ウルトラマントレギア   作:憲彦

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はいはい。中編突入で~すよ。少し時計の針を進めて前回の話で出た任務後の物語です。


トレギアと言うウルトラマン 中編その1

「今回の任務は意外と早く終わったな。流石タロウの力だ」

 

 怪獣討伐任務が終了したトレギアは、光の国に向かって飛んでいた。腕には自身が開発したブレスレットとタロウレットを付けている。トレギア自身、今回の任務完了には時間がかかると思っていたのだが、ブレスレットの力はかなり強力で、そこに更にタロウの力が加わった事で早くに終わったようだ。

 

「ん?」

 

 このまま直帰すれば良かったのだが、ある青い星がトレギアの目に止まった。生命が存在する星なのだが、宇宙から見ているにも関わらず爆発音やきのこ雲の様な物が確認できた。

 

「戦争か?星間戦争ではなさそうだが……」

 

 その星の事が気になったのか、降りてみる事を決断した。本来は介入しないのがウルトラ戦士なのだが、トレギアはお構いなしに降りていく。

 

「なんだ…これは!?」

 

 地上の様子はまるで星間戦争が起こった時の様な状態だった。だがこの星が他の星から攻められた様な跡はない。

 

「まさか……この星だけで起こったと言うのか!?そんなバカな!」

 

 トレギアとてウルトラ戦士。宇宙警備隊だ。複数の星間戦争の現場に立ち会ったこともある。だが、この星の戦争はトレギアが立ち会って来た星間戦争のどれよりも凄惨な物だった。

 

「たった1つの星で……何故これだけの事が……」

 

 こんな文字通りの異常事態に、トレギアは戸惑いと驚きを隠せなかった。すぐに近くに生存者はいないかと探し回る。この星の建物を見るからに、サイズは一般的な人間と代わり無いことは予想できる。自分のサイズを調整し、くまなく探し続けた。

 

「誰か!誰かいないか!この星で何があったんだ!?」

 

 大声で叫ぶが、辺りには炎が物を燃やす音と建物が崩れる音が響くだけで人の声らしきものは無かった。

 

「うっ……!うぅ……」

 

「ッ!?人間?この星の住民か?!」

 

 諦めかけていたが、ここでようやくこの星の住民に会うことができた。この星に住んでいるのは人間で、資料で見た地球人と変わり無い姿をしている。

 

「うっ…あ、くっ……」

 

「不味い!早く回復させないと……!」

 

 だがトレギアは癒しの力を持っていない。無理に自身の光エネルギーを分け与えても、同じウルトラ族で無ければ回復する筈がない。そこで、この人間と同化する道を選んだ。自身の体を光に変え、男の中に入っていく。

 

「……ッ!?ここは!?」

 

「落ち着くんだ。ここは君の精神世界。外とは違う」

 

「誰だ!?」

 

「僕はウルトラマントレギア。M78星雲、光の国の宇宙警備隊だ。任務の帰りにこの星に立ち寄ってみた」

 

「ウルトラマン……星間戦争でもないのに何故」

 

「宇宙からも戦争が行われている事を確認できた。これは警備隊からの命令じゃなくて、僕がその場で判断して降りてきたんだ」

 

「そうか……この星、惑星エラルドはご覧の通り戦争の真っ最中だ。この星は王制星家で、1人の王が星すべてを支配できる」

 

「所謂、絶対王制が国単位ではなく、星単位になったものか」

 

「そうだ。先代の王は歴代最高の賢王と呼ばれる程の人物で、この星は豊かなものだった。住んでいる住民たちにも笑顔が溢れていた。でも……10年前に新たな王が就任した事で全てが変わってしまった……」

 

 10年前、先代の王の死去とともに、新たな王が誕生した。住民たちは先代の賢王の一族と言うことで沢山の者が新たな王にも期待を寄せていた。しかし新たな王は賢王と言われた先代とは真逆。自分勝手に法律を変え、夫や子供がいてもお構いなしに気に入った女は年齢問わず自身の物にし、金も好き放題搾取。バカみたいに税金は高くなり、それとは別に多額の王家への献上金を義務づけた。それが国の為に使われる訳もなく、全て王と王の取巻きの娯楽に使用されると言う始末。

 

「王に反対する者はいなかったのか?」

 

