重原子力ミサイル巡洋艦 ザンクード、抜錨する!   作:Su-57 アクーラ機

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政治と言うか謀略系と言うか・・・その手の部類は苦手なので、矛盾してるかもしれないです。



第27話 異動?第十一鎮守府

???

 

 

「ああ、そうなんだよ。前にあった、第五鎮守府の艦隊とこっちの艦隊との間で起きたいざこざの時だ」

 

薄暗い執務室内。

大きな椅子の背もたれに倒れ込むようにしながら、机に両足を乗せている男は携帯電話を片手に誰かと会話をしていた。

 

「その時旗艦を任せてた奴がよ、見たって言ってたんだよ。何?見間違いじゃないかって?あいつはあの時(・・・)その艦娘と一緒に出てたんだぜ?俺も、まさか生きてるなんざ思いもしなかったがな」

 

男はニヤリと口角を吊り上げる。

 

「あの時はただのクソ生意気な軽巡風情だと思っていたが、中々お目にかかれねぇ雷巡になってるとはなぁ。ちったぁ使えるようになってたって訳だ。それに、あの第五鎮守府に在籍してるっつう・・・何だっけか?・・・ああそうだ、ザンクードって奴と、なんかスゲェ爆撃機も来たらしいじゃねえか」

 

男は1度言葉に区切りを付けてから、「そこでだな」と口を開く。

 

「何とかしてそいつらをセットでこっちに連れて来れねえか?いや、アレに関しては正確に言うと返してもらう(・・・・・・)だがな。ああ、そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━木曾をな。それに、まだ生きてるってんなら、あんま野放しにして何かあったら面倒だろ?頼んだぜ、親父」

 

 

数日後

 

 

「し、司令官さん!」

 

第五鎮守府の執務室に、突如電が大慌てで転がり込んで来た。

ガチャン!というドアの開放音を聞き、執務机と向き合って業務に当たっていた提督は、「?」とした表情で顔を上げる。

 

「どうした?電。そんなに慌てた顔をして・・・」

 

「げ、元帥がお越しになったのです!」

 

「・・・は?・・・はあ!?」

 

電の口から放たれた言葉に、提督は椅子を倒しながら盛大に立ち上がった。

元帥がこの鎮守府に来ると言う情報は一言も聞いてない。つまり、何の報告も無しに、いきなりここを訪ねて来たのだ。

 

「抜き打ち査察か何かか?いやでも、元帥直々に?と、とにかく電、元帥は今どこに?」

 

「応接間にお通ししたのです。それと・・・急用があるとかで、ザンクードさんと木曾さん、それとツポレフさんも呼んで欲しいと・・・」

 

「急用?ザンクードとツポレフ、木曾も呼べ?

・・・なぁんか穏やか雰囲気じゃない話のような気がするな。とにかく、俺は元帥の所に向かうから、電は3人を呼んで来てくれるか?」

 

「分かりました!」

 

言うが早いか、電は大急ぎで3人を呼びに向かい、提督は小走りで応接間へと向かって行った。

 

 

「あ!ザンクードさん!」

 

「うん?おお、電じゃないか。そんなに慌ててどうした?」

 

「直ぐに応接間に向かって下さい!」

 

「・・・応接間だって?」

 

「はい。元帥がお越しになっていまして、ザンクードさんと木曾さん、ツポレフさんを呼んでほしいと言われたのです」

 

「・・・ただ世話話をしに来た訳じゃ無いみたいだな。分かった、直ぐ行く。電は?」

 

「電は木曾さんとツポレフさんを呼びに行くのです」

 

「そうか。木曾は分からんが、ツポレフなら工廠か、その横の格納庫にいるだろ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

「あれ?キャプテン、あの娘って電の嬢ちゃんじゃないですか?」

 

「・・・?ああ、そうみたいだな。誰か探してんのか?」

 

「あ、こっちに気付きましたよ。よお、電の嬢ちゃん。どした?」

 

「こんにちは、ラミウスさん。実はツポレフさんに大至急応接間に向かってほしいのです!」

 

「はぁ、応接間。そこに何かあるのかい?どうします?キャプテン」

 

「急ぎなんだろ?悪いが、俺の足じゃトロいから連れてってくれねえか?」

 

「それじゃあ電の手に乗って下さい。あと、木曾さんも探してるので、少し遠回りになるのです」

 

「あいよ。それじゃラミウス。ちょっくら行ってくる」

 

「イエッサー!」

 

