ありきたりな異世界転生   作:すつぬ

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見え見えの取引ほど怖いものは無い

暁「私の何が不安なわけ!?」

 

「全部」

 

現在俺は、自称姫様の暁という子に求婚されております。はぁ…ご都合主義って面倒やんな。そういえや暁って名前といい、格好といい、艦これの第六駆逐隊の暁に見えなくもない。少し薄い黒髪ロングにベレー帽と…まぁー異世界だからあんまし関係ないと思うけど

 

暁「ちょっと!?私の話聞いてるの!?」

 

「あー聞いてる聞いてるー」

 

暁「!!!ぜーったいその返事は聞いてないわね!?いい!?私は一人前のレディーなの!分かる!?」

 

「はいはいれでぃーねうんうん。何回も聞いたよー」

 

暁「まだ2回しか言ってないわよ!!」

 

「2回も言ってるやん…」

 

暁「!と!とにかく!貴方は私と結婚してもらうわ!いい!?」

 

「やだ」

 

暁「!どぉぉぉじてよぉぉぉ!!」

 

涙流すなよ…なんでお前そんな感情コロコロかわんの…

 

「一人前のレディーなんだろ?こんな事で泣くなよ…」

 

暁「!……だって…」

 

「だってもクソもない。いいから一番近くの街…あ、お前の場合自分の領地である場所に行くんだろ?ほら早く行くぞ」

 

暁「……私仮にもお姫様なのに……」

 

「なんだ。仮って自覚あるのか。なら心配はないな」

 

暁「それってどういうことよ!?」

 

「え?自称お姫様って認めてるんだなって」

 

暁「い!いいこと!?私は本当にその国のお姫様なのよ!?」

 

「へー」

 

暁「し、信じてないわね!?」

 

「はいはい。凄いでちゅねー。偉いでちゅよー」ナデナデ

 

暁「!!子供扱いするなー!!」パシン

 

撫でていた手を叩かれてしまった。

 

「あいてて。それで?なんでそんな結婚したがるんだよ」

 

暁「!?……あ、貴方には関係ないでしょ!?」

 

「もしかして政略結婚とかそんな感じ?」

 

暁「っっ…………」

 

あ、図星みたいだ。はっしようとした言葉を唾で飲み込んだ。

 

「そりゃ、本当にお前がいいとこのお嬢様ならそういう見合い話も出てくるわけだ。んで?相手が気に食わないのか?」

 

暁「………当たり前じゃない。なんで好きでもない人と結婚しなきゃならないのよ…レディーにとってあるまじき事だわ」

 

「それは俺にも言えることじゃないか?」

 

暁「っ!そんな事!」

 

「だってよ、要はさ、政略結婚が嫌だから、その場の関係だけでも作って、お見合い話がなくなったら捨てる都合のいい男としか思ってないだろ?」

 

俺は足を止めて暁に目線を送る。

 

暁「!そんなんじゃ!」

 

「否定をしないってことは、脳の片隅には入れてたのね」

 

そう言うと、黙ってしまった。

 

「……んま。諦める事だな。相手がどれだけ屑だろうと、貴族だ。俺みたいな市民……より下の家畜同然と姫様が釣り合うわけが無い。もしそれで成立しちまったら、プライドの高い貴族が何をしてくるなんて分かるだろ?」

 

暁「っ………」

 

よく小説でいやってほど見たシーンだ。貴族に求婚されて、お見合い相手にクズだなんだと蔑んだ挙句ボコボコにして守った気になる主人公。みんながみんなそうって訳じゃないが、ほとんどのやつはそうしてる、まるで王道かのように。女王や姫君は寝とる物って固定概念が多いい。実際はそんな事したら一発退場だ。永遠に世界から除外される。

 

暁「………!待っていま……家畜以下って言ったかしら?」

 

「以下とは言ってねぇーけど、家畜同然とは言ったな」

 

暁「それってどういう意味かしら?」

 

「あん?(なんだコイツ?急に言葉遣いが……)」チラ

 

