仮にも探している相手にあんまりな言い草だろうと思った。
私の言える話ではなかったが。
鳥子も同意見だったのか、僅かに形のいい唇を尖らせる。
「厄介って、ちょっとひどくない?」
「まあ、そうなんだがな」
鳥子の意見に
「彼女の名は
転生者愚痴りスレ
1221:名無しのごとき氏
疲れた。
1222:名無しの記憶探偵
開口一番どうしたのだね?
1223:名無しの装者
あ、ごとき氏さん乙です。
1224:名無しのごとき氏
乙~。
ちょっとばかり神経使う場所の探索しててなー。
1225:名無しの鬼っ娘
ほほう、お客さんどちらまで?
1226:名無しのごとき氏
『裏世界ピクニック』って知ってる?
その世界にある裏世界ってとこ。
1227:名無しの魔法提督
知らんべ。
1228:名無しの装者
私も知りませんねー。
1229:名無しの寺生まれ
オレ知ってるっス。
確か百合と都市伝説を扱った作品だったっスね。
1230:名無しの装者
百合。
1231:名無しの魔法提督
>>1230
ほほう、お嬢さん百合に興味があるのかね。
女所帯だもんな、シンフォギア
1232:名無しの記憶探偵
その裏世界とやらはどんなものなのかね?
言葉面で何となく想像はつくが。
1233:名無しの装者
>>1231
ナイナイです。
私はノーマルな恋愛を求めています。
1234:名無しの寺生まれ
ご想像通りだとは思うっスけど、幽世とかの異世界系統っスね。
人ならざる者が住む、物理法則では測れない世界っス。
1235:名無しの鬼っ娘
幻想郷みたいなとこ?
1236:名無しの魔法提督
>>1233
同性愛も場所によっちゃノーマルと認められてるよー。
基本的に、人口や社会に余裕がある世界になるけど。あと宗教とか。
1237:名無しのごとき氏
>>1235
講義の意味では同じカテゴリだが、幻想郷とは別物。
あそこほど人間に優しくない。
1238:名無しのごとき氏
訂正:講義×→広義○
1239:名無しの寺生まれ
そうっスね。
うろ覚えっスけど、危ない空間トラップとか結構あったような。
確か踏み込んだらこんがり上手に焼かれたり、紙人間になったり。
1240:名無しの装者
>>1236
そっちは未来ちゃんとかに任せます。
>>1239
紙人間っていうと?
1241:名無しのごとき氏
裏世界に関わって肉体面が変化した人を第四種接触者って呼ぶんだけど、その症状の一つ。
人体が紙くずの山みたいになる。
1242:名無しの記憶探偵
こちらにも塩化という症状は存在するが、なおひどく感じるよ。
それは生きたままということかね?
1243:名無しのごとき氏
直接見てはいないけど、生きてはいるらしい。
とはいえ意識があるかは分からないし、何も出来ずにエアコンの風に揺られているくらいだけど。
一応治療しようとはしているみたいだが、正直一度殺して生き返らせた方がまだ早い気がする。
そもそもちゃんと死ねるのかも分からんが。
下手すりゃ灰になっても生きている可能性があるからな。
1244:名無しの鬼っ娘
そりゃあひっどい話だねぇ。
1245:名無しの魔法提督
こう言っちゃなんだが、死んだ方が幸せな事ってあるよな。
1246:名無しの寺生まれ
創作物としてならそういうのも好きっスけど、実在はしてほしくないものっスね。
1247:名無しの装者
ごとき氏さんは、その治療を頼まれたんですか?
1248:名無しのごとき氏
いや、今回は完全な私用。
あの世界に転生者がいるのかも分からんしな。
1249:名無しの記憶探偵
ほう、それは珍しいね。
君はいつも、誰かの依頼で動いている節があったが。
1250:名無しのごとき氏
まあ、身から出た錆だからな。
ちょっと知人が行方不明になって、探しに行ってた。
1251:名無しの鬼っ娘
またオーフィスかい? それとも他の界渡り?
1252:名無しのごとき氏
一応、面倒を見ているという名目の子でな。
とは言っても普段は人に預けているんだけど。
1253:名無しの魔法提督
名目て。なんだかおもしろそうな気配がするんだが。
1254:名無しの寺生まれ
その子大丈夫だったんですか?
変な後遺症とか。
1255:名無しのごとき氏
>>1254
問題ない。
というか、存在そのものが裏世界と相性がいいから紛れ込んだんだろうな。
今回は、“平行世界の硬貨”の都市伝説を起点に世界移動したみたいだけど。
まあ、預けていた場所の特殊性もあるだろうが。
1256:名無しの記憶探偵
ふむ、どうにも難しい事情の子のようだね。
1257:名無しのごとき氏
否定はできないな。
十叶詠子って名前なんだけど。
1258:名無しの寺生まれ
魔女じゃないっスか!?
