重原子力ミサイル巡洋艦 ザンクード、抜錨する!   作:Su-57 アクーラ機

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20日近く空けてすみません。色々とバタついて、中々暇を見付けられませんでした。
恐らく、少しの間はこう言った事が続くと思います。

あと凄く今更ですが、この小説に登場する人名・組織・国や町などは、現実とは一切関係はありません。


第41話 水底に潜む巨影

信濃達との合流ポイントに到着した俺は、自身の存在をアピールするように左手を軽く上に挙げながら、ゆっくりと彼らの元へ近付いて行った。

 

「スマン、待たせた」

 

「いやいや、僕達が予想していた時刻よりも早くて驚いたぐらいだよ」

 

「そう言ってくれるとありがたい。改めて、日本国国防海軍、第五鎮守府所属のザンクードだ」

 

マシンキャノンを兵装ラックに収め、この艦隊の旗艦と思われる白い短髪と左腕に飛行甲板を着けた男性に対して敬礼する。

 

「大東亜帝国海軍、鳳翔型航空母艦の信濃だ。よろしく」

 

そう言いながら答礼してくる信濃から、右手が差し出された。

 

「こちらこそ」

 

差し出されたその手を前に、俺も同じく右手を差し出し、握手を交わす。

 

「後ろにいる5人が、さっき言ってた君の仲間と言う事で合ってるか?」

 

「ああ、その通りだ。紹介するよ。まず、僕の左に立っているのが・・・」

 

「大東亜帝国海軍、金剛型巡洋艦の愛宕だ。よろしくな」

 

1歩前に出てくる、細身の体躯に黒髪の男性。そんな彼の艤装には、俺の世界でも見覚えのあるような近代兵装が所狭しと並んでいた。

 

「同じく大東亜帝国海軍の敷島型巡洋戦艦、敷島だよ。よろしく」

 

と、黒い短髪に黒縁眼鏡、ネイビーカラーの海軍服を纏った男性。

 

「・・・大隅型強襲揚陸艦、大隈だ」

 

銀色の短髪に水色の瞳。ブーニーハットと迷彩服を着用し、警戒した目つきでこちらを見据えながら、自身の側にいる少女を護るように立つ男性。

 

「おおすみ型輸送艦のおおすみです。よろしくお願い致します」

 

黒のショートカットと、その髪色と同色の瞳。そして白い服を着ている少女が、大隅の横に並ぶようにして前に出てきた。

 

「ゆきなみ型護衛艦、みらいと言います」

 

最後に、耳元まで伸びる白い髪と、恐らく向こうの世界での軍服であろう白い制服を身に纏う少女。

 

信濃、愛宕、敷島、大隅、おおすみ、みらい、か。よし、覚えた。同名がいるが、まあ大丈夫だろう。

 

「ああ、よろしく。さてと、ここで立ち話もなんだ。第五鎮守府に向かうとしよう。・・・おっと?」

 

信濃達に向けてそう告げると同時に、レーダーに光点が1つ出現した。

 

「レーダー上に不明機1機を確認。まさか敵機か・・・?」

 

どうやら信濃達もそれを感知したようで、いつでも対空戦闘を行えるように急いで準備に取り掛かる。

だが、この中で唯一その機体の正体を知っていた俺は一言「大丈夫だ」と言って、それを制止した。

と言うのも、この機体が飛んで来たのは第五鎮守府からの方角であり、そして、このレーダー波に該当する機種が何であるかを俺は知っていたのだ。

 

《━━ヴァルチャーよりザンクードへ。お前さんの後ろにいるのが例の艦隊か?》

 

無線から響くのは、聞き覚えのある声とコールサイン。

 

「やっぱりツポレフか。当たりだ。ちょうど今から帰還しようと思っていたところでな」

 

《そうか。俺達の後ろから足の速い艦娘がそっちに向かってるから、そのまま直進して合流しろ。それまでの間のエスコートは俺達に任せな》

 

