S級ヒーローはクロスオーバー枠   作:arc

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33撃目 話を聞かないS級たち

 「おめでとう、サイタマくん、今日からB級に昇格だ」

 

 サイタマは深海王とは別にノルマを達成して、黒服のヒーロー協会関係者から昇格を告げられていた。本人としては、なんかやらかしたか? という内心びくついていたのだが、あ、それならよいか。と、説明を受けていた。

 説明をしている協会関係者のしたっぱは、態度悪いな今回のヒーローと思いつつ、若干表情にもでているが。

 

 「であるからして、C級よりも強い怪人の対応が増え、災害時の招集も多くなりますからね……見た目も大事なんですよ」

 

 それを見ている昇格決定権者(上司)は、サイタマさん、なんでC級で登録しなおしてんの? あれ? あなた、すでに……ん? S級の新人と行動しているというのは、いったい? もしや、新人教育をしてくれているのか? サイタマさんなら、任せても、竜巻娘より大丈夫のはず……。あと、とりあえず、この部下の対応は少しとがめておこう。と考えていた。

 

 「それでは、B級として、恥ずかしくない行動をとってください」

 「あいよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それから数日後、サイタマとジェノスは、シルバーファングに誘われて流水岩砕拳の道場にきていた。

 武術とはなんなのか。教えてもらっていた。正確には、模擬戦闘をしていた。

 

 「おい、じいさん、無理するなよ」

 

 「なんのなんの。若者に負けんよう渇を入れ直しておるから大丈夫じゃよ。これが、第六感の先を極めるとできる速さじゃ」

 

 「金ぴかのやってるやつか。こうか?」

 

 「それに加えることで、こうなる」

 

 「じいさん、それは、よくわからん」

 

 身体能力を上げることについては、サイタマも真似できたりするのだが、流水岩砕拳については、カッコいい動きという認識のみにとどまっていた。

 それを見ているジェノスは、光しか見えん、これが、S級の実力……隕石のときも、バングだけで対応できたのではないか? オレは強くなれるのか。落ち込んでいた。

 というところに、けたましい音をたてながら、ヒーロー協会の職員が道場に飛び込んできた。

 職員の後ろには、黒い穴があり、魔法のような光を放っていた。

 

 「いたたた、常人にはこの移動方法は無理があるような。 失礼しました。シルバーファング様、鬼サイボーグのジェノス様、……とワ……サイタマ様、S級ヒーローの緊急会議の招集です。どうぞ、こちらの移動門ゲートを通って、本部までお越しください」

 

 

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 場所を移してヒーロー協会本部会議室、サイタマ達の前に、豪華なローブを纏った人骨、銀髪銀眼に大剣をもった華奢な女性、白を基調としたマントの筋肉質な男性、緑のウネウネ髪の小さい女性の四人が席についていた。

 

 「さっそくですまないが、今回の招集に参加できたのは、君たちですべてだ。最上位ヒーロー17人しかいないS級のうち、7人、いや6人に集まってもらえて嬉しく思う。他のヒーローは怪人退治に、拘留中、デート、アルバイト、修行、暗躍……一部、もう少しなんとかならないものか。いや、君たちに言っても仕方ないのだかね。今回の案件は、この半年以内に地球がヤバいと占いがあった。いつもヤバいと思うのだが。明日かもしれないし、来週かもしれないが、これを伝える必要があるのか疑問だが、備えてほしい」

 

 とりあえず、お茶をくれないか?

 酒ならあるぞ。

 飛天よ、サイタマくんは飲まんのは知ってるじゃろ。

 先生、どうぞ。

 

 筋肉質の男は飛天と呼ばれ、手には酒瓶、腰には白木拵えの長刀。バングとは、親しげにはなし、サイタマとも既知のように接している。その横でジェノスが甲斐甲斐しく働いていた。

 

 あんた、もう少し愛想よくできないの?

 無理だ。

 キーッ、変身後も腹立つけど、前もムカつくわね!

 それは、テレサにいってくれ。

 同じでしょ!

 

 で、女性二人は、小さい方が、大きい方に絡んでいた。結局この六人は、長々と話をしている協会職員をほぼ無視していた。ただ一人の苦労人は、一応気にかけていた。

 

 一応、警戒を強めるか。センス・エネミー……なんだと?

 

 「上空に……敵だ。私の縄張りで、勝手をしようとするなら、罰をあたえようではないか」

 

 宣言と同時に、協会本部の警報が鳴り響く。

 

 「時間停止=タイムストップ」

 

 とある魔法によって時間を停止。直後、転移魔法で移動を開始する。

 同時にサイタマと飛天、シルバーファングが動き、それぞれジェノス、小さい方、大きい方をつれて、転移に追従した。

 

 「A市、G市、O市の中間位置の上空に未登録飛行体を確認、え、皆さん、どこに? 先ほどまで」

 

 状況説明をするも、会議室のS級は全員退室済み、別の職員が再度情報を確認すると

 

 「本社屋上にS級ヒーローを確認。未登録飛行体を見据えております」

 

 「さすがS級だ、行動が早い」

 

