Fate/last night《完結》   作:枝豆畑

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ども




遅くてごめんなさい



どぞ


第二十話 救い

「はぁぁぁぁっ!」

 

セイバーの振るった横薙ぎの一閃。キャスターはそれを器用に剣の腹で受け流しながら、片方の剣をセイバーの首筋めがけて振るった。

 

「──!」

 

セイバーは体を反るようにしてそれを避け、キャスターから距離をとった。

 

「…なるほど、確かに貴殿は剣を振るうに値する腕の持ち主だ。それにそれは、才能ではなく貴殿による武練の賜物。キャスターには惜しい」

 

「…生前、厳しい師がいたもんでね。才能の無かった私に、剣というものを教えてもらった」

 

キャスターはフッと笑った。そして再び剣を構える。

 

「フッ…!」

 

キャスターが間合いを一気に詰め剣を振りかざすと、セイバーはそれを受け止めずに後退することでその一撃避けた。

 

「生憎、時間があまり無いものでね…!」

 

「そうですか…ならば剣を振りながら私の質問に答えてもらいます」

 

セイバーは剣を握り直すと、キャスターへと斬りかかった。

 

「何故…!私では王を救えない…!?」

 

ガキン、と鈍い音をたてながらキャスターの双剣はその一撃を受け止める。

 

「フン、愚問だな。むしろ私は、何故裏切りの騎士である君が、そうまでして彼女に固執するのか聞きたいものだ…!」

 

セイバーは弾かれた剣の軌道をそのままに再び剣を振るう。

 

「私の願いは、王にこの身を裁かれること…!」

 

キャスターは舌打ちをすると、腰を捻りながら左上からきた剣を受け流す。

 

「だが、今のようなあの王に裁かれることを私は望んだのではない…!」

 

セイバーはそのまま剣に力を籠める。

 

「何故、王があのような姿になってしまったのかは分からない…ただ…」

 

体勢の悪いキャスターはその重みに耐えきれず、大きくバランスを崩した。

 

「もしも…もしも、あの丘に…国の結末に絶望し、その身を悪に委ねたとしたならば…!」

 

セイバーは剣を振りかざす。

 

「元凶でもある私には、その事実に耐えきれない…!」

 

「……ッく!」

 

直撃は避けられたものの、セイバーの一撃はキャスターの左肩に傷を負わせた。

 

「…!キャスター…!」

 

アイリは一瞬遅れて、キャスターに治癒をかける。

 

「…すまない、アイリスフィール。だが、これ以上の魔術の行使は君の命に関わる」

 

すなわちキャスターは、これ以上は助けるなとアイリに言ったのだ。

 

「キャスター…」

 

キャスターはゆっくりと立ち上がると、再び剣を構えた。

 

「…なるほどな、つまりは自分のためという訳だ」

 

「……ッ!」

 

セイバーは駆け出した。そしてキャスターと剣戟を交わす。

 

「たしかにそうかもしれない…!たが、私が王に…!かつて誰もが理想とした王に戻ってほしいという望みに、偽りはない…!」

 

「フン…!そうかもな!だがそれも、結局は理想と名の変えたただの押し付けに過ぎん…!」

 

キャスターはそう言うと、受けていたセイバーの剣を左に委ね、右に持った剣をセイバーへと振りかざした。

 

「…何故です。貴殿こそ、なぜそこまで我らに…?」

 

セイバーは左手でキャスターの一撃を捉えるとそう言った。

 

「…一つ、良いことを教えてやろう」

 

「…?」

 

互いの剣が拮抗し合う中、キャスターは言った。

 

「騎士王があのような姿になったのは、君の言う『国の結末に絶望したから』などという理由ではない」

 

「な…」

 

「つまり君の考えは全てお門違いということだ…!」

 

キャスターはそういうと、セイバーの腹部を蹴り飛ばした。

 

「ッ!…ではなぜ…なぜ、王はあのような姿に…!」

 

セイバーは、崩れた体勢を立て直すと叫んだ。

 

キャスターは何かを考えるかのようにしてしばらく目を瞑り、そして瞼をゆっくりと開くと言った。

 

「…それはおそらく、未熟者であった私のせいなのだろう」

 

 

 

 

 

 

 

「「AAAALaLaLaLaLaie!!」」

 

征服王の咆哮とともに、数え切れないほどの軍勢が一斉に駆け出した。

 

 

 

「…数による暴力、か」

 

騎士王は構えていた剣を握り直した。瞬間、騎士王の身体中を膨大な魔力が駆け巡る。騎士王の周囲では砂嵐が巻き起こり、さながら騎士王を中心に竜巻が起こっているかのようだった。

 

「…くだらない。いいだろう、数だけでは覆すことの出来ない、本当の暴力を見せてやろう」

 

轟、という音をたてて、黒き聖剣が唸りをあげた。

 

 

 

 

