咲-Saki- 京太郎ss置き場   作:五代健治

6 / 11
今年書いた誕生日ssを上げていこうかなと。
りゅうたんイェイ~


竜華誕生日ss2019

「あれ、京太郎も休憩しとんの?」

 

 部室の隣に設置された休憩室兼談話室で京太郎が休憩していると、竜華が入ってきた。

 

「ええ、飾りつけの準備からケーキ作りまであれやこれや忙しかったですから」

 

 今日は竜華の誕生日パーティ。

 部員たちは先週から部長の誕生日を祝うために、今日の本番へ向けて(本人はだらけたまま動かない)園城寺総監督の指揮の下、準備を重ねていた。

 特に京太郎は高い位置の飾りつけや、部長を除き女子力が皆無である部員たちの代わりにケーキを用意したりと大忙しであった。

 パーティが始まって一時間近く経ったころ、問題なくパーティが進んでいるのを見届けてから、京太郎は隣の談話室へ移動して休んでいた。

 

「そっかぁ、おおきに。ケーキめっちゃおいしかったで」

「はは、お口にあったようで。竜華さんも休憩ですか?」

「うん、部活の後にさらにパーティやるとさすがに疲れるしな」

 

 ジュースを片手に、京太郎の座ったソファーに竜華も腰掛ける。

 

「なぁ京太郎?」

「はい」

「膝枕してくれへん?」

「はい?」

 

 すると竜華は言うが早いか、京太郎の膝に頭を乗せ、体を伸ばした。

 

「どうしたんですか、急に?」

「いやぁ、なんか甘えたなってな? でもいいやろ、こんな美少女に膝枕できるんやで?」

「どうせなら膝枕してもらいたかったですよ」

「あはは、男の子やったらそうやろなぁ。今度京太郎の誕生日の時にはやってあげたるわ」

「あと半年以上あるんですけど……」

「あはは……んー……」

 

 竜華は一旦会話を切り、もぞもぞと位置を調整する。

 

「竜華さん?」

「いやぁ……やっぱだめや。枕にしては硬い」

「そりゃ俺男ですし……」

「いや、ちょい待ち。枕には向いてなくても椅子には向いてそうな感じや」

 

 竜華は一旦体を起こすと、いきなり京太郎の両膝の上に腰を下ろした。

 

「りゅ、竜華さん?」

「じっとしとき、今いろいろ試してんねん」

 

 京太郎の動揺をよそに、竜華は膝の上で座る位置を何回か直す。

 その度に密着の度合いが強くなり、京太郎からしたらたまったものではない。

 

「ああ、これがええわ」

 

 最終的に竜華は京太郎から見て右方向を向く形で膝の上に乗り、京太郎の左肩に頭を預けて枕代わりにした。

 

「丁度ええおさまりやん。このまま休まして」

「え、いや、あの、流石にこれは、その……」

「ええやん誕生日なんやし。ちょっとはわがまま聞いてーな。梅雨入りで最近寒いねん」

(むしろ俺にご褒美になってますよ!)

 

 そのまま竜華は京太郎の言葉を無視し続けて数分、そのうち寝息を立ててしまった。

 ベッド代わりになっている京太郎からしたら、頭を抱えるしかない。

 

(ほんとに寝ちゃったよ……にしても)

 

 顔と顔の距離が10㎝もない場所にある竜華の寝顔を見つめる。

 美少女というほかない容姿、長いまつげ、綺麗な黒髪。ついでに胸元に押し付けられる頭と同じぐらい大きなおもち。

 なおかつ快活な性格で、家庭的でもある。

 まさに非の打ちどころのない、京太郎にとってどストライクな女性だ。

 そんな相手をこんなに近くで見つめ続けていると、頭の隅に邪な想いが湧いてくる。

 

(い、いかん。煩悩退散煩悩退散。せっかく枕代わりに使ってくれるほどの信頼を失うわけにはいかん。そうだ、素数を数えるんだ。 素数が1匹、素数が2匹……!)

 

 頭の中で2,3,5,7と、素数型のオブジェクトが上に積み重なり、やがて太陽の光を浴びながら宇宙の彼方へと続いていく光景を思い浮かべて無の領域に入る。

 するとそのうち、疲れも手伝い、竜華の後を追って本当に寝てしまうのだった。

 

 

(………いくじなし)

 

 片目をうっすら開けて、寝息を立て始めた枕役を覗き、竜華はほんの少し頬を膨らませると、人の気も知らず寝息を立てる京太郎により体を密着させて寝るのだった。

 

 

 

「さーて、結構時間たったけどどうなったかな」

「誕生日なことを笠に着て甘えまくればイチコロやーって、流石に単純すぎひん?」

「あれで部長奥手やから、結局何もないに1票」

「ああ見えて草食系な京太郎が必死で求愛を躱しまくるに1票や」

 

 隣の部室で飲み食いを続けていた面々が、こっそりと廊下から談話室の様子をうかがう。

 京太郎へ想いを伝えるにはどうしたらいいか乙女(メス)の顔を浮かべた部長に、攻めあるのみとアドバイスした彼女らの頭の中は、期待と面白が半分ずつ詰まっていた。

 

「あれ? なんも音せぇへんで?」

「ほんまでっか? ソファが軋む音とか、荒々しい吐息が漏れるとかないんですの?」

「お前は何を期待しているんや」

「あれ? 二人とも寝てへん?」

 

 ドアを静かに開けて忍び足で入り込むと、そこにはソファの上で密着して眠る二人の姿があった。

 それを見て、彼女らは「おぉ」と小さく歓声を上げる。

 

(上手くいったってことですかいね?)

(たぶんな………なぁ、竜華へのプレゼントで額縁あったよな?)

(ええ、ウチが贈りましたけど。ハート柄でピンクのめっちゃ可愛い奴)

(よし泉、監督に言って印刷室使えるようにして来い。もいっちょプレゼントや)

(らじゃーっす)

 

 30分後。

 先に目を覚ました竜華が目にしたのは、自分と想い人が肩を寄せて眠る写真の納められた額縁であった。

 その隣には数々の「おめでとさん!」「お幸せに!」といった祝福の言葉が綴られたメモが置いてあり、顔を真っ赤にした竜華は慌ててそれらを隠そうとしたが、同時に京太郎が目を覚ます。

 

 写真とメモを隠しきれずに混乱が極まった竜華の口走った、勢いに任せて隣の部屋まで丸聞こえだった愛の言葉は、結婚式でも散々いじられることになったとか。




修論が地獄以外の何物でもないけど、今までに書き溜めたもののっけて行こうかなと。

もう一つの方は許して。推敲だけでもがっつり時間とられるんです……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。