そう言いながら、フライング・デビルは俺達の頭上を通過して行く。

 

「随分と巨大な機体だな・・・。戦略爆撃機クラスかい?」

 

上空を悠々と飛行するフライング・デビルを目で追いながら問い掛けてくる信濃。

 

「ああ、今通った機体はフライング・デビル。俺の仲間だ。しばらくの間、エスコートしてくれるそうだ」

 

信濃の問いに返答した俺は現在時刻を確認する。時間は14:30時。このあとの事も考えると、少し急いだ方が良い頃合いだろう。

 

「向こうから別の仲間も来ているらしいから、そろそろ行くとしよう」

 

「それもそうだね。このままじゃ、時間と燃料を浪費するだけだ。すまないが、案内を頼むよ」

 

「オーケーだ。ヴァルチャー、移動を開始する」

 

《了解》

 

上空を飛ぶフライング・デビルに見守られる中、俺達は第五鎮守府への帰路に着いた。

 

 

同時刻 アメリカ領海内 太平洋方面

 

 

「な、何なんだよ、こいつは・・・!?」

 

「ひでぇ・・・」

 

「いったい何があったんだ?」

 

ゴムボートの外に広がる光景に、アメリカ沿岸警備隊の兵士達は口々に言葉を漏らす。

遡ること数時間前。付近を巡回中であった巡視船に突如救難信号が舞い込んで来た。

これを受けた巡視船は直ぐ様現場へと急行し、救助の為にゴムボートを発進させたのだが、それに搭乗する兵士達の眼前には、元は美しく白塗りされていたであろう小型の船体が無惨にも半分にへし折られ、幾つもの破片を波間に漂わせる姿があった。

 

「クソッ、何て事だ・・・!」

 

兵士の内の1人━━カーターがゴムボートのハンドルを強く殴る。

 

「まるでナニカに叩き割られたみたいだな。それも、飛んでもない力で。深海棲艦共か・・・?」

 

眉間にシワを寄せ、無惨な姿の小型船を見据えながら呟くフィリップス。

 

「とにかく、急いで要救助者をさが━━」

 

誰か!誰かいないの?!

 

マイルズが言葉を発した刹那、どこからか微かに声が聞こえた。

 

「ッ!?そっちの船室から聞こえたぞ!ボートを横付けしろ!」

 

「急げカーター!あれはいつ沈んでもおかしくない!むしろ、真っ二つにされてよく保った方だ!」

 

「分かってる!お前らは乗り移る準備しとけ!」

 

カーターがボートのスロットルを上げて素早い動きで小型船に横付けすると、フィリップスとマイルズが飛び移る。

 

あぁ、神様。お願いします・・・

 

やはり要救助者の声だ。どうやら、船室と外を繋ぐ扉のフレームが歪み、開かなくなってしまったようだ。

 

「沿岸警備隊です!救助に来ました!今からこの扉を開けますので、下がっていて下さい!」

 

き、来てくれたのね!?ちょっと待って、直ぐに退くわ!

 

扉の向こう側からバタバタと音が鳴ったあと、「良いわ!」と声が掛けられた。

 

「開けよっ!このっ!・・・クソ扉がッ!!」

 

フィリップスが開かなくなった扉を蹴りつけ、やがて、バキッ!と音を立てて蝶番(ちょうつがい)とフレームが壊れ、船室が解放される。

すっかり意味を成さなくなったそれをくぐった先にいたのは、老夫婦だった。

 

「お待たせしました。お怪我はありませんか?」

 

「私は少し壁に腕をぶつけた程度よ。それより、夫が頭をぶつけて血が出ているの・・・!」

 

この女性の言う通り、彼女自身は少し打撲痕が見られるだけで健康そうだ。しかし、男性の方は頭から血を流した状態で倒れていた。

 

「脈はしっかりある。この船の乗員は2人だけですか?」

 

「ええ、私と夫の2人だけよ」

 

「分かりました。取り敢えず、ここは危険ですので離れましょう。マイルズ、彼女を頼む。俺は彼を背負って行く」

 

