人狼の少年が鬼退治を手伝う話。   作:黄色いうちわ

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  …寒いな。そうだ、回復に効くのだから寒くなくなるかも。ごくごく。暖かいなり。ご機嫌なり。ぽかぽかだぉ。数時間後。「(可愛い兄妹のピンチっ。しかし、俺にはとっておきが…しまった!)た、隊士になればだな、人狼様の血を頂けるからっ」(震えた声で涙まみれの顔)

   兄妹(なんて優しい人なんだろう)




 鬼殺隊最終試験。

 

    家に帰ると、大切な家族が殺されていた。

 

    妹の禰豆子だけが生きていてくれた。

 

   助けたくて、禰豆子を背負って走って走って、冨岡義勇さんに出会った。

 

 

   禰豆子が鬼に変わらせられたと教えてくれた。

 

   呪いを鬼舞辻無惨を殺して解くか。人狼様の血を飲んで解くかの道を教えてくれた。

 

   お前には大変だろうけど、鬼殺隊に入れば人狼様の血を頂ける。そうしたら、妹を人間に戻してから鬼殺隊を辞めて兄妹仲良く暮らせ。恨みは俺達がはらしてやるから鬼の存在は忘れろ。試験に受かるために修行をしろ。俺の先生を訪ねて弟子にしてもらえと。

 

   道を示してくれた。希望を与えてくれた。

 

   でも、大切な家族を殺されて、大切な妹を鬼にされて、恨みを忘れて生きられない。俺の後に【俺や禰豆子にされてしまう】人々を助けたい。義勇さんみたいに救う人間に、戦える人間になりたい。鬼を知らなかった前に今更戻れなかった。 

 

 

 

          ※※※

 

 

   兄貴の反対を押し切って…というか内緒で最終試験にのぞんだ。

 

   だって、優しくなった兄貴は嬉しいけど俺に鬼殺隊になるのを止めろ。なるなら藤の家で働くか隠になれと言うから。俺は兄貴と辞めるか、兄貴と鬼殺隊でいたい。

 

   …内緒で来たのに、なんで俺の携帯袋の中に忌々しい小瓶(血液入り)がみっちりと詰まっていますかコノヤロウ。

 

   鬼を倒さないといけないのに、鬼は俺を見ると悲鳴をあげて逃げやがる。兄貴か行冥さんが後ろにいて鬼を威圧しているのかと疑うくらいに逃げていく。

 

   「うわああああっ!逃げろっ!皆今すぐ逃げろっ!あの化け物犬がいるぞっ!血の臭いがしやがるっ!手負いだっ!血を流していやがる!殺されるっ!あの血で串刺しにされるっ。あの血で切り刻まれるっ!あの血で頚を絞められる!鋭い牙と爪で引き裂かれる!回復するために餌を鬼を探して喰う気だっ。逃げろーっ!」

 

 

   「に、逃げろー!あの化け物犬を傷つけるとかちょっとでも考えると破裂しちまうぞっ。あの方のお気に入り様だっ。敵うわけがねぇ!」

 

   「人間、稀血を飲んだ俺を、ズタボロにしてこの山に放り込んだ化け物だ!逃げろー!」

 

 

   …鬼がここまで怯えて逃げ出す化け物犬の血を飲みたいと思うだろうか?いいや思うまい。(反語的表現) 

 

   悲しい気持ちになりながら藤襲山を歩いた。歩きながら、負傷者の手当てをしてやった。死んじまった奴は埋めてやった。血は帰ったら化け物犬の信者に売ろうと決めた。女性隊士の信者は多いから。傷が癒えたのなら辞めてしまえば良いのに、幸せを望めば良いのに彼女達は鬼殺隊に残る事を選んだ。戦い続ける道を望んだ。兄貴、女性隊士が一人でも残って戦っているうちは、俺は逃げないよ。

 

 

   手が無茶苦茶生えている鬼と戦っている奴がいたので加勢した。

 

   「回復薬だっ。飲んで休んでいろっ」

 

   「あ、ありがとうっ。これは?」

 

   「俺の兄貴がくれた餞別の人狼様の血だよっ」

 

   「じ、人狼様の血っ。あ、あのっ。お金は絶対に払うからっ。妹に飲ませても良いですか?妹は鬼にされてしまったんだっ」

 

   「っ。いくらでもくれてやるっ。だから今はお前が飲めっ」

 

   「だめだっ。義勇さんが鬼殺隊に入らないと人狼様の血をもらえないって言っていた」

 

   「俺だってお前と同じ立場だっ。だけど伝で無理矢理持たされた。ほらこんなにあるだろ?お前が飲んでもわかるもんか。俺が飲んだことになるからよ」

 

   「ありがとう「ぎゃはははは誰が回復させるかよ。うめぇうめぇ力がわいてくるぜ?ぎゃああああっ……鬼が俺から奪った薬を飲んだら内側から紅いトゲトゲで串刺しになって死んだ。こ、これが人狼様の血の効果なのかっ?」

 

   「う、嘘だろ?だって、俺の兄貴や先生や隊士達が飲んだら、傷や病気が治って呪いが消えたんだぞ。失明だって治って、血を飲まされて鬼化しちまった女性隊士だって鬼化が解けて人間に戻れたと言って泣いていたんだ」

 

   「それだよ。きっと人狼様の祝福は鬼殺隊の隊士の方のみに効果があるんだよ。…そうでないと、あの鬼みたいになるか普通の人間には効果がないんだよ。七日間終わったね。今なら回復するかな」

 

   「悪かった。すまない。あ、こっちの痛み止めを使ってくれ。軟膏も俺が買ったやつだから安心してくれ」

 

   「ありがとう。助けに来てくれて嬉しかったよ………」

 

   優しい人間は気を失ってしまったので、抱き止めた。手当てをして、背負って下山した。

 

   こいつが気がついたら、自己紹介をして友達になろうと決めた。兄ちゃんみたいだし、兄ちゃんからみた弟を教えてもらいたかった。

 

   後、義勇さんに会った時に化け物犬の血をもらわなかったのかを聞きたかった。義勇さんが出し惜しむわけないよな。飲んだ後か、はたまたダンスぃー化してしまった時にやった危険な遊びで小瓶が尊い犠牲になってしまったのか。

 

   女性隊士や女性柱にみっちりと絞られて締められた後だろうに。大丈夫かな、あの人。

 

 

   傷だらけ&血塗れの友人を、正面から抱き止めたのと背負って下山した事により、俺の服は血塗れになった。

 

   麓で待ち構えていた兄貴と行冥さんに無茶苦茶心配されて泣かれてしまい怒られた。…おこなのは俺だと言いたかった。

 

 

   後日談だが、あの小瓶は兄貴を筆頭にして、柱からの贈り物だった。犬は犬で、犬の里で作られた秘薬を入れてくれていた。が、しのぶさんそれを見ていて欲しくなり、秘薬を抜き取って犬の血を入れたと白状した。兄貴としのぶさんのガチの喧嘩を見ながら、俺って愛されているなぁと思った。うん、幸せだな。

 

  





  人狼様と同僚の優しさに感謝した。だが、蟲柱、テメェは許さん。by風柱。

  医術薬学の向上の為ですよ?by蟲柱。
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