重原子力ミサイル巡洋艦 ザンクード、抜錨する!   作:Su-57 アクーラ機

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今回は、ジェームズ・ヨシダ 様の『大東亜帝国海軍 海上自衛隊の奮闘記』とのコラボとなります!

コラボのお誘い、誠にありがとうございます!

私自身コラボの経験が本当に少ないので、上手くできるか心配ですが、どうぞよろしくお願い致します。










第40話 異世界の艦隊との邂逅

???

 

 

太陽の光が届かず、一寸先も見渡せない深海。

適応できた一部の生物でなければ水圧で押し潰されてしまう程の場所に、ソレはいた。

 

━━ここはどこだ・・・?

 

ソレの疑問に答える者はいない。

 

━━自分は誰だ・・・?

 

思い出したくても、濃い(もや)が掛かって思い出せない。

ただ唯一分かっているのは、自身に課せられた任務が1つあったと言う事だけであった。

 

「グルルル・・・」

 

思い出す事を止め、頭の中で残響している『任務』に従うソレは、外骨格(装甲)を軋ませながら動き始める。

 

━━任務、職務、使命、・・・了解。本艦はこれより作戦行動に移行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━祖国デスペラード連邦に、恒久ナる栄光あラんコトを。

 

水棲生物の如く体をくねらせて推進するソレはゆっくりと、しかし、確実に目的地へと向かっていた。

 

 

・・・その黒く禍々しい装甲の内部に隠された、強大な兵器と共に。

 

 

「ふぃ~、終わった終わったぁ・・・」

 

病室生活から解放されて早数ヶ月。通常勤務に復帰していたザンクードは担当海域の哨戒任務を終え、帰路につこうとしていた。

因みに今回は制圧海域の哨戒である為、ザンクード単艦での任務だ。勿論、武装はやり過ぎレベルで満載しているが・・・。

 

「ザンクードさん、仕事やりきった感が凄いですけど、帰ったら休憩後に訓練が控えてるのを忘れてませんか?」

 

肩を解すように回しているザンクードに、艤装の中から出て来たレッカーがニヤッと笑いながら話し掛けてくる。

 

「うっ・・・!分かってるよ・・・」

 

彼の言葉によって一瞬で現実へ引き戻され、顔をしかめるザンクード。

 

「今日は相手に凶器を向けられた際の対処術その3です」

 

なぜザンクードがレッカーからそのような訓練を受けていたのか。それは、以前の第十一鎮守府での一件にまで遡る。

自身の不注意も大きな要因であったが、敵の不意討ちに対処できずに腹をナイフで刺され、そこから1度形勢を覆された経験から『せめて最低限の対処はできるようにしておこう』と思い立ったザンクードは、その道のプロであるレッカーに教えを請うていたのだ。

 

「イエッサー。よろしくお願いしますよ、レッカー教官殿」

 

態とらしく背筋を伸ばして敬礼するザンクード。

 

「ふふん、きっちり近接戦闘のイロハを叩き込んであげますよ」

 

もっとも、今のレッカーの雰囲気では『最低限』だけで留まりそうに無いが・・・。

 

「はは・・・お手柔らかにな」

 

苦笑いを浮かべながら、ザンクードがそう言った時だった。

 

「ん?レーダーにいきなりノイズが・・・」

 

先程まで調子良く稼働していた筈のレーダーが、何の前触れも無く激しいノイズに見舞われた。

 

「ギャリソン、レーダーの様子がおかしい。故障か?」

 

「少々お待ちを。どうだ?・・・なに?分かった、ご苦労。・・・確認しましたが、故障部位は見当たらないそうです」

 

故障じゃないのか・・・?

 

「・・・電子妨害の可能性は?」

 

「それは極めて低いかと。ここまで強烈なノイズを引き起こす程なら、近距離まで接近するか、それなりの規模の機器が必要です」

 

「だよな。ましてやここはだだっ広い海だ。何か見えたら見張り員が気付く筈だしな・・・」

 

艤装外で双眼鏡を持って見張りを行っている妖精に視線を移し、彼らが一様に首を横に振っている事を確認したザンクードは溜め息をつきながら機器をいじる。

 

「定期点検は昨日終わらせて、問題が無い事をチェックしたんだが・・・。取り敢えずレーダーが使えない以上、目に頼るしか無い。奇襲を掛けられないよう、厳戒態勢で帰路を急ぐとしよう」

 