 外に出たS級達は、怒りからどす黒いオーラを出す人骨をなだめていた。

 

 「敵だと、その能力でわかったとしても、実際に攻撃や威嚇行為が無いのに排除はできない。自分の守る街で、この状況では落ち着かないと思うが、少しオーラを抑えてくれ」

 

 「銀眼の魔女さん……すみません。この骨の身を温かく受け入れてくれた民達を思うと、どうしてもな」

 

 「隣接するA市、O市、G市は主を旗印に、ナザリックと称し、魔導王と崇めているんだ。民を守るなら、暇なときは協力してやるさ。バカ弟子たちにもしっかりしてほしいがな」

 

 「飛天さんも、ありがとうございます」

 

 大きい方の女性が銀眼の魔女と呼ばれており、細身の身体に、大きなクレイモアと称された大剣を扱うS級9位のヒーローである。その身には、妖魔を宿しているとかいないとか。

 飛天は正確に飛天御剣流当代、民のために大昔から刀を扱い、圧政者や不当な暴力と戦っていた流派、その当代がS級4位となっている。

 そして、魔導王と呼ばれた人骨、死霊系魔法詠唱者であり、アインズ・ウール・ゴウンと名乗ることもある。頭文字のAOGと守る街がたまたま同じ上に、行く宛もないところを助けてもらったこともあって、恩には恩で返す、困っていたら助けるのが当たり前が心情で、いつからか魔導王と市民から呼ばれ、行政からもお伺いをうける立場となっていた。S級12位ということにもなっている。

 残りの小さい女性は、超能力者のタツマキさんである。

 

 紹介は、以上として、未登録飛行体が空に現れてから、住民は混乱し、しかし魔導王が現れてから歓声があがった。

 

 そして、飛行体に動きがあり……下面の砲門が稼働した。

 

 「やはり戦闘か? タツマキさん、頼めますか?」

 

 「はいはい、やってあげるわよ」

 

 タツマキが、超能力で砲撃をそのまま跳ね返す。

 

 「すみませんが、ごみの回収もお願いできますか?」

 

 「あんたね! やってあげるけど、なんでも私にやらせないでよ!!」

 

 そうこうしていると、飛行体から頭がたくさんついた怪人が降りてきた。

 

 「貴様ら、よくも我らの船を!! 貴様ら、許さんぞ!!」

 

 「フハハハ……いやいや、許してくれ。あまりにも雑魚にふさわしい台詞に笑いをこらえきれなかった。」

 

 魔導王から、再度どす黒い絶望のオーラが発せられる。

 

 「許さないのは、私の方だ。貴様らには死を送らせてもらおう」

 

 即死耐性はあるのか? リアリティスラッシュではどうだ。

 

 縦に真っ二つにしたが、笑いながらそれ以上に怪人は分裂して動き出した。ちょうど、たくさんついた頭の数に分かれた。

 

 「こいつらつよい?」「でも」「我らの方が」「強い」「皆殺し」「やっちゃおう」

 

 「地上のは、わし、飛天、銀眼、ジェノスくんで対応しよう」

 「タツマキさんは上の警戒をお願いします。サイタマさんは先に乗り込んでいってください」 

 

 戦闘が開始する。

 地上では、飛天が斬り込み、まずは一体に一瞬に九撃を与えて倒せるかの確認をする。ダメだとわかると銀眼の魔女が右腕に大剣をもち、高速で剣を走らせる。5体ほど巻き込んでバラバラにしていった。その他にも燃やしたり、ボコボコにしたりもしたが……

 無駄無駄と怪人が騒ぐだけだった。

 

 「広場ひとつを潰すことになるが、皆さん私の方に敵を集めてください」

 

 魔導王が言うと同時に背中に大きな時計を背負った。

 ジェノスは、初めて共闘するからわからずもながら、怪人を魔導王の方に殴り飛ばす。他のS級達も蹴り、斬り飛ばす。

 

 「いかんいかん、ジェノスくん近くによりすぎじゃ」

 

 シルバーファングが、ジェノスを掴んで魔導王から距離をとる。

 

 「あらゆる生あるものの目指すところは死である」

 

 魔導王の宣言により、周囲十数メートルは植物も怪人も地面もなにもかもが砂、死に還った。

 

 ちなみに上空では、サイタマが飛行体の内部で暴れ、外からはタツマキが、ちぎっては叩きつけを繰り返していた。

 少したってから、飛行は続けているが、飛行体のボスがサイタマの一撃でふっとばされ、今回の戦いが決着した。

 

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 後日のニュースでは

 「本日、魔導国上空に怪人が現れましたが、S級ヒーローの方々の尽力により、死傷者ゼロ、唯一の被害は魔導王の必殺技によるアマイマスク緑の公園がアマイマスク砂場の公園へ変更してしまったことでしょうか。地域の子供達からはお砂場がほしかったの、などの好意的なメッセージが多く、結果として……アインズ・ウール・ゴウン魔導王万歳、アインズ・ウール・ゴウン魔導王万歳、アインズ・ウール・ゴウン魔導王万歳であります!!」

 今日も、AOG市は笑顔が絶えない。

 


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