はやりんってかわいいですよね。
ただ「咲世界では女性同士で子供が出来ます」発言があって以来、
はやりんと良子さん、トキと竜華が素っ裸同士で一緒に居るシーンが
まるで違う意味に見えてきてしまって……。
でも女性は全員処女らしいし、きっと互いへの愛情が一定以上高まると
お腹に好きな人との新しい命が宿るのだと思うと結構素敵かもと思ったり。
「はやや~☆ 清澄高校のみんな、こんにちは~!」
「「「「「こ、こんにちは…………」」」」」
「こんにちは、初めまして!」
清澄高校麻雀部の部室、そこにはカメラ機材を扱う数名のスタッフと共に、牌のお姉さんとして名高いアイドルが来ていた。
話は聞いていたが、いざこうして相対すると、女子5名は圧倒され、唯一の男子は憧れのアイドルに生で出会えたことから息まいている。
なぜこうなったのかは至極単純。
数週間前、京太郎が買い出しに出ていた時のこと。
手に取ったペットボトルの蓋に張られていたシールにはこう書かれていた。
『20○○年度、はやりんの誕生日企画! あなたの学校・職場にはやりんが来るよ!
対象商品に張られたシールを集めて応募しよう!』
「ふーん……」
言ってしまえば、よくある企画だった。
しかし間の良い(悪い?)ことに、その説明文を読み終えて視線を上げたそこには、ぽつんと立っている郵便局が。
ポケットから100円玉を取り出して、なんとなく応募してしまった京太郎を攻めることは誰もできないだろう。
そして本人もそのことを忘れかけていた2週間前。
携帯へいきなりはやりん所属の芸能事務所から電話が入り、「ご応募いただきありがとうございました! はやりんの誕生日企画、ご当選のお知らせです!」ときた。
他の部員たちもたまげていたが、あわよくばインハイ直前にトッププロから指導を受けるチャンスかもという魂胆を持った部長からもGOサインが降り、こうしてはやりんが来訪する流れとなった。
「あはは、君が応募してくれた京太郎君? 応募してくれてありがとう!」
「こ、こちらこそありがとうございます! はやりんの大ファンなので、すっごくうれしいです! 一生の思い出ものです!」
「うわぁ、ありがとう!」
実物のアイドルに両手を握られて感謝の言葉を述べられ、15歳の京太郎はもうメロメロである。
はやりがスタッフとの打ち合わせで一度離れた後も、握手したその両手をじっと見つめ、ガッツポーズしたかと思うと、
「部長! ありがとうございます!」
「え!?」
いきなり振り返り、唖然としている久に頭を勢いよく下げる。
「部長のおかげです! いっつもいつも掃除に買い出しに事務仕事に……部長に言われるがまま、俺が一人でやってきた甲斐がありました! もうこれからもどんっどん俺をパシってください!」
「ストップ、須賀君ストップ! もうカメラ回ってるから!?」
「須賀君それ以上は駄目です! 放送事故になります!!」
興奮と高揚でややねじの外れた京太郎が、電波に乗っけにくいお礼をすると、久が大いに慌て、和やまこが口を塞ごうとする。
「はや? お買い物当番とかって、みんなでやってないの?」
するとはやりが耳聡くそれを聞きつけて質問してくる。
「え、えっと……」
「はい! みんなはインハイ出場が決定したので、雑事は全部俺が担当してます!」
(須賀君やめてええええええええ!!?)
