Fate/last night《完結》   作:枝豆畑

10 / 29
今回は物語の核心に迫ります?よ




どぞ


第九話 螺旋

 

 

 

膨大な魔力の奔流、激しい閃光。辺りにはまだ魔力の粒子が残留している。

 

激しい宝具同士の激突の末、先に口を開いたのはキャスターの方だった。

 

「破魔の紅薔薇に必滅の黄薔薇…まったく、そちらの国では槍には厄介な能力が付くのが定石なのかね?」

 

そう呟くと、キャスターは右手をダラリと力なく下げ、手にしていた巨大な石斧を地に落とした。そして石斧は役目をと言うように、魔力の粒子となり消滅した。

 

キャスターの右腕は、裂けたように肩から肘にかけて大きな傷ができていた。そこからは血が吹き出ていて、キャスターの顔から余裕を奪っていた。

 

…では、ランサーは?

 

 

 

 

「…っく、ぐぁ…」

 

ランサーは苦悶を洩らし、玉のような汗を流していた。

 

…ランサーの足元は、真っ二つに折れた破魔の紅薔薇が転がっていた。

そして本来ならばそれを握っているべきランサーの右腕は、肩から先が千切り取られたかのように無くなっていた。ランサーの足元に、血で出来た水溜まりが徐々に広がっていく。

 

__先の宝具同士の激突で、キャスターの宝具の威力の大きさを悟ったランサーは、己の右腕を盾にしたのだ。そして必滅の黄薔薇でキャスターの右腕に傷をつけ、相殺しきれなかった残りの斬激は、狙いを定められなくなり、ランサーに当たることはなかった。

 

ランサーは肩で呼吸をしながら、キャスターの方を見た。

 

「…っぐ、お互い傷の大きさは違えども、剣をとれるか否かでは同じこと…それでは自慢の弓も扱えまい?」

 

キャスターは右手の状態を確認する。

 

(腱が…切られている…。あの状況下で、あの男は腱を狙って切ったというのか…)

 

この腱を切ったのは必滅の黄薔薇。あの呪槍を破壊するか、担い手であるランサーが消滅しなくてはこの傷は癒えない。

 

「やってくれる…たしかに、これでは私は戦えないな。そしてこれからマスターを救出に行くだろう君の脚に、魔術師である私は追い付けないだろうさ」

 

キャスターはやれやれ、と首を振るとそのままなにも言わずにランサーから目を反らした。

 

「…キャスター、次こそはお前を倒す。それまで、精々片腕で生き残ることだ。」

 

そう言うとランサーは、右腕の傷みを堪えつつ、主を救出すべく城へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぁぁあぁぁぁああぁッ!!」

 

切嗣の礼装、起源弾の餌食となったケイネスは、体のいたるところから血を吹き出し、そしてついに倒れた。

 

(これで一人目…)

 

止めを刺そうと切嗣は銃口をケイネスに向ける。

 

だが切嗣が引き金を引こうとしたその瞬間、切嗣とケイネスとの間に男が割って入ってきた。

 

「チィッ!」

 

切嗣はその男…ランサーに向け銃を放った。だが相手はサーヴァント、現代の重火器程度では傷ひとつつけることはできない。

 

(キャスターはなにをしている…!)

 

 

ランサーは全ての弾丸を軽く槍で往なすと、切嗣へと顔を向ける。

 

「貴様を今ここで殺すことがどんなに容易いことか、貴様も魔術師ならば分かるだろう。だが今は事を急いでいる。__次に会うときは必ず、貴様を、そしてあのキャスターを殺す。」

 

その時切嗣は、影に隠れていたランサーの全貌を見た。

 

右腕は抉れたように無くなり、絶え間なく血が吹き出している。口ではああ言っているものの、その美貌には余裕は無く、苦渋に満ちていた。

 