「おい、ライダー…!あれって…!」

 

前方の騎士王を見て、ウェイバーは息を呑んだ。暴風の中心に、剣を構える騎士王。

 

「不味いって!…あんなのまともに喰らったら…ラ、ライダー…?」

 

ウェイバーの呼び掛けに応じることなく、そのまま馬を駆り続けるライダーに、ウェイバーは焦った。

 

騎士王のあの構えは、以前ギルガメッシュに放ったあの宝具の構えだ。いくらライダーでも、直撃を受ければ敗北は免れない。

 

それでもなお馬を駆り続けるライダーに、あるいは作戦でもあるのだろうか。

 

「──!!」

 

その時だった。騎士王の纏う魔力が、全て剣へと集まるのをウェイバーは感じた。

 

「ラ、ライダー!!」

 

 

 

 

「…征服王、その総てを打ち砕く」

 

騎士王はフッと笑うと、聖剣が黒き魔力を帯び巨大化する。

 

「──我が旭光に飲まれるがいい」

 

騎士王が、その巨大な暴力を掲げ、そして振りかざした。

 

 

「"約束された───勝利の剣""!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういう…ことですか」

 

セイバーは困惑していた。

 

「…騎士王は…いや、彼女の理想は、そんなことでは倒れない」

 

「…!!」

 

「あるとしたら、それは恐らく本当に覆すことの出来ない、何か外的要因のせいだろう」

 

キャスターはゆっくりとセイバーへ歩み寄る。

 

「それに俺は、心当たりがあるという訳だ」

 

「それは、なんだというのですか…?」

 

キャスターはフッと笑った。

 

「答えるつもりはない。これ以上は役者が多すぎるのでね」

 

「…そう、ですか」

 

セイバーは沈黙した。

 

「遅すぎた、とは思わないのかね」

 

「なに…?」

 

「生前彼女を救うどころか、彼女を結果的に裏切ることになった君が、死んで英霊となった今になって"王を救う"と考えている。それを君は、遅すぎたとは思わないのかね?」

 

セイバーは剣を構えた。それに対して、キャスターも同様に剣を構える。

 

「たしかに、おこがましい考えかもしれません。──ですが」

 

「…ッく!?」

 

セイバーは、キャスターとの間合いを一瞬で詰め、キャスターへと斬りかかっていた。

 

「──貴殿に、何が分かるというのだ!!」

 

セイバーの力任せの一撃は、キャスターの防御ごと弾き飛ばすには充分だった。

大きく吹っ飛ばされたキャスターは、塀に背中から衝突した。

 

「…やれやれ、手荒な騎士だ」

 

キャスターは口から血を吐き出すと、立ち上がった。

 

「…形として見せなくては、分からないか…」

 

セイバーは追い討ちをかけるように、キャスターへと駆け出した。

 

「─I am the bone of my sword(体は剣でできている).」

 

キャスターは弓を投影すると、セイバーへと矢を放った。

 

「─Steel is my body(血潮は鉄で),and fire is my blood(心は硝子).」

 

「これは…!!」

 

セイバーはそれを咄嗟に避けたが、足元に刺さった矢を見て、以前もこのようなことがあったことを思い出した。

 

「─I have created over a thousand blades(幾度の戦場を越えて不敗).」

 

「この感覚は、一体…?」

 

アイリは、キャスターから今までとは違う魔力の流れを感じた。

 

「─Unaware of loss(ただの一度の敗走はなく). Nor aware of gain(ただの一度の勝利もなし)

 

その時だった。キャスターを中心に、剣が突如として出現した。

 

「─Withstood pain to create weapons(担い手はここに独り)

 

「こ、これは…!?」

 

広がり続ける剣の出現に、今まで沈黙していた雁夜も声をあげた。そして冷静さを取り戻したセイバーも、雁夜を庇うようにしてキャスターと相対する。

 

「─waiting for one′s arrival(剣の丘で鉄を鍛つ).」

 

誰もが、驚愕していた。

 

「─I have no regrets This is the only path(ならば、我が生涯に意味は不要ず)

 

──その、無数の剣と

 

 

My whole life was(この体は)─"Unlimited Blade Works(無限の剣でできていた)"」

 

 

──その、キャスターの世界に

 

 

 




お久しぶりです。枝豆です。

近頃なかなか執筆の時間が厳しくなっておりましてと、まずは言い訳です

遅くても2週間に一回は更新したいですね…

いきなりですがFateアニメ、やったー!やりましたね!

とか言っておきながらこれ(last night 書いてたんで小生、まだ視聴しておりませぬ汗

みーたーいー

話はさておき本編へ

キャスターの詠唱は、士郎のほうになっております。

理由はたくさんあるのですが、解釈は皆様にお任せ致します。

質問などあれば感想欄でお答えはいたしますので

それでは


追記

エミヤさんの台詞はランチャーさんのオマージュ

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