アリナの妹   作:時間遡行者

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第12話

姉さんが操っていた巨大な光る蝶をなんとかももこさんたちと倒すことができた。なぜそこに蝶がいたのか。なぜそのウワサを姉さんが操ることができたのか。謎は残るものの、それを追及するための材料があまりにも足りない。でも、少しずつマギウスのやりたいことがわかってきた。

 

「ゆきちゃん。」

 

私を捕まえるためのウワサを作ってまで、

 

「ゆきちゃん。」

 

私を探している理由は、

 

「ゆきちゃん!」

 

「えっ?」

 

「どうしたの?さっきからずっと呼んでるのに。どうしたの?」

 

「い、いえ。」

 

「?」

 

しまった。全く気づかなかった。今は一旦考えるのを止めよう。

 

「ごめんなさい。ちょっと疲れちゃってうとうとしてました。」

 

「大丈夫?」

 

「ゆきちゃん、コーラ飲むかい?水分補給ついでに気分転換しよっか。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

とっさにももこさんからコーラをくれた。炭酸は別に嫌い、というわけでもないのでありがたくいただくことにした。だけど、このコーラいつ買ったんだろう?

 

「今回はすごく苦戦したから疲れるのは当たり前だよ。今日はすぐに寝なよ。」

 

「はい、そうします。」

 

「わたしももうへとへとだよぉ。」

 

「かえではレナよりも体力ないから仕方ないわね。」

 

「ひ、ひどいよぉ。レナちゃん。」

 

レナさんはかえでさんをおちょくった。こんなことをよく言っているが、ももこさん曰く、レナさんとかえでさんはいつもあんな感じだが実際、仲がいいそうだ。

 

「じゃあ、私はこっちの道なので。今日はありがとうございます。」

 

「ウチらで良かったらまた声をかけてよ。いつでも歓迎するからさ!」

 

「じゃあね、ゆきちゃん!」

 

「…また来なさいよ。」

 

「では、さようなら。」

 

 

 

星がみえるほど澄んだ夜、私がいなくてはいけない場所、万々歳に戻ってきた。私は鶴乃さんから事前にもらった合鍵で正面のドアを開けた。

 

「ただいま戻りました。」

 

誰もいないのについ癖で言ってしまった。とりあえず、お風呂に入ることにした。しかし、

 

「…お湯が冷たい。」

 

おかしいと思った。いつもなら鶴乃さんが私よりも先にお風呂に入るため温かいはずだ。

 

「仕方ない、自分でお風呂を焚こう。」

 

私はお風呂の追い焚きボタンを押した。

 

「とりあえず、部屋に行って着替えを持ってこよう。」

 

私は自分の部屋に行った。

 

部屋に入ってタンスの一番下を開けた。ここには鶴乃さんが着ていた古着が多く残っていた。鶴乃さんは

 

「サイズが合うかわからないけど、ゆきちゃんが嫌じゃなければ使ってもいいよ!」

 

と言われ、遠慮なく使っている。誰かのものを借りることは少し嫌だが優しくしてくれてる以上、着ない、と言うのは失礼だし、なにせシャツやズボンなどの衣服はあのとき着ていた服以外フェント・ホープに置きっぱなしにしているからむしろ助かったと思っている。

 

「それにしても、鶴乃さんはどこにいるんだろう。」

 

不安ではあるが、鶴乃さんは強いのはよくわかっているので心配することはない。多分、相当強い魔女と接戦を繰り広げているのだろう。

 

「ふあぁぁ………。」

 

すごく眠い。もう寝よう。

 

「鶴乃さんを探すことはできない。はぁ、疲れた。」

 

そして、私は布団と厚い毛布に挟まって寝た。

 

 

 

次の日の朝、眠気がなくなって久しぶりにゆっくり寝れて気分がよかった。でも、枕元にあったデジタル時計を見た瞬間、私はとんでもないことに気づいてしまった。

 

「嘘でしょ?」

 

何かの冗談なのか。目をこすってもう一度見た。

 

「…9時を過ぎている。」

 

9時を過ぎた。これが示す意味はもう既に万々歳は開店してしまっている、ということだ。

 

「し、しまった。早く着替えないとお父様にしかられてしまう!」

 

私は焦りながらタンスを開けた。タンスの端に入れておいた仕事用の服を着て急いで階段を降りた。

 

「すみません、寝坊しました!」

 

