【完結】がっこうぐらしRTA_故意感染ルート   作:霞身

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やっと……ここまで辿り着けたんやなって……と思ったので初投稿です。


雨の日の死闘

 ついに決戦の朝を迎えるRTAの続き、はーじまーるよー。

 

 夜の見張りを終え、今日はついに運命の7日目となりました。

 初日以来の山場に若干私の手も汗ばんできてます。

 多分フラグ立て自体は問題ないとは思うんですけど、なんだかんだ事故率が高いので激戦が予想されます。

 ちなみにもし仮にフラグ立てが足りてない場合何が起こるかというと、学園生活部のメンバーのうち誰かが『かれら』を追い払う方法(校内放送で下校を促す)を自力で思いつく必要があります。

 これはフラグが足りてない数だけ成功率が下がっていき、その時間を誰かしらが外で稼がねば放送室の扉を破られて全滅の憂き目が待っています。

 ホモちゃんなら耐えること自体はおそらく不可能ではないですが、それでも分は悪いしかなりのロスなので出来る事ならそんなことにならないように準備しましょう。

 みんなが起き出してきたら念の為チキンセーブしておきましょう、フラグとか関係なく普通に誰かしら落ちる可能性は十分にあるので。(3敗)

 外は当然のように大雨です、ついに決戦が始まります、事前に飯を食べて全力を出せるように備えましょう。

 

「あら、今日は雨なんですね、なんだか外に『かれら』の姿が少ないような……」

 

 お料理してたらめぐねぇが真っ先に気が付きましたね。

 そうっすね、雨宿りでもしてるんじゃないですかね。(すっとぼけ)

 

「でも助かりますね、これで水の補給ができます、浄水機能は生きてるのに水が通ってませんでしたからね……」

 

 そういえばそうっすね……発電機があるから浄水機能は動かせるのに、そこに水を供給する上水が動いてないので宝の持ち腐れでしたね……

 とりあえずご飯も出来ましたし皆で朝ごはんにしましょう、今日の朝食はトーストとスクランブルエッグ、焼いたベーコン、あと缶詰だけどコーンスープよ〜

 これから戦闘で正気度がモリモリ減るので少しでも正気度にブーストをかけておきましょう。

 食事も終わりりーさんが食器を洗っていると、ゆきちゃんとくるみちゃんが何かに反応しましたね、ついに始まります。

 

「なあ、なんか外から音がしないか?」

「私も……なんか悪い予感がする」

 

 雨漏りでもしてるんですかね?(すっとぼけ)

 ちょっと心配だしついでに畑に大雨の影響出てないか様子でも見てくっぺ。

 いつもの標識を片手に外に出ましょう、先駆者兄貴も言っていましたが、ここでは別に『かれら』の群れを目視する必要性は全くありません、廊下に出るというそれだけで『かれら』のラッシュを感知できます。

 

「そんな変なフラグ立てんなって……あたしもいくよ」

 

 くるみちゃんも覚悟決めとけよ〜?

 まあそんなこと言わなくてもこの戦闘民族は既に戦闘の気配を感じ取って戦闘態勢に入っているので、不意打ち完全無効状態なんですけどね、お前チートか?

 とりあえず外に一歩出たら即放送室に戻りましょう。

 

「お、おいどうしたんだよ畑見に行くんじゃなかったのか?」

 

 そんなこと言っとる場合とちゃうぞ、『かれら』が大挙をなしてやってきています、さあ戦闘準備だ!

 ゆきちゃん、りーさん、チョーカーさんにモップを、めぐねぇには外で拾ってた鉄パイプを持たせて臨戦態勢に入ります。

 可能な限り戦力が偏らないようにゆきちゃんめぐねぇペア、チョーカーさんくるみちゃんペア、そしてりーさんとホモちゃんのペアでそれぞれの階段の防衛に入りましょう。

 階段の上を取って戦えるのでちょっと押すだけでゆきちゃんですら敵を倒せるので早々危機に陥ることはない筈です。

 ただしたまに乱数のいたずらで、一箇所にやたらと押し寄せてくることがあるので、常に周りの状況の把握を忘れてはいけません。(2敗)

 最も戦力が低いゆきちゃん達ペアを中央階段に置いて、ホモちゃんかくるみちゃんが直ぐ援護に駆けつけられるようにします。

 くるみちゃん達のペアは放送室側を、ホモちゃん達は教室側の階段を防衛しましょう。

 さて、戦闘が始まったは良いんですけど……

 

「なんだか、思ったより多くないわね……」

 

 そうなんですよね、へたしたらりーさん一人でも抑えられそうなほど数が少ないです。

 これは他の場所に数が偏ってそうですね……ちょっと他の二箇所の様子確認しましょうか。

 大声で呼びかければ誰かしら答えてくれます。

 

「こっちはなんとかなると思うけど、ゆきの方がやべぇ!」

 

 よりにもよってそこですか……とりあえず一旦ゆきちゃんの所手伝ってくるんでここお願いしてもいいすか?