 

「うーん、木曾の姉ちゃんが中々見つからねえな」

 

「困りました・・・。あとは木曾さんだけなのですが・・・」

 

「オレがどうかしたか?」

 

「「ッ!?」」

 

「き、木曾さん・・・。ビックリしたのです・・・」

 

「わりぃわりぃ、突然名前を呼ばれたからな」

 

「だ、大丈夫なのです。それより、今元帥がお越しになっていて、ザンクードさんとツポレフさんと木曾さんを呼んでいるのです」

 

「オレとザンクードと、そこのツポレフも?」

 

「はい。ザンクードさんは先に行ったので、あとは木曾さんとツポレフさんだけなのです」

 

「分かった。緊急みたいだし、急ごう」

 

「なのです!」

 

「ちょっ!?電の嬢ちゃん、もう少し丁寧に走ってくれ!ふ、振り回されてるぅぅ~!」

 

 

応接間

 

 

コンコンコンと小気味の良い音を立てて、暗色の木製ドアがノックされる。

 

「失礼致します」

 

入室してきたのは木曾とツポレフだった。

木曾は左手にツポレフを乗せた状態でビシリと敬礼し、彼女の手の上に立っているツポレフも少しゲッソリした顔ではあるものの、背筋を伸ばして敬礼をする。

 

「木曾及びツポレフ、ただいま参上致しました」

 

「ああ、そんなに畏まらなくて良い。楽にしてくれ」

 

そう言って、元帥は右手を上げながら、柔和な笑みを浮かべた。

 

「さて、全員揃ったようだな。今回私がここを訪ねたのは、勿論、ただ世話話をしに来た訳じゃない」

 

そう告げる元帥は、先程とは打って変わって真剣な表情を作る。

 

「単刀直入に言おう。君達が以前に出会(でくわ)した第十一鎮守府なんだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに異動してもらいたいんだ」

 

“第十一鎮守府に異動”

元帥から言い放たれたその言葉に、その場にいる全員が両目を目一杯に見開き、動揺した。

 

「ああ、待ってくれ。今のは少し語弊があった。これは恒久的なものじゃない。今からその理由も含めて話す」

 

元帥はゆっくり重々しく口を開き、ザンクード達が第十一鎮守府へ異動させられる理由を話し始める。

先日、あの第十一鎮守府の司令官の親父である三管史(みくだし)大将が俺達を第十一鎮守府に送ってくれと言って来たらしい。

いや、正確に言うと、木曾に関しては「生きているのが確認できたから返せ」だそうだ。

当然「そんな事は無理だ」と突っぱねようとしたそうだが、大将のある種の脅しとも取れるような言葉に、この要求を本格的に検討せざるを得なくなったらしい。

この大将、いけ好かない事に戦果は凄まじいものだが、それは艦娘達を奴隷の如く使い潰しているからだ。

それに加えて自身の息が掛かった私兵も多数抱えているらしい。

で、その私兵と資金や資源などを第十一鎮守府に回してもらっている息子にも汚職の容疑が出ている(と言うより、ほとんど真っ黒)と言う訳だ。

そこで、大将の要求を逆手に取って、俺と木曾、ツポレフ達を第十一鎮守府に異動と言う名目で潜入させ、決定的な証拠を押さえたあと、本人及び加担する者も拘束する。と言う事らしい。

 

「いきなりそんな場所に行けと言うのも無茶な話なのは分かる。だが、どうか引き受けてはくれないか?」

 

そんな元帥の真剣な表情を見据えたあと、呼び出された3人は顔を見合わせ、互いに頷き合う。

そして、提督に俺達の意志が決まった事を目で伝えると、向こうからは静かな頷きが返って来た。

 

「元帥、全会一致です。第十一鎮守府への異動の件、謹んでお受け致します」

 

「そうか、受けてくれるか・・・!ありがとう。無事と成功を祈る」

 

元帥が椅子から立ち上がり、とても年配者には見えない程きれいな敬礼をする。

 

「「「はっ!」」」

 

そんな元帥の敬礼に対し、俺達は踵をカツンと鳴らしながら答礼した。

 

 

「みんな」

 

「話がある」

 

応接間での一件のあと、ザンクードと木曾は自身の艤装妖精達に異動の件を伝える為、自身の艤装の元へ訪れていた。

 

「ザンクードさんと木曾さん?どうかしましたか?」

 