「そうならないように、就任と同時に全員王家から追い出して政治に関われない様にしたんだよ。説明した物以外にも、暇だからと言う理由で適当にその辺の人を拐って、痛め付けた上で殺したり。何て言うのも日常茶飯事になった」

 

 そんな政治で当然民衆が納得するわけもなく、民衆全員が結託して8年前に大規模な反乱を起こした。王家とは言え自身に従う人間以外全員が敵に回ったことで、終わるのはすぐだと思っていた。しかし、数多くの強力な兵器や生物兵器、ロボット兵士、何処かの星から買い取ったギガデロスと呼ばれるロボット怪獣など、様々な物が投入された。おまけに自分に付き従う人間の兵士がいるにも関わらず小型の核兵器を撃ち込んだりしていたそうだ。

 

 王家はこれで大人しくなると思っていただろうが、当然大人しくなる筈もなく、戦争は激化。元々結束の欠片もない烏合の衆と言える王家の兵士も金が入らないわ自分達が攻撃されるわで反乱軍に寝返り、お互いに戦力が減ったり増えたりを繰り返しズブズブの状態に。反乱軍も生物兵器やロボット兵器を導入したりで、8年間も戦争が続いていると言う状況が完成した。

 

「だが、地上の様子を見た限りでは王家は既に無くなったと思うのだが?」

 

「ヤツらは宇宙ゴキブリの様にしぶとい。地下にシェルターを作ってそこで優遊自適に暮らしているそうだ。こっちに寝返った兵士の1人が言っていたから確かな情報の筈だ」

 

「成る程……」

 

 状況はかなり悪い。光の国には様々な戦争の記録がデータとして残っている。その中には政治が腐っていたから反乱が起きて戦争になったと言うのは多数あるが、ここまで酷いのは中々ない。膨大な記録の中でもトップ10には入りそうな勢いだ。

 

「トレギア、頼みがある。私に、ウルトラ戦士である君の力を貸して欲しい!」

 

「…………」

 

「私はこの戦争を終らせ、あの時の様に、先代の賢王が築き上げた笑顔の絶えない星を取り戻したいんだ!」

 

「分かった。君と共に戦おう」

 

「本当か!?」

 

「だが、僕たちウルトラ族は、人類の文明には干渉しない。協力できるのは戦争を終らせるまでだ」

 

「分かった。私の名前はネーベル。よろしく頼む」

 

 お互いに納得の行く条件で協力関係を築き戦争を終らせる事を決意。早速動き始めた。

 

「まずは巨大な機械兵器を破壊する。その後に地上の生物兵器だ」

 

『今の君は僕だ。君の好きな様に戦うと良い。が、私自身のポテンシャルはあまり高くはない。戦うときは呉々も気を付けてくれ』

 

「分かった」

 

 トレギアからの注意を受けると、ふわりと浮上。空中で体を水平にすると高速で飛行しながら巨大兵器を次々に破壊していく。

 

「スゴい力だ!流石ウルトラ戦士!」

 

『君も慣れが早い。この分なら巨大兵器は今日中に片付けられるだろう』

 

 トレギアの言葉に気合いが入り、更に勢いを付けて星をグルグル周り世界中に配置されている兵器を破壊。それが終わると今度は人間サイズになり地上に溢れ返っている生物兵器を討伐していく。

 

(なんて力なんだ!?これがウルトラマンか……)

 

『ん?ネーベル、3時の方向気を付けろ』

 

「え?ウオッ!?」

 

 巨大な大砲がトレギアを捉えていた。今体は完全にネーベルに任せている状態。故に教えることしかできない。撃たれる直前に伝えることになったが、なんとか避ける事ができた。

 

「ハァ!」

 

 腕を十字に組んで光線を放つが、何故か弾かれてしまった。確実に直撃した筈だが、傷1つ付いていない。ブレスで強化されているにも関わらずだ。

 

『僕の親友の力を使え』

 

「これか?」

 

『タロウレット!コネクトオン!』

 

「ストリウム光線!!」

 

 タロウの力を宿したタロウレットを使い放ったストリウム光線は、トレギア単体の光線よりかなり強力で、大砲を一撃で吹き飛ばした。

 

「これがトレギアの親友の力か!スゴいな!」

 

『あぁ。アイツは本当にスゴいよ。僕の存在が毎回消え失せる程にね』

 

 勢いそのままに次々に王家の戦力を破壊していくが、ここで厄介なロボット怪獣が現れた。どうやら地下に保管されていた様で、地上の戦いを監視していた者が出したのだろう。

 

