最終日が刻一刻と近づいてくるのにやることがないRTAの続きはーじまーるよー。
今回は屋上でみーくんに振られたところから再開です。
一体何がいけなかったんでしょうかね〜不思議ですね〜
まあどう考えても好感度不足と直前のカミングアウトのせいなんですけども。
とりあえずみーくんが来たってことはご飯も終わってるでしょうし、そろそろ戻りましょうか。
とりあえずみーくんもですけど、それ以上に自分の正気度回復手段を考えないといけませんね……
とりあえず日誌開始時点で一時中断していた個人用の日記を再度つけ始めましょうか、わずかとはいえ回復できるのでやらないよかマシですね。
これはたぶん遺書だ。(大嘘)
とりあえず日記も書き終えたらそうですね……適当にゆきちゃんにでもからみに行きましょうか。
あの子はそばにいるだけで正気度回復効果をもたらす広域回復ユニットです、神かな?神だな!
ヘイゆきちゃーん!何の話ししてんの?
「あ、もえちゃん!えっとね……秘密!」
くぉれは何か隠し事ですね間違いない。
明日とかに何かサプライズでイベントでも開くつもりかな?
ゆきちゃんはこういったイベントなどを自主開催して、普段の作業が中止になる代わりに大幅な正気度回復イベント等を開催することがあります。
RTA的には本来歓迎するものではないのですが、今回ばっかりは歓迎しますよーするする……ヌッ!
私にも教えてくださいよ〜何ならお手伝いしますぜ旦那!
「ダーメ、内緒は内緒だよ!」
うーん、そう言われてしまうと突っ込めない。
仕方ないので他愛もない雑談をして時間つぶしたら寝ちゃいましょうか。
ちゃんと手錠もかけておやすみなさーい!
みんなが寝静まった、深夜の2時を回った頃だろうか。
金属同士がぶつかり合い擦れるような、少し耳障りな音。
それにかき消されるように、低く唸るような声も混じっている。
ここ最近よく聞き、耳にこびりつくような不快な声。
『かれら』の唸り声だった、それが近くから聞こえてくる、確かにバリケードも作られてるのに……
周りを警戒しながら布団を抜けだして見回してみると、生徒会室に置かれた椅子に、くるみさんが腰掛けて月の明かりを頼りにシャベルの手入れをしていた。
「よっ、起きちゃったんだな」
「くるみさん、この音って……」
なんとなく予想は付いている。
『かれら』が派手な物音一つさせず、一階から三階まで張り巡らされているバリケードを越えてこられるわけもない。
この音の発生源は……
「ああ、萌香が……ちょっとな」
やはりそうだった。
昨日もそうだが手錠をつけて寝ている時点で察していた。
本田先輩は『かれら』として動いてしまうことがある、という事だ。
だからわざわざ頑丈な手錠まで用意して、寝にくいだろうに体を固定して寝ているんだろう。
「あの、本田先輩はいつも……?」
「いや、いつもってわけじゃないんだ、ただ……前より間隔が狭くなってると思う」
つまりきっと病状が悪化している、という事だろう。
ただくるみさんはどうにも慣れた様子……というよりも信頼しているような様子で落ち着いていた。
くるみさんは立ち上がるとコーヒーメイカーから一杯のコーヒーを注いで私の前に置いた。
「たぶんどっちにしろ寝れないだろ?こんな状態じゃ」
「まあ、そうですね……本田先輩は、戻るんでしょうか」
「今までだって何度もああなって戻って来たんだ、今回だってきっと……でも安心しなよ、ダメならちゃんと……あたしがケリをつける」
怯えるような様子もなく、しっかりと覚悟の決まった顔をしていた。
怖くはないのだろうか、ついさっきまで笑い合ってともに過ごしていた人を傷付け、殺めるという行為が。
もし圭が『かれら』になったら、私は……
「萌香が嚙まれちまったのもさ、あたしのせいなんだ」
「え?」
「あたしがさ、もう噛まれてた先輩を担いで逃げてて、それで屋上に逃げこむって時に萌香はあたしを庇って嚙まれたんだよ」
くるみさんは、膝を抱えてポツポツとそれからのことを喋り始めた。
もう聞いた内容も含めて、くるみさんの主観で見たこと、思ったこと、いろいろな話を聞いた。
ところどころコミカルに、それでも鮮明に思い浮かべられるような臨場感を持った話に、私はすっかり聞き入っていた。
「で、あいつったら酷いんだぞ、寝ぼけてたとはいえあたしの事ゴリラ呼ばわりしやがって……お前のほうがよっぽどゴリラだろうが」
「ふふっ、本田先輩らしいですね」
「萌香はさ……普段ふざけまくってるけど、めちゃくちゃお人好しの、優しいやつなんだよ」
「……はい、皆さんから聞いて、こんな人本当にいるのかって思いました」
