【完結】がっこうぐらしRTA_故意感染ルート   作:霞身

15 / 16
最終日ラッシュから6時間ぶりの初投稿です。(一行矛盾)
前の話を読んだか確認、しよう!


エンディング

 さっき萌香達と離されてから、あたしたちは一足先に地下のシェルターにたどり着いていた。

 中にはそこそこの数の『かれら』がいたけど、問題になるほどの数ではなかった、あたしとめぐねぇの二人で充分処理できる程度の量だ。

 ここは本当に学校だったのかってくらい、地上と地下で雰囲気が変わる。

 校舎内に比べて地下シェルターは無機質というか……薄ら寒い雰囲気があった。

 ここは、どこかの誰かが実験だか研究のために用意した施設で、つまりその誰かはこうなる事を想定できていたということで、そんなものの研究さえ無ければ先輩も萌香も……

 シェルターの中でうずくまり、萌香達の到着を待つ。

 本当は迎えに行きたいけど、ここから離れるわけにも行かない。

 心配に思ってるのはあたしだけじゃない、ここであたしが出て行ったらみんな余計に心配する。

 特にめぐねぇは、最近の萌香の様子もあってかなり憔悴している。

 ついこの前まであんなにピンピンしてたのに、昨日はゆきのタックルだけでふらついて尻餅をついていた。

 力が元に戻ったりしていない時点でわかってた、あいつは別にウイルスを克服したわけでも、治ったわけでもない。

 あくまでも抗ウイルス剤で症状を抑えていただけだったんだ。

 それも限界が近づきつつある、だから体調が良くなかったり感覚が失われたりしてんだ。

 あと、どれだけ持つ?

 ここを抜け出せたところであいつはいつまで……

 そんな暗い未来ばかり考えていたところで、小さな笑い声が聞こえてきた。

 こんな状況でなんで。

 そう思って顔を上げると、りーさんとけいが一冊のノートを読んでいた。

 

「何読んでんだ?」

「ああ、これ?萌香の日記よ」

「なんでそんなもん持ってきてんだよ……」

 

 途中で食料をカバンに詰めた時にでも一緒に持ってきちまったのかな。

 そう言えば書いてるところを見たことはあるけど、内容は読んだことなかったな。

 ……ちょっとくらい、見てもバレないか。

 こんなに心配させて戻ってこないアイツが悪い、恥ずかしかったらさっさと戻ってこいよ、萌香。

 

「ははっ、そりゃ確かに笑うわ」

 

 見せてもらった内容は、小学生が書いたのかと思うような感じだった。

 ほとんど平仮名だし、言葉の選び方も子供みたいだ。

 そのくせに人の心配ばっかりしやがって、自分のことには全然触れない。

 あいつ、本当にいい奴だよ。

 あんなに人のために頑張れる奴が報われないなんて、そんなの許せるわけ無いだろ。

 

 こんな惨事の中を生きてるとは思えない、気の抜けるような日記がしばらく続いて、ある時ぱたっと止まる。

 日付的に雨の日か?

 確かにあそこからはなんだかんだ忙しい日々が続いてたしな、書く余裕はなかったか。

 そして一昨日からまた日記がつき始めていた。

 


 

○月△日

 

けいちゃんとみーくんの二人をぶじ助けられた。

けいちゃんはケガしちゃってたけど、学校にいれば多分だいじょうぶだよね

ところでなんでみんな私が料理するって言うと驚くんだろう、げせない

私だって女の子なんだから料理くらいれん習するのに

たしかに、においとか味がよくわからなくなってきて、こまかい味つけとかはできないけどさ

 

あとくるみちゃん!ふつーのJKはつくえ2つをかるがる運んだりできないからね!

 

あとはそうだなぁ、そうだ、めぐねぇがついに私の杖術をしゅうとくできたんだよ

すごくわかりにくそうにしてたけど、おぼえてもらえてよかった

私もししょーからああやって教わったから他の方法わかんないんだよね

でもこれで、私がいなくなっても平気だよね

 

さいきん体の調子がよくない

動くんだけど、キレが悪い

においとか味、あとは物をさわったかんかくもにぶい

もしかしたら長く保たないかもしれない

そうなったらくるみちゃん、めぐねぇ、みんなのことよろしくね

だいじょうぶ、みんなで力を合わせればなんだってできるよ、私もおうえんしてる

ああ、でも……やっぱり死にたくないなぁ

今のやっぱりなし!

もっともっとみんなとがんばりたいからがんばる!

