仮面ライダージオウ外伝 ひとりぼっちの裏の王 作:タコわさび
この本によれば普通の高校生 加古川飛流、彼には魔王にして時の王者オーマジオウになる未来など待っていなかった。
五代雄介と行動を共にする彼は新たな戦士と共にアナザークウガを撃破するのだが、そこに現れたのは衝撃の人物で·····おっと、ここから先は皆様には少し過去のお話
「戦士と戦士2019」
「改めてよろしく、2019の技を持つ男五代雄介、クウガだよ!」
喫茶店ポレポレを出た後、そう言って五代は加古川飛流に握手を求める。
「あぁ、加古川飛流 アナザージオウだ」
そう言って五代の握手に答える、五代は加古川に笑顔を向けながら満足そうにしている。
「君はいつもどうやってアナザーライダー?って奴らを探しているの?」
五代が加古川に問う。
「基本的に噂話を頼りにするが·····あれだけ大きいんだ、そのうち見つかるだろう」
実際に今回の記事のようにアナザークウガは長野県に留まっていなかった、その失敗を彼は悔やんでるようだった。
「それじゃダメだよ!」
五代は強く否定する。
「それじゃまた傷付く人が出てきちゃう、だから次は食い止めなきゃ·····」
加古川は五代の事を見つめながら言う。
「しかし、どうする?一応俺にはアナザーライダーを察知する能力があるが、そこまで範囲は広くない·····おまけに変身してない状態だと見分けがつかない」
「分かった」
五代は数歩前に進む、何か思いついたらしい。
五代が腹に両手をかざすと、そこには中央に大きな石がはめ込まれたベルト状の器具·····アークルが浮かび上がる。
五代が目を閉じて気合を入れるとアークルの中央が緑色に変わり、一瞬で五代が緑色のクウガになる。
10秒ほどして五代は変身を解除する。
その間加古川は黙って五代を見ていた·····
「分かった、向こうの山の方にアイツの羽音がした」
そう言いながら五代は少し離れた山の方向を指さす。
どうやら緑色の姿は聴覚が敏感になる姿らしい、と加古川は解釈する。
「じゃあ行くか」
加古川が歩き出した所で五代は加古川を呼び止める。
「待って、さっき君が助けた男の子だけど無事にお母さんの所に辿り着いたみたいだよ」
五代の緑色のクウガはアナザークウガのは音と同時に先程加古川が助けた子供の声も拾ったらしい。
「·····そうか」
それから小一時間ほどして2人は山中にてアナザークウガを探していた。
ここに来るまでに2人の間には数言の会話しか無かった。大体が五代が加古川に質問して、それに加古川が答える形だ。
ただ、一つだけ加古川が五代に質問した事がある。
「五代雄介、お前はなぜ戦う?戦いが嫌いなんだろ?」
「それは·····俺はクウガだからだよ、選ばれたから」
五代は足元のコケに転びかけて答える。
選ばれたから·····それが五代雄介の戦う理由なのか?加古川が考えてると。
「それに·····もし、クウガに選ばれてなくても俺は戦うよ」
「·····なぜ?」
「涙より笑顔の方がいいじゃない」
五代は笑顔を加古川に向けながら言う。
「誰かを助けて笑顔にする。望んでなくても、その力を手に入れた俺は幸せものだと思う」
五代の言葉を聞いて加古川は俯いて何かを考えてる。
2人が歩を進めながら加古川が口を開いたちょうどその時、2人の目前にアナザークウガが現れた。
2人は咄嗟に近くの木の影に身を隠す、アナザークウガは疲弊しているのか飛行をやめて座り込むように大木にもたれかかっている。
加古川が小声で話す。
「あいつに特に有効なのはお前のクウガの力だ、俺が奴の気を引いてる隙にお前が一撃を叩き込め」
五代は小さく頷く、加古川は木の影に身を隠しながら移動しアナザークウガの目前に姿を現す。
アナザージオウウォッチを起動して腰に現れたベルトに装填する。加古川はアナザージオウに変身し、五代は渾身の一撃を与える為に集中を高める。
先に仕掛けたのはアナザージオウだ、双剣を出現させながら足元に向かって走り、虫のように細いアナザークウガの脚を斬りつける。
「グキャァァアァ!!」
脚を切り裂かれアナザークウガは叫びながら飛び上がる。
アナザージオウに向かって火球を3発打ち出す、それをギリギリでかわして右手に握っていた短い方の剣をアナザークウガに向かって、投げた。
いや、投げたと言うより撃ち込んだと言うべきか。
ともかくアナザージオウから放たれた剣は狙い通りアナザークウガの左の羽根に命中する。
片翼を傷付けられバランスを失ったアナザークウガは地面に打ち付けられる。
「グキァァァヤアァャ!!」
先程より激しい叫び声を上げてアナザークウガはその両手に当たる部分でアナザージオウを掴もうと必死に手を伸ばす。
しかし、そこまでの未来は読めている。
腕の動きを避けながら
「喰らえ!!」
アナザークウガの右手に長い方の剣を貫通させ地面に固定する。
「今だ!!」
加古川が叫ぶと共にアナザークウガの後ろの木の影から五代が姿を現す。
五代の腹にはアークルが既に出現していて、中心部分は赤く輝いている。
右手を斜め前に掲げ。
「変身!」
風が唸るような音と共に五代の体が赤いクウガ、クウガ マイティーフォームに変身する。
「はぁぁぁ·····」
クウガの右足にエネルギーが集まる·····と、その時アナザークウガの動きが止まった。
「!?待て、五代!」
一瞬
たった一瞬にしてアナザークウガが上空に飛翔する。
その姿は先程までと違い腕が4本になり、全体が黒く歪んでいる容姿だ。