「自分のほうがよっぽど大変なのに、貴依を助けたり、あたしらの為に物資をこそこそ集めて置いてったり……ごん狐かっての」
「……」
「だからさ、あたしはあいつに人を襲わせたくないんだよ……そんなの、あいつが一番悲しむに決まってるじゃねぇか」
確かに、あの人はお人好し……というよりも人が好きな人だ。
誰でも困ってたら助けて、困ってなくても困ってないか声をかけてきて。
そんな人が、自分の意志ではないとはいえ人を殺めて悲しまないわけがない。
「だから、もしも本当にあいつがダメそうならあたしが止めてやるんだ、それがあたしにできる一番の恩返しだから」
「強いんですね、くるみさんは」
「あたしなんかあいつの足元にも及ばないよ、力も心も」
そう言ってくるみさんは恥ずかしそうに笑うけれど、私にはとても強い人に見えた。
友達のために、友達に武器を向ける勇気を持つというのは、きっと私が想像できないほど難しいことで。
それを覚悟させられる程、萌香先輩は優しくて好かれる人なんだろうなと思えた。
段々と東の空が白んでくる。
まだ付き合いはないに等しいけれど、どうかあの太陽のように、あの人が今日も変わらずにこの学校での生活が送れますように。
赤い視界からおはよーございまーーーー!!!
最終日目前での『かれら』化は痛いですね……これは痛い。
時間も既に午前11時とかなりのお寝坊で、この様子だとかなり症状が進行してそうですね……
とりあえず手錠を外してみんなを探しに行きましょうか……
と、思ったところでしたがちょうどよくくるみちゃんが来ましたね。
くるみちゃんオッハー!
「萌香!良かった……元に戻れたんだな……」
おう、すっかり寝坊してしまったけれど元に戻りやしたぜ。
いやー、しかしここまで寝坊しても始末されなかったのでやっぱり好感度上げって大事なんですわ。
まれに諦められて始末されることがあるので、ゴリラの好感度には気をつけよう!(2敗)
「もえちゃん!」
おおう、続いてゆきちゃん渾身のタックルですね。
今までは食らってもびくともしなかったのに、今日に限ってはベッドに尻餅をついてしまいました。
なんで?なんで?なんで?なんで?(レ)
ステータスを見てみましたが、特別下がってる様子もないので衰弱が始まったわけでも無さそうですけど……あっ、これかぁ!
バッドステータスの《めまい》が付加されてますね。
これは衰弱が始まる前兆となっているバッドステータスとなっておりまして……つまりピンチだな!ガハハ!
おかしい、よほど乱数に嫌われない限りここまで進行しているはずが無いのに、何者かによる陰謀か?
一番進行度が伸びていた可能性があるのは雨の日のスマブラで気絶した時の乱数ですかね……
これはまずい……まずいですね。
何がまずいって、最悪今夜再び『かれら』になってしまった場合明日のラッシュ時にお荷物になってしまう可能性があることなんですよね。
そうなると洒落になりません。
めまいだけなら打たれ弱くなるだけでダメージを喰らわなければ問題ないんですけど、完全に弱体化してしまった場合元の生身だった頃のステータスを下回ってしまうんです。
これは想定していませんでしたからね……
仕方がありません、ここでトラップカードオリチャーを発動!
そこそこ溜まった経験値を生贄に捧げて、感染者プレイの救世主スキル《抗体》を習得します!
本来であれば準備状況に合わせて各種戦闘技能のレベル上げや新規取得に使うつもりだったんですけど、諦めてこっちのスキルにしましょう。
なーに、明日のラッシュの難易度が上がるだけさ(白目)
この《抗体》スキルですが、習得の翌日に進行度が急激に下がり、また再進行が遅くなるので通常プレイの感染者ルートでは必須のスキルとなります。
ではなぜ安定のために習得するのが今回のチャートに入ってなかったかと言いますと、実はこのスキルはLv1を習得するのに3レベル分のポインヨを求められる激重スキルなのです、そんなのRTAで取ってる余裕あるわけ無いんだよなぁ。
幸いにして駅、ショッピングモールでの戦闘、めぐねぇへの杖術指南の達成、更に良くわかんないけど複数の好感度イベらしき経験値でレベルアップしたのでポインヨは足りています。
さらば杖術スキルレベル3……
「おい萌香、平気か?」
おっと、スキル習得に気を取られすぎて心配かけちゃいましたね。
ちょっと寝過ぎて目眩しただけだから大丈夫だって安心しろよ〜
さてと、今日は何して過ごしましょうか。
お腹にぐりぐりと頭をこすりつけてくるゆきちゃんを宥めながら校舎内を歩きまわりましょう。
おや、音楽室からピアノの音が聞こえてくるということはKちゃんのイベントチャーンスですね。
さあ行きますわよ!