そしてランサーは器用に左腕でマスターであるケイネスを抱えると、窓から飛び降りて行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『キャスターとランサーは戦闘を止めました。互いに右腕に重傷を負っています。ランサーはアインツベルン城へ、キャスターは未だに移動していません。』

 

綺礼もアサシンと視覚を共有していたのでわかってはいたが、改めてアサシンから報告を受けた。

 

「そうか。それでは今からそちらに向かう。キャスターが移動しないよう、足止めをして…」

 

『綺礼様、ご、ご報告があります』

 

綺礼が言葉を紡ぎ終わる前に一人のアサシンが綺礼の前に現れた。

 

「…なんだ?」

 

綺礼は尋ねた。

 

『黒の、黒の騎士王が、こちらへ…キャスターの元へと向かっています。』

 

「なんだと!」

 

綺礼は焦りを露にして声を荒くした。

 

「なんとしてでもそいつを止めろ!騎士王に、キャスターを殺させるな!」

 

今のキャスターは手負いの状態だ。もし黒の騎士王と対峙してしまったら、間違いなくキャスターは殺されてしまう。

 

(私は問わねばならない…!今やつに死なれてはならんのだ…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャスターは右腕の状態を改めて確認する。

 

(やはり今のままでは戦闘はままならないな。当分の標的はランサーか…)

 

必滅の黄薔薇による傷は癒えることはない。サーヴァントにとってこれは、エーテル体を維持するための魔力を常に消費することを意味する。

 

「厄介な呪いだ、まったく……!?」

 

キャスターは息を呑んだ。膨大な殺気が、とてつもない早さでこちらへと向かってくる。

 

「…っ!この気配は…!」

 

キャスターは気配の向かってくる方角を見やる。

 

(今来るか…アルトリア!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(サーヴァントの気配が1つ消えた…これはランサーか)

 

走りながら黒の騎士王は記憶を辿った。そうだ、あの時ランサーをマスターを助けさせるために見逃したことがあった。

 

「……」

 

騎士の誓い…そんなもののために、私はかつて敵を見逃したのだ。

 

(では残っているほうは…?)

 

感じたことがある気配だ。だが思い出せない。

 

「……」

 

あと数秒もすれば敵の元へ着く。だがなんなのだろうか、この気配は。何処と無く胸騒ぎがするのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近づいてくる、彼女が。

 

あと数秒もすれば、対峙することになる。

 

 

 

 

 

(…来たか!!)

 

現れたのは黒い甲冑に身を包んだ一人の騎士王。

 

あぁ、忘れるはずがない。どんなに記憶が摩耗しようとも、彼女のことだけは思い出すことができる。それが、たとえどんな姿になっていようとも…

 

「やれやれ、困ったものだ。こうも連戦続きだといくら私でも体がもたんよ。」

 

内心の焦りを隠し、キャスターは皮肉気な笑みを浮かべる。

 

「…そうか、この気配はお前のものだったか。」

 

黒の騎士王は呟くようにそう言うと、キャスターへと目を向けた。

 

「アーチャー、今回のお前のクラスは何だ?」

 

「!!」

 

(なぜ、それを知っている!?)

 

キャスターは驚愕をこらえきれず、黒の騎士王の問いに答える。

 

「…なぜ、それを知っている」

 

騎士王はそれに対してつまらなげに答えた。

 

「知っているものは知っている。聖杯戦争で貴様と会うのは2回目だ。」

 

「なん…だと…?」

 

キャスターは考える。黒の騎士王は、アーチャーとしてのあの●●●●●を知っている。

 

つまりは…

 

「__君は、第五次聖杯戦争を知っているのか…?」

 

 

 

 




こんにちはSHIKIGamiです

いよいよ黒セイバーです

やっと出てきました


話は変わりますが…

画展空の境界

いやー感動しました

月の珊瑚

ホロウリメイク

SNアニメ化リメイク

なんだか今年の型月は熱いですね

それでは
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。