 

「わかったわ……皆をお願い」

 

 大丈夫だって安心しろよ〜

 ぱぱっと片付けて戻ってきましょう、いくら『かれら』の数が少ないとはいえりーさん一人ではいつまで持つか不安なのも事実です。

 中央階段に行くとゆきちゃんとめぐねぇがかなり顔色悪くしてなんとか『かれら』と奮闘してくれてますね。

 いくらめぐねぇがお覚悟を決めてきていると言っても、まだ戦闘能力自体は以前よりちょっとマシ程度ですからね……

 拙者ハッピーエンド大好き侍という者、義によって助太刀いたす!

 

 その後もりーさんの所に戻ったり、またゆきちゃんのヘルプに行ったりと動き回っていた所でめぐねぇ(時報)がイベント進行を告げました。

 さっさとりーさん拾って放送室に戻りましょ。

 顔色悪いけど大丈夫かりーさん。

 

「大丈夫よ……大丈夫、それより皆は……」

 

 声をかけるとかなり警戒した様子で黙々と『かれら』を突き落としてますね……なんか思ったより正気度低くなぁい?

 とりあえず正気失ってるわけじゃないしいっか。

 痩せ我慢は良くないってそれ一番言われてるから。

 もうバリケードが持たないからさっさと放送室に撤退しますわよ!

 全員無事だからりーさんもホラホラ、ホモちゃんが殿務めるから引くんだよ!

 撤退してイベント進めるとバリケードこそ破壊されてしまいますが、最低限の簡易バリケードと違い撤退しきるまでは持ちこたえるところまで強化出来てるので安全に撤退できます、やっぱり感染者ルートが最強じゃないか。

 放送室に逃げ込んでさえしまえばこっちのもんです。

 これでイベントが……

 

「くそっ、このままじゃまずいぞ!」

 

 イベントが……

 

「なんとか……何とかする方法を考えないと……!」

 

 どうしてイベントが進まないんですか?(電話猫)

 そんな馬鹿な……フラグはちゃんと……

 


 

元生徒の『かれら』を確認する

教室に集まる『かれら』を確認する

混雑時(昼)の食堂を確認する

非混雑時の食堂を確認する

夜間には『かれら』が減ることを確認する

朝から増えてくることを確認する

 


 

 あああああぁぁぁぁぁ!!!!!!ふーざーけーるーな!

 ふざけるな……!ふざけるなッ!!バカヤロー!!!アアアアアア!!!

 なんてことだ……フラグをひとつ回収し忘れていました……

 ちなみにこの放送のフラグなんですが、主人公が学園生活部にかかわらない場合、学園生活部の面々は自分達で勝手に回収して勝手に助かってくれます。

 更に言うと、プレイヤーが知っていてもキャラクターが知らないことはフラグとして使えません、あくまでもできるのは『プレイヤーの知識でフラグを回収する』事だけです、つまり知力も直感力も低いホモちゃんは今現在盾以外の役目はありません。

 さてはこの主人公疫病神だな?

 だからこの日まで合流したくなかったんだ!

 この状況に陥ると解決方法は、誰かが時間稼ぎをしている間に知力か直感力で放送で追い返すことに気付くか、めぐねぇを生贄に差し出して原作と同じ流れに持っていくかの二択となります。

 後者は選べるわけないだルルォ!?

 

 なお収録中の私は原因もわからずオタオタしていますが、とりあえずこのままでは全滅すると気が付き行動を開始しました。

 本当はできればとっておきたかったんですけど、そうも言ってられなくなったので、残していたスキルポイントを《挑発》と《死力》に割り振り、誰にも止められないように放送室から最速で脱出します、幸いにも最後に放送室に入ったので最も出口に近いです。

 イベント発生までにある程度『かれら』を倒せばレベルアップしてスキルポイントは取り戻せるという判断ですね。

 今リセットしても戻るのは今朝、もはや取り返しはつかないのでここからはこのイベントでのロスを最低限にするために一発でここの突破を目指すことになります。

 一度感染しているキャラについては彼らに嚙まれることで再感染の危険はありません、ただしHPが0になり氏亡した場合は確実に『かれら』化してしまいます。

 逆に言えば氏ななければいつまでも戦えるな!

