彼女はいつも自由を愛していました。
彼女自身も自由に愛されていました。
自由とはつまり誰の責任も負わなくていいから。
自由とはつまり責任は全て自ら負うことだから。
自由とはつまり、誰の責任を負ってもいいから。
彼女には
彼女には
あぁ、だからどうか……
彼女の進む先にどうかありったけの幸福が待っていますように。
《FILE: 佐倉慈の日記》
段々とラストが近づいて来ているRTAの続きはーじまーるよー。
前回は交換日誌を書いて夕食を摂ったところで終わりましたので、今回は夜からです。
ちなみに今晩は絶対安静が言い渡されていますので、見回りには参加せずぐっすり眠ります。
先ほどの戦闘の結果病の進行が加速しているので、必ず手錠の装備と自身の隔離を忘れないようにしましょう。
手錠してても噛み付くこと自体は不可能ではないので、可能であれば別室で眠りたいところですが、現在の好感度を鑑みるにおそらく許可は出ないので寝てる間は近寄らないようにだけ告げておきましょう。
それではおやすみなさーい!
おはよーござーまーーー!!!
起きてりーさんが用意してくれた朝ごはんを食べていると、ゆきちゃんがお手紙で救助を呼ぼうと提案してきます。
正気じゃない頃と違い、明確に救助を呼ぼうという目的を考えられているゆきちゃんは賢いなぁ。
当然ちゃんと風船は用意してあるので、こいつでお空に飛ばしましょう。
「よくそんなもん拾ってたな」
何故と聞かれると答えにくいんですけど、あえて言うなら必要になるかもしれないって私のゴーストが囁いたからっすかね。(義体並感)
実際役立ったし細かいことは置いといて、理科準備室にほらいくどー!
雨の翌日は昨日外で活動できなかったうっぷんを晴らすかのごとく、『かれら』は外で活動しているので、今日は大した心配もなくくるみちゃんと一緒にヘリウムガスの入ったボンベを運びましょう。
おそらくボンベのサイズ的に3000リットル前後のものなので30kg程度だと思われるので、ホモちゃん一人で担いで移動できますね。
「それ……重くないか?」
重いに決まってるダルルォ!?
標識と合わせて50kg弱のもの担いで歩いてるんやぞ、戦闘になったらなんもできないから守ってね。
まあくるみちゃんについては最序盤に一緒に戦うときのパパスくらい信用していいので、心配の必要は皆無なんですけどね。
「いやほんと、頼りになるな萌香」
戦働きと肉体労働以外は役立たないっすからね、仕方ないね♂(レ)
私が戦えなくなる時はくるみちゃん一番信用してますからね?
しっかし、1mちょっとあって30kgするボンベを背負って屋上まで登るってやべーなと思ったけど、くるみちゃん初日にもっと重いもの背負ってグラウンドから逃げてきてましたね……やっぱりこいつただもんじゃねーな。
屋上には運んでおくだけで、先にお手紙作成イベントをこなす必要があります、紙やペンはゆきちゃん達がすでに用意してくれているので私達も生徒会室に向かいましょ。
生徒会室に戻ると既にゆきちゃんはお手紙を書き始めていたので、ホモちゃんもさっさと書いちゃいましょう。
書くのは要救助者の人数と住所だけです。
知力がアレ様なので絵は書きません(断固とした意思)
ちなみに人数は7人(内訳はめぐねぇ、ゆきちゃん、くるみちゃん、りーさん、チョーカーさん、Kちゃん、みーくん)と記載しておきます。
多分周りからはめぐねぇ、ゆきちゃん、くるみちゃん、りーさん、チョーカーさん、ホモちゃん、幻覚の7人だと思われてるとは思いますけど問題なしですね!
