長い間、縛られ続けた巨大な蝶は他のウワサや魔女よりも強い恩恵を受けた。どういうことかというと、このウワサはアリナの妹、ゆきを監視し誘拐するためだけに作られたねむ渾身のウワサなのだ。すなわち、ねむもアリナ並みに心配しているのだ。
「ゆき、君はいまどこにいるんだい?ケガしてなければいいんだけど。」
他人を心配するのは普通のことだ。だが、この二人は愛の強さゆえに対立することになる。一人はねむ、もう一人は…。
「心配なんかしなくていい。アリナの妹なんだからイージーに死なない、そう思うでしょ?」
そう、アリナ・グレイだ。
「そうだね、アリナの妹なら心配はいらないかもしれないね。」
「そうネ。ねむだって心配するヨネ。あのウワサを使って、ネ。」
「…何をいっているんだい?」
ねむはズレた眼鏡を直した。
「アリナは知ってるの。ねむがアリナ達が知らないうちに勝手にウワサを作って野に放ったことを。エビデンスはもうアリナの手の中にあるカラ。」
「君も困っているんだろう?だったらこの話は内密にすべきだ。」
「へぇ、開き直るんだ。」
「あの子もマギウスの一人だ。仲間を見捨てることはできないよ。」
「仲間?ソークレイジー。アリナは姉なの。妹とはかけがえのないファミリーだから、勝手に仲間だなんて言わないでほしいんですケド!」
「気を鎮めてよ。君だって黒羽根たちから妹を虐待してる、って報告があったよ。灯火やみふゆたちに知られたくないならお互いここで話したことを外部に漏らさないよう約束しよう。」
「みふゆには言ってほしくないんですケド…。」
「なら、契約しよう。」
「契約、なんてキュウベエじゃあるまいし。」
このとき、アリナとねむの関係は崩れはじめ、互いの譲れない妹への愛を燃やし、この二人すらも考えられなかっただろう結末に至ることになるとは知るはずもないだろう。
「ゆき、こっちだ!」
「ももこさん!」
「ふゆっ!」
「うっ…。」
突進してきた蝶は私たちの頭をギリギリのところを飛んだ。
「また来るぞ。」
勢いそのままにこっちに帰ってきた。と思ったら、
「まずい、みなさん、身を固めて下さい。」
「どういう…。」
答える時間を与えず、蝶はその大きな羽を羽ばたかせ台風の中にいるかのような強風を生んだ。
「ぬわっ!なんだこの風は。」
「冗談じゃないわよ。こんな力、どこからでてんのよ。」
「きっと姉さ…アリナがありったけの魔力を注ぎ込んだに違いありません。私たちで止めましょう。」
「じゃあ、どうしろっていうんだ。」
「それは…。」
そうこうしてるうちに、レナさんとかえでさんが吹き飛んでしまった。
「いやぁ!」
「ふええぇぇぇ…。」
「レナさん!かえでさん!」
すると、風がいきなり止んだ。
「あれ?、!」
次はなにするかと思いきや、黄色い粉が周りの視界を奪った。そして、
「うっ!」
「がはっ!」
腕や手がかゆくなって赤くなった。
「なんだこれ。」
あまりに痛かったのでつい音波をだして何とかしようと攻撃してしまった。すると、視界が広くなり敵が見えた。
「サンキュー、ゆきちゃん。」
「え?、あ、はい。」
突然、感謝されてびっくりした。そして、レナさんとかえでさんを呼んだ。
「レナさん、かえでさん、大丈夫ですか?」
「えぇ、問題ないわ。」
「だ、大丈夫だよ。」
全員の無事が確認できた。
「くそ、あの羽から発生する風をなんとか止めなければ勝ち目はないか。」
「そうなると、あの羽をもう一度縛りつけないといけませんね。でも、どうすれば…。」
そうこう言ってるうちにまた突進してきた。
「伏せろ!」
ももこさんのとっさの一言で全員がぎりぎりかわすことができた。
「くっ、どうしたら…。」
「わたしが使う植物の力で動きを封じられれば倒せるんじゃないかな。」
「かえでさん。」
どうしようもない状態の中で、かえでさんに考えがあるようだ。
「植物のツルを身体中に巻き付ければ倒しやすくなるんじゃないかな?」
「そんなことできるんですか?」
「そうか、それならいけるかもしれない。」
「だったら、私があの木にぶつけます。そのあとにかえでさんはツルで身体中を拘束して、ももこさんがトドメを。レナさんは私と一緒に蝶を誘導してください。」
「あぁ!」
「うん!」
「わかったわ。」
3人とも快く私の作戦に賛同してくれた。こうして3人と一緒にいると心地がいいと思うようになった。
蝶は性懲りもなく突進する。ここから反撃の始まりだ。
「レナさん、お願いします。」
「いくわよ。」
レナさんは無数の鏡を召喚した。そして、一枚の鏡の上にのり、蝶に向かって槍を投げた。すると、他の鏡からも同じ槍がでて、上手いこと木の近くに誘導できた。
「次は私が!」
蝶は地面すれすれに飛んでいる。ここで、私は音波で木にぶつけた。蝶はその衝撃でひるんだ。
「かえでさん、お願いします。」
「えい!」
かえでさんは蝶の周りから植物のツルが出てきた。ツルは蝶の体に絡み付いて身動きができなくなった。
「やったぁ!」
「チャンスです、ももこさん!」
「ももこ、やっちゃいなさい!」
ももこさんは大きくいびつな大剣を持ち、一直線に走った。
「これで、とどめだあぁぁ!」
大きく振りかぶった大剣は、蝶の体を切り裂いた。
「………。」
蝶は断末魔の叫びもなく消えた。私たちは勝つことができた。そして、辺りの不思議な空間が現実の風景に変わった。
「やったな、ゆきちゃん。」
ももこさんが私の肩に手をのせて優しく笑った。
「ゆきちゃんのおかげであの蝶を倒すことができたね。」
「アンタの作戦がなかったらうまくいかなかったかもしれないわね。」
レナさんとかえでさんも微笑みながら背中にふれた。
「みなさん、ありがとうございます。」
私はお礼を言った後、疑問だったことを聞いてみた。
「あの、今さら言うことじゃないんですけど…。」
「?、どうした?」
「なんで私を信じてくれたんですか?レナさんとかえでさんのように長くいたわけではないのにどうして?」
すると、3人はぽかん、とした顔をした後にももこさんは大笑いした。私は驚いた。
「それはね、仲間だからだよ。」
ももこさんが放った言葉は私の胸に深くささった。
「ゆきちゃん、あたしたちとゆきちゃんはもう他人じゃないんだよ。遠慮したりしなくていいんだ。あたしたちはゆきちゃんを歓迎するよ。」
「ももこさん…。」
「そうだよ、ゆきちゃんはお友達というより親友だよ。レナちゃんもそう思うでしょ。」
「はぁ?そ…そんなわけ…ま、でも、仲間になりたいなら?、別にいいけど?」
「みなさん、ありがとうございます!」
魔女の結界でピンチになったけど、ももこさんたちが私を信じてくれて、仲間が何かがここに来てやっとわかった気がする。私たちは手をとって帰ることにした。
先週、重度の風邪にかかって、急遽休むことにしました。楽しみにしてくれる皆様、申し訳ございません。