 今の私は阿修羅すら凌駕する存在だ!この程度越えてくれるわ!

 

「っ!待って萌香さん!」

 

 この状況で待てと言われて待つ奴があるか!

 助けたかったらさっさと何とかする方法を考えろ!間に合わなくなっても知らんぞーーーっっっ!!!

 《挑発》は読んで字のごとく、『かれら』や敵対者のヘイトを一身に集める通常プレイでは確実に腐るゴミスキルですが、感染者ルートでのこういう時には役立ちます、放送室の扉が破られると一発アウトですからね……

 《死力》についてはスタミナのかわりにHPを消費して攻撃、回避、QTEを行うことができるようになります、また死力の効果によってHPが1より減ることはありません。

 よし、一撃も食らわなければいいだけの話だな!(白目)

 バジリスクチャンスみたいにバッタバッタとなぎ倒してくれるわ!かかってこいやゾンビども!

 ガンガン壁を叩きながら挑発スキルを発動して『かれら』を引きつけましょう。

 


 

 止めようと伸ばした私の手は届くことなく、萌香さんは『かれら』であふれる外へと出て行ってしまった。

 確かにここの扉を破られるのは時間の問題だったかもしれない、でも……それでも!

 

「こっちだ!こっちに来いゾンビども!」

 

 壁を叩くような音を響かせながら、萌香さんの声が遠ざかっていく。

 違う、今はそれよりも萌香さんを助ける方法を考えなくてはいけない。

 間に合わなかったら、次こそ本当に彼女を失ってしまう、間違いなく彼女は私達の中で最強だが、それでも一体どれだけ持ちこたえられる。

 彼女が正しく命をかけて私達を助けるために時間を稼いでくれているのだから、一秒だって無駄にしてはいけない。

 部屋の中を見渡して、なにか役に立つものはないだろうかと考える。

 だけど、この部屋に置かれているものは大体が消耗品だった、食品であったりバリケードの補強に使っていた資材類ばかりで、とてもではないけれどあんなにたくさんの『かれら』を追い返せそうなものは置かれていない……

 

 物でダメなら状況はどうだろうか?

 今までこんなことはなかったのに、どうして今日に限って突然こんなに校舎内に現れた?

 いつもと違うのは……雨?

 でも、雨だからって……

 

『『かれら』も雨宿りでもしてるんじゃないすか?』

 

 まさか、本当に?

 でも、だとしたところで私には雨を止ませる方法なんてない、これは役に立たない……

 

「……なんでみんな制服着てるのかな?」

 

 唐突に丈槍さんがそうつぶやきました。

 そういえば確かに、ここで見かける『かれら』は全員制服を着用していました、つまりここにいる『かれら』は皆元生徒だったということ……

 

「なんでって、そりゃ元々ここの生徒だったんだから……」

「でも、夜にはみんなどこか行っちゃうのに、また次の日来るなんてなんか変だなって……」

 

 丈槍さんも、萌香さんを助けるために必死に考えている。

 彼女も萌香さんにとても懐いていたようだったし、もし萌香さんが戻らなかったら、一体どうなってしまうのだろうか……

 私だけの為じゃない、みんなの為にも考えろ……考えなさい。

 確かに夜になると『かれら』の数は減る、一体なぜなのか今まで考えもしてこなかった。

 そして翌朝また増えているのだ。

 しかもそれは殆どが制服を纏った元生徒達と、僅かなスーツ姿の『かれら』ばかり。

 

「まるで登校してきているみたいですね……」

 

 でも、一体なぜ?

 『かれら』になってまでなぜ彼らは学校へと向かってくる?思考が動いている?

 

 『かれら』についてはどうだっただろうか。

 人とは比べ物にならないくらい力が強くて、萌香さん曰く全然お腹が空かなくなると言っていた。

 それじゃあどうして人を襲うのだろうか、食事のためではない?