「なんと言うか、実用性一辺倒だな……」
絵はかけないし、他に伝えること思いつかないからね、仕方ないね。
とりあえず全員が完成させたら風船に括りつけて後は飛ばすだけです、それが終わったら夜まではまた自由行動になりますね。
昼間のうちに誰か連れてバリケード用資材でも集めに行きたいところです、最終日の地獄を乗り越えるにはまだまだバリケード足りないですし、皆も先日の襲撃で危機感を持ってますから否の声は出ません。
とりあえずチョーカーさんでも連れてグラウンドにある体育用倉庫まで回収に行きましょう。
あそこにはハードルが置かれており、バリケードとして使うには実に優秀な素材です、台車に載せて大量に運搬しましょう。
ついでに余裕があればカゴにでも入れてバレーボールやソフトボールなんかも運んでおきましょう。
これはラッシュ時に階段にばらまくことで、多量の『かれら』がそれを踏みつけて階下に落ちてくれるのでラッシュの難易度が劇的に低下します。
そして空いた時間はバリケード強化より新規敷設に注力しましょう。
バリケードの数が増えればそれだけラッシュ時に耐えられる時間が増えるということですからね。
その敷設も今日は一旦二階までで構いません、今夜活動することになるのでできるだけ多くの人に体力には余裕を持っていて欲しいですから。
それに先駆者様との違いとして、私はKちゃんみーくんの救出を同時に行うので、活動に余裕があります、そこは更にみーくんも手伝ってくれるので効率は格段に上昇します。
車の運転ができるとこれがあるので楽ちんちんです、正直残す山場は後輩救出を残すのみと言っても過言ではないな(慢心)
二階まで再びセーフティエリアにすることが出来たら、あとは思い思いゆったり過ごしましょう。
ホモちゃんも特別やる必要があることはないので、夕方まで屋上で携帯ラジオでも聞いててもらいましょう。
正気度は充分回復したのでボケっとしててももはや幻覚は見えないので何もしてなくて大丈夫です。
「そんなとこでなにしてんだ?」
ぼけーっとだんだん暮れゆく空を眺めてるとくるみちゃんが現れました。
ホモちゃんと同じく脳筋で内政系はまるでできないタイプなのでやることがなくなったんですかね?
「めぐねぇの補習から逃げてきたお前に言われたかねぇよ……」
いやほら……それはアレだよ、頭使うことはめぐねぇとかりーさんがやってくれるから……(目反らし
それにホモちゃんは料理できますし!
何より今はラジオ聞いていたいですし、正気度は多いに越したことは無いですからね。
「お前ほんとラジオ好きだな、今日はロックか?」
そうだよ(肯定)。
ここのチャンネルが最も76.1MHzに近い周波数帯なので、Kちゃんによる熱烈ラブコールが始まったらすぐに察知することができます。
個人的にもよく聴くチャンネルですね。
「まああたしも分かるよ、前にも話したけど、やっぱり誰かが生きてそれを流してくれてるって思うと、あたしも頑張らないと!て思えるからさ」
ほんと、この世界観はよく作りこまれていると思います、多くの人間が、まだ人類は終わってないんだぞー!と主張する様々なサインが多数あり、おそらくまだ見つかっていないイースターエッグなんかもあるのではないでしょうか。
なんて思考にふけっているとラジオにノイズが入りました、ついに来たわね。
少しずつ76.1MHzにチャンネルを合わせて行きましょう。
『私は……K……巡ヵ丘……』
放送の内容にくるみちゃんと顔を見合わせました。
要約すると『私は今巡ヵ丘駅の室長室にいるよ。食料も水もないけど足を怪我しててろくに動けないよ。噛まれてはいないよ』です。
この情報を持って生徒会室に向かいましょう。
これらの情報を学園生活部の面々に説明し、救出に向かうことを主張しましょう。
賛成派はホモちゃん、ゆきちゃん、くるみちゃん。
反対派はめぐねぇ、りーさん。
中立にチョーカーさん。
という陣容で会議が始まるので、最低でもめぐねぇ、くるみちゃん、ゆきちゃんを連れて行動できるようにしましょう。
「確かに、生存者がいるなら救助に向かうべきだとは思いますけど……何も今すぐではなくてもいいんじゃないでしょうか、これから日が暮れて視界も悪くなりますし」
めぐねぇの言うことにも一理ありますけど、日が暮れたら『かれら』が居なくなるのもまた事実、昼間の混雑する駅に行くより安全です。
「そうだよ!助けられるなら助けてあげたほうが賑やかになるし、一人はかわいそうだよ!」
「足も怪我してるみたいだし、もし手遅れになったら悔やんでも悔やみきれないし……あたしも助けに行きたい」
そうだよ(便乗)
最悪ホモちゃん一人なら安全に動けるから、馬鹿野郎お前俺は救出活動に行くぞお前!
「……わかりました、ただし移動は車で行います、運転は私がします」
やったぜ。
それじゃあ早速鍵と車を取りに行きましょうや。
最終下校時刻も過ぎて校内に『かれら』はほぼ居ないので移動時間は倍速だ。
感染者倍速中……
で、なんでりーさんとチョーカーさんもこ↑こ↓(教員用玄関)にいるんですかねぇ?
話的には二人共来ないと思ったんですけど……ままええわ、それはそれで資材回収効率上がりますし。
「というか、萌香はなんで当たり前のように運転してきてんだよ……」
それはねチョーカーさん、ついでに街の資材を拾って帰れば一石二鳥だからです。
移動時間は大差なく資材集積量は増える、完璧な効率だぁ……(うっとり)
まあ建前なんですけどね、初見さん。
ちゃーんと《運転》スキルも習得してあるから、ホモちゃんの華麗なるドラテク見とけよ見とけよ〜?
