仮面ライダージオウ外伝 ひとりぼっちの裏の王   作:タコわさび

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「鏡の中の英雄2019」

この本によれば·····普通の高校生 加古川飛流、彼には魔王にして時の王者オーマジオウになる未来など待っていなかった。

ミラーワールドにてアナザー龍騎とアナザーダブルと対峙する彼は仮面ライダーダブルの力を借り、アナザーライダー達を撃破することに成功する。

そんな彼に近づく人物が1人·····おっと、ここから先は皆様には少し過去のお話

 

そう言うとウォズは常磐ソウゴ達を少し離れた所から見つめていた·····

 

「鏡の中の英雄2019」

 

 

 

 

「やはりあの二人が仮面ライダーダブルか·····」

加古川飛流もとい、アナザージオウは吹き荒れる風の中立っている仮面ライダーを見ながらつぶやく。

「ウォオォ!」

アナザーダブルがアナザージオウに殴りかかる!しかし、《サイクロン!トリガー!!》そんな音が響くとダブルの体は青と、緑に変わりその手には青色の銃が握られている。

まるでつむじ風のように速い銃弾がアナザーダブルの動きを止める。

「俺らモドキは任せろ!」

ダブルの左目が赤く点滅して翔太郎の声が響く、加古川はそれに納得したようで。標的をアナザー龍騎に絞る。

「ウウゥ·····」

アナザー龍騎がそう唸ると左手の龍頭から炎が漏れ出す。その時!アナザージオウの額の時計の針が光の残像をまとい1回転する。

「お前の未来は·····見える!」

加古川の脳内にビジョンが浮かぶ、アナザー龍騎が龍頭の炎を剣にまとわせて、燃える斬撃を飛ばしに来るビジョンが!

アナザー龍騎は龍頭の炎を剣にまとわせて、アナザージオウに斬撃を飛ばす!

その斬撃は既に未来を見たアナザージオウに軽くいなされ大きな攻撃をした事でがら空きになった胴体に双剣の乱撃が直撃する!

「グゥゥ·····ユウに」

アナザー龍騎がなにか呟くが気にせずにアナザージオウは双剣を繋げて一本の長剣にする。

「これで·····終わりだ」

長剣を時計を描くように振り回す。そうすると剣が紫と黒のオーラを纏う。

「エイユに·····」

アナザー龍騎は残っている力を振り絞るように立ち上がりアナザージオウに斬り掛る!しかし·····

「その未来も見えている!」

長剣の片側でアナザー龍騎の剣を受け止め、もう片側でアナザー龍騎を下から斬りあげる!

攻撃を受けた後アナザー龍騎は事切れたように倒れる。

何も言わずにアナザージオウはホルダーからブランクウォッチを取り外しアナザー龍騎の体に押し付ける。

徐々にブランクウォッチがアナザー龍騎ウォッチに変わる。

変身を解除した加古川に向かって、先程までアナザー龍騎だった人物、東條悟は加古川の持つアナザー龍騎ウォッチに手を伸ばす。

「僕は·····英雄にならないと·····っ!」

しかし戦いのダメージのせいだろう、東條は立ち上がることすらままならないようだ。

完全に敗北した今でも英雄に縋っている東條の姿を加古川は少し虚しそうに眺めていた。

「やはり、そいつでは役者不足だったか」

威圧感のある声でそう言い放つ、見るからに大柄で紫の服をまとっている男が加古川に近づいてくる。

加古川はその男を知っている。

「·····久しぶりだな、スウォルツ」

スウォルツ·····前世界での騒動の元凶であり、加古川にアナザージオウの力を与え、加古川を棄てた人物だ。

「ふん、アナザー龍騎ウォッチを手に入れたか·····」

加古川の持っているアナザー龍騎ウォッチを見て、鼻で笑うように言う。

「まぁいい、そいつはお前にくれてやる」

「随分余裕があるな、何かいい事でもあったのか?」

加古川が探りを入れようとすると。

「グァァ!!ァァァ!」という短い叫び声と共に爆発音が響く、仮面ライダーダブルがアナザーダブルを撃破したらしい。

加古川はスウォルツよりもアナザーダブルウォッチの回収を優先したようで、先程仮面ライダーダブルと別れた場所に走り出す。

「1つ!忠告してやる」

走り出した加古川を引き止めるようにスウォルツが言う。

「この世界のルールが戻りだしている、帰るなら早くした方がいいぞ·····」

そう言うとスウォルツは彼の後ろの空間に現れたグレー色のカーテンのような物に入って、姿を消す。

一瞬立ちどまるが加古川は仮面ライダーダブルのものに向かった。

 