作業中だった艤装妖精達が「?」という表情でこちらを見つめ、その直ぐ隣に置かれている木曾の艤装の妖精達もこちらを振り向く。

 

「ああ、デカイ仕事を頼まれたんだ。それも元帥直々にな。詳しく説明するとだな━━」

 

応接間であった事を、俺はギャリソン達に説明する。

 

「━━と言う訳で、第十一鎮守府に行って確実な証拠を掴み、できればそこの汚職兵士と司令官も拘束してくるって訳だ」

 

「成程、そんな事が・・・了解です。やってやりましょう!」

 

もっと驚くと思っていたが、ギャリソンからは気合いの入った声が返って来た。

 

「クソッタレ共の尻尾を掴んでやろうぜ!」

 

「腕が鳴るなぁ!なあ、メリケンサックは持って行って良いと思うか?」

 

「構わん、持って行け。木曾さんの艤装妖精からは、あそこの戦艦の艤装妖精共はクソだと聞いてるからな」

 

「待て待て待て、メリケンサックは流石にヤバいだろ。て言うか、何でそんなもん持ってるんだよ」

 

「何かあれば、トゥームストーンにお任せを!」

 

「おう、またよろしく頼むぜ、トゥームストーン!」

 

「お?キィじゃねえか!任せときな!俺達はプロさ!」

 

「アイリッシュ、あまり調子に乗ってバカやらかすなよ?」

 

「うるせえ、余計なお世話だ。コヴィッ()

 

「俺の名前はコヴィックだ。ア()リッシュ」

 

「あ゛?」

 

「お゛?」

 

一部物騒な事を言っていたり、取っ組み合いが始まりそうであったりはするが、2人の艤装妖精達からは次々にやる気に満ち溢れた声が上がる。

 

「みんなありがとう。出発は4日後だそうだ。必ず連中に後悔させてやるぞ!」

 

「「「おおぉぉぉ!!」」」

 

「ふふっ、相っ変わらずお前の艤装妖精達はテンション高い奴らだな」

 

「だろ?でもな、間宮羊羮を見せたら更にスゲェ事になるんだぜ?」

 

「前の青葉探しの時みたくか?」

 

「ああ、あの時のあいつらは普段と気迫が違ってたよ」

 

「そうか。・・・ま、その話は置いといて、だ。やってやろうぜ、ザンクード」

 

「そうだな。必ずあの野郎の顔に1発かましてやる」

 

そう言って、ザンクードと木曾は互いの拳をコツッと軽くぶつけた。

 

 

「キャプテン、お帰りなさい。どうでしたか?」

 

同じくツポレフも応接間での一件をフライング・デビルの搭乗員に伝えるべく、彼らの元へ歩いて行く。

 

「ああ、第十一鎮守府に行って連中の汚職の尻尾を掴んで引きずり出すんだとさ」

 

「マジですか?!ザンクードの艤装妖精から聞いた話だと、木曾の姉ちゃんを撃ったっていう奴らがいる基地じゃないですか!」

 

ラミウスが目を剥いて驚愕の声を上げた。

 

「大マジだ。決定的な証拠を掴んだら、連中をボコって大人しくさせて、ムショ(刑務所)に叩き込むって寸法だな」

 

「おお~、そいつは良いですね」

 

「へっへへへっ、デスペラードスピリッツの見せ所って訳だ」

 

「奴らの顔が蒼くなるのが目に浮かぶぜ」

 

指をパキリポキリとクラッキングしたり、「ヒュ~」と口笛を吹く搭乗員の妖精達。

 

「と言う訳で、出発は4日後だ。だが、俺達はザンクードと木曾の姉ちゃんと同時に着くようにする為、遅れて離陸する。俺達だけで到着したら、向こうの連中に何されるか分かったもんじゃねえからな。それと、工廠妖精も数人連れて行くそうだ」

 

「お?クルー以外を乗せて飛ぶのは久しぶりですね」

 

「ああ、そうだな。さあ、お喋りは終わりだ。準備に掛かれ」

 

「「「イエッサー!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さぁて、『乗り心地最悪』で有名なフライング・デビルの兵員搭乗席に座れる幸運(・・)な工廠妖精は誰だろうなぁ?」

 

格納庫内でツポレフが悪どい笑みを浮かべながらボソリと呟いたのと同時刻、工廠内にいた数人の妖精の背中に得も言われぬ悪寒が走った。

 

 




前書きの通りなので、「ふーん、第十一に行くんだー」程度と思って頂ければと思います。
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