「一応……ちゃんと運転できてましたから……」
そうだよ(肯定ペンギン)
ゴネる先生を説得するのは苦労しましたが、効率のために犠牲となってもらいましょう。
なんだかんだ柔軟な先生嫌いじゃないし好きだよ。
それじゃあ適当に乗り分けて移動開始しましょうか。
めぐねぇ号:めぐねぇ(ドライバー)、りーさん、くるみちゃん。
ホモ号:ホモちゃん(ドライバー)、チョーカーさん、ゆきちゃん。
戦闘力の観点から以上の振り分けで、イクゾー!(カーンカーンカカカカーンデーン)
道中はめぐねぇ号が先導して駅を目指していきます、こっちにはゆきちゃんという天才カーナビが居ますが、大人として流石に車で前を走らせることはさせてくれません。まぁどうせ誤差だよ誤差!
「ところで萌香、お前免許なんか持ってたんだな、よくテスト合格できたよ」
え、なんでいきなり知力煽りされてるんですかね(メンバー中ぶっちぎり最低値)。
免許なんか必要ねーんだよ!運転できればそれで十分!
「……ちょっと待て、お前無免許で運転してるのか?」
無免許どころか今日初めてハンドル握ったゾ。
大丈夫だってヘーキヘーキ、平気だから。
マリカーも相当やりこんでるから安心!
「降ろせぇ!今すぐ私をこの車から降ろせ!」
え、イニシャルDのほうが良かった?良ければスマホにユーロビート入ってるしかけようか?(すっとぼけ)
そんな馬鹿騒ぎをしながらしばらく進むと巡ヶ丘駅が見えてきました。
ここがあの女のセーフハウスね……
駅のロータリーに車を停め、それぞれ武器を片手に降車します。
人通りはまばらとはいえ、この街唯一の駅でそれなりに『かれら』が居まして、エンジンの音に誘われてわらわらと寄ってきます。
とりあえずホモちゃんとくるみちゃんの二人が最初に降りて引きつけましょう。
その隙に他のメンバーに降りてもらったら、戦闘力の低いゆきちゃんりーさんを中心に、両脇をめぐねぇとチョーカーさん、先頭はホモちゃん後方にくるみちゃんという配置でインペリアルクロスを組み、駅長室を目指して進撃開始です。
両脇の二名は中央二人よりはマシ程度なので倒そうとはせず押し返す程度にしてもらいます、今はとにかく進軍速度を大事に行くのだ。
ちなみにこの中心二人いらなくね?と思うかもしれませんがそうでもありません。
ゆきちゃんは早期警戒レーダーとして有能ですし、りーさんも緊急時に音爆弾(防犯ブザーなど)の使用等でかなり役立ちます。
外を探検するときは可能な限り全員連れて行くといいでしょう。
なお改札付近以外はたいして『かれら』がいるわけでもないのでかなり余裕を持って行動できます。
駅長室にたどり着いたらドアをノックしてもしも〜〜〜ししましょう。
すいませぇ〜ん、木下(大嘘)ですけども〜。(開けるの)まーだ時間かかりそうですかね〜?
巡ヶ丘高校の生徒で、放送を聞いて助けに来たといえば信じてくれるのでちゃっちゃと中に入りましょう。
そしたらこのルートの要救助者の一人、祠堂圭ちゃんの救出はほぼ完了です。
「本当に助けに来てくれるなんて……」
(そういう趣旨のRTAなんだから)あたりまえだよなぁ?
という冗談は置いといて、とりあえず持ってきた医療品で(めぐねぇが)治療するから脚見せろ。
その間は扉の前で彼らが入ってきてもいいように構えていましょう。
ごく稀に大乱闘が始まることがありますが、今回は発生しませんでした、まあ発生しても余裕ですけどね!(強がり)
「ありがとうございました……あの!助けてもらっていきなりで申し訳ないんですけど──」
Kちゃんの申し出は簡単にまとめると『ショッピングモールに友達が残ってるから助けてほしい』ということです。
あ、いいっすよ。(安請け合い)
ここまで来たら一人助けようが二人助けようが変わらないっすからね(建前)
「その、聞きにくいんですけど、ショッピングモールは立て篭もるには充分なんですか?女の子一人となると……」
「あ、はいそれは大丈夫だと思います、抜け出してきたのも本当につい最近で、バリケードや日持ちのする食品類もちゃんと用意できてましたから」
したらばもうちょっと待って、ショッピングモールの閉店時間を迎えたらふた手に分かれてみーくんの回収に向かいましょう。
めぐねぇ号にKちゃんを乗せてみーくんをホモちゃん号に、そして食料や資材類なんかを搭載したら迅速に撤退でどうしょう?
