仮面ライダージオウ外伝 ひとりぼっちの裏の王   作:タコわさび

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「ジ・アポカリプス2019」

この本によれば、普通の高校生 加古川飛流、彼には魔王にして時の王者オーマジオウになる未来など待っていなかった。

愛する者も、守るべき物も無い世界で彼は己の役目を果たそうとする。そして、終わりはもう、すぐそこまで·····

おっと、ここから先は皆様には少し過去のお話

 

ウォズはどこか申し訳なさそうに熟睡している加古川を見ていた。

 

 

 

「ジ・アポカリプス2019」

 

 

 

 

目を覚まして、顔を洗い制服を着て登校する。

ほとんどの高校生が毎日のように繰り返すこの一連の動作を随分久しぶりのように加古川は感じた。

とは言ったものの彼は授業を受けるために光ヶ森高校に向かう訳では無い。

昨日の手紙は机の引き出しにしっかりとしまっている。

「行ってきます」

そう呟いて前を見て、加古川は歩きだした。

 

 

光ヶ森高校の校門の前で10分ほど待っていると、目当ての男が現れた、この世界の主人公にして時の魔王常磐ソウゴ(ときわそうご)だ。

「加古川?」

先に声をかけたのはソウゴの方だった、先日の事で加古川に不信感を抱いてるのか、若干の距離がある。

「久しぶりだな、この数日楽しかったか?」

ソウゴの横を並んで歩いていた、明光院ゲイツ(みょうこういんげいつ)が何か言おうと口を開こうとする。

「俺は」

しかし、それより早く加古川が喋りだす。

「俺はお前が大っ嫌いだし、それは今でも変わらない」

その並々ならぬ雰囲気にソウゴが後ずさりする。

「今はもっと嫌いだ、お前は自分が選ばれたのにそれを放棄した、何が普通で生きたいだ?ふざけるな!」

周りの生徒たちが一斉に加古川の方を見るが、彼は気にせず続ける。

「だけど、俺には役目があるらしいし·····ここでお前を殺しても嬉しくないし、きっと父さん達もそんなことを望んでない」

ソウゴがなだめる。

「加古川·····落ち着いて?」

「うるさい、だから俺は俺の役目を果たして復讐もする」

加古川がソウゴにブランクライドウォッチを投げつけ、反射的にソウゴはそれを掴む。

「うぅ·····くっ」

ソウゴの記憶が戻ろうとしているのだろう、苦痛の表情をうかべる。

「そうか、まだ足りないのか·····なら」

《ジ・オーウ》

アナザージオウウォッチを起動して、加古川はアナザージオウに変身する。

それを見た瞬間ソウゴの服装にノイズが走って前世界の私服に戻ると同時に

《ジオウ!!》

ソウゴが持っていたブランクウォッチがジオウライドウォッチに変化する。

「アナザー·····ライダー?」

加古川は変身を解除して言う。

「やっと思い出したか?」

「どうして·····!」

ソウゴが加古川を睨みつける。

「場所と日時はウォズに伝えておいた、そこで俺とお前の最後の戦いをしよう」

加古川はまだ悲鳴が木霊する生徒の群れを壊しながら背を向けて歩いていった。

「俺は普通の高校生になったはずなのに·····どうして」

ソウゴのその声は誰にも届かなかった。

 

 

 

 

自室で制服を脱いだ加古川は家の整理をしていた。

もうこの家に戻って来れないだろう、彼は分かっているのだ。

明日自分がソウゴに負けて、ソウゴは仮面ライダージオウとして再臨し、この世界は再び正常に動き出す。

ウォズは初めからそのために動いてたのだろう、加古川をその為の生贄のようなポジションに置いて·····

だからこそ、普通に行きたかった常磐ソウゴを再び世界の中心に戻す、それが加古川の精一杯の復讐なのだ。

「そういえば、まだやる事があったな」

思い出したように自室の机の上に放置してある、門矢士から受けとった小さめのボストンバックを手に取る。

 

その中には複数の住所が書いてある小さいメモ帳も入っていた。

「最後にこれだけやっておくか」

1人そう呟いて加古川は家を出た。

 

 

 

次の日の早朝、加古川は岬に立ってソウゴを待っていた、一般の人間に被害が及ばないようにと思っての事だった。

まさかこんなにも想像通りの場所があるのは、他のライダーの世界と混ざった結果なのか、元から近くにあって加古川が気付いてなかっただけなのか·····そんな事を考えていると、ソウゴ達の姿が見えた。