暁「……いいから、早く答えてちょうだい」

 

「(…まぁいいか)…言葉通り。確かに家畜同然ってよりは、以下の方が正しいな。俺は何も持っちゃいない。金も、身分証明書も。何もかもね」

 

暁「……」

 

「持ってるのは、さっきの戦闘で汚れたこの服と、ちょっとした技だけ。あとは文字通り一文無しだ。衣食住全て持ってない。ハッハッハw」

 

めっちゃ笑うけど、現状ではぜんっぜん笑えない。村とかは身分証明書がなくても入れるかもしれないが、街や国に入る際は絶対に身分を証明する物が必要だ。交通費として門番に銀貨や銅貨を支払うのは小説でも何回か描かれるシーンだ。それに、金を稼ぐ際にも、身分証明書が必需品だ。そこら辺は冒険者かギルドに行けば冒険者カードが身分の役割になってくれるだろう。小説で(ry

 

だからぶっちゃけ、今は一文無しってのは相当なバットステータスだ。いきなり「異世界から来ました」なんて言って信じるやつは100人に聞いて100人が「おまえは何を言っているんだ?」と言ってくるだろう。それほどおそらく俺の存在はイレギュラーなものだ。現にこの世界の住民の暁すら異世界勇者という単語が出てこない。出てくるのは七星勇者の話題のみ。なんでもこの世界には7人の勇者が各地方にてんてんと存在するらしい。話を聞く限りじゃ、この世界に生まれ育ち、異常なまでの適合率がなければ勇者になれないらしく、勇者の適正値に満たしたもののみ、神父が勇者の受託をするらしい。それを聞いて確信した。この異世界には、異世界召喚という概念が存在しないということ。

 

暁「………そうね…1つ提案…とゆうよりかは…取引をしません?」

 

「取引?」

 

俺は足を止めて、暁に目線を送る。

 

暁「えぇ。……そうね。私は貴方に助けられたわ。」

 

「お、おう……?」

 

暁「そこで、私も貴方に何か恩返ししてあげたいと思ってるわ。レディーの当然の考えね。」

 

「は、はぁ……」

 

暁「……私が貴方を養う…のはいかがでしょう?」

 

「………は?」

 

突然のヒモ選択に戸惑ってしまう…

 

暁「仮にもあなたは命の恩人だわ。そこは感謝するに相応しいでしょう?…それに…あなたはいま、住む場所も、何かを買って食べることも出来ない…そういう状況じゃないのかしら?」

 

「……つまり、助けたお礼に私の配下に加えてあげるわって…そういう話か?」

 

今の言葉を聞く限りそう聞こえる。仮にこいつが本当にいいとこのお嬢ちゃんなら可能性は高い。

 

暁「別にそういうつもりは無いわ。……ただ、本当にお礼がしたいだけだわ」

 

なんだ今の間は。

 

「絶対お前俺の事諦めてないだろ」

 

暁「………なんの事かしら?」

 

「俺はお前を助けた。次はお前が俺を助ける。救ってくれたお礼と評してお前は俺を城に招待する。自分のテリトリーに入れた後、絶対に断れない状況で俺にまた結婚を申し込む。そういう感じかな?」

 

暁「別に、そういうつもりは一切ないわ。」

 

「……………」

 

先程の子供っぽい口調から一点…大人の…それも商売上手の語り方になった…嘘は言ってるようには思えない。けど、先程の訳分からないことも言ってたから油断もできない…が、こうしてお礼を貰えば今日は少なくとも飢え死にはしない。それに国に入っちまえば通行料も要らない…そこから仕事を探す事だって十分可能か…

 

「………分かった。そのお礼…受けよう」

 

暁「交渉成立……ね」

 

「……そういうことで構わない」

 

暁「よしっ♪それじゃーいくわよー!」

 

そう言って少し駆け足で歩き始めた。

 

「……大丈夫だよね?本当に…」

 

俺は少しの不安を抱きながらも、暁の後ろをついて行った




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