昼、緑谷に轟が声をかけてきた。
焦「緑谷、ちょっといいか?」
出「うん」
場所を移動して裏の道に続く入り口で2人は向かいあう。
出「それで……なにかな?」
焦「……ああ。こういう話はお前には少し重たい話になるが聞いてもらいたい。なぜか
お前には話しておかないといけないって気がしたんだ」
それで轟は話す。己の過去の事を。親であるエンデヴァーはオールマイトを超えるヒーローを作るために金と実績で母親の個性を手に入れるために個性婚をした事。それで複数の子供が生まれて2人の個性が同時に発現したのが自分だと。さらに左側の火傷は母親から「お前の左が醜い」と言われ煮え湯をかけられて出来た事も……
出「それって……」
焦「ああ。酷い話さ。親父のただの自己満足だけで俺は生まれたんだからな」
出「轟君……その」
焦「俺は親父の“個性”は使わない。右の力だけでトーナメントを勝ち進む。それだけを
お前に知っておいてほしかったんだ」
出「なんで、僕にその事を……?」
焦「なんでかな……?よくわかんねぇんだ。でも、俺はお前にも勝たないといけない。
時間を潰しちまって悪かったな」
それで轟はその場から離れて行こうとするが緑谷が声を出す。
出「轟君!うまく言えないんだけどね……僕も君には負けないよ。いろんな人たちの
助けがあって今の僕があるんだ……だから。それにできることなら轟君にも全力を
出してもらいたい。そうすればきっと君の悩みも解決できるかもしれないから」
焦「……ああ。右だけでの全力で相手をしてやるよ」
出「そうじゃない!エンデヴァーの個性を引き継いでいたとしてもそれはもう君の――…」
大事な事を緑谷は伝えたかったけど、もう轟はその場を離れて行ってしまっていた。こんな時に大事な事をしっかりと伝えられなかったことに緑谷は少しだけ後悔の念を感じていた。
轟side
焦「(俺は…)」
龍「よう!」
焦「!黒牙」
龍「出久と何話してたんだ?」
焦「聞いていたのか」
龍「うんにゃ、知らねーよ」
昼休憩が終わる前に、戻ろうとしたら、黒牙に捕まった。『知らない』と言ってるが、こいつは信用できねぇ。
焦「お前には関係ない」
龍「そうだな。でも、“全くの無関係”ってわけではないだろ」
焦「?どういうことだ」
龍「いまはまだ知らないくていい。でも、」
黒牙が意味深げに笑う。その顔はどこか寂しそうだ。
龍「互いに“血”のせいで大変な目にあってるんだな」
焦「っ!お前やっぱり…」
龍「さてさてさーて。なんのことやら」
焦「ホントお前は食えないやつだよ」
龍「にしし。それはお互い様だろ」
初めて、黒牙に共感したかもしれない。
轟side out