ゆきちゃんも、めぐねぇも、くるみちゃんも、りーさんも、たかえちゃんも、けいちゃんもみーくんも

みんなみんな、私がまもるから

だから、これからもよろしくね

 


 

「ばーか、言われなくたって、ずっといっしょにいるつもりだっての」

「ほんとよね、もう離すつもりないもの」

 

 あいつもあいつなりにずっと考えてたんだろうな。

 だから積極的に『かれら』を倒しに行ったり、学校の外にも資材を集めに行こうとする。

 全部が全部あたし達のために。

 いつ自分がいなくなってもいいように準備を進めようとしていた。

 資材が多ければ余裕が生まれる。

 ひとり戦えるようになれば、『かれら』に対抗できるようになる。

 動ける人が増えれば作業も効率が良くなる。

 あんなに明るく毎日を過ごしてたのに、その裏ではこんなことを考えてやがったんだあいつ。

 

「戻ってきたらお説教だな」

「そうね、ちゃんといろいろ相談しなさいって」

 

 あいつならきっとなんだかんだ戻ってくる。

 あたしよりよっぽど強くて、頼りになるスゲーやつなんだ。

 ゆきだって連れてここまで来てくれるに決まってる。

 特に理由のないそんな信頼ができるんだ。

 その為にも、こんなしけた面してられないな。

 気合を入れなおすために両手で頬を叩く。

 しおらしくしてたら、あたしらしくないしな、よしこれで……

 

「……ここ、何か消し『ゆきちゃんに手を出すなぁぁあ!!!』」

「萌香の声!入り口の階段か!」

 

 シャベルを手に取って駆け出す。

 声の感じからしてかなり切羽詰まってるだろう。

 急いで駆けつけないとやばいかもしれない!

 階段の上から重いものが落ちてくる音がする。

 あれは……あいつが使ってた標識か!急いで拾い上げて階段を駆け上がる。

 あいつ、こんな重いもん振り回してよく戦えるよな……

 シャッターの隙間から素手で『かれら』と戦う萌香と泣きじゃくるゆきの姿が見えた。

 急がないと……!間に合わせなきゃ今まで助けてもらった恩に吊り合わないだろ!

 

「早く逃げてゴ……ゴリラちゃん呼んできて!一人じゃお辛い!」

 

 あ、あいつこの期に及んでゴリラ呼ばわりとは……!

 しかもわざわざ言い直しやがって……

 

「誰がゴリラだバカ!」

 

 シャッターをスライディングでくぐり抜ける。

 そして立ち上がってあいつの得物を投げる、あいつならこれでキャッチできるだろ。

 

「あ、くるみちゃ……あっぶえ!え、なに!?殺す気だった!?」

「うるせぇ!しれっと人のことゴリラ呼ばわりしやがって!あたしだってなあ、女の子なんだぞ!」

 


 

 あっぶえ!

 なんで今日こんなに予想できないQTEが連発するんですか?

 まあ反応できたからいいんですけど、くるみちゃんのパワーで投げつけられた標識とか当たったら氏はああ逃れられない!

 くるみちゃんと二人で肩を並べて武器を構える。

 この頼もしさたるや、まさに鬼に金棒、ガンダムDXに月ですよ。

 

「敵は多いな萌香……いや、大したことないか……あたしとお前で二人がかりだもんな」

 

 突然のダブルライダーですかぁ?

 私のツボを抑えてくるとはやりますねぇ!

 とりあえず二人がかりで片っ端から『かれら』を倒していきましょう。

 さっきまでの一幕でだいぶ体力削られちゃってますがそれでも5割もあれば充分です。

 さっさと片付けちゃいましょうか!

 ホモちゃんでは倒せない相手もくるみちゃんが倒してくれる、その逆も然り。

 まさに無敵の布陣です、もはや敵なし!

 もはや『かれら』に活躍の場はありません、ちゃっちゃと殲滅してしまいます。

 それが終わったらゆきちゃんも連れて一緒にシェルターへ移動しましょう。

 

「よかった……よかったよぉ……わた、私のせいで……」

 

 泣き止んでゆきちゃん、ちゃんと生きてるしもうエンディングだから……

 そう、これでもうエンディングなんです。

 あとは地下の氏体から鍵を借りたら『かれら』の居ない学校から車で脱出するだけでエンディング突入なんです。

 くぅ疲w

 とりあえずみんなに合流すると揉みくちゃにされました、心配かけさせやがってって事ですけど、それは私じゃなくてシステムに言ってもらっていいですか(半ギレ)

 最近やたらと出番が多くて熟練度によってスキルレベルが上がっためぐねぇの治療を受けながら、お説教されています。

 もっといっぱい相談しろとか、どこにも行かせないだとか、ずっといっしょだとか……

 みんな優しすぎて涙がで、出ますよ……

 あ、やっと……みんなを救えたんやなって……

 

「馬鹿言え、もともとちゃんと救われてたよ」

 

 そう言ってくるみちゃんに頭を小突かれます。

 ホモちゃんの防御力ならこの程度1%のダメージにしかならんわ。

 さて、治療と一休みが済んだら改めて地下室の探索を開始しましょう。

 と言っても例の首吊氏体から鍵を拝借するだけなんですけども。

 先駆者兄貴が鍵を回収した時にもこぼれ落ちてましたが、この氏体謎の写真を持っています。

 この写真なんですが、おそらく巡ヶ丘の女生徒と思われるキャラクターの家族写真なのですが、顔の部分が血で汚れてしまっていてキャラクターの判別ができないんですよね。

 体格的にはかなり小柄なキャラだと思うんですけど……何らかのイベントフラグなんでしょうかね?

