重原子力ミサイル巡洋艦 ザンクード、抜錨する!   作:Su-57 アクーラ機

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第4話 第八鎮守府案内

「さて、これからはザンクードもここに居住してもらう事になるから、各施設の説明が必要だな。木曾、ザンクードを案内してやってくれ」

 

「任せとけ。それじゃあザンクード、案内するからついてきてくれ」

 

「頼んだ。それじゃあ提督、ここらで一端失礼するぜ」

 

そう言いながら、俺達は執務室をあとにした。

 

 

 

「ここが寮だ。ウチはまだまだ小さくて人数も少ないし艦種も特に隔ては無いから、空いてる部屋を好きに使ってくれ」

 

「分かった。あとで適当に選ばせてもらうよ」

 

「よし、次行くぞ」

 

 

 

「ここは購買だな。妖精達が店員をしている」

 

「妖精って、あの親指サイズのが店番してるのか?」

 

「ああ。だが、ちゃんと店は営業してるからそこは心配すんな。この辺りは一通り説明し終えたな。次だ」

 

 

 

「この建物はさっき来た所だな」

 

「ここは工廠だ。建造、開発、入渠の設備、資材備蓄用の倉庫なんかもある。因みに艤装の修理やメンテナンスは全てここの妖精が受け持ってくれてる」

 

「ふむ、妖精ってのはつくづく不思議な存在なんだな」

 

と呟いていると、数人の妖精が俺の艤装に群がっているのが目に入った。

 

「こんな凄い艤装は初めてです!」

 

「色んな箇所に斜角がついていますね」

 

「中はいったいどうなってるんだろう?」

 

「後ろのデッカイ大砲が威圧的だなぁ」

 

「ヒャアァァ!もう我慢できねぇ!分解だ!」

 

1人の妖精が奇声と共にスパナを持って俺の艤装に飛び掛かったのを皮切りに多数の妖精達が艤装をいじろうとして、艤装内から出てきたギャリソン達と揉み合いを始めた。

 

「おいおい、何をしている。着任初日から喧嘩は無しだ」

 

これ以上騒ぎが大きくならない内に艤装の元に駆け寄り、両勢力に待ったを掛ける。

 

「ですがザンクードさん!こいつらザンクードさんの艤装をじっくりねっとり中まで調べ尽くすとか、ヤバい事を言ってるんですよ!?」

 

ハァ、妖精ってのはそんなに好奇心旺盛なのか?と思いながら、工廠妖精達をどう説得するかを考える。

 

あっ、そうだ。

 

「君達、『好奇心は猫を殺す』と言う言葉を知らないのか?こんな所で無闇矢鱈に艤装をいじってみろ。下手をすればここら一帯が吹っ飛ぶかもしれないぞ?」

 

真面目な顔をして工廠妖精達に脅しと言う名の説得をし、そのあと「提督に許可をもらって来れれば明日にでも性能試験で見せてやるから」と言うと、二つ返事で引き下がってくれた。

 

「やれやれ、物分かりが良くて助かったぜ」

 

「なあ」

 

腰に手を掛けて「ふぅ」と息をついていると、木曾が話し掛けてきた。

 

「ん?ああ、スマンな時間を取らせて」

 

「いや、そうじゃなくてだな。オレが戦艦棲姫にやられそうだった時、お前が撃って助けてくれたのはこの砲か?」

 

そう言って視線で指し示すのは艤装後部で物々しい雰囲気を醸し出しているEMLだ。

 

「ああ、あの深海棲艦を仕留めたのはこいつの徹甲弾だな」

 

「そうか・・・」

 

「何発も連続して撃てないのと、すばしっこく動き回る奴には上手く当てられないのがこいつの欠点だが、威力は絶大━━どうかしたか?」

 

自慢げに語るザンクードは横からの視線に気付き、話を中断して視線を感じる方角へと顔を向ける。

 

「っ!!いや、何でも無い。次は訓練所に行くぞ!」

 

「?お、おう」

 

わずかに顔を赤くしながら早歩きで次の場所へ向かう木曾を、俺は訳が分からないまま追いかけて行った。

 

 

 

「ここが訓練所だな。射撃、格闘、剣術、ある程度のもんは揃ってて、俺もよく利用している。好きな時に使えるから、お前も気が向いたらここに来いよ」

 

「そうだな、近い内に寄らせてもらうとするよ」

 

「よし、これでこの鎮守府の主要施設は一通り説明し終えたな」

 

「ああ、ありがとう。ん、そうだ。最後に1つだけ訊いておきたい事があるんだ」

 

「何だ?」

 

俺が木曾に訊いておきたい事。それは、あの海域で俺が初めて彼女達に会った時に感じた疑問だ。

 

「なんであの時、たった6人だけであんな大艦隊と戦っていたんだ?あの規模の艦隊を相手取るなら、それ相応の戦力が必要な筈だ」

 

「あー、それか・・・。実はな、オレ達の所属する第八鎮守府は嫌がらせを受けてるんだよ」

 

「は?嫌がらせだと?」

 

「ああ。正確に言うと、ウチの提督が対象にされててな。昔、艦娘は使い勝手の良いただの道具だと抜かす輩がいてな。提督はそいつが上官だろうと構わずに反論したんだが、その結果、目を付けられたあいつはその上官が手を回してここへ左遷。それに加えてここには誤警報や誤情報(・・・ ・・・)、勝敗の分かってる演習とかが時々舞い込んでくるのさ」

 

「もう慣れたが、今回のは冗談抜きにヤバかったな」と言って、頭をガシガシ掻きながら木曾は苦笑する。

 

どこの世界でもそういう奴はいるのか・・・。上官が部下に嫌がらせなんて幼稚な事をする上に、そんな野郎が国防を担っているなんて想像するだけでも腹立たしい。

出来る事なら、俺の艦長の下で4泊5日の更正合宿にでもぶち込んでやりたいぐらいだ。

 

「そいつの写真とか情報は見れるのか?」

 

「ああ、資料室のパソコンから見れる筈だ。ついて来てくれ」

 

そう言って案内された資料室のパソコンの電源を入れて、サイトからその上官の情報開示ページへと移る。

 

「・・・木曾、この肥太(こえた) フタオ海軍中将って奴か?」

 

画面には、丸々と太ったいけ好かない顔の男が映っていた。

 

「ああ、そいつが例の上官だ」

 

「見るからに陰険そうな顔した野郎だな。性格が顔にしっかりと出てるじゃねえか」

 

「ははっ、違いねぇ。そいつからは黒い噂が絶たねえしな。それと、近い内にまた演習を仕掛けてくると思う」

 

ほぉ、そいつは楽しみだ。

 

「まあ、演習となったら俺も出させてもらうから大丈夫だ。相手に「そんな要求は無理だ」とは言わせん。その時は任せとけ」

 

俺は、ニヤッと不敵に笑いながらそう告げた。

 

 

「チッ、第八の奴らめ・・・。どうやったかは知らんが上手く逃げおおせたようだな。おい!」

 

「はい、何でしょうか?提督」

 

「明後日に第八鎮守府へ行くぞ!準備しておけ!」

 

「分かりました・・・」

 

「ククク、生意気なクソガキめ・・・。もう1度惨めな気分を味わわせてやる」

 

豪華なカーペットや机が設置された部屋の中で、1人の男がその垂れ下がった顎の皺を歪めながら下劣な笑みを浮かべた。

 

 

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