「イエッサー。他のクルーにも伝えておきます」

 

眉を寄せながらそう告げる彼に、ギャリソンは敬礼をしてから艤装内に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

「クソッ、さっきからずっとこの調子だな」

 

あれから少し経ったが、未だノイズが走り続けるレーダーにザンクードが小さく悪態をつく。

 

「ギャリソン、そっちはどんな感じだ?」

 

「ダメですね。原因が全く分かりません」

 

「そうか・・・」

 

「エルメリア製のレーダーは信頼性が高い事で定評があったんですけどねぇ・・・」

 

困ったような表情で腕を組んで「ふぅ」と息をつくギャリソン。

 

「・・・いっその事、この機会にレーダーを日本製に切り換えるか?」

 

と、ザンクードが冗談半分で頭上の3次元レーダーを指差した。

 

「彼らは精密機器に手慣れてますからね。原因不明とは言え、不調が続くようなら明石さんや工廠妖精達に頼むべきかもしれません」

 

「レーダーに依存気味の我々なら尚更です」と付け加えながら3次元レーダーを見上げるギャリソンに、ザンクードも「だよな」と同意する。

 

「だが、おかしな話だ。故障部位は見当たらず、電子妨害の可能性も低い。なのに、レーダーはこの有り様だ」

 

「磁気嵐と言う可能性は?」

 

「う~ん・・・いやぁ、そんな情報は無かった筈だが━━」

 

彼は左手を顎に宛がって今朝テレビで見たニュースを思い出すように一頻り唸ったあと、やはりそんな注意報は出ていなかったと、ギャリソンに告げている途中で口を半開きにして固まった。

 

「ザンクードさん?」

 

固まったままの彼を不審に思ったギャリソンが、彼に声を掛ける。

 

「レーダーが」

 

そんな彼に対して、呆けた表情のザンクードが口を開いた。

 

「?」

 

「レーダーが、直った・・・。まるで、始めから何事も無かった(・・・・・・・)みたいにだ」

 

その言葉に、同じくギャリソンも口を半開きにした状態で固まる。しかし、これだけは終わらなかった。

 

「それと・・・」

 

ザンクードは更に言葉を続ける。

 

「レーダーに反応あり。数は6隻だが、これがまた妙だな。IFF(敵味方識別装置)に反応しない。かと言って、深海棲艦でもない・・・」

 

スッと目を細めながら、反応のあった方角を睨むザンクード。

 

「よし、こういった時の常套手段だ。無線で確認を取ってみるか。ギャリソン、念の為に対水上戦闘は発令しておけ」

 

「イエッサー!総員、対水上戦闘用意!」

 

ギャリソンが無線機に指示を飛ばすや否や、けたたましい艦内警報が鳴り響き、クルーの妖精達が慌ただしく艤装内を駆け回る。

 

「対水上戦闘用意よし!ザンクードさん、自分も中に戻らせて頂きます」

 

「分かった」

 

敬礼をしてから、自身の肩を伝って艤装内に戻って行くギャリソンを見送ったあと、ザンクードはヘッドセットから伸びるマイクを口元に引き寄せた。

 

「方位2-7-0を航行中の艦隊へ。こちらは日本国国防海軍、第五鎮守府所属ザンクード。貴艦らの所属と航行目的を述べられたし」

 

しばしの沈黙。

 

《━━こちらは大東亜帝国海軍所属、鳳翔型航空母艦 信濃。当艦隊は現在哨戒任務中》

 

返って来たのは、聞いた事も無いような国名と艦名であった。

 

大東亜帝国?それに、鳳翔型航空母艦の信濃だと?そんな艦艇いたか・・・?

 

ザンクードは眉を寄せながら口を開く。

 

「・・・失礼だが、大東亜帝国なる国家は聞いた事が無く、貴艦の名称も初耳だ」

 

《・・・?おかしいな。そんな筈は・・・》

 

相手もこの状況に酷く困惑しているようだが、ここでザンクードの脳裏に1つだけ浮かんだ光景があった。

 

俺がこの世界に来て、初めて木曾達とコンタクトを取った日に少し似てるな・・・。まさかとは思うが、相手も俺と同じように別世界から・・・?

