産屋敷燿哉は走り出したい気持ちで一杯だった。産屋敷に帰って、子供達一人一人を抱き上げてあげたかった。そして、妻を抱き締めたかった。
ずっと内側から、自分達を見張っていた鬼舞辻無惨の視線が消えた。
嬉しくて幸せで、泣いてしまいたかった。
あの場所から、一番近い藤屋敷に眠りにつかれた朱月朔太郎殿を運ばせて頂いた。可愛い子供達はもふもふたあいいいいむうううを継続している。不参加だった義勇君も屈したのかもふもふの毛皮に埋もれてお昼寝をしている。
「お舘様はもふもふたあいいいいむうううに参加されないのですか?」
「三津屋五郎君、君はいかないのかい?」
「お、俺の名前を知っていてくださったのですねっ。ありがとうございます!あ、俺はガキの頃に犬に噛まれてしまってから猫派なんですよ。それに、命の恩人をもふもふするなんてできません」
「私も同じだね。三津屋君、君の怪我も朱月殿が治してくれたのかい?」
「はいっ。あ、血を分けてもらったのではなく、塗り薬と増血剤というのを貰いました。最悪朱月様に逃げられてしまったら、貰った薬をお舘様に渡そうと思いました」
「ありがとう、三津屋君。その貰った薬は君が大切に使いなさい」
「はいっ」
身動ぎ、薄目を開けた朔太郎殿は、大きなあくびをした。
立ち上がり、伸びをして体をぶるぶるとと震わせた。
落ちた義勇君に気づいたのか、義勇君の襟首を軽くかみ、ぽいっと背中に放って背中に乗せた。
歓声をあげる子供達に和んだ。
「ふ、ふかふかもふもふっ!たかいたかいてんじょうがたかいっ!うわあ!おれいまおおきなかっこいいおおかみのせなかにのっている!」
「この屋敷を一周してくる。乗りたい人達は順番を決めていろ。人間の長、お手紙は書いたのか?俺にも書く道具を下さい。鬼舞辻無惨の討伐を長に依頼した方が早いと思うぞ。うちの里の、一族の方針は人間との共存だからな。現に、何人かの人間は番として嫁入り婿入りしている。俺達人狼の事を受け入れてくれて雇ってくれている協力者もいる。忍びがいっていたけど、利益を互いに与えあえるのだから遠慮はするな」
「…そうですね。ですが、人狼方に全てを託してしまってはね、私の、私達の心が悲鳴をあげます。奪われてしまったたくさんのものの敵討ちができなかったら意味がないのです。間違っているのは私だ。貴方が正しい。でも、鬼を、鬼舞辻無惨を倒すのは私達人間でなくてはならない」
「すまなかった。貴方達の誇りを傷つけた。ごめんなさい。俺は貴方達の覚悟に寄り添う事を誓う。神に愛された神の写し身たる自分を自ら殺し、自ら楽園を飛び出した末裔が誰かに救いを求めるわけがなかったな。神殺しを成した貴方達がたがが鬼を滅ぼせぬ訳がない。とりあえずは一周してくる」
大きな舌で涙を拭われて、自分が泣いていたと知った。
子供達の前で泣いてしまった事が恥ずかしくて、書斎に籠って手紙内容を考えた。
屋敷には子供達の楽しげな声が響いていた。
※※※
産屋敷の人間が死に絶えたらしい。鬼殺隊も終わったな。これで、心置きなく太陽を克服する方法を探せる。太陽を克服できたら、あの化物な人狼共に下僕になれと言いに行ってやろう。凶暴で狂暴で残忍で残酷で人形でも犬型でもあの種族は恐ろしいくらいに美しく毛皮はふかふかもふもふだからな。狭量な大人に命令された幼いちみっこワンワン達の群れにあまがみされて幸せだったがマジで死にかけたからな。私が逃げてしまって、きっとしょんぼりしたことだろう。可哀想な事をしてしまった。あれから私も強くなったから、なんとかちみっこワンワン達のあまがみには耐えれるだろう。
耐えれなかったらまた千年頑張らないとだな。あのちみっこワンワン達の作戦隊長の朱月朔太郎君は元気かなあ?もふもふのふかふかで私の好きな黒い狼だったから可愛い可愛い連呼したら威嚇してきて可愛かったな。若長が私の弟の朔太郎はお前より年上だなんて言ったから嘘だなとつい言ったら手首を噛みちぎられたな。ちっちゃいのに一番獰猛なんてもうしゅきっ。だいしゅき。(語彙力…)
※※※
《友人》の産屋敷燿哉殿の御子息御息女に血を飲ませた。御内儀にも呪が絡んでいたので飲んで頂いた。呪いは全て解けた。
燿哉殿の書いた手紙、依頼は受理された。
俺は、鬼殺隊に協力する事が正式に決まった。人間の強さを絆を観察するにはもってこいだからだ。一つの組織体として鬼殺隊は素晴らしい組織だった。全員が鬼を倒して人間を守る事に一生懸命になっている。仲間が倒れても、意志を継ぎ繋げていく。怪我をして戦えなくなったら、後継者の育成にまわったり、さぽーたあ…補助役にまわる。戦えない、だが鬼を憎む者は鬼殺隊の為に支える。
ああ、若様。人間はこんなにも強くて逞しいです。肉体の脆さを精神の強さで魂の強さで補っています。旅に出てとは語弊がありますが、朔太郎は人間が鬼殺隊の人達がいとおしいです。
…追伸。弟想いのお兄ちゃんの依頼で血を分けたのですが、弟君はそんな得体のしれねーもん飲めるかぁ!と叫び逃げ出しました。花の妹の蟲がいらないのなら私が貰いますねと言って持っていってしまいました。茫然自失する弟想いのお兄ちゃんが可哀想になったので、またいつでもあげるからねといって本体に戻って背中に乗せて走ってあげました。これをしてあげると、落ち込んでいる人の子どもは元気になります。泣き顔になりかけていたお兄ちゃんは笑顔になってお礼を言ってくれました。また、お手紙を書きます。朔太郎より。
鬼殺隊一同 朔太郎殿の背中に乗るの最高(*´ω`*)