 そう言えば、お昼ごろに見た食堂は生徒達で一杯だった、お腹は空かないのにどうして……

 

「まさか……」

 

 私は、一つの可能性に行き会った。

 『かれら』は何故夜には居なくなり、再び朝やってくるのか。

 学校に現れる『かれら』は何故生徒ばかりなのか。

 何故『かれら』は食堂に集まっていたのか。

 それは、今の私に思い浮かぶたった一つの可能性。

 地獄に垂らされた一本のか細い糸。

 

「めぐねぇ、なにか思いついたの?」

 

 もしかしたら、これなら救えるかも知れない。

 萌香さんは、『かれら』化していた時はいまいち思考が回らないと言っていた、それならこの時間でも、もしかしたら。

 放送室の設備を起動して、校舎内に放送を開始する。

 どうかこの方法で……

 

「下校の時刻になりました。まだ校舎内に残っている生徒は、速やかに下校してください。繰り返します──」

 

 私に思いつく手は打った、あとは祈ることしかできない。

 どうか、これが間違いではありませんようにと、ロザリオを握りしめてただ時が過ぎるのを待つ。

 …………。

 

 ……。

 

 扉を殴る音が止まる。

 足音が、遠ざかっていく。

 窓から外を見ると、『かれら』がぞろぞろと出て行く姿が見える。

 よかった……うまく行った……

 『かれら』が去って行ったことを確認して、放送室の扉を開く。

 出てすぐの場所に萌香さんは居なかった、その代わり廊下には動かなくなった『かれら』が点々と倒れている。

 放送室から離れて行くように続く『かれら』を辿り、萌香さんを探していく。

 その先に……

 

「ありがとう、先生……助かったよ」

 

 生きていた、確かに生きている。

 全身くまなく血だらけだし、どうやら怪我もしているみたいだけど生きている。

 あぁ……よかった、私は彼女を助けることができたのだ……

 


 

 生きているぅ〜!(ONDISK)

 いや本当に一時はどうなるかと思いましたが、なんとか乗り切れましたね。

 最初想定していたよりだいぶ多く釣れた時は、流石に死ぬのではと思いましたが無事生き残れましたね……初日の階段を生き延びるための戦闘訓練は無駄じゃなかったんやなって……

 想定通りレベルも上がってスキルポイントの確保も出来ましたし、めでたしめでたし。

 

 とは行きません、HPは残りミリ、スタミナは消費し切っているのでもういつ気絶してもおかしくありません。

 気絶する場合睡眠以上に『かれら』化の確率がクッソ激烈に上昇します、もし今のめぐねぇしかいない状況でそうなれば、おそらくめぐねぇが死んでしまうので放送室を目指しましょう、そこまで持つことを祈る他ありません。

 放送室にさえ辿り着ければ、くるみちゃんが居るのでうまいこと取り押さえてくれるはずです、殺されなければ。

 たどり着くまではめぐねぇの話でも聞いてましょう、めぐねぇにもだいぶ正気度ダメージ入ってるはずなので、会話で少しでも回復させます。

 聞くところによると今回は、ゆきちゃんの直感とめぐねぇの知力でフラグ回収を行ったみたいですね。

 やっぱりすげぇよゆきは……

 なんとか放送室の近くまでたどり着くと、くるみちゃんが外で待ってました、これで本当にめでたしめでたしです。

 やっと……雨の日のラッシュが……終わるんやなって……

 

 気絶したところで今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 慌てて萌香を探しに飛び出しためぐねぇを探しに行こうと、あたしも放送室を出た所で、奥から二人の会話が聞こえてきた。

 どうやらめぐねぇは無事に萌香と合流できたみたいで安心した、いくら最近少しは戦えるようになったとはいえ、一人で校舎内を動きまわるのは心配だったしな。

 戻ってきた萌香の姿は、血がついていない場所を探すほうが苦労するような有り様だったけど、自分で歩けていた、だからあたしは安心してしまっていた。

 ふらふらと、どうにか一歩ずつ進む萌香は、あたしの顔を見るとやっと安心したような表情をした。

 

「ごめんくるみちゃん、迷惑かけるかも……」

 

 それだけ言うと、萌香はその場にうつ伏せに倒れ込んだ。

 『あいつら』のだけじゃない、萌香からもあふれだす血が、その場に血で出来た水溜りを作り出していた。

 急いで駆け寄って仰向けにすれば、顔色は真っ青だが確かに呼吸はしているし、脈も弱いが動いている、気絶しただけかよ。

 なんとか生きている状態に、安堵のため息がでた……

 

「まったく……心配かけさせんなよ」

 

 背負って放送室に運ぼうとした所で、萌香の指が動く。

 強烈な嫌な予感に襲われて後ろに飛び退く。

 

「恵飛須沢さん?どう──」

「めぐねぇさがれ!まただ!」

 

