大罪の力使い、ヒロアカ世界に転生   作:枸凪

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26話 職場体験3日目・後半

「オール・フォー・ワン…」ブルブル

「がぁぁぁあぁ!ぐっ カハッ」

 

オール・フォー・ワンに恐怖を抱えている天月は震えだす。しかし、いつもなら彼女を落ち着かせるために抱きつく黒牙は呪いにより、苦しんでいた。

 

「そんなに怯えられると、いくら僕でも傷つくんだけどなぁ…」

 

そう言いつつも、天月の怯える様子を、黒牙の苦しむ様子を見て、楽しそうに笑っている。

 

「なに、しにきたの…」

「いや?あの時君を逃したのはやっぱり惜しいと思ってね、迎えに来たんだよ」

「え…」

「さあ、僕と一緒に行こう。天月君」

「い、いや…」

 

天月が弱々しく抵抗するものの、オール・フォー・ワンは気にならないという風に彼女の腕を引っ張り、立たせる。しかしその時、黒牙からフラフラとだが立ち上がり、天月をオール・フォー・ワンから引き離し、守るように立ち塞がった。その様子には、流石のオール・フォー・ワンも驚き、大人しく腕を離した。しかしそれも一瞬のことで、興味深そうに見る。

 

「へぇ…まだ立ち上がれたのか」

「神輪は、俺が守る…絶対に、連れて行かせはしない…!」

「メリオダス…」

「でもさぁ、立ってるのもやっとだというのに、龍生君はどうやって彼女を僕から

守るつもりなんだい?」

「…」

「考えも無しに出てきたのかい?君も大概バカだね」

「それでも…俺は、こいつを守りたいんだ…!」

 

黒牙は、強い意志を宿した瞳でオール・フォー・ワンを見る。その目を見たオール・フォー・ワンは、しばらく思案していたが何かを決めたように顔をあげた。

 

「よし、龍生君。君が僕と一緒にきてくれるなら、天月君は諦めよう」

「俺?」

「うん。僕は君のことも欲しかったからねぇ。もし来るなら、彼女に手は出さない。

どうだ?いい案だろう?」

「俺、は……」

「メリオダス、ダメよ!貴方がいなくなるなら、私が行く!」

「天月君はこう言ってるけど、君はどうする?いや、どうしたい?」

「本当に、エリザベスに手を出さないのか」

「もちろん。これでも僕は義理堅いんだ。約束はちゃんと守るよ」

「…わかった」

「メリオダス?!」

「その代わり、絶対に手を出すな」

「交渉成立だね」

「少し、待っててくれ」

「わかった」

 

黒牙は、天月へと向いた。

 

「『神器』戦鎚ギデオン」

「メリ、オダス…?」

 

天月の方へと振り返った黒牙は、戦鎚ギデオンと小型ナイフを一本、彼女へ渡した。その瞳は光が宿っておらず、表情も消え、まるで“3000年前のメリオダス”のようだった。

 

「お前なら使えるはずだ。護身用として渡しておく。俺はもう、お前を守れないから」

「ッ!待って、待ってよ!私を置いて行かないで…!」

「じゃあな、エリザベス。いや、“柏出 リツキ”」ボソッ

 

そして、黒牙はオール・フォー・ワンと共に姿を消した。先輩ヒーローが戻ってくると、そこには黒牙から渡された『神器』戦鎚ギデオンと小型ナイフを抱きかかえ、泣いている天月だけがいた。のちに天月は、オール・フォー・ワンが現れた同時刻に、ヒーロー殺し ステインと脳無が現れ、現地にいたヒーローたちは、そっちの対処に追われていたと聞く事となる。先輩ヒーローの連絡により到着したヒーローや警察が黒牙を探したが見つからず、天月は雄英の校長により、ヒーロー殺しと遭遇したA組の3人と同じ病室へと入れられた。

 

 

そして歯車は回り始める…

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