アナザージオウが与えたはずの羽と脚の傷は一瞬で治っている。その瞳は全てを飲み込むブラックホールが如く暗闇だ。
「「え?」」
一瞬の事で2人とも唖然とした、何が起こったのか分からなかった。
あれはアナザーアルティメットクウガ?なぜいきなりパワーアップした?ダメだ、まずい·····考えてる暇はない。
「オれが ·····クウガだぁぁアァぁ!!!!」
アナザーアルティメットクウガはそう雄叫びをあげるとクウガに襲い掛かる。
虫の様に指先が2つに分かれてるその手でクウガの首を締め上げるように持ち上げる。
「グッ·····グガァァ」
クウガが苦しそうに悶える、まずい·····アナザーアルティメットクウガと体格差がありすぎる。
「クソ·····どうすれば」
《アタックライド ブラスト!!》
力強い声が響きアナザーアルティメットクウガの頭部に数発の弾丸が打ち込まれ、バランスを崩しクウガは上空から地面に少しよろけながら着地する。
「五代!無事か?」
駆け寄ってきたアナザージオウの手を借りつつクウガが立ち上がる。
「オレがァァ空我ダあぁアぁァァァ!!!」
アナザーアルティメットクウガは体制が崩れながらもクウガを再び掴みかかろうと襲ってくる。
《アタックライド スラッシュ!》
先程と同様の声が響くと襲ってくるアナザーアルティメットクウガが何かに斬りつけられたように地面に落ちる。
すると先程居なかった戦士が姿を現す、透明化の能力でも使っていたのだろうか·····
マゼンダピンクと黒のツートンカラーに白色のラインが入っている体、マゼンダの顔にまるでバーコードのように黒のラインがあしらわれている。加古川は彼を知っている。思わずその名前を呟く。
「·····ディケイド」
少し後ろで呆然としてるクウガとアナザージオウを見て。
「なるほど、クウガか·····大体分かった」
そう言うと手に持っている四角い銃の持ち手をたたみ、そこからカードを取り出す。
腰の部分のマゼンダピンクのベルト、ディケイドドライバーの端の部分を引っ張り中央部分を回転させそこにカードを入れる。
《カメンライド クウガ!》
一瞬でディケイドの体がクウガに変わる。
「お前ら、よく聞け」
クウガとアナザージオウを指さしながら言う。
「さっき斬りつけた時に目を潰した、クウガの反応が2つになってやつは混乱しているだろう」
アナザーアルティメットクウガの方を見ると、本当に目が見えないようで苦しそうにもがきながら。
「喰うがァァ!空我ああぁ!!クウガァァあアぁ!」
「ほら、さっさとやるぞ」
アナザージオウの肩を叩きながら言う。
「奴の頭部に俺たち3人のライダーキックを当てる、それで終わりだ」
「·····分かった!」
突然現れたディケイドに困惑しながらもクウガは頷きキックのためにパワーを貯める。
アナザージオウもそれに続く。
「俺がァァあウァ喰我ァァ!!?!?」
《ファイナルアタックライド ク!ク!ク!クウガ!》
ディケイドクウガ、クウガ、アナザージオウの3人の渾身のライダーキックが直撃する。
「オre·····グゥが·····」
言葉にならない言葉を発しながらアナザーアルティメットクウガは力尽きる。
すかさずアナザージオウは駆け寄ってブランクウォッチを押し付ける。
《クウガ!》ブランクウォッチはアナザークウガウォッチに変わり、そこには傷だらけで倒れた1人の青年がいた。
「迷惑をかけたな、そいつは俺の連れだ」
変身を解除したディケイドもとい、門矢士はそう言いながら倒れた男の安否を確認している。
「その人は大丈夫なの?」
同じく変身を解除した五代が近ずいてくる、どうやらアナザークウガだった人物の命に別状はないらしい。
加古川が士に問う。
「誰だ?そいつは」
「こいつは小野寺ユウスケ·····こいつもクウガだ」
もう1人のクウガ·····?そんな疑問を加古川が口に出そうとした時、五代の言葉に遮られる。
「そっか、その人も誰かの笑顔のために戦っていたんだね」
士は続ける。
「しかし、コイツはクウガとして認められなかった」
「え?」
「小野寺ユウスケはクウガではない、偽物だってな·····まあ、言ってたヤツらに悪気はなかっただろうが」
五代は少し怒っているような声で士に聞く。
「認めなかったって·····誰に?」
「まあ、誰にと言われれば·····みんなにと言ったところか·····勿論コイツを嫌ってない奴らも居ただろうがな。散々言われてコイツの心も限界だったんだろう、そんな時にアナザーライダーの力を与えられた·····と言ったところか」
士は気を失っているユウスケを抱えながら五代に向かって聞く。
「お前はどう思う?皆が言う通りコイツは偽物だと思うか?·····本当のクウガじゃないと思うか?」
その問いに五代は答える、先程まで究極の闇に飲まれていたもう1人のクウガを見つめて。
「俺は·····俺は偽物とか本物とか、先に出たとか後に出たとか関係ないと思う。誰かの笑顔の為に戦ったなら·····彼はクウガなんだと思う」
五代の答えを聞いて一瞬驚いたような顔をした士だったが、ユウスケを背負いながら後ろを向いて言った。
「フッ·····そうか、コイツが聞いたらさぞ喜ぶだろうな」
そう言うと士は灰色の時空の歪み·····オーロラカーテンをくぐるように消えていった、士に抱えられたユウスケの頬に雫が伝ったように見えたのはきっと加古川の見間違えだろう·····
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