朝一番の大声で反省を述べた。しかし、

 

「あれ?」

 

厨房には一生懸命に中華鍋をかき回しているお父様の姿がなかった。その上、オーダーされた食べ物を食べてもらった後、点数をつけてもらっている鶴乃さんの姿もなかった。

 

「今日は確か営業日だったような……。」

 

おかしい。今日はいつもどうりに注文を取りに行って、お父様に伝えて、それを配膳する。そのはずなのにどうして誰もいないの?そう考えている時、ちょうどお父様が降りてきた

 

「おや、ゆきちゃん。おはよう。」

 

「あっ、おはようございます。」

 

「今日も自分ので起きてきたのかい?」

 

「はい、そうです。ところで、今日は万々歳を開かないんですか?」

 

「ん?今日は休みだよ。」

 

「休み?言ってましたか、そんなこと。」

 

「あぁ、そういえばゆきちゃんに伝えていなかったね。」

 

「はい?どういうことですか?」

 

「それがね、鶴乃が昨日から帰っていないんだよ。」

 

「え?」

 

衝撃的な発言だった。まさか。そんなはずがない。

 

「ほ…本当ですか?」

 

「残念だけど、本当なんだ。その証拠に、居間のところにある靴箱を見てみろ。」

 

そう言われ、靴箱を見てみた。

 

「これは…確かにそう考えられますね。」

 

靴箱には鶴乃さんがいつも履いている靴が見当たらない。こんなことって…。

 

「ゆきちゃんは心当たりないかい?」

 

「いいえ、鶴乃さんとは別行動だったので。」

 

「そうか、残念だ。」

 

こっちも残念だ。まさか鶴乃さんが行方不明になるなんて全く思ってもいなかった。

 

「私、鶴乃さんを探してきます。」

 

私はいてもたってもいられず家を飛び出した。

 

「あっ、待ちなさい。」

 

その言葉に気づかず、私は街に出た。

 

 

 

つい外に出たけど、鶴乃さんがいそうな場所なんて全く思い付かない。どうしよう。

 

「あれ、ゆきちゃん!」

 

「!、いろはさん。」

 

そこにばったり会ったのはいろはさんだった。

 

「どうしたの?こんなところで一人で歩いてたから心配して声かけちゃった。」

 

「そ…それが…。」

 

「?」

 

「鶴乃さんが…鶴乃さんがいなくなってしまったんです。」

 

私はいろはさんにこう言った。すると、いろはさんはしんみりした顔をしてこう言った。

 

「鶴乃ちゃんはね、」

 

「いろはさん、鶴乃さんの居場所を知っ…。」

 

「マギウスに捕まったの。」

 

「え?」

 

「鶴野ちゃんはマギウスに捕まっちゃったの。」

 

「………。」

 

そんな、嘘でしょ。

 

「ゆきちゃん…。」

 

「そ、そんなわけないじゃないですか。さ、さ、最強の魔法少女ですよ、鶴乃さんは。」

 

「…わたしたちがマギウスの講義を受けた後、マギウスと黒羽根たちと戦ったけど鶴乃ちゃんたちがマギウスの罠にかかって仲間になっちゃったの。」

 

「う、嘘…。」

 

突然頭が空っぽになった。鶴乃さんがいなくなったことがとてもショックで、悲しくて、辛い。

 

「ゆきちゃん!どうしたの?しっかりして!」

 

私は、いろはさんたちに迷惑をかけた。私があのとき、いろはさんたちと一緒に行けば私が犠牲になるだけでよかった。私が姉さんたちの前にいたら、絶対にこんなことになるとはなかったはず。後悔。後悔しかなかった。こんな後悔、やりなおせるならやりなおしたい。でも、決断することも、後悔することも、何もかもが遅すぎた。こんな自分、許せない。許すもんか。

 

「ゆきちゃん!ゆきちゃん!………。」

 

「ゆきちゃん!!!」

 

…ごめんなさい、みふゆさん。地獄を抜け出したと思ったんだけど、やっぱり地獄だったよ。いや、みふゆさんもマギウスだから恨む相手か。

 

 

 

その女は完全に意識を失った。マギウスに恨みをもったまま、彼女どうやって立ち向かうのか?はたして、彼女は初めてできた仲間を救うことができるのか?

 

さぁ、これからだよ。ゆき、いや、…。

 

 

 

 




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