 まあ嵩張るものでもないですし供養ついでに持って行ってあげましょう。

 

「なんかあったか?」

 

 あ、くるみちゃん、この氏体車の鍵持ってやがりましたぜ、脱出の足しにしましょうや。

 とりあえず取るもん取りましたしこれくらいで寝ときましょう、ホモちゃんも疲労困憊です。

 適当なところで毛布被っておやすみなさーい!

 

 

 

 おはよーございまーーー!!!

 真の最終日の朝でございます!

 もう学校の敷地内に限り『かれら』は全て燃え尽きたため居ません、安全にハイエースに向かうゾ〜

 なんとこのハイエース、11人乗りの上に不思議なことに防災用品まで搭載されているすぐれものです。

 用意のいい人もいたもんだなぁ……

 誰のだか知らんがありがたく使わせてもらうぜ!

 鍵を使って扉を開けたらムービースタートです。

 コントローラーを置いて後はムービーを眺めていましょう。

 


 

 どうやらあの火災から逃れることができた『かれら』は居ないようで、静かな校舎内を歩きまわって使えそうな物を集めていく。

 私達はまたこれから新しい拠点を探して旅に出る。

 それがどこになるかはわからないけれど、きっと楽な旅でもなければ山も谷もありふれた波乱万丈な冒険活劇となるだろう事は想像に難くない。

 必要な物を詰め込んだ車は、佐倉先生の運転で道を進んでいく。

 拠点になるかどうかはともかく、とりあえずの目的地は決まった。

 ここから近く、そして先生に配布されていた緊急時マニュアルと、墜落してきた例のヘリに乗っていたジュラルミンケースから見つけた地図両方に記載があった事から、まずは近くの大学に向かうらしい。

 マニュアルによれば、ここと似たような設備が整っている場所で、ある程度の生存者がいる可能性もあるみたいだ。

 そこならば、またみんなと一緒に暮らすことができるだろうか。

 騒がしくて、馬鹿らしくて、底抜けに明るい先輩たちと、それ(匿名二名)の面倒を押し付けられる不憫で可愛い先生と、私の親友と一匹の犬。

 きっと、こんな終わってしまった世界には似つかわしくない、とても楽しい日々になる。

 論理的に言えば、そんな余裕も生まれるわけがないとわかっているのに、どうしてかこの人達ならそんな事も乗り越えてくれるような、不可能を可能に変えてしまう不思議な力くらい持っているような、そんな期待が胸に灯る。

 それに、大学ということはそれなりの研究設備があるかもしれない、そうしたら萌香先輩の治療も可能かも。

 ああどうしてだろうか、あのひとりぼっちだったモールにいた頃では考えられない、明るい空想が終末そのものの街を眺めながらでも溢れ出してくる。

 きっと、未来は美しく明るい希望で満ちている。

 

「あぁ、これで一安心だ……ちょっと疲れちゃったな」

 

 昨日の立役者、萌香先輩が一番後ろの席で一度伸びをすると、隣のくるみさんに寄りかかる。

 本当に眠そうだ、今にもぐっすり眠ってしまいそう。

 

「おいおい萌香、まだ出発したばっかりだぞ、しっかりしろよ」

「そうは言うがねくるみちゃん、私は元々頑張り屋さんではないんだよ〜、それがこの二週間足らずでちょっと頑張り過ぎちゃった……かなぁ……ふぁ……」

 

 本当に、幸せそうにまどろみながらも話しつづける。

 

「こんなにも幸せで、ねむるなってうそでしょ……」

「萌香……」

 

 そうして萌香先輩は、目を閉じて眠りに入った。

 本当にぐっすりと、幸せそうな顔をして、満足そうに眠っている。

 

「萌香……おい」

 

 くるみさんが、萌香先輩の肩に手をかけて揺する。

 まるで起きる様子もない。

 静かに静かに、眠り続ける。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつ、本気で寝てやがった……途中から気持ちよさそうにいびきまでかきやがって……枕にされたこっちの身にもなれってんだ」

「いやー、メンゴメンゴ、本当に眠くってさ」

 

 それから大学まで行く途中で一度休憩をとったところで普通に目覚めた。

 あのまま二度と目覚めなければ、まるで本当に幸福の王子のようだったのに、嬉しいけれどやっぱり間抜けな人だ。

 でもそんな人だから、私も圭も、そして先輩達も先生も。

 みんなを助けることができた人だ。

 だから私達はきっと、彼女に惹かれるのだろう、こんな終わった世界で、明日も明るく笑うために。

 

【つづく】




ここでタイマーストップです!

みーくんほんとモノローグが似合うよね。

あとがきは次回(10分後)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。