「あれがギガデロスだ!」

 

「あれが?武装は?」

 

「分からない。あんな巨大な敵が相手じゃ私達は逃げるしかなかったから……」

 

『なら様子を見るために離れて攻撃するぞ。幸いな事にエネルギーにはまだ余裕がある』

 

 そう言われ、手始めに光弾を放って牽制してみた。だがそれが間違いだった。光弾を受けると小規模な爆発は起きたものの、分裂しもう1体のギガデロスが出現。ならばと思い今度はブレスから光の剣を展開し斬りつける。しかしまた分裂し増えた。

 

「どうなってるんだ!?」

 

 焦った様子で地上に降りると、タロウレットを再び読み込み、分裂した方にストリウム光線を放ってみる。かなりの規模の爆発が起こり、今度こそ破壊したと思った。だが、現実は残酷な物だった。煙が晴れるとまた増えていたのだ。しかも光線の威力が大きかったからなのか、3体も増えていた。これで本体を含めて6体である。

 

『どうやら、光線のエネルギーを利用して分裂するようだ』

 

「じゃあどうすれば!?」

 

『奥の手を使う。囲まれていては仕方ない。上空に飛んで相手を1ヶ所に集めるんだ』

 

 言われた通り急いで上昇。ギガデロスの周りをグルグル飛びながら1ヶ所へとまとめた。

 

「ここからどうするんだ?」

 

『もう一度タロウレットを読み込め』

 

「でも光線は!」

 

『もう1つ技がある。少しキツいが、それを使うしかない』

 

「信じるぞ。トレギア!」

 

『タロウレット!コネクトオン!』

 

 読み込んだ瞬間、トレギアの体は赤い炎に包まれた。そして6体のギガデロス目掛けて一直線に飛んでいく。相手に回避の隙を与えないために、徐々にスピードを上げていった。

 

『掴んだら絶対に離すなよ』

 

「あぁ!」

 

 自身の危険を察したのか、ギガデロスは全力でトレギアを引き剥がそうとする。しかし、意地でしがみついている為、全く剥がれそうにない。その間もトレギアを包む炎は徐々に大きくなっていき、ついにはギガデロスの装甲を融解するほどにまでなった。

 

『「ウルトラダイナマイト!!」』

 

 2人が叫んだ直後、巨大な爆発がギガデロスを6体同時に飲み込み、辺り一帯の物を吹き飛ばした。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…確かに、少しキツいな……」

 

『僕の体でやるから、6体同時に葬るのは難しいと思ったけど、何とかなったな。ただ残りエネルギーが少ない。これ以上の活動は危険だ』

 

 その後、ネーベルの姿に戻ると反乱軍の拠点へ入っていく。地上に現れたウルトラ戦士について聞かれたが。ネーベルは隠すことなく自身が同化したウルトラマンだと仲間に話す。

 

 それから約半年間。戦争は激しくなっていったのだが、王家側の備蓄が減ったことやギガデロス、その他巨大兵器の破壊により王家は戦闘不能状態に陥り、戦争は見事反乱軍側の勝利で納めることができた。王やその取巻きに死刑を求める声が沢山あったが、ネーベルは星外追放を決断した。もう戦う力が無いのだから殺さなくて良い。憎しみや怒りに任せた無益な殺生は懲り懲りだ。と言う理由からの判断だった。納得できないと言う者も当然いたが、最終的には折れて自分達のリーダーであるネーベルの判断を尊重した。

 

「さてと、これで僕は君とお別れだ」

 

「そうだな。ありがとうトレギア。短い間だったけど、私はウルトラ戦士である君と確かな絆を結ぶことができたと思う」

 

「君もタロウと同じで恥ずかしいことを堂々と言うな」

 

「事実さ。君との時間は忘れないよ」

 

「僕もだ。これから頑張ってくれ。新たな王として」

 

「必ず立派な王になって、この星の人達を導いて見せるよ」

 

「期待しているよ」

 

 その言葉を最後に、トレギアは元の大きさに戻り、光の国へと帰還していった。




トレギアと同化した男の容姿は霧崎です。あとこの段階ではブレスに変身機能はありません。ここでは補助アイテムと言う位置付けですので。

あ、ネーベルはドイツ語で霧を意味しています。まぁネタと言うことで笑

さて、次回からは闇堕ち秒読みですね笑。中編その2、お楽しみに!!
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