閉店時間にさえなってしまえば『かれら』の数は激減しますし、比較的安全に救出できると思います。
「そうですね……そうしましょうか」
よし、そういうことに決まったらりーさんが用意してくれたお夜食のおにぎりで休憩だ!
といったところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
あぁ、こんなことになるなら、やっぱり美紀のところに残ったほうが良かったかな……
でもたとえあそこに残ったところで、訪れるのは緩やかな死でしかない、私はまだ諦めたくない、きっとまだどこかに頑張っている人がいるはずなんだ。
私は諦めない、諦めたくない。
救えなかった、見捨ててしまった人たちの分も、私は生きなくてはいけないんだ!
でも、この怪我じゃもう遠くへ移動はできない、この部屋には食料が殆ど無いから長居することもできない。
ないないづくしの中で、唯一あったのは放送用設備だけで、私はそれに一縷の望みをかけて放送をした。
段々と日が暮れていく窓の外を眺めながら、これからどうしようか考える。
いや、考えるまでもないか……生きるならばどうにか食料を手に入れないといけない、でもこの足じゃあ……
そんな堂々巡りの思考をしていると、ついに運命の時を迎えてしまったのか駅長室の扉が叩かれる。
いつ破られてもいいように、覚悟だけは決めてここまで逃げる間使っていた鉄パイプを持ってそっと構える。
もしかしたらまだ、気付かれたわけではなくてたまたまぶつかっただけかもしれない……
「すいませーん、救助要請聞いてきた巡ヶ丘高校の者ですけども〜」
一瞬、聞き間違いかと思ってしまった。
久々に聞いた美紀以外の人の声、それも所属は私がいた高校の人だという。
まさか本当に救助が来るだなんて……
「あれ、ここじゃないのかな……」
「でも室長室ってここだろ?」
「あ、い、今開けます!」
扉を開けて入ってきたのは全部で6人でした。
制服を見るに巡ヶ丘の生徒が5人、多分全員先輩とあとは佐倉先生という確かに巡ヶ丘高校の人達でした。
あれだけたくさん人が集まる場所でこんなにたくさん生存者がいたなんて……なんだか凄い。
あとなんか一人だけ、何故か道路標識を片手で当たり前のように持ってる人が居ました、それはそれですごい……
「まさか、本当に助けに来てくれるなんて……」
「同じ学校の生徒だしね、当たり前だよ」
「治療用の道具を持ってきたので、足の様子を見せてください」
救急キットを持ってきていた佐倉先生の言うとおり、捻挫していた足を見せて治療してもらっている間に、助けに来てくださった皆の事を見ていた。
見た感じ戦い慣れてそうなのは道路標識を片手に持ってる人と、シャベルを持ってる人、返り血も浴びてるからここに来るまでにも戦ってきていたんだとうかがえる。
真ん中で守られてた一番小さい子─多分先輩だけど─は、私が気付いていなかった食品なんかを目ざとく見つけていた。
なんと言うか、みんなすごく手馴れているように思えて、もしかしたらこの人達となら生き残れるんじゃないだろうか、そんな根拠の薄い思いがあふれてくる。
この人たちならもしかしたら……
「あ、あの!助けてもらっていきなりで申し訳ないんですけど……」
私は、すぐに頭を下げてお願いしていた。
どうか私の親友を助けてほしいって。
それが難しいことだっていうのはわかっている、あれだけ備蓄の豊富なショッピングモールであんな惨事だったんだ、学校ではいろいろと不足してしまうかもしれない。
「お願いします!私にできることならなんでも「うん、いいよ」だから!……え?」
一瞬聞き間違いかと思ってしまった。
だって、そんなにあっさり……
周りの人も、この人の言動にやれやれまたか、というような反応をしながらも、否定的な意見は出てこない。
そんな……まさか夢でも見ているんだろうか。
「一人助けるのも二人助けるのもたいして変わらないから、それにもともと資材集めにショッピングモール行くつもりだったし」
「はぁ……また家計簿つけるのが大変になるわね」
「いやー、ほら、その分わたし頑張るからさ」
みんな苦笑しながら、それでも次の計画を決めていく、私も聞かれたことには素直に答えて、協力を惜しまない。
怪我をしたり、美紀には心配をかけさせちゃったけど、でもやっぱり外に出てみて良かった。
だって、こんな世界になってしまったけれど、それでも私の前にこんなに凄い救世主が現れてくれたんだから。
「とりあえずりーさんのおにぎりで腹ごしらえして、備えよう」
「その前にくるみと萌香は手を洗ってくるように」
「ちょ、ちょっと待て、あたしまで巻き込むなよ!?」
これが私と、ちょっと間抜けでカッコイイヒーロー達との出会いでした。
何も言うことはない(殿下)