 

あまりに突拍子も無い考えだが、経験した事のあるザンクードだからこそ考え着いた仮説だ。

 

「質問を重ねるようで失礼だが、ザンクードと言う艦艇に聞き覚えは?」

 

《いや、無いな。さっき聞いたのが初めてだ》

 

「・・・日本国と言う国家は?」

 

《ああ!それならある!》

 

(ザンクード)の事は知っておらず、しかし、日本の事は知っている、か。

 

「最後に1つ。『深海棲艦』と言う単語は?」

 

《知っているも何も、あの黒い連中だな?それなら、何度か交戦した事があったよ》

 

オーケー。これで大体は把握できた。

 

「・・・信濃、落ち着いて聞いてくれ。俺の頭がおかしくなった訳でも、君達をバカにしている訳でも無い。恐らくだが、ここは(・・・)君達の知っている世界じゃない」

 

《・・・成程。だとしたら辻褄が合うな》

 

信濃から返って来たのは、意外にも落ち着き払った声だった。

 

《まさか、また(・・)別の世界に飛ぶ事になるとはな・・・》

 

無線機からは苦笑いを浮かべる信濃の声が響く。

 

「『また』?」

 

《ああ。実を言うと、僕達は既に1回飛ばされた事があるんだ。で、その飛ばされた世界から、今度はこっちに飛ばされたってところかな》

 

「それも、哨戒任務中にね」と続ける信濃に、ザンクードは、ワーオと内心で呟いた。

 

《突然全員のレーダーとGPSが狂い始めて、ようやく直ったと思った直後に君をレーダーで捉えたんだが、こっちから声を掛けようとした矢先に君から無線が来たって訳さ》

 

レーダーがおかしくなったのは信濃達も同じようで、恐らく何らかの強力な力が働いた結果、レーダーに干渉してしまったと言ったところだろうか。

 

「成程。それで、妙に話が噛み合わないと思ったら、ここは別世界だったと。とすると、君達が所属していた基地は、こっちの世界では別物になっているだろう。行く宛は?」

 

《無いな。行ったところで、所属不明艦隊の無断侵入と言う事で大騒ぎになりそうだ》

 

「ふむ・・・少し待っててくれ」

 

そう言って、ザンクードは信濃との無線を1度切り、第五鎮守府への無線に切り替える。

 

「提督、ザンクードだ。聞こえるか?」

 

《バッチリだ。どした?何か問題でも起きたか?》

 

「あー・・・、問題っちゃあ問題だな。それもイレギュラーの」

 

頭をガシガシと掻きながら、どう説明しようか悩むザンクード。

 

《?》

 

「実はな━━」

 

恐らく鎮守府の室内で小首を傾げているであろう提督に、先程の信濃との会話内容を説明する。

ザンクードの話を聞いた提督は、終始驚きっ放しだった。

 

《異世界から来た艦隊・・・。お前と似たような感じか》

 

「ああ。で、向こうは行く宛が無いらしい。ここは一旦、第五鎮守府に連れて帰るってのはどうだ?」

 

《う~~ん・・・。相手に敵対意思が無いのは確かなのか?》

 

「確実とは言い切れないが、相手は6隻だ。それに向こうから『GPS』の単語も出てきた。なら、ミサイルを持っていてもおかしくはない。俺1人ぐらい殺ろうと思えば、律儀に応答なんかせずにその場で殺れただろう」

 

《・・・・・・よし、分かった。第五鎮守府への入港を許可しよう。こっちからも艦娘を何人か送る》

 

「助かる。それじゃあ」

 

そう言って第五鎮守府との交信を終えたザンクードは、信濃に対して再度無線を繋げた。

 

「さっき俺が所属する基地に連絡したんだが、行く宛が無いんだったらウチに来ないか?」

 

《それは嬉しい申し出だが、良いのかい?そっちからすれば、僕達は敵味方不明の艦隊だろう?》

 

「勿論、君達には悪いが、こっちの武装はいつでも使える状態にさせてもらう。だがまあ、真っ先にそんな言葉が出て来る時点で、君達が悪党だって言う線は薄いと思うがな」

 

《そうか・・・。分かった。その申し出に乗らせてもらおう。こっちはどうすれば良い?》

 

「こっちから迎えに行く。そこで待機しててくれ」

 

《了解した》

 

プツッと音を立てて、無線の交信が切れる。

 

「さぁて、それじゃあ行くとするか」

 

「とんだ展開になりましたね」

 

と言って、はははっ、と笑うギャリソン。そんな彼に対して「何があるか分からないもんだなぁ」と笑い返すザンクードは右手に持つマシンキャノンを握り直し、信濃達の元へと向かって行った。

 

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