「ピアノ?誰が弾いてるんだろう」
とりあえず行けばわかるし行ってみましょうや。
音楽室の扉を開くと、まあ案の定Kちゃんがピアノを弾いてました。
弾き終わったらちゃんと拍手してあげましょう。
へぇ、ピアノ弾いてるんだ、モーツァルト?(無知)
「あ、本田先輩……おはようございます」
何やら気まずいような雰囲気。
そらついさっきまであんな状態だったからね、仕方ないね。
でもめげずに会話は続けます。
「先輩は……怖くないんですか?だんだん病気が進行していくのって」
(チャート通りなので怖くは)ないです。(王者の風格)
それよりも、みんなの力になれなくなる方が怖いですね、まさかここまで弱ってるとは想定外でしたからね。
「本田先輩は、強いんですね」
(先輩が強いのは)当たり前だよなぁ?
後輩を守るために先輩はいるんだからもっと頼ってどうぞ。
くるみちゃんとかもおすすめですよ、感染してるホモちゃんには劣るもののとんでもない怪力ゴリラですからね。
「あはは、覚えておきます」
あ、でも目の前でゴリラって言うと怒るから、程々にしておくんだゾ。
その後またしばらく談笑したら、いつも通りの雰囲気に戻ったんでケアは大丈夫そうですかね。
うーん、この感じはめぐねぇとかりーさんのケアも必要そうですかね……
と思って二人のところを回ったんですが、特別変わった様子もなく過ごしていたのでその風景は倍速です。
「ねぇ、もえちゃん屋上行こう」
ゆきちゃんから屋上へのお誘いですか、もう日は沈んでるけど日焼けでもするのかな?(すっとぼけ)
たぶんこれは昨日内緒のお話で進めてたイベントの開催かな?
とりあえず行きますねぇ!(食い気味)
ゆきちゃんとお手手つなぎながら屋上への階段を登っていきます、屋上に出るともう既にホモちゃん以外は全員集合していました。
さて、夜となるとイベントは限られてきますけどどれですかね?
「じゃーん、今日はこれで遊びます!私が昨日購買部で見つけたんだよ!」
花火を持って胸を張るゆきちゃんかわいい、食べちゃいたい。(ノンケ)
そして花火イベントは当たりですねぇ!
花火イベントは文字通り屋上で花火をするイベントなのですが、参加した全員の正気度回復効果と、更に全員との好感度がアップする神イベントです。
一応デメリットに花火の音と光で『かれら』が寄ってくるというものはありますが、校内は既に要塞化が進んでいるため心配は微塵もありません。
花火を楽しむゾ〜!
と言っても特別なにかあるわけではないので早送りしながら今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
「あいつ、いくら何でもはしゃぎすぎだろ」
恵飛須沢さんが苦笑しながら眺める先にいるのは、手持ち花火を片手にぐるぐると振り回している萌香さんの姿でした。
危ないからと注意しようにも、不用意に近づくとこっちも危ないのでしかれませんね……後で終わったらちゃんとお説教しなきゃいけません!
でも良かった、こうやって楽しそうに遊んでいる姿を見られると、とても安心できる。
こんなおかしな世の中になってしまったけれど、それでも彼女たちはまだまだ子供で、遊べるときにはちゃんと遊ぶべき年齢だった。
そんな彼女たちが命をかけて戦って、一人は治せるかもわからない病を患って……私ももっと頑張らないといけませんね。
「めぐねぇもこっちおいでよ〜」
萌香さんと丈槍さんが花火を片手に持って私のことを呼んでいる。
二人共とっても素直で優しくて、ちょっと手はかかるけれど素敵な生徒。
守るはずが守られて、戦う方法を教えてもらい、真実を知った時には諭されまでしてしまったダメな大人ですけれど、これから先は絶対にみんなの事を守ってみせますから。
「もう、危なかったから注意できませんでしたけど、花火は振り回しちゃいけませんよ!」
だからもう少しだけ甘えてください、萌香さん。
次回は書き上がり次第なので未定です。