 萌香が起き上がり、さっきとは違うフラフラとした足取りで歩き始める。

 幸いさっき倒れた時に標識を取り落としていたので、武器は持ってないから、取り押さえるのはさして難しくないはずだ。

 でも、かなり傷付いてるはず、できる限りダメージ与えないようにしないといけない。

 

「恵飛須沢、なんかあったのか?」

「萌香が正気飛ばしちまった!手錠とロープを持ってきてくれ!」

「わ、わかった!」

 

 伸ばされる手はシャベルの柄で押さえてさえいれば、そうそう攻撃されることは無いだろう。

 幸いあたし以外を攻撃することは無さそうだし、安心して迎撃できる。

 柚村が手錠さえ持ってきてくれれば、後は壁なり床なんかに押さえつけて拘束さえしてしまえば、暫くすればまた正気に戻るかもしれない。

 もし戻らないなら……その時はあたしがケリをつける、こうなったのも全部あたしのせいだから。

 でもひとまず、今は彼女を信じるしかない。

 ……いや、まあこいつなら普通に元に戻る気もするけど。

 


 

 おま○け♡

 もしめぐねぇのフォローがなくりーさんの正気度も足りなかったら。

 

「りーさん、これ以上は持たなそうだから撤収するよ!りーさん?りーさん!」

 

 バリケードの向こうにいる『かれら』を突き落とす。

 突き落とせば簡単に『かれら』は動かなくなる。

 私が戦わないと。

 『かれら』に肩を掴まれる、どうしてこっち側にいるのかわからないけど、倒さないと。

 モップを喉に向かって突き出す。

 避けられた。

 今までのやつとは違う?

 でも関係ない、殺さないと殺される。

 

「りーさん!何やってんだ、そいつは萌香だぞ!」

 

 いつの間にかくるみが近くに来ていた。

 でも何を言っているのか意味が分からない。

 こいつは噛まれてるんだから、間違いなく『かれら』だ。

 殺さないとくるみも噛まれてしまうかもしれない。

 殺さないと、殺さないと殺さないと……

 モップを振りかぶって目の前の『かれら』に振り下ろすと、手に持っていた標識で押さえられる。

 そして、人とは思えない力でくるみの方へ突き飛ばされる。

 それから間もなく階段のバリケードが突破された。

 私は何かを喚いているくるみに腕を引かれて放送室に戻っていく。

 その最中に目にしたのは、何故か大量の『かれら』に囲まれて応戦している『かれら』の姿だった。




今回のお話まとめ

めぐねぇ「今日は雨みたいですね。外にも『かれら』は居ませんし、昨日までとはえらい違いです」
ホモ「ええ、雨宿りでもしてるんじゃないですか」
めぐねぇ「まあ、これで心配事もなくなりますね!」
ホモ「上機嫌ですね」
めぐねぇ「そりゃそうですよ!これで水も補給できますし、タカキも頑張ってたし、私も頑張らないと!」
ホモ「ええ。(そうだ、私達が今まで頑張ってきたことは全部無駄じゃなかった。これからも私達が立ち止まらない限りRTAは続く……)」

めぐねぇ「萌香さん?何やってるんですか!萌香さん!?」
ホモ「ぐっ……うおおおお!」ガンガン

ホモ「はぁ……はぁ……なんだよ……結構釣れるじゃん……」
めぐねぇ「も、萌香さん……あっ……あぁ……」
ホモ「なんて声……出してるんですか……めぐねぇ」
めぐねぇ「だって……だって……!」
ホモ「私は感染者ですよ、これくらい……なんてことないです」
めぐねぇ「そんな……私達なんかのために……」
ホモ「皆を守るのは私の仕事です」
めぐねぇ「でも!」
ホモ「いいから行きましょう、みんなが……待ってます。それに……(ゆきちゃん、やっとわかったんだ。私達にタイムなんか要らない。ただ走り続けるだけでいい。止まらない限り、RTAは続く……)」

ゆきちゃん『自分を大切にしなきゃ許さない』
ホモ『うん、わかってる(わかってない)』

ホモ「私は止まらないから、皆が走り続けた先に私は居るよ!」

ホモ「だからよ……止まるんじゃねぇぞ……」

 だいたいこんなん。

 なおおまけの方のホモちゃんは《死力》スキルを持っていないので無残にも喰い殺され、その残骸を見た学園生活部の面々は絶望の果てに全滅した。
 りーさんはあのあとすぐ正気を取り戻してまっさきに精神崩壊した。

 次回についてはまだ一文字も書いてないので未定です♡

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