朝…
「アサルト、準備できたか?」
「ああ」
「メリオダス、もう行くの?」
「そうだよ。どうした?」
「私も行きたい」
「……は?」
「私も、保須市に行きたい」
「なんで急に」
「メリオダスの仕事の様子を、そばで見て見たいから」
「…ダメって言ってもくるんだろ?エリザベス」
「ええ」
「…わかった。ただし、絶対に俺のそばから離れるなよ」
「わかってるわ」
「つーことで、センパイ。神輪もくるそうだ」
「え…」
「まあ、アサルトのそばにいるならいいんじゃないか?」
「わかりました…よし、それじゃあアサルト、神輪ちゃん。行くぞ」
「ああ」
「ええ」
ー保須市ー
「よし、そんじゃあパトロール開始だな!」
「ん」
「キャァッ」
「今のは…!」
黒牙と先輩ヒーローが駆け出す。それに続いて、天月も2人を追う。
「!あれは」
「だ、誰か助けて…」
「アサルト!」
「わかってる!!」
3人が到着したところでは、五人組のヴィランが暴れていた。しかも、そのうちの一体は小さな子供を人質を取っている。途端に黒牙の雰囲気が鋭くなり、表情が消える。
「『神器』神斧リッタ『無慈悲な太陽』!」
「ぐわぁっ」
「あ、あいつは!!」
「アサルトデビル!」
「なんでこんなところにいんだよ!!」
“アサルトデビル”と呼ばれ、少し傷ついた顔をする黒牙だが、すぐになんでもないように振る舞う。そんな黒牙を、天月は心配そうに見ていた。
「大人しく人質を渡せ。そうすればすぐに楽にしてやる」
「ああ、渡してやるさ。死体になった後になぁ!!」
人質をとったヴィランが人質を殺そうと、攻撃を仕掛ける。が、今まですみの方で見ていた天月が前に出て、ヴィランへと言葉を発した。
「『やめなさい』!!」
「あ?」
「神輪!?」
すると、天月の言葉を向けられたヴィランの動きが止まる。
「な、なんだ?!」
「『その子をこちらに渡しなさい』」
ヴィランが大人しく人質を離す。人質だった子どもは、まっすぐ天月の方へと向かってきた。
「大丈夫?怖くなかった?」
「う、うん」
「ほら、お母さんが心配してるよ。戻って安心させてあげなさい」
「ありがとう、」ブルブル
「どうしたの?」
天月が訝しげに尋ねると、子どもは震えながら天月の後ろを指差した。天月が振り返ると、人質を取っていたヴィランが彼女へ向け、ナイフを振りかざしていた。
「あ…」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「お姉ちゃん、危ない!」
天月はその場から動けず、ナイフが刺さると全員が思っていた。が、ナイフは彼女に刺さる直前で弾かれた。
キィン
「なっ!?」
「…」
ヴィランと天月の間には、クナイのような小型ナイフを持った黒牙がいた。
「今、何しようとした…?」
「あ?」
「今、お前は、エリザベスに、何をしようとした?」
途端に黒牙からヴィランへ、殺気が向けられた。静かな、だけど確実に人を殺せそうな鋭い殺気が。そして、ヴィランを見る黒牙の目も、怒りが滲んでいた。しかし、殺気を向けられたヴィランは黒牙の目に浮かんだ感情に気づかず、ただただ震えていた。
「あ……あ…」ブルブル
「答えろよ。お前は俺の大切な奴に…エリザベスに何をしようとナイフを向けた?」
「メリオダス、もうやめてあげて」
「…エリザベス。お前はどっちの味方だ?」
「もちろん、メリオダスよ。でも私は、これ以上あなたがだれかを傷つけるのを
見たくないの」
「…」
「お願い…」
「……ハァ…わかったよ」
黒牙は殺気を消し、天月の方へ向き合った。そして、ほかのヒーローたちが敵を捕まえた。
「アサルト!」
「おー センパイ」
「お疲れ!」
「そっちこそ」
「まあ、お前ほど活躍してねぇけどな」
「ま、いいんじゃないか?それより腹減ったな」
「昼行くか?」
「いいですね」
「どこにする?」
「そうだな―――」
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「そんじゃアサルト、また後でな」
「ああ」
午後からは、黒牙・天月、先輩ヒーローに分かれて見回ることになった。黒牙は天月とともに保須のパトロールを始めた。
夕方…
「メリオダス、そろそろ…」
「そうだな、連絡するか」
黒牙が連絡を取るために携帯を取り出すと、2人から離れた地で爆発音が鳴り響き、様々な場所から炎が上がった。
「神輪!」
「うん!」
「どこに行くんだい?」
「なっ!」
向かおうとした途端、2人の背後から声が聞こえ、黒牙が苦しみ始めた。その様子は尋常ではなく、天月は慌てて駆け寄った。
「ぐ、がぁぁぁあぁぁぁぁあぁ!!!」
「メリオダス!」
「ああ、よかった。僕のかけた呪いはまだ健在のようだね」
その場に天月の悲痛な声が響くが、場違いな声が2人に降り注ぐ。黒牙は、霞む視界の中でその人物を認め、目を見張った。
「な、んでお前が…ここ、に…?!」
「ひどいなぁ…まるで僕がここにいたらだめみたいな言い方じゃないか」
「オール・フォー・ワン…!」
そこにはオールマイトの宿敵であり、黒牙に呪いをかけたオール・フォー・ワン、その人がいた。
「久しぶりだね、龍生君、天月 神輪君。元気だったかい?」
その顔に、楽しそうな笑顔を乗せて。