ちなみに加古川は岬の海側、刑事ドラマでの犯人がいる方と言えばわかりやすいだろうか、そちらに立っていた。

「昨日ぶりだな、常磐ソウゴ」

「あぁ、本当にやるの?」

ソウゴの後ろには彼の仲間であるゲイツとツクヨミ、ちゃっかりとウォズまでいる。

「戦うさ、お前と決着を付ける」

彼の手には進化を遂げたアナザーオーマジオウのウォッチが握られている、加古川自身の精神が成長したからなのか、ウォズが置いていったいくつかのアナザーウォッチが原因なのかは確かではないが。

「·····分かった」

昨日のうちに全ての記憶を取り戻したのだろう、ソウゴはジクウドライバーを慣れた手つきで装着する。

もうソウゴは普通の高校生では無いのだ、そんな彼を加古川は怒りを込めた、だけどどこか哀れなものを見る目で見つめる。

「加古川?君は·····」

ソウゴもそれに気付いたのか、何か言いかけてやめた。

やめたという言い方は語弊がある、言えなかった。

鋭い銃声の後ソウゴは胸から血を流し、呻き声ひとつ上げずに倒れた。

「え」

加古川が驚いたふうに銃声がした方向を見る。

加古川の後ろ、崖から落ちそうな場所に二人の男がたっていた、嫌な笑みを浮かべるスウォルツと仮面ライダーディエンドこと。海東大樹(かいとうだいき)だ。

「ソウゴ!」

ゲイツがソウゴに駆け寄る、未来の世界でレジスタンスとして戦っていた彼にはわかる、()()()

「いやだ、死なないでくれソウゴ!」

ゲイツの思いとは裏腹に胸から留まることなく血液が溢れ出る。

ウォズは信じられないような顔をして、ツクヨミは絶句して座り込んでしまっている。

「フハハハハ!常磐ソウゴ!これがお前の最後だ」

声高らかにスウォルツが笑っている、海東大樹は灰色のカーテンで既に姿を消している。

「なん·····で」

「ん?」

スウォルツがようやく加古川の方を見た。

「どうして常磐ソウゴを殺した!」

「何を言っている?お前もそれが望みだろ?」

違う、こんなの加古川が望んだ結末じゃなかった。

だからこそ、加古川は動いた。自分の役目を果たすために、ソウゴに駆け寄った。

ここで躊躇していたら、スウォルツに妨害されただろうが、加古川は躊躇なくアナザーオーマジオウウォッチをソウゴに向かって使った。

その瞬間、ソウゴだけの時間が巻きもどるように傷が塞がり息を吹き返した。

アナザーオーマジオウウォッチは静かに崩れ去った。

「加古川·····?どうして」

ソウゴは苦しそうに加古川に問いかける。

加古川はゆっくりと立ち上がりスウォルツを睨みながら言う。

「お前が死んだら、俺の復讐が果たされないからな」

「加古川飛流·····貴様!誰のおかげでアナザーライダーになれたと思っている!!」

スウォルツを睨みつけたまま1歩前に出る。

「誰のおかげで俺は両親を亡くしたんだろうな?」

「フッ貴様の両親など知った事か、まさか俺に逆らう気か?」

スウォルツはまだ余裕ぶっている。

ソウゴは復活した直後で戦う事は出来ないだろう。

「まあ、いい·····常磐ソウゴ!そこで見てろ、貴様の世界が壊れる様をな!」

そうスウォルツが叫ぶと時空が歪み灰色のスクリーンがいくつも浮かび上がりそこに映像が映し出される。

「嘘·····だろ?」

ソウゴが驚愕する、そのスクリーン一つ一つにアナザーライダー達が映し出される。

しかもただのアナザーライダーでは無い、アナザークウガはどす黒く、アナザーアギトは白く輝くなどしてそれぞれのいわゆる最終フォームになっている。

そのアナザーライダー達が人々を襲う様子が映し出され、ソウゴ達は絶望し、スウォルツは勝ち誇っている。

そんな中、加古川飛流の目だけは諦めていなかった。

「大丈夫だ」

そう言う彼の手にはブランクライドウォッチが握られていた。

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