「分かった。さ、こちらへ。足下に気を付けて下さいね」

 

マイルズが女性と共に船室を出て行く。

 

「よし、俺もこの人を背負ってっと・・・ん?」

 

男性を背中に乗せて立ち上がろうとしたその時、フィリップスは床に転がっている携帯電話を発見した。

カメラモードになったままで放置されていたようだが、次の瞬間、彼はその画面に写っていた画像を見て驚愕する事になる。

 

「これは・・・!?」

 

多少ブレがあるものの、そこには海中より延びる巨大な腕の様なナニカと、その先から更に延びている3本の角張った鉤爪(かぎづめ)らしき物が太陽光をギラリと反射している画像が写っていたのだ。

 

「まさか、こいつが船をやった張本人なのか?こんな深海棲艦は見た事がないぞ・・・」

 

ただ事では無いと感じ取ったフィリップスはその携帯電話を拾うと、男性を背負ったまま大急ぎでゴムボートの元へ戻って行く。

 

「この2人で全員だ。カーター、ボートを出せ」

 

老夫婦に毛布を宛がいながら、ボートを発進させるように命じるフィリップス。

 

「了解」

 

5人を乗せたゴムボートが軽快なエンジン音を上げながら、接舷していた小型船から離れること数秒後、辛うじて浮いていたそれはとうとう浮力を失い、ゆっくりと海中に没し始めた。

 

「間一髪だったな」

 

白波の中に消えて行く残骸を見つめながら、カーターがホッと胸を撫で下ろす。

 

「・・・?フィリップス、そんな怖い顔してどうした?」

 

先程からフィリップスが険しい表情を浮かべている事に気付き、彼に声を掛けるマイルズ。

 

「恐らくだが、この事件は並みの深海棲艦の仕業じゃねえ」

 

「並みの奴の仕業じゃないって・・・まさか鬼か姫クラスか?」

 

「いや、それじゃあ大きさが釣り合わん。少なくとも、2倍近い図体だ」

 

そう言ってフィリップスが差し出す携帯電話の画面を見たマイルズは絶句した。

 

「これは奴の腕と見て良いだろう。つまり、海中には本体が潜んでいるって訳だ」

 

「う、腕だけでも2~3m以上あるじゃねえか!?」

 

「ああ。それに、こんな腕の深海棲艦は書類でも見た事がねぇ。新種か、あるいは別のナニカ・・・と見て間違い無いだろうな」

 

「だとしたらかなりヤバイぞ。直ぐ上に報告するべきだな」

 

「その通りだ。あと、この男性が目を覚まし次第バケモンについて聴取する必要があるな。女性の方は船室の中にずっと居たらしいから、外で何があったのか知らんそうだ」

 

「成程、道理でそこまで酷い恐慌状態に陥ってなかった訳だ。あんなのがいきなり出て来たら、普通はパニクっちまう」

 

毛布に(くる)まる女性を横目に見るマイルズが、納得したように数回頷く。

 

「とにかく、巡視船に戻ったら2人共医務室に連れて行くとしよう。俺は無線で2人の保護を報告するから、お前は周辺警戒を頼む」

 

「分かった」

 

マイルズがライフルを構えながらゴムボートの周囲の警戒を始め、フィリップスは無線機のスイッチを入れて口元に宛がう。

 

 

一方その頃、ハワイ諸島と北アメリカ大陸の中間、深度600mの海中を巨大な影が航行していた。

その影の、恐らく肩と思われる部位から延びるのは、水の抵抗を軽減する為に短く縮められて格納されている合金製の腕。そしてその腕の先には、角張った巨大な鉤爪(かぎづめ)が3本生えた手のような部位。

この巨大な影は、まるで爬虫類を彷彿とさせる鼻先を目的地の方角に合わせ、ひたすら真っ直ぐ進み続ける。

ソレの鼻先にあるのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国47都道府県の内の1つ。沖縄だ。

 

 

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