加古川が到着すると仮面ライダーダブルの2人は既に変身を解除していて、動かなくなったアナザーダブルを見下ろしていた。

アナザーダブルに加古川は近づいて、ブランクウォッチを押し付ける。

すると、《ダブル!!》の音と共にブランクウォッチがアナザーダブルウォッチに変化する。

アナザーダブルの変身が解除され、そこに2人の男女が現れる。

赤い革ジャケットを着ている男の方を見て翔太郎は驚いたように言う。

「照井!?」

もう1人の女性に対してはフィリップが

「·····所長?」

どうやらアナザーダブルにされていた2人は知り合いらしく、結果赤い革ジャケットを着ている男、照井竜を翔太郎が、もう一人の女性 照井亜樹子をフィリップが肩に手を貸す形で立ち上がる事にしたらしい。

「さて、帰るか·····」

当たり前のように言う加古川に翔太郎は聞く。

「帰るって·····どこからだよ?」

加古川は少し離れた所に不自然に置いてある鏡を指さす。

「あの鏡から帰れるはずだ、俺もあそこから来た」

「あぁ·····分かった」

加古川の言葉を信用したらしく、そう言うと翔太郎達は照井夫婦を連れて、鏡に向かっていった。

 

翔太郎達が鏡の中に吸い込まれ、元の世界に戻った後加古川はアナザー龍騎の変身者、東條悟の元に向かった。

東條は倒れていた場所から移動して、風都タワーにもたれかかる形で座っていた。

「元の世界に戻る方法を見つけた、お前は帰らないのか?」

加古川の問いに東條は力なく答える。

「·····もういいんだ、僕は英雄になれなかった」

東條の言葉を聴きながらも、加古川は彼の方に手を回し立ち上がらせる。

「英雄?お前は英雄になりたかったのか?」

加古川に半分引きずられながら東條は言う。

「全部思い出したんだ·····僕は英雄になれなかった、誰にも勝てなかったし、結局最後は死んじゃった」

「·····そうか、お前は1回死んだのか」

ウォズの言う通り、世界がめちゃくちゃに混ざってるなら死んでる人間が生き返っている·····そんなこともあるだろう。そう思い加古川は東條の話を聞く。

「そうだよ、結局誰にも勝てなくてその後なんでかな·····トラックに引かれそうになった親子を庇って死んだんだ」

「そうか」

東條の話を聞きながら加古川は鏡の前に着いた。

「ここを通れば元の世界に戻れる」

加古川のその言葉を聞いて、東條は1人で立つ。

「僕は戻らないよ、英雄に·····英雄になれなかった僕が戻っても意味なんてない」

加古川は不思議そうに首を傾げる。

「何言ってるんだお前?」

その瞬間、加古川と東條の体から光の粒子が少しづつ溢れ出す。スウォルツの言っていた通り、ミラーワールドのルールが戻り、人間は長い間ミラーワールドに居られない。

あと数分で2人の存在は消え、ミラーモンスターという異形でミラーワールドは覆われるだろう·····

加古川はそれを知っている、消えかけてながらも続ける。

「お前はその親子を助けたんだろ?その命を使って」

東條はうつむいたまま答えない。

「俺にはよく分からないが·····誰かの為に行動出来るならそれは英雄って言うんじゃないか?」

東條は加古川の顔を見る、歪んでいながらも真っ直ぐな目を

「そして、その英雄をこの世界では」

加古川はブランクウォッチを東條に手渡す。

「仮面ライダーって言うらしいぞ?」

東條がブランクウォッチを手に取ると《タイガ!!》の声と共にブランクウォッチがカードケースのようなものに変化する。

青空のように深い青に真っ白な虎のマークが輝いている。

東條は膝から崩れ落ち啜り泣くが、加古川に引きずられ鏡に吸い込まれる。

 

元の世界に戻ると、そこには翔太郎とフィリップが加古川を待っていた。

「やっと帰ってきたか、遅かったから心配したんだぜ?」

翔太郎がそう言い、フィリップは加古川の傍で泣いている人物を興味深そうに見ている。

「彼は?」

「こいつは気にするな」

加古川は東條が持つカードケースを見て言う。

「こいつはただの仮面ライダーだ」

翔太郎はよく分からなそうに言う。

「まあ、いいさ 今回は助かった。もし何かあったら頼ってくれ仮面ライダーは助け合い·····だからな」

そう言って2人の探偵は家族を支えながら、ときめが待つ探偵事務所に帰っていった。

翔太郎の言葉に呆然としてる加古川に東條が泣きやみ立ち上がる。

「僕もよく分からないけど、英雄に·····仮面ライダーになってみるよ。」

「ありがとう」と小さい声で感謝を伝えつつ東條はこの世界で生きてるであろう、恩師の元に向かった。

翔太郎の言葉から加古川は我に返って薄く笑った。

仮面ライダー?俺が?·····違うな

「俺はただの怪物だ」

1人そう呟いて加古川は誰も待っていない家に帰る。

 

 

その後、鏡の中で異形と戦う琥珀色の戦士の都市伝説が流れたのはまた別のお話·····

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