久が気の利いた回答を用意する間もなく、京太郎が馬鹿丁寧に、むしろ誇らしげに言い切る。
しかしはやりは人差し指を頬にあてるリアクションをして、残念そうな表情を浮かべた。
「はややぁ~……確かにそういう事情があるのはわかるけど……もっとみんなで一緒に楽しんでいる麻雀部とかを見る方が、はやりんは嬉しいかなぁ? プロとしても、牌のお姉さんとしても」
「うっ…………」
しかし、そこではやりんはニパっと笑顔を浮かべると
「じゃあ、今日は懸賞を当ててくれた京太郎君をメインにして、皆で麻雀を楽しもうか! 青春を過ごす子供たちが仲良く楽しく麻雀をしているところをはやりんへの誕生日プレゼントにしてほしいな?☆」
「は、はい………」
「はい、けってーい!☆」
こうなれば、後ははやりの独壇場だった。
基本は京太郎の後ろに佇み、ところどころ助言を出して助け船を出す
「うんうん、手が育ってきたね? でも周りの皆も中張牌を捨ててきているし、もうこれより高く育てるよりは、聴牌優先かな?」
「あ、今のは凄い正解だよ! よく河を見れてるね」
「大丈夫大丈夫、和了れないとしても一度も振り込まなければがっかりしなくていいよ!」
やや子ども扱いされている気がしないでもないが、流石はその道のプロというべきか。
憧れのアイドルに見られているという緊張感がいい方向に作用し、時折迷う時は助け舟を出してもらえるおかげで、京太郎は今までも指折りのいい内容で麻雀を打てていた。
その楽しそうなことは、カメラを回しているスタッフも口元に笑みを浮かべるほどだった。
最後にはインハイに出場するみんなへのプレゼントということで、女子の皆とはやりが同卓して半荘2回を打つこともでき、麻雀部としてはこれ以上ないくらいいい経験になった。
「それじゃあお疲れ様でした~」
そうしているうちに撮影も終わり、企画も終わりの時間となった。
「あ、はやりんさん……」
「はや?」
片づけが進む中、京太郎が帰る準備を進めていたはやりに勇気を出して声をかける。
「今日は、本当にありがとうございました。今まで麻雀やってて、1番楽しかったです!」
「本当に? よかったあ~」
「そ、それで、その…………もし、よかったら、これ……」
京太郎はもじもじと恥ずかしそうに、ラッピングされた小さい袋をとり出して、頭を下げて流行りに差し出す。
「た、誕生日、おめでとうございます!」
その様子は、まるで好きな女子にラブレターを渡すようで、くすっと、はやりは笑みを漏らした。
「うわぁ、ありがとう! 何かな何かな~~?」
京太郎のプルプル震える手や真っ赤な顔をみると、流石に「ファンの人からそういうのはNGなんだ~」と答えるわけにもいかず、とりあえずそれを受け取り、中身を確かめる。
「はや?」
中から出てきたのは、麻雀牌の柄がプリントされた布だった。
形状からして、何らかのカバーと思われる。
「ペットボトルカバーです。これから暑くなるし、使う機会は多くなるかなって……。
やっぱりアイドルへのプレゼントって、食べ物やアクセサリーの類はだめだろうから、これならギリギリ許容範囲かなって………」
「はやぁ~……」
まさか15歳の少年がそこまで気を利かせたものをくれるとは思わず、はやりは感嘆の息を漏らしていた。
カバーには綺麗に萬子・筒子・索子・字牌がプリントされており、実にはやりのキャラにあっている。
驚いたのが、洗濯表示のタグがどこにもない所から、手作りなのだろう。
「ありがとう、京太郎君! すごくうれしい誕生日プレゼントだったよ!」
1か月後
「オゥ、はやりさんいいカバーですね?」
「えへへーいいでしょこれ?」
「どこのショップでゲットしたんです?」
「ファンの―――ううん、とあるかわいい男の子からもらったの。個人的なプレゼントとして」
「ワッツ!?」
おまけ
「ねぇ、咏ちゃん咏ちゃん」
「んー?」
「高卒で即プロお付きのマネージャーに就職ってどう思う?」
「はぁ? 何を言ってるのかわっかんねーんですけど」
「いやぁ、ちょっと若い燕を囲おうかと思いまして………」
「止せはやりん! 未成年に手を出すな!」
「いやぁ、でも人材としては優秀なんだよ? まだ高校生の男の子なのに、部活の裏方作業を文句ひとつ言わずに全部一手に引き受けて、ファンからアイドルへのNGラインを踏まえた誕生日プレゼントを用意してくれて、お裁縫も上手なんだよ?」
「ちょっと詳しく」
前にポケモンカードで、「応募券を集めて応募しよう!
特賞は君の学校や会社にイーブイやピカチュウの着ぐるみが来るよ!」
みたいな企画があったのでネタに使いました。
私もはやりんと歳近くなったし、はやりんに甘えたり甘えられたい。
はやたんいぇい~