なんでいるんすか!
1259:名無しの魔法提督
……ああ、思い出した。Missingか。
あのホラー系ライトノベル。
1260:名無しの鬼っ娘
誰なんだい?
1261:名無しのごとき氏
>>1259
ホラーじゃなくてメルヘンらしい
>>1260
誰かと言われれば、やっぱり魔女と答えるべきなんだろうな。
昔色々あって、拾ったというか、引き取ったというか、攫ったというか。
1262:名無しの装者
……へぇ。
1263:名無しの魔法提督
お巡りさん、こっちです!
1264:名無しの寺生まれ
お巡りさんはアンタでしょーが。
でも何というか、大丈夫なんスか?
ある意味じゃオーフィス以上の危険人物っスよね?
1265:名無しのごとき氏
世界を渡り始めてかなり初期に渡った世界でな。
正直引き取ったのは自分でも割とどうかしてたと思う。
ベストどころかベターだったかすら未だに分からんしな。
でもまあ、普段はそれほど危険でもない。
何もなければ結構平和な子だし。
その手の事に理解がある相手に預けているから、このまま落ち着いてくれればいいなーと。
1266:名無しの記憶探偵
しかし今回妙な場所に行方不明になった、と。
1267:名無しのごとき氏
別に深い考えがあっての事じゃないと思うけどな。
出身世界の世界観的に近いものがあるから、繋ぎやすかったんだろう。
1268:名無しの寺生まれ
ああ、そういやどことなく似てるっスね。
1269:名無しのごとき氏
どっちも現実が幻想から侵略を受けてるからな。
アプローチの手法も似ているし、案外根っこの辺りで繋がりがあるのかもしれん。
1270:名無しの鬼っ娘
ふーん、こっちじゃ幻想は現実に追いやられているんだけどねぇ。
1271:名無しのごとき氏
人は科学で幻想を暴いて克服したつもりかもしれないけど、幻想は空想を使って人に“理解できないナニカ”を思い出させたんだろう。
単なる戦闘力とは別方向の、不条理さと理不尽さで殴りかかってくるからな。
オレも昔ひどい目にあった。
1272:名無しの寺生まれ
そりゃどんまいっス。
こっちじゃそれほど強度のある都市伝説はないっスからねぇ。
そういえば、裏世界ピクニックの主人公たちには会ったんスか?
1273:名無しのごとき氏
会った。
正直に言えば、彼女らとの遭遇が今回一番意外だったことだな。
特に遭遇する理由も必然性もなかったし。
1274:名無しの鬼っ娘
ふーん、どんな奴らなの? 百合って言ってたし女子二人?
1275:名無しの寺生まれ
女子大生の二人組っスね。二人一緒に裏世界の探索をしている。
1276:名無しの装者
女子大生、ですか。
1277:名無しの鬼っ娘
>>1275
なんかちょっと覚えがある構図だねぇ。
1278:名無しの魔法提督
>>特に遭遇する理由も必然性もなかったし。
それはつまり……運命?
1279:名無しのごとき氏
やめい。
百合の間に挟まったホトトギスの末路を知らんわけじゃないだろう?
《ちょっとした設定集》
○
出展:裏世界ピクニック
「検索してはいけないものを、探しに行こう」
自称普通の地方出身の女子大生。偶然から裏世界を見つけ、惹かれ、探索し、死にかけた末に後に相棒となる鳥子に助けられ、共に行動するようになる。
裏世界の怪異に接触したことで第四種接触者になり、裏世界の存在の実態を見通す青い右目を持つ。
裏世界で変なオッサンに会って、変な会話して、少しの間裏世界を一緒に探索した。でも多分3日くらいしたら記憶の片隅にしまい込まれる。むしろその際出会った“魔女”の方がはるかに印象に残っている。
○
出展:Missing
「魔法は使えない。箒で空も飛べないし、黒猫と話もできない。それでも彼女は、魔女なのである」
とある世界に生まれ落ちた魔女。無邪気さの際立つ女の子。神降ろしは潰え、名付けられた暗黒は姿を見せなくなった。その後母の遺言を携えた男に誘われる形で、“願いを叶える店”に預けられた。
現在はその店で居候兼バイトとして活動中。日向ぼっこしたり、店主の仕事を手伝ったり、偶になんかやらかしたりしている。
以上、裏世界ピクニック編でした。
ちょっとマイナーな側の作品ですが、アニメ化もされるようなので、今後目にされる方も増えるかもです。ちょっとクセはありますが、百合とかSCPが好きな方なら楽しめるかも。
Missigはひと昔前の作品ですが、最近新装版が出た模様。どちらも怪異と、それにまつわる理不尽さを取